「屋外でメダカを飼育してみたいけど何から始めたらいいかわからない」「メダカビオトープってどうやって作れば良いの」と感じてはいませんか?
生き物の飼育には、材料やビオトープの立ち上げ方・育て方を知ってから始めた方が安心しますよね?
そこで今回はメダカビオトープに必要なものや飼育方法を徹底解説していきます。この記事を読み終わる頃には、メダカビオトープ初心者でも始めたいなと思うようになりますよ!ぜひ最後までご覧ください。
(画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3704221)
メダカのビオトープとは?
ビオトープ(biotop)とは、ドイツ語で「生き物」を意味するビオ(bio)と「場所」を意味するトポス(topos)を合わせた造語で、生き物ができるだけ自然に生息できる場所を指します。
本来、環境保全や野生生物の保護を目的として使用されている言葉ですが、最近では、ベランダや玄関の小スペースで水辺の生き物を飼育することを指しています。
その中でもメダカの飼育は金魚や他の魚と比べ、ダントツで人気と言えるでしょう。
【メダカビオトープ】屋外での水草の役割5選
メダカビオトープになぜ水草を入れなければいけないのか分かりますか?おしゃれだから?酸素供給?いまいちよくわからないのではないでしょうか。
ここでは、観賞用としても楽しめる水草の重要な役割を5つ紹介します。
【屋外での水草の役割】
- 水を浄化する
- メダカの産卵床になる
- 日陰を作って水温の上昇を防ぐ
- メダカの隠れ家になる
- 酸素の供給をする
水を浄化する
メダカが排泄した糞や、餌の食べ残しを水中の微生物が分解します。ここで発生するのが有害物質のアンモニア。このアンモニアと呼ばれる成分が蓄積されることで、メダカは死んでしまいます。
水槽内に生息するバクテリアが、『アンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩』と被害を最小限に抑えてくれていますが、硝酸塩も無害ではありません。水草が硝酸塩を吸収することで水の浄化サイクルが生まれます。
浄化サイクルが完成すると水換え不要になるため、メンテナンスが楽になりますよ。
メダカの産卵床になる
水草はメダカの産卵床になります。お腹に卵をつけたメダカは水草に擦り付けながら産卵するため、水草が必須。
メダカが水草に産卵したら、水草ごと他の水槽に移すことで簡単に繁殖できます。
日陰を作って水温の上昇を防ぐ
屋外でメダカを飼う場合に気をつけることは水温の上昇です。小さなビオトープでは水温が上昇しやすく、メダカが弱ってしまいます。
遮光ネットやすだれでも対応はできますが、ホテイアオイなどの浮く水草を浮かべておくと、見栄えも良くメダカにとっても安心でしょう。
メダカの隠れ家になる
メダカ界にもいじめが存在します。小さいメダカが大きいメダカに追いかけられることもしばしば…。
さらに、生まれたばかりのメダカ(針子)が親メダカに食べられてしまうのも当たり前の光景です。悲劇を最小限に抑えるためにも、水草はあった方が良いですね!
酸素の供給をする
生き物にとって酸素の供給は必須です。川や用水路のように常に水の流れがあれば酸素を十分に供給できますが、池や睡蓮鉢ではそうはいきません。
水草は、二酸化炭素を吸収し酸素を排出する「光合成」という役割を持っています。水面からの酸素供給と同時に、水草からも取り込めるため晴れた日の日中はメダカも快適に過ごせるでしょう。
水草が多い場合は夜間に酸素を消費してしまうため注意が必要です。夜間にメダカが水面で口をパクパクしていたらエアレーションも考えてくださいね。
【メダカビオトープ】屋外飼育におすすめの水草3選
メダカビオトープに欠かせない水草ですが、実は何百種類も日本では販売されています。
今回はメダカを飼育する際に初心者でも簡単に育てられる水草を3つピックアップしましたのでぜひ参考にしてください。
【初心者におすすめの水草3選】
- アナカリス
- ホテイアオイ
- アマゾンフロッグビット
おすすめの水草① アナカリス
アナカリスは寒さに強く、冬を容易に越せる水草です。二酸化炭素や肥料を添加しなくても増殖できるため、初心者でも簡単に育てられます。
さらに、アナカリスは多くのペットショップで取り扱いがあり、値段もお手頃です。コストパフォーマンスが良いですが、水草だらけになってしまうため、適度にお手入れをしてあげましょう。
