初めて犬を飼うことになったとき、「しつけはいつから始めたらいいのだろう」や「しつけは何から始めたらいいのだろう」といった不安を抱える人も多いでしょう。
この記事では、しつけを始める時期とその理由、そしてしつけ内容に関しても、犬を迎えてすぐにするしつけと、その次の段階のしつけ、コマンド(合図)の3パターンに分けて解説しています。
この記事を読み終わると、きっと犬のしつけに対して感じていた不安が無くなりますよ。今現在そういった不安を抱えている人はぜひ最後まで読んでくださいね。
(アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%e5%ad%90%e7%8a%ac-%e7%8a%ac-%e3%83%9a%e3%83%83%e3%83%88-%e5%8b%95%e7%89%a9-3979350/)
犬のしつけはいつから始めるといいの?
犬のしつけを始める時期は、一般的には生後2か月から3か月の間が適しているとされています。また、家に迎えるとすぐにしつけを始めるのが望ましいですよ。
なぜなら、この時期は社会化期と呼ばれ、成長後の好みや愛着を形成しやすく、様々な刺激や場所にも慣らしやすい時期となるからです。
この社会化期を過ぎると、警戒心や恐怖心、自我の強まりが発生し、しつけに犬が素直に従わない可能性が出てきます。なるべく早めのしつけを心がけましょう。
【しつけの前にすること】飼育環境の見直す
犬にとって飼い主の家は新しい環境になります。そのため今までに見たことがないものがあれば、つい口に含んだり噛んだりしがちです。
危険なものを誤飲したり危険な場所に行ったりしないよう、飼育環境が適切か見直してみてください。
以下、飼育環境の改善例をまとめましたので、参考になれば幸いです。
- 危険な場所に訪れないよう、ゲートを設置する
- 誤飲したら危ないものは、犬の届かない高い場所へ置く
- 犬が噛まないよう、電気のコードにカバーを掛ける
【しつけの前にすること】ルールを作成し統一する
生活するのに決まった場所や入ってほしくない場所などがあれば、ルールにして決めましょう。人によってこのルールが異なっては犬が混乱するので、ルールは家族全員で統一してくださいね。
以下、ルールの例をまとめました。家庭の事情に合わせて、それそれのルールを作ってみてください。
- 犬のトイレや寝る場所を固定する
- キッチンへ犬が入らないようにする
また、ルールを作成する際は、犬が大きく成長した後のことを考慮したものにするよう注意しましょう。
例えば、「犬が成長すると寝室のベッドに飛び上がるかもしれないから、入らないようにしつけておこう」など、犬にしてほしくないことがあれば、具体的に想像してみてくださいね。
犬が成長した後にしつけることもできますが、既に自我が出来上がっている状態だとうまくしつけができない可能性もありますので、早めに考えておきましょう。
犬のしつけを行う上の心構え
犬のしつけを行うにあたり、叩いてりつけたり、マズル(犬の鼻)を押さえ続けたりといった体罰を行わないということを心掛けてください。
長らく「しつけを行う上で飼い主と犬とで主従関係を築くことが大切で、そのために体罰は容認しうる」という説が一般的でした。
しかし、現在では逆に体罰が犬に恐怖心や攻撃的な感情を生み出すため、問題行動を生み出しやすくなることが分かっています。
しつけには社会ルールを守ることだけでなく、災害時に犬が飼い主に従うことで命を守る意図もあります。うまくしつけをするためにも、体罰は行わないようにしましょうね。
【いつからしたらいい?】自宅に迎えてすぐに始めたいしつけ3点
「しつけ」と一言で表しても、トイレやら「まて」などの指示やら色々とあって、何から始めたら分かりませんよね。
以下にて犬を迎えてすぐに始めたいしつけを3点まとめましたので、犬が自宅に来たらまずはこの3つから進めていきましょう。
- 犬の名前を覚えさせる
- アイコンタクト
- トイレトレーニング
犬の名前を覚えさせる
まずは犬の名前を決めて呼んであげましょう。「ちゃん」付けなどをする場合は、前述したルールと同じく家族で統一することで名前を覚えやすくなりますよ。
また、名前に反応して近寄ってきたら褒めてあげましょう。自分の名前にいいイメージを持ってもらうことが大切になります。
逆に、名前を大声で呼びながら叱ると、「名前=叱るときの合図」と悪いイメージを持たれることになるので止めておきましょう。
アイコンタクト
アイコンタクトは犬とコミュニケーションを取る上で重要になります。前述の名前を覚えさせることと同時に、名前を呼ばれたら飼い主を見るようにしつけましょう。
はっきりとした声で一度だけ犬の名前を呼んでみて、飼い主を見て近寄ってきたら褒めてあげてくださいね。難しい場合はおかしなどのご褒美を用意してもいいですよ。
トイレトレーニング
トイレ以外の場所で犬がおしっこをしてしまうと、その匂いに誘われて同じ場所で再びおしっこをしてしまうことがあります。
犬を迎え入れる初日に、あらかじめ決めておいたトイレの場所に連れていくことにしましょう。そこでおしっこができたら褒めてあげることで、次からもトイレでおしっこしてもらいやすくなりますよ。
すぐにおしっこできなくても、寝起きやご飯の後などにトイレに連れて行き、トレーニングはおしっこが完了するまで続けてくださいね。以下にて犬がおしっこをしたいときの仕草をまとめています。
- 床の匂いを嗅ぐ
- 落ち着きが無くなり、そわそわする
- しゃがんだり、ぐるぐる回ったりする
また、前述した名前を呼ぶときと同様、トイレに失敗した時も叱ってはいけません。おしっこに悪いイメージが付き、おしっこを我慢したり隠れておしっこしたりするようになりますよ。
トレーニング期間の目安は2週間から3週間ほどになります。前述のアイコンタクトが取れていれば、トイレがまだ失敗していても、次の項目でまとめた新しいの段階のしつけと並行して行いましょう。
【いつからしたらいい?】日常生活する上で必要となるしつけ5点
飼い主とアイコンタクトが取れる段階になりましたら、新しい段階のしつけへステップアップしましょう。
この段階の目安としては犬を自宅に迎えて2週間から3週間後ですが、まだアイコンタクトが取れていない場合は、焦らずにその練習を続けてみてくださいね。
以下にて、日常生活する上で必要となるしつけを5点まとめました。どれも犬が人間社会で生きていくために必要なものとなっているので、ぜひ読んでみてくださいね。
- ボディコントロール
- 甘噛みの抑制
- 歯磨き、ブラッシング
- 社会化教育
- 散歩の練習
ボディコントロール
ボディコントロールとは、犬が体のどこを触られても嫌がらずに大人しくしている状態にすることをいいます。
まずは頭や背中など、触っても嫌がらない場所を撫でて、大人しくしているようであれば褒めてあげましょう。
頭や背中に慣れてきたら、次は耳→足先→マズル(鼻)→腰→尻尾の順番で撫でていきます。敏感な部分になるので、急に触れたりせずに少しずつ近づけて触るように心がけてくださいね。
どの場所も慣れてきたら、今度は寝そべっているときに撫でたり、触る強さを変えてみたりしてみて、どのような状態で触っても大人しくなるように触れていきましょう。
甘噛みの抑制
子犬は何でも口の中に入れて噛んでしまうものです。しかし、甘噛みされることに慣れていない他人に噛みついてしまっては大きな問題につながりますよね。
もし飼い主に甘噛みをしたら、低い声で「ダメ」「ノー」といった短い言葉を使い、飼い主が望まない行動だと認識させましょう。
歯がむずがゆくて甘噛みをしている場合は、噛んでもいいおもちゃを与えて発散させることも有効です。
また、噛まれて傷つけられたくないものがあれば、子犬には触れられない場所へ移動しましょう。これは誤飲を防ぐことにも役立ちますよ。
歯磨き、ブラッシング
歯磨きやブラッシングは、健康な歯や被毛を守るために必要で、疎かにすると犬が病気になりかねません。
歯磨きは初めは口元に触れることに慣れさせることから始め、徐々に指や歯ブラシを入れることに慣れさせましょう。
ブラッシングは、最初は短時間から始め、手で撫でている間に少しだけブラシを当てる程度にします。慣れてきたらブラシを当てる場所や時間を増やしていきましょう。
社会化教育
社会化教育とは社会化期(生後2か月から3か月の間)にした方が身に付きやすいしつけで、社会性を身に着ける教育となります。
まずは、インターフォンや掃除機の音など生活音に慣らしていくことから始めます。ベランダや庭に出て音を聞かせることもいいですよ。もし怖がれば、おやつをあげるなどして音にいい印象を持たせましょう。
生活音に慣れたら、外に出て車の音や他の動物の鳴き声などにも慣らします。犬用ワクチンの接種前であれば、地面に降ろさずに抱っこした状態で聞かせてくださいね。
その他、ライフスタイルによって経験して慣れさせた方がいいものがあれば体験させましょう。以下にてよくある事例をまとめていますにで、参考になれば幸いです。
- 獣医師やトリマーに触ってもらう
- 病院やトリミングのサービスを受ける
- 車や電車、バスに乗る
散歩の練習
散歩の練習は、リードを付けて家の中や庭を歩かせることから始めましょう。犬がリードを引っ張ると立ち止まり、飼い主の横に戻ったらまた歩きだせるという学習をさせます。
練習場所は、犬用ワクチンの接種前は必ず家の中で練習しましょう。また家の中で慣れてきたら、家の周りを歩く程度で徐々に環境に慣れさせてくださいね。
また、実際に散歩をすると帰宅後に足を拭く必要がありますが、慣れないと嫌がることがあります。お散歩デビューする前に、おやつをあげてもいいので足を拭くことにも慣れさせましょう。
外に出て散歩する場合は、次の項目にまとめたコマンド(合図)を犬に覚えさせていると、犬が勝手に遠くへ行く等のトラブルを防ぎやすくなりますよ。
【いつからしたらいい?】コマンドを覚えさせるしつけ7点
犬のしつけには、「おすわり」や「まて」といったコマンド(合図)があります。このコマンドはアイコンタクトが取れる段階でしつけることができますが、まずは前述の社会化教育を優先しましょう。
なぜなら、社会化教育での経験を吸収するのに一番適した時期は生後2か月から3か月の間で、すぐに終わってしまうからです。
犬を外に連れ出す場合は、社会化教育と同時に前述のボディコントロールや甘噛みの抑制等をしつけし、ある程度余裕ができた段階でコマンドを覚えさせましょう。
下記にて、よく使用するコマンド7点を記載しました。自宅内でも外出中でも役に立つものばかりなので、一つ一つ確認しておきましょう。
- ハウス
- ダメ、ノー
- おすわり
- ふせ
- おいで
- まて
- よし
ハウス
ハウスは犬にいてほしい場所を教え、犬に「この場所(クレート)は安全だ」と思わせるためのコマンドです。トレーニングの手順は以下の通りになります。
- クレートのドアを開ける
- クレートの中におやつを入れる
- クレートの中に入れば、「ハウス」と声を掛ける
- 扉を閉める(犬が動じなければ滞在時間を延ばす)
クレートの扉を閉める際は、いきなり閉めると犬が怖がってしまいます。また、勝手に扉が閉まってもクレートに嫌な印象を持たれるので、勝手に閉まらないよう最初は扉を固定しておきましょう。
また、犬用の部屋としてケージやサークルを使う場合も、ハウストレーニングの方法は同様ですよ。
ダメ、ノー
前述の「甘噛みの抑制」の項目でも触れましたが、「ダメ」や「ノー」は犬の行動を止めたいときに使うコマンドです。低い声で短く一言で言いましょう。
主に叱るときに使いますが、このとき犬の名前と同時に言わないように注意する必要があります。前述しましたが、叱るときに名前を呼ばれると、犬は自分の名前自体に悪印象を抱いてしまいますよ。
おすわり
「おすわり」はお尻を地面に付けた姿勢のことで、コマンドを呼び掛けてこの姿勢を取ることができたら、おやつをあげてほめてあげましょう。
滑りやすいフローリングの上でする場合や、足裏の毛が長い犬がする場合は、股が開く様に滑ってしまうことがあるので、滑りにくいマットを下に敷くなど気を付けてくださいね。
ふせ
「ふせ」は後ろ足、胸、肘が地面に付いた姿勢のことで、前述の「おすわり」と同様、この姿勢を取ることができたら、おやつをあげてほめてあげましょう。
犬によっては地面にお腹を付けることを嫌がる場合もあるので、下にマットを敷くなどして環境を整えてみてくださいね。
おいで
いわゆる呼び戻しで、遠くにいる飼い主が「おいで」と呼びかけることで、犬に飼い主の元へ来てもらうしつけになります。ご飯やお風呂の時に呼び掛け、来たら褒めてあげましょう。
このコマンドは、外出時に犬が逃走した場合や災害の場合など、危険を回避して犬の安全を守る必要があるときに役立ちます。
まて
「まて」は犬の自制心を強め、集中力を高めることができるしつけです。「まて」ができるとトラブルを起こしにくくなり、また前述の「おいで」と同様、犬の危険を回避して安全を守ることができます。
しつけの方法は、前述の「おすわり」をさせた後、「まて」と言って手のひらを犬に見せます。しばらくその姿勢を維持出来たら、後述の「よし」のコマンドを送り、姿勢を解除させた後に褒めてあげましょう。
よし
前述の「まて」の項目でも記載しましたが、「よし」のコマンドは「おすわり」や「ふせ」、「まて」の待たせている状態から、その姿勢を解除させるコマンドとなります。
しつけは、「おすわり」のしつけと同時に行い、姿勢を解除させたいときに合図を送るといいでしょう。
犬をしつけるときに気を付けるポイント4点
ここまでしつけの内容について書きましたが、しつける時に誤った方法を取ってしまうと、しつけに失敗してしまいます。
上手にしつけるために気を付けるポイントを4点にまとめたので、以下を読んだうえでしつけをしてみましょう。
- 焦らず愛情をもって行う
- 失敗しても厳しく怒らない
- しつけは1~3分で終わらせる
- 指示語は統一する
焦らず愛情をもって行う
子犬の間に教えたほうがいいしつけも色々とあり、早めにしつけをしなければと焦ってしまうこともあるでしょう。
しかし、飼い主と犬が信頼関係を築けていなければ、犬がしつけを聞いてくれなくなります。まずは、犬に負担が掛からず安心して過ごせるように愛情深く接し、無理なくしつけていきましょう。
失敗しても厳しく怒らない
犬が失敗してしまうと、飼い主の負担が増えて、ついイライラしてしまうこともあるでしょう。
しかし、叱る際に怒鳴ったり叩いたりすることは虐待なので、絶対にしてはいけません。最低限のしつけで済ませて、別の方法で解決できないか模索してみましょう。
しつけは1~3分で終わらせる
1回のしつけに時間が掛かり過ぎると、犬にストレスを与え、うまくしつけを聞いてもらえません。
1回1回はサクッと短く終わらせて、失敗したら時間や日を空けてから再度挑戦するくらいの心持ちでいましょう。
指示語(コマンド)は統一する
指示をする際は、言葉を統一しましょう。家族で犬を飼う場合は、家族全員で指示語を統一する必要があります。
例えば、「ハウス」というコマンドですが、「お家」や「クレート」といった言葉を使ってしまうと、犬が混乱して指示が伝わらない可能性がありますよ。
しつけがうまくいかないときは?
実際にしつけてみて、「犬が言うことを聞いてくれない」ということもあるかもしれません。その場合は犬の能力等が原因でなく、飼い主の接し方が原因となっている可能性もあります。
例えば、つい犬を甘やかして我儘を許してしまったり、前述したように指示語が毎回違うことで犬が混乱してしまったり、そういった飼い主が原因のことがないか見つめ直してみましょう。
また、一人や一家族ではしつけが難しい場合は、専門のトレーナーや獣医師にしつけを依頼したり、しつけ教室でしつけを習ったりすることもできます。一人だけで悩みを抱え込む必要はありませんよ。
いつから犬のしつけを始める?まとめ
犬のしつけは、生後2か月から3か月の間に始めるのが理想的で、また家に迎えてすぐにしつけをしましょう。
まずは、犬の名前を覚えさせたり、アイコンタクトを取れるようにしたりした後に、犬の社会性を高める社会科教育を優先し、それから「おすわり」や「まて」等を覚えさせましょう。
どうしてもしつけがうまくいかないときは、しつけ依頼やしつけ教室も活用できるので、気負い過ぎなくても大丈夫ですよ。まずは自分のペースで犬のしつけを始めてみましょう。