移植コーディネーターの職業を知っていますか?移植という言葉は聞いたことはあるけど、仕事内容は分からないという人も多いのではないでしょうか。
仕事の内容が分からないままではモヤモヤしてしまいますよね。今回は移植コーディネーターという仕事内容とコーディネーターまでの道のりを詳しく説明します。
この記事を読むことで、移植コーディネーターの仕事についてのモヤモヤが晴れること間違いなしですよ!ぜひ最後までご覧ください。
(アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%e6%89%8b%e8%a1%93-%e3%83%89%e3%83%8a%e3%83%bc-%e7%a7%bb%e6%a4%8d-1049588/)
臓器移植・臓器提供とは何か?
臓器移植コーディネーターは臓器移植に携わるスペシャリストです。そのため、基本知識である臓器移植と臓器提供について知っておくと良いでしょう。知っている人もここで復習しておくと良いですね。
臓器移植は、病気や事故で臓器が損傷し、移植以外の方法で回復させる手段がない場合に行われる医療行為のことです。第三者の健康な臓器を移植することで機能回復を行います。
臓器提供は、脳死あるいは心停止によって亡くなった人の臓器を、本人または家族の善意により、心臓・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸・眼などの健康な臓器を移植待ちの人に提供する事です。
臓器提供の部位は提供者が選ぶことができます。例)眼・腎臓以外は提供可です など
移植コーディネーターの仕事内容
移植コーディネーターは、ドナー(提供側)とレシピエント(受ける側)を調整して、移植手術がスムーズに行えるようにするためには欠かせない医療職種です。
ドナーコーディネーターとレシピエントコーディネーターが存在します。
ドナーコーディネーター
ドナーコーディネーターは、臓器提供の候補が現れた際に、ドナー(提供側)のご家族に臓器提供の仕組みや流れの説明を行います。
同意を得た後も、ドナーの管理や、移植チームとの調整・臓器摘出時の立ち合い・運搬に携わります。
レシピエントコーディネーター
レシピエントコーディネーターは、レシピエント(臓器提供を受ける)本人やご家族に移植の説明・カウンセリング・退院後の生活指導などを行います。
ほかにも、報告書の作成・啓蒙活動・ドナーとの面談・サンクスレターを届ける・勉強会の講師などの事務的な作業も多い職種です。
移植コーディネーターの目指し方
移植コーディネーターは、病院や公益社団法人日本臓器移植ネットワークの採用試験に合格しなければなりません。
受験資格は医療従事者として、医師、看護師、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師、救急救命士、薬剤師、社会福祉士、臨床心理士の国家資格を取得していることです。
もしくは、4年制大学(医療分野での業務経験者が望ましい)を卒業している条件であれば応募できます。
- 高校
- 大学・医療系専門学校・短大
- 採用試験(病院や日本移植臓器ネットワーク)
- 移植コーディネーター
コーディネーター職の募集は、不定期に開催されるので、定期的に「日本臓器移植ネットワーク」を定期的にチェックしておきましょう。
どのような職場で活躍できるの?
日本臓器移植ネットワークから認定を受けると、各地にある病院に派遣され、ドナーが入院している病院で業務を行うコーディネーターと社内で調整をするコーディネーターの2グループに分かれて仕事を進めます。
日本臓器移植ネットワークでは、日本全国を3つのブロックに分けて活動しており、各ブロック5人〜10人、県に1〜2人という人数を配置しています。
基本的には移植ができる総合病院や、大学病院などで活動する移植コーディネーターが多いでしょう。
移植コーディネーターの年収の平均はどのくらい?
移植コーディネーターの年収は350万〜500万程度と言われています。ここに役職手当・地域手当・出張手当などの手当や、有給・昇給・福利厚生があります。
移植コーディネーター専従の場合と、他の医療業務と兼業の場合があるため、ポジションによって年収は異なるでしょう。
20代で推定25万円・30代で30万円程度と予測され、手取りで言うと17万円〜25万円くらいになりそうです。
移植コーディネーターの将来性は?
現在の日本では、移植件数が少ないためまだまだ発展途中と言えます。しかし、今後はアメリカのようにドナー数が増え、法整備が進むことによって、移植コーディネーターの増員が必要となるでしょう。
アメリカでは年間7,000人のドナー数がいます。比べて日本のドナー数は年間100人未満と著しく少ないため、まだまだ移植分野に関しては遅れていますが、将来的には増えると期待が高まっています。
全国の移植コーディネーターの人数と求人数は?
移植コーディネーターの人数は2021年時点では68人というとても少ない数でした。現在の人数が記載されている資料がないため詳細は不明ですが、現在も専業のコーディネーターは少ない状況です。
求人数の面に関しては、日本臓器移植ネットワークに応募するのですが、不定期開催で、募集人数も毎回2人程度なので狭き門と言えるでしょう。
都道府県の移植コーディネーターもいますが、求人数が少ないため、未経験・転職ともに難しいのが現状です。
移植コーディネーターに向いている人
臓器移植コーディネーターに向いている人は、コミュニケーション能力が高い人・優しい人・臓器移植の知識を学ぶ意欲がある人・タフな人です。
突然脳死になった人のご家族に対して、臓器提供の説明をするため、遺族にとって後悔しない選択ができるようにコミュニケーションを取らなければなりません。
そのためには、不安や悩みを共有し、安心して移植ができるように寄り添うことが大切です。移植の知識や法令を叩き込み、向上心を持たなければ続けられません。
さらに、移植の提供候補者が現れるタイミングは不定期です。不規則な勤務時間や、休日出勤も覚悟をしなければなりません。出張も多いのでタフさが必要です。
移植コーディネーターの大変なところは?
移植コーディネーターの大変なところは、臓器を提供する人のほとんどは交通事故などの突発的な死亡が多いことです。
遺族の悲しみが癒えぬまま移植の説明を冷静にしなければなりません。遺族に何を言われても動じない精神的な強さが必要です。
また、突発的なことが多いので夜間休日の呼び出しもあります。さらに場所も決まっている訳ではないため、ホテルに泊まることや県外に向かうことも多く、体力も必要です。
まとめ:移植コーディネーターは責任感のある仕事
移植コーディネーターは、ドナーとレシピエントをつなぐ責任のある仕事です。突然家族を失った人に移植の説明を行う事は想像以上に大変なことですが、移植コーディネーターがいるからこそ、移植が成り立っています。
移植は、治らない病気を救うために欠かせない医療行為なので、臓器提供の現場に携わる際には、精神的にも肉体的にもハードワークが続きます。しかしその分やりがいの大きい仕事と言えるでしょう。
医療職に就職し、移植コーディネーターになることが一番の近道ですので、まずは自分に合う医療職を見つけてみませんか?