かわいらしい姿や仕草で、スローロリスは多くの人を魅了しています。テレビ番組でも多く紹介されていますよね。
「ペットにしてみたい!」と考える方も、スローロリスの生態についてはあまり知らないのではないでしょうか。
この記事では、スローロリスの生態や飼育の注意点についてお伝えします。
ぜひ、スローロリスをペットに迎えるイメージをしながら読んでみてくださいね。
(アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/22264891?title=%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%AE%E5%B0%8F%E9%81%93&searchId=2235327998)
スローロリスって何?
スローロリスとは、体長20〜30cm、体重は480〜600gの猿のことです。
バングラデシュやベトナムなどの東南アジアを中心に生息しています。
しかし昨今、スローロリスは生息地の破壊や分断の被害に遭っています。ワシントン条約でも絶滅危惧種に指定されました。
2007年以降スローロリスの輸入は禁止され、国内で繁殖し、環境省が認める場合のみ販売や譲渡が可能となっています。
スローロリスの見た目
スローロリスは小さな耳と大きな目を持ち、丸みを帯びてずんぐりとした見た目をしています。
猿ですが、スローロリスのしっぽは非常に短く、1.3〜2.5cmほどしかありません。
色は濃いグレーや赤みを帯びたオレンジ色をしていて、頭からおしりにかけては黒色のラインが1本入っています。
体全体を短い毛が覆っていることで、丸くもふもふとした、かわいらしい印象を受けることでしょう。
スローロリスの動きはスロー
名前にもある通り、スローロリスは一見猿に見えないほどゆっくりとした動きをします。
枝と枝の間を移動するときや方向転換する時も、ほとんど音を出すことなく動くことができます。
スローロリスがゆっくりと動く理由は、捕食者に自分の存在を気づかれないようにするためです。
ちなみに「ロリス」は「道化師」を意味するオランダ語なので、スローロリスは「動きが遅い道化師」という意味になりますね。
実は毒を持つスローロリス
かわいらしい見た目をしているスローロリスですが、実は霊長類で唯一毒を持っている猿です。
スローロリスは毒を含む唾液に、ひじの毒腺から分泌される毒を混ぜ、より強力な毒を作り出します。
作り出した毒を体毛に塗ったり、毒の付いた歯で噛み付いたりすることで、敵から身を守っているのです。
毛づくろいをしていて「かわいいなあ」と感じても、実はその時、毒を体に塗っている最中なのかも知れません。
毒があるなら触っちゃダメ?
「体に毒が付いているなら触れないの?」と心配する方もいるでしょう。
スローロリスの毒は、傷口から直接体内に入り込むことで、激痛や呼吸困難などの症状を引き起こします。
そのため、体に触れる程度なら問題ありません。しかし、触った後は念のため手を洗っておきましょう。
また、猫アレルギーを持つ人は、傷口から毒が入ったり噛みつかれたりすると、アナフィラキシーショックを起こす可能性があるので注意が必要です。
スローロリスに噛まれたらどうするの?
スローロリスに噛まれてしまった場合は、迷わず外科や皮膚科で受診しましょう。
また、骨に達するほどの深い傷を負った場合は、緊急外来で受診することをおすすめします。
スローロリスが食べるもの
スローロリスは雑食ですが、主に樹液や花の蜜を好みます。樹液を食べる時は、長い舌を使って食べますよ。
その他にも、果実や木の葉、昆虫類、カタツムリ、トカゲ、小鳥などさまざまなものを食料としています。
動物園では野菜や果物、猿用のペレット、コオロギなどを餌として与えている場合が多いです。
動物園内で木を育て、昆虫や樹液を採取したり、直接樹液を舐めさせたりする取り組みもされています。
スローロリスの寿命はどれくらい?
野生のスローロリスは15〜20年生きると言われていますが、飼育されている場合は10年ほどと短くなります。
飼育されているスローロリスの寿命が短くなる理由は、スローロリスが非常に強い警戒心の持ち主であるからです。
スローロリスは夜行性なので、昼間に物音がするとストレスを感じてしまいます。
飼育下に置かれたスローロリスが多くストレスを感じてしまうと、病気になり、死に至ってしまう場合があるのです。
スローロリスをペットにするなら注意が必要
ここまでスローロリスの生態についてお伝えして、「ペットにしたい!」と思う方もいるのではないでしょうか?
もふもふでゆっくり動くスローロリスがペットになれば、きっと毎日癒やされますよね。
ただし、スローロリスはデリケートな動物なので、スローロリスをペットにするのは簡単ではありません。
ここからは、スローロリスをペットにする際に注意するべきことについて見ていきます。注意するべきことは以下のとおりです。
- 登録票が必要
- 病気にかかりやすくなる
スローロリスをペットにする際の注意点①登録票が必要
先ほどもお伝えしたとおり、スローロリスはワシントン条約で絶滅危惧種に指定され、輸入が禁止されています。
国内での流通も規制されており、販売や譲渡が原則禁止となっているのです。
しかし、国内で繁殖し、環境省から発行される登録票を取得していれば、販売や譲渡が可能となります。
スローロリスを購入する際は、取り扱っているペットショップやブリーダーに、登録票を取得しているかどうか必ず確認しましょう。
スローロリスをペットにする際の注意点②病気にかかりやすくなる
スローロリスは鋭い歯を持っており、噛む力も非常に強いので、ペットとして販売される際に抜歯されることが多いです。
抜歯されると感染症にかかるリスクがあり、感染症での致死率は90%以上と言われています。
また、スローロリスは環境の変化などに対してストレスを感じやすく、内臓疾患などの病気にかかることがあります。
スローロリスをペットにする際は、生態に関する知識や飼育する覚悟が特に必要となるのです。
スローロリスを飼育するための環境
スローロリスを飼育するには、ストレスを与えない飼育環境づくりが必要です。できるだけ野生の環境に近づけましょう。
ケージは高さのあるものを用意し、木登り用の登り木を入れます。ウサギやチンチラ、鳥用のケージで構いません。
また、スローロリスは暑さや寒さに弱い動物です。ヒーターや保温シートを使用して、室温を27℃前後に保ちましょう。
室温が23℃以下になると、スローロリスは低体温症になる恐れがあります。体をまるくして固まっていたら注意をしてください。
スローロリスの値段は?
ここまでスローロリスをペットにする際の注意点や環境についてお伝えしましたが、気になるのは購入する際の値段ではないでしょうか。
スローロリスの値段は50〜60万円と高額で、種類や状態によっては100万円を超える場合もあります。
値段が高額なのは、希少な動物であることと、繁殖自体も非常に困難であることが理由です。
またスローロリスは希少であるため、多くの場合、購入してすぐには迎えられず入荷待ちになります。
毒を持つけどかわいいスローロリスに癒やされる毎日を
今回は、スローロリスの生態やペットにする際の注意点についてお伝えしました。
かわいらしい姿や意外な生態を知り、「スローロリスをペットにしたい!」と考えている方もいるのではないでしょうか。
スローロリスをペットに迎えれば、あなたの毎日に癒やしを与えてくれることでしょう。
スローロリスの生態や繊細さへの理解を深め、愛情をたくさん注いで、癒やしに包まれた毎日を送ってくださいね!