かわいい見た目とつぶらな瞳で最近話題となっているカワウソですが、絶滅の危機に瀕している種類がいることをご存じですか?
カワウソの動画を見て癒されている方も多いでしょう。そんなカワウソをもう二度と見ることができなくなったら、とても嫌ですよね。
この記事では、世界にはどんなカワウソがいて、何が原因で絶滅の危機に瀕しているかをご紹介します。
あなたがこの記事を通して、カワウソの種類や生態について知り、カワウソを絶滅の危機から救うために何ができるのかを少しでも考えていただけると嬉しいです。
アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/22323946#goog_rewarded
世界には12種類のカワウソが存在する
世界には細かく分けると、以下の12種類のカワウソが存在します。種類によってはかわいらしいカワウソもいれば、非常に凶暴なカワウソもいます。
凶暴なカワウソなんて想像できませんよね?それについては以下の段落でご紹介しますのでお楽しみに!
また、以下の12種類のうちツメナシカワウソを「ツメナシカワウソ」と「コンゴツメナシカワウソ」と分けているサイトもありますが、ここでは12種類としてご紹介します。
- オオカワウソ
- カナダカワウソ
- ミナミウミカワウソ
- オナガカワウソ
- チリカワウソ
- ラッコ
- ノドブチカワウソ
- ユーラシアカワウソ
- スマトラカワウソ
- ツメナシカワウソ
- コツメカワウソ
- ビロードカワウソ
また、上記12種類は「属」という大きなくくりで見ると以下の7種類に分けることができます。以降の段落では「属」ごとにカワウソの生態をご紹介していきますよ。
「属」の種類 | 「属」に該当するカワウソの種類 |
オオカワウソ属 | オオカワウソ |
カナダカワウソ属 |
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ラッコ属 | ラッコ |
ノドブチカワウソ属 | ノドブチカワウソ |
カワウソ属 |
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ツメナシカワウソ属 |
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ビロードカワウソ属 | ビロードカワウソ |
【種類別】カワウソの生態①:オオカワウソ属
オオカワウソ属に属する「オオカワウソ」は南米大陸中央からその北部にかけて生息しています。
その名の通り、体長が大きいカワウソで最大1.7m、体重は30㎏を越える個体もいます。これはラッコを除くカワウソの中でも最大級の大きさです。
オオカワウソは昼行性の肉食獣で、ジャガーやアリゲーターなど自分よりも大きくて凶暴な動物を簡単に捕食します。このことから「猛獣」として認識される非常に危険な動物です。
かわいらしいイメージのカワウソにこんな危険な種類がいるなんて、なんだか信じられませんよね。以下にオオカワウソの生態をまとめましたので、参考までにご覧ください!
オオカワウソの生態 | |
生息地 | 南米の中央~北部、大型河川や湿原に生息。 |
体長 | 最大1.7mほど |
体重 | 30㎏ほど |
活動時間 | 昼行性 |
食事 | 主食は魚、1日あたり、3~4㎏も食べる |
縄張りまたは住処 | 水辺の開けた場所に1.5mほどの長さがある寝床とトンネルからなる巣穴を作る |
【種類別】カワウソの生態②:カナダカワウソ属
カナダカワウソ属には前述した通り、以下の4種類が世界に存在しています。以下では4種類のカワウソの生態について、わかりやすく解説していきます。
- カナダカワウソ
- ミナミウミカワウソ
- オナガカワウソ
- チリカワウソ
カナダカワウソ
カナダカワウソは北米大陸北部で見られ、体長は80㎝前後、体重は10㎏ほどと比較的大きなカワウソです。
また、カナダカワウソは水中に適した体をしています。体毛には油分が多く、撥水性に優れており、足にある水かきのおかげで最大時速11㎞で泳ぐことができるんですよ!
多くのカワウソは乱獲や環境汚染などの影響を受け、絶滅の危機に瀕しています。
しかし、カナダカワウソに関しては昔から個体数減少に対する取り組みが行われているため、最近では捕獲数が減少し、個体数も安定するようになりました。
カナダカワウソの生態 | |
生息地 | 北米大陸北部 |
体長 | 80㎝ほど |
体重 | 10㎏ほど |
活動時間 | 夜行性 |
食事 | 主食は魚、小さい鳥も捕食する |
縄張りまたは住処 | 他の動物が残した巣穴や木に空いた穴を巣穴にする |
ミナミウミカワウソ
ミナミウミカワウソはチリやペルーといった南米大陸に生息しています。海水に適応しているカワウソはラッコ属を除けば、このミナミウミカワウソだけです。
体長は60㎝ほど、体重は5㎏くらいの比較的小型で、体毛の先端が比較的明るいのが特徴です。
昼行性で、単独もしくは3頭までの群れを作って行動します。主に甲殻類を捕食しますが、魚も捕食すると考えられており、捕獲した獲物は水中で捕食します。
ミナミウミカワウソは昔から食用、毛皮の利用により乱獲されていたため、絶滅の危機に瀕していました。しかし、最近は保全活動も行われ、少しずつ個体数を取り戻しています。
ミナミウミウソの生態 | |
生息地 | 南米大陸(チリ、ペルー) |
体長 | 最大1.7mほど |
体重 | 30㎏ほど |
活動時間 | 昼行性 |
食事 | 主食は甲殻類、魚も捕食すると考えられている |
縄張りまたは住処 | 海岸の近くを住処とする |
オナガカワウソ
オナガカワウソはチリやペルー以外の南米大陸に生息しています。体長は50㎝前後ですが、尾の長さが最大で80㎝程度になることが特徴です。
基本的に夜行性で、単独行動することが多く、主な餌は魚と甲殻類です。オナガカワウソも環境汚染や乱獲の影響を受けて、絶滅危惧種に指定されています。
オナガカワウソの生態 | |
生息地 | 南米大陸(チリ、ペルーを除く) |
体長 | 50mほど |
体重 | 10㎏ほど |
活動時間 | 夜行性 |
食事 | 魚と甲殻類 |
縄張りまたは住処 | 詳しくは不明 |
チリカワウソ
チリカワウソはチリ南部やアルゼンチン南部に生息しており、基本的に河川や湖に生息していますが、海でも生活できます。
体毛が褐色と比較的明るく、体長が60㎝ほどで主に魚、甲殻類を捕食します。成体についてはよくわかっていないことが多く、非常に謎が多いカワウソです。
チリカワウソは外来種を捕食できないことからその影響を受けて、生息数が減少し、絶滅危惧種に指定されているカワウソです。
チリカワウソの生態 | |
生息地 | チリ南部、アルゼンチン南部 |
体長 | 60mほど |
体重 | 不明 |
活動時間 | 不明 |
食事 | 魚、甲殻類 |
縄張りまたは住処 | 不明 |
【種類別】カワウソの生態③:ラッコ属
ラッコがカワウソの仲間って知っていましたか?確かによく見るとカワウソに似ていますよね。
ラッコは北米大陸から千島列島の沿岸にかけて生息しています。ほとんど海で生活しており、寝るときは流されないようにジャイアントケルプ(昆布の1種)を体に巻いています。
ラッコには8億本もの毛が生えており、非常に防寒性に優れている毛皮を持っているため、極寒の海でも難なく生活できているんですよ。
その毛皮は非常に上質であるため、毛皮目当てで乱獲されています。それに伴い、個体数がどんどん減少しており、世界で1,000頭ほどまで減少してしまいました。
ラッコの生態 | |
生息地 | 北米大陸から千島列島の沿岸 |
体長 | 1.2mほど |
体重 | 25㎏ほど |
活動時間 | 昼行性 |
食事 | 主食は貝類、たまに魚を捕食することもある |
縄張りまたは住処 | ジャイアントケトルプがある場所を住処とする |
【種類別】カワウソの生態④:ノドブチカワウソ属
ノドブチカワウソはアフリカ大陸中央から西部にかけて生息するカワウソです。
体長は70㎝前後、体重は5㎏ほどで、手足には水かきが付いています。また、約40㎝にもなる尾がオールの役割を果たすことで水中を難なく泳ぐことができるのです。
ノドブチカワウソは昼行性で、狩りを単独で行うことが多いです。主食は体長20㎝以下の魚ですが、カエルや甲殻類、昆虫なども捕食しています。
ノドブチカワウソは外来種や人間による乱獲の影響で、保護体制を整えなければ絶滅してしまう準絶滅危惧種に指定されています。
ノドブチカワウソの生態 | |
生息地 | アフリカ大陸中央から西部 |
体長 | 70㎝ほど |
体重 | 5㎏ほど |
活動時間 | 昼行性 |
食事 | 体長20㎝以下の魚やカエル甲殻類、昆虫など |
縄張りまたは住処 | 綺麗な水辺の岩の隙間、茂みに巣をつくる |
【種類別】カワウソの生態⑤:カワウソ属
カワウソ属は以下の2種類が存在しています。ちなみに、日本に生息していた二ホンカワウソはユーラシアカワウソの亜種です。
以下では、2種類のカワウソ属について詳しく解説します。それぞれの生態について、表にもまとめてあるので、そちらもご覧ください!
- ユーラシアカワウソ
- スマトラカワウソ
ユーラシアカワウソ
ユーラシアカワウソは真夏の30度を超える暑さでも、氷点下10度の寒さでも魚を捕りに水に潜ります。そのため、ロシアの極寒地から台湾付近まで幅広く生息しています。
体長は70㎝ほどで、体重は5㎏程度です。頭が平らで尾は太くて長く、水中で抵抗なく泳げるような特徴を持っています。
魚が主食ですが、地域によっては甲殻類、カエルや昆虫、小型の鳥も食べることがあるそうです。
何か所か水辺に縄張りを持っており、多い時では70㎞ほども移動することがあります。小さな体では考えられない移動距離ですね…!
ユーラシアカワウソの生態 | |
生息地 | ロシア~台湾までユーラシア大陸の多くに分布 |
体長 | 70㎝ほど |
体重 | 5㎏ほど |
活動時間 | 夜行性 |
食事 | 主食は魚、カニや鳥も捕食する |
縄張りまたは住処 | 水辺に巣穴を複数持つ |
スマトラカワウソ
インドネシアとその周辺に生息するスマトラカワウソはいまだに謎が多い種類です。
体長は60㎝ほどで水辺に生息しており、食事は魚や甲殻類を捕食します。主に夜行性で、昼間は巣穴で休んでいることが多いです。
スマトラカワウソの毛皮はよく売れることから近年乱獲されており、個体数が激減しています。
スマトラカワウソの生態 | |
生息地 | インドネシアとその周辺 |
体長 | 60㎝ほど |
体重 | 5㎏ほど |
活動時間 | 夜行性 |
食事 | 魚や甲殻類 |
縄張りまたは住処 | 水辺に生息する |
【種類別】カワウソの生態⑥:ツメナシカワウソ属
ツメナシカワウソ属には前述した通り、以下の2種類が存在しています。以下ではその生態についてご紹介していきます。
- ツメナシカワウソ
- コツメカワウソ
ツメナシカワウソ
ツメナシカワウソは南アフリカの淡水がある場所に生息するツメがないカワウソです。
ほとんど水中で生活するにもかかわらず、水かきが発達していないのは非常に驚くべきことです。
しかし、太くて長い尾がその代わりとなって水中でも難なく動き回ることができます。
また、水かきがないおかげで手を使って獲物を捕らえることができる器用な生き物なんですよ。
ツメナシカワウソの生態 | |
生息地 | 南アフリカ大陸 |
体長 | 75㎝ほど |
体重 | 10~15㎏ほど |
活動時間 | 夜行性(日中も活動していることがある) |
食事 | 魚や甲殻類 |
縄張りまたは住処 | 水辺から50m以内の倒木の下や岸辺 |
コツメカワウソ
コツメカワウソは東南アジアに生息しており、体長は50㎝ほどとカワウソの中でも小さいため、ペットとして飼育する人もいます。
また、コツメカワウソは昼行性で甲殻類を主に捕食しています。体が小さいこととつぶらな瞳が非常に人気で、見ているだけで癒されるカワウソですね。
コツメカワウソの生態 | |
生息地 | 東南アジア |
体長 | 50㎝ほど |
体重 | 5㎏ほど |
活動時間 | 昼行性 |
食事 | 甲殻類、爬虫類や昆虫 |
縄張りまたは住処 | 他の動物が放棄した水辺の巣穴に住むことが多い |
【種類別】カワウソの生態⑦:ビロードカワウソ属
ビロードカワウソは南アジアから東南アジアの平地の水辺に生息しています。体長は70㎝ほどで体重は10㎏前後です。
丸みを帯びた頭と歪んだダイヤモンドの形をした無毛の鼻が特徴で、短くてなめらかな毛皮を持っています。
ビロードカワウソは毛皮目的の乱獲、湿地の減少などで個体数が減少しています。生息地が海ではなく、水辺の湿地帯や水田近くなので、私たち人間によって危険にさらされているのです。
ビロードカワウソの生態 | |
生息地 | 南アジアから東南アジアの平地の水辺 |
体長 | 70㎝ほど |
体重 | 10㎏ほど |
活動時間 | 昼行性 |
食事 | カエルや魚を捕食する |
縄張りまたは住処 | 砂浜の川岸、木の根の下や岩の間に巣穴を作る |
カワウソを危険にさらしているのは人間である
カワウソの個体数は激減しています。その理由は天敵に襲われてしまうからではありません。個体数激減の最大の理由は私たち「人間」なのです。
カワウソの毛皮は上質なので、非常に高く売れます。そのため、カワウソが乱獲されていることが大きな要因です。
また、開発が進むことで水質汚染や森林伐採などにより、カワウソが生活できる環境が少なくなっていることも非常に大きな原因です。
私たちが豊かになるために開発していくことは非常にいいことですが、その一方で犠牲になっている動物たちがいることも覚えておきましょう。
まとめ:今いるカワウソを守るために
カワウソは非常にかわいいですよね。動画を見て癒されている人も多いでしょう。
そんなカワウソは世界で12種類存在していますが、毛皮を目的としたカワウソの乱獲により、その多くが絶滅の危機に瀕しています。
私たちが今できることはカワウソの生態や特徴を知り、現状をSNSで発信していくことです。
あなたが発信することで多くの人がカワウソの現状を知り、保護活動が活発になっていきます。あなたの力がカワウソを絶滅の危機から救うのです。