おすすめ水草② ホテイアオイ
南アメリカを原産地とする浮き袋の役目をしている水草です。青紫色の花が特徴的。
水質浄化と産卵床としてよく使用されますが、気温15度以下では生育できません。メダカの隠れ家や日除けとして使われます。
おすすめ水草③ アマゾンフロッグビット
日当たりのよい場所を好む水草で、蛍光灯でも育ちます。そのため屋内飼育でも使いやすい特徴があります。
水質の影響をあまり受けない水草のため、初心者の人でも扱いやすいでしょう。丸い葉っぱと小さなフォルムが人気です。隠れ家にもなるため、外敵からも身を守れます。
【メダカビオトープ】屋外飼育で必要な材料
メダカビオトープは睡蓮鉢やプランターで簡単に作ることができます。メダカの屋外飼育に必要な材料は以下の通りです。
【必要な材料】
- 容器(睡蓮鉢・プランターなど)
- 底床材
- 水
- 水草
- 生物(メダカ・タニシ・エビ等)
5つの材料をそろえるだけでメダカビオトープが作れるので初心者でも安心して始められます。巻貝やエビを一緒に飼うことで起こるメリットもあるので、次項の「屋外での水槽の立ち上げ方」で一緒に見ていきましょう。
【メダカビオトープ】屋外での水槽の立ち上げ方
メダカビオトープの材料がそろったら水槽の立ち上げを行いましょう。誤った立ち上げ方をするとメダカを弱らせてしまう可能性があるので注意しながら行います。
立ち上げの手順
メダカを投入するまでの一連の立ち上げ手順は以下の4ステップで完結します。
【立ち上げ手順】
- 容器の底に砂や石を敷き詰める。
- 水と水草を入れる
- 水がきれいになるのを待つ(1週間ほどおくと尚良い)
- メダカを入れる
床底材は赤玉土を使用するのがおすすめです。根張りが良く安く仕入れられるため初心者でも簡単にできます。また、水は水道水で構いません。
床材を敷き詰めた容器に水道水を注ぎ、好きな水草を植えましょう。赤玉土にそのまま植えても良いですが、鉢に植えた水草をそのまま沈めるとメンテナンスの時に楽ですよ。
浮草はそのまま入れてOKです!1週間ほどビオトープを放置するとカルキが抜けてバクテリアが繁殖し始めます。急いでカルキを抜きたい人はカルキ抜きの薬剤を使うと手間がかかりません。
最後にメダカがびっくりしない様に水合わせをしましょう。買ってきたメダカを袋から出さずにビオトープに入れます。水温が同じくらいになったら、メダカの袋を開けて容器の水を少しずつメダカの袋に入れてください。
メダカが水温とpHに慣れたら投入です。網ですくって容器の中に入れましょう。購入した袋の水は、病原菌がいる可能性もあるので入れない方が無難です。
ミナミヌマエビとタニシを入れよう
メダカと相性が良い生き物は「ミナミヌマエビ」と「タニシ」です。メダカよりも強い金魚やザリガニでは捕食されてしまいますので入れないでください。
ミナミヌマエビは、コケや残飯をお掃除してくれるため水質をきれいに保つことができます。
また、ほっといてもどんどん繁殖するためコストパフォーマンスが良いのも特徴です。メダカを襲うことがほとんどなく、初心者でも安心して育てられますよ。
「タニシ」もお掃除には打ってつけ。容器の壁面や床底のコケや残飯を処理するだけではなく水をろ過しながら水中のプランクトンを摂取するという方法で水を浄化します。
濾過フィルター装置がないビオトープではタニシの存在で水質をきれいに保つことができますよ。
【メダカビオトープ】屋外飼育のメリット
屋外飼育のメリットは、水換えや掃除をあまりしなくて済むことです。日光に当てることでバクテリアが増えてくるため、水換え不要なビオトープが出来上がります。
また、毎日餌をあげなくてもある程度はミジンコやボウフラなどの小さな生き物を食べることで成長できる点もメリットです。
室内飼育のように濾過フィルターや電気・毎日の餌を必要としないため、お手入れのしやすさも経済的にもメリットが大きいでしょう。
【メダカビオトープ】屋外飼育のデメリット
屋外飼育にはデメリットも存在します。まず、虫が寄ってきます。クモ・アブラムシ・ボウフラ・蚊など、水と植物がある以上覚悟が必要です。
苦手な虫だからとビオトープの近くで殺虫剤や蚊取り線香を使ってしまうとメダカも死んでしまうため注意してください。
また、カラスやスズメなどの捕食者が現れることも視野に入れておきましょう。すだれや金網などで覆っておくと襲撃されずに済みますよ。
【メダカビオトープ】屋外飼育の失敗と対策4選
メダカビオトープは、作るのは簡単ですが失敗する人も多くいます。なぜ失敗するのか・どんな対策をするべきかを紹介しているのでぜひ参考にしてくださいね。
【失敗と対策】
- 直射日光が当たりすぎて水温上昇
- 餌をあげすぎて水質悪化
- 容器に対してメダカが多すぎる
- 相性が悪い生き物を入れている
1 直射日光が当たりすぎて水温上昇
1つ目は直射日光が当たりすぎて水温が上昇してしまうパターンです。特にここ最近の夏の気温は異常なほどに暑いため、そのままビオトープを日が当たる場所に置いておくとすぐに水温上昇してしまいます。
ビオトープにすだれをかける・縁側の日陰部分に置くなどの工夫が必要です。
ただし、24時間日光が当たらない状況はメダカにとってはよくありません。できれば午前中の涼しい時間は日が当たり、午後の暑い時間は日陰になるような場所に設置できると良いですね。
2 餌をあげすぎ水質悪化
2つ目は、餌をあげすぎて水質を悪化させるパターンです。本来メダカの餌は1日2回2〜3分で食べ切れる量を与えます。
プランクトンが下に落ちた餌を分解してくれますが、その過程でアンモニアという有害物質を発生させ、メダカを死に追い込んでしまう可能性も。
ビオトープではプランクトンやボウフラなどの小さな虫が豊富にいるため、屋内飼育よりも気持ち少な目で問題ありません。
3 容器に対してメダカが多すぎる
容器に対してメダカの数が多いと酸欠や水質汚染につながります。水量1リットルに対して1匹が目安です。
メダカやエビが繁殖するとすぐに排泄物で汚れてしまいますし、酸欠にもなります。少ない水では水温の変動も激しいためあまり好ましくありません。少し余裕を持った大きさのビオトープを用意しておくと良いでしょう。
4 相性が悪い生き物を入れている
メダカと相性が悪い生き物を入れて死滅してしまったという例もあります。よくある組み合わせは金魚とメダカを一緒に飼育する例。金魚の方が強いため、メダカがいじめられてしまいます。
川魚やカエルなど、メダカを捕食してしまう生き物も一緒に飼わないようにしましょう。
【メダカビオトープ】よくある質問
メダカビオトープの作り方は分かったし、失敗談も聞いたけどそれでも色々わからない…そんな人のためによくある質問をピックアップしました。
【よくある質問】
- 水が少なくなってきた時は水道水でいいの?
- メダカが元気ない時の対処法は?
- 水が緑になってきた。交換は必要?
- 知らない貝がいる…どうしたらいいの?
水が少なくなってきた時は水道水でいいの?
雨が降ると良いのですが、何日も降らないと水が減ってしまいますよね。そんな時は1日以上汲み置きした水を足すかカルキ抜きをした水道水を使用しましょう。
メダカが元気ない時の対処法は?
メダカの体調が悪くなってすぐに水を変えたり薬浴塩浴をしてはいけません。まずはどんな症状が出ているのかよく観察してください。
白点病や尾ぐされ病になった場合は薬浴・塩浴をする、水面で水をパクパクしている時は酸欠気味のためエアレーションを導入してみるなど一つずつ対処していくと良いですよ。
水が緑になってきた。交換は必要?
ビオトープ内が植物性のプランクトンによって富栄養になってきた証拠です。栄養満点なのでそのままにして構いません。日当たりが良いと緑色になりやすいため、日陰で飼育すると改善されます。
緑色が嫌な場合は3日に1回程度水を半分入れ替えるとキレイに保つことができます。
知らない貝がいる…どうしたらいいの?
知らない貝のことをスネールと言います。水草を購入した際に卵がついているといつの間にか増殖していて見た目も気持ち悪いということになりかねません。見つけたら駆除しましょう。
余談ですが、よく飼育されるヒメタニシは抱卵するため、卵を産みつけることはありません。
【まとめ】メダカビオトープは水交換が不要
メダカビオトープは一度成功してしまえば水交換がいらないため、コストパフォーマンスの良い飼育環境が出来上がります。
容器・水草・底床材・メダカの4つはペットショップやホームセンター・ネット通販でも一式揃えることが可能で、価格もそこまで高くありません。
庭やベランダの一角に自然環境があるとちょっとした癒しになるでしょう。少しでもメダカビオトープにチャレンジしてみたい方はぜひはじめてみてくださいね。