Wi-Fiの周波数で5GHzの存在を知った時「ん?」と思った方はたくさんいるはずです。それは2.4GHzがいろんