「愛犬がなかなか待てを覚えてくれなくて、つい大声で叱ってしまう。別に待てを覚えてなくても困らないし、諦めようかな…」と頭を抱えてはいませんか?
愛犬のしつけに心底困り果てている飼い主さん、少し待ってください。「待て」は犬にとって、身の安全を守るための大切な芸です。
「待て」を覚えさせることで、散歩中の急な飛び出しや通行人への飛びつきなどを防ぐことができます。
この記事では、犬に「待て」を教える方法やコツを解説しています。大切な愛犬を守るためにも、しっかりとしつけてあげましょう。
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あなたが愛犬に「待て」をしつけるべき理由
突然ですが、あなたはなぜ犬に「待て」を覚えてほしいのでしょうか。
「ただ基本のしつけだから」「みんな覚えさせているから」という方は、なぜ犬に「待て」が必要なのか、確認しておきましょう。
最初にも少し触れた通り、「待て」は犬にとって「身を守る芸」です。
犬は衝動的な生き物です。興味を引かれれば急に車道に飛び出してしまうかもしれません。
通行人や見知らぬ犬、野良猫をみるやいなや追いかけようとするかもしれません。そんな状況で、あなたの犬が怪我をしない保証があるでしょうか。
危険行動から犬を守れる芸が「待て」であり、「待て」を教えてあげられるのは飼い主のあなただけなのです。
愛犬に「待て」をしつけるときの注意点
犬に「待て」のしつけを始める前に、注意点を把握しておきましょう。犬と飼い主がお互いに楽めるように、あらかじめ知っておくべき内容です。
- ご褒美のおやつはカロリーが少なく小さいものにする
- 芸の「指示語」は家族で統一する
- 食事前の「待て」はやっていはいけない
注意点その1【ご褒美のおやつはカロリーが少なく小さいものにする】
まずは「待て」を教える際にあげるご褒美のおやつですが、おやつはカロリーが少なくて小さいものを与えましょう。
犬にカロリーが高く大きいおやつを与え続けてしまうと、犬の食べすぎに繋がってしまいます。
犬は食べすぎると嘔吐や下痢などの体調不良を起こしてしまう可能性があるので、注意が必要です。
また犬がおやつを食べすぎて満腹になってしまうと、「待て」をしつける際におやつで犬の気を引くことが難しくなってしまうでしょう。
注意点その2【芸の 「指示語」は家族で統一する】
家族で犬を飼育している場合は、家族全員の「指示語」を統一しましょう。
一方が「待て」と指示し、一方が「ステイ」と指示するような状態は、犬を混乱させてしまいます。
さらに、犬の集中力は5分〜15分と言われており、長時間のしつけは犬にストレスを与え、しつけ自体を嫌いになってしまう可能性があります。適度に休ませてあげましょう。
注意点その3【食事前の「待て」はやっていはいけない】
食事前の「待て」は犬の早食いに繋がってしまうため、絶対にやめましょう。食事前の「待て」は犬にとって「待て」ではなくただの「おあずけ」なのです。
「おあずけ」された犬は、食べたい気持ちが高まって「よし」がでると一気にごはんを食べてしまいます。
ごはんを一気に食べる癖がつくと早食いしてしまうようになります。早食いが犬に及ぼすリスクは以下の通りです。
- エサの丸のみによる窒息、誤嚥性肺炎
- エサを一気に胃に詰めたことによる胃拡張
- エサを飲み込むことで、満腹感を得られず食べすぎることによる肥満
すべて犬の命に危険を及ぼす恐ろしい症状です。せっかく犬の身を守るために覚えさせた芸なのですから、犬の負担にならない使い方をしてくださいね。
愛犬に「待て」をしつけるときのコツ
続いて犬に「待て」を教える際のコツを把握しておきましょう。犬を褒めるときは高い声で褒め、めいっぱいなでてあげてください。
犬に「よくできたね!」という気持ちを大袈裟なぐらい全力で伝えるのです。ご褒美に一緒に遊ぶのも効果的でしょう。
また、犬をしつける環境は、慣れた環境である家から始めてください。家の中でも特に静かで、おもちゃや他の家族などの誘惑が無いところがおすすめです。
愛犬に「動かなければご褒美が貰える」と教えよう!
犬に「待て」を教えるコツと注意点をお分かりいただけたところで、早速「待て」の教え方の解説をしていきます。
最初は犬に「動かなければご褒美(おやつ)が貰える」と認識してもらうところから始めましょう。
最初から「待て」と指示するのはやめてください。意味が分からないうちから「待て」と連発されても、犬にとってはストレスでしかありません。
まずは犬が10秒間動かないでいられる状態を目指しましょう。
愛犬に「待て」をしつけよう!教え方の解説
では、具体的な「待て」の教え方に進みます。犬が動いてしまっても、叱らず根気よくトレーニングをしましょう。
- 犬に「おすわり」の指示を出す
- 犬が床からお尻を離す前に、「よし」と声をかけてから褒めてご褒美をあげる
- 1~2を犬が10秒間動かないで居られるまで繰り返す
- 「おすわり」と指示して座らせてから「待て」と指示する
- 10秒間動かないでいられたら、「よし」と声をかけてから褒めてご褒美をあげる
- 4~5を繰り返して1分間「待て」ができるようにする
犬が「待て」をしていられる時間が長くなってきたら、ステップアップとして犬から距離を取ってみましょう。
離れた場所から指示しても愛犬が「待て」をできるようにしつけよう!
犬が飼い主から離れた位置で「待て」の指示を受けても、犬が「待て」をできるようにしつけます。
犬が危険行動をとったとき、飼い主が近くにいるとは限りません。どのような状況下でも犬を守れるように、しっかりしつけておきましょう。
基本的には、通常の「待て」と教え方は変わりません。犬に「おすわり」をさせている間に、飼い主は犬から距離をとるようにします。
- 犬に「おすわり」の指示を出して座らせてから「待て」と指示する
- 飼い主は半歩後ろに下がり、すぐに元の位置に戻る
- 2の間、犬が動かないでいられたらご褒美をあげる
- 「よし」と声をかけてから褒め、ご褒美をあげて終了
手順2「飼い主は半歩後ろに下がり、すぐに元の位置に戻る」で犬が動いてしまう場合は、かかとを上げるだけで留めます。
犬の様子を見て、2「飼い主は半歩後ろに下がり、すぐに元の位置に戻る」で後ろに下がる距離を2歩、3歩、4歩と伸ばしていきましょう。
後ろに下がる距離を伸ばしていくことで、犬がより離れた距離からでも「待て」の指示を聞けるようになります。
犬から距離をとるときは、後ろだけではなく前後左右に動いてみるのも良いトレーニングになるでしょう。
落ち着いて「待て」ができない愛犬への対処法
よだれや後ずさりなど、ようやく「待て」ができるようになったはずなのに「待て」の最中にソワソワしてしまう犬にお困りの方もいると思います。
また「待て」の最中に飼い主のあなたに向かって犬が吠えてくる場合もあるでしょう。「待て」の最中に犬がソワソワしたり吠えたりするのは、ご褒美のおやつに対する興味と興奮が抑えられないことが原因です。
犬は一見「待て」ができているように見えますが、実際は辛抱しきれていないのです。再度改めて、動かないでいられるようにするトレーニングをしましょう。
犬が「待て」の最中に動いてしまう場合は、ご褒美のおやつのランクを下げるか「待て」が成功するまでおやつを見せないという対応をとります。
「待て」の最中に飼い主に向かって吠える犬は、芸が成功すればおやつが貰えると理解できれば吠えなくなりますので「待て」のトレーニングを続けていきましょう。
どんな環境でも愛犬が「待て」をできるようにしつけよう!
家の中のいつもトレーニングを行っている部屋で犬が「待て」をマスターしたら、少しずつ環境や状況を変化させて、どんな環境でも「待て」ができるようにしていきましょう。
同じ家でも別の部屋でトレーニングを行ったり、家族と一緒に住んでいる方はいつもと違う人に指示してもらったりと、少しずつ変化を加えます。
犬が家の中での「待て」をマスターしたなら、今度は外での「待て」に挑戦です。
「玄関の前から近所の歩道」「いつも遊んでいる公園が見える道」という具合に、少しづつ誘惑が強い環境に挑戦していきます。
屋外のあらゆる場所で「待て」ができるようになれば、犬は完璧に「待て」をマスターしたと言えるでしょう。
芸はいつから教えていいの?
初めての犬の飼育で、いつから芸を教えていいのか分からない方もいると思います。犬も人間と同じで、若いときのほうが物覚えが良いです。
芸を教え始めるなら子犬のときが理想的ですが、子犬は芸以上に社会性を育むことや人間に身体を触られることに慣れるトレーニングのほうが重要です。
芸以上に大切なトレーニングがあることを踏まえた上で「適切なタイミングはいつか」というと、迎えた子犬が十分家でリラックスできるようになったときだと言えます。
また成犬を迎えた場合は子犬以上に家に慣れにくいので、焦らず時を見計らってください。
【まとめ】愛犬を守るために「待て」をしつけよう!
ここまで犬に「待て」を教える方法について解説してきました。犬にとって「待て」は身の安全を守るための重要な芸です。
犬自身の危険行動の抑制のほか、通行人や他の犬に危害を加えてしまう可能性も抑えることができます。
犬は賢く、正確に飼い主の言葉を理解します。諦めずに根気強くしつけを行ってくださいね。
- 名前:増川美和
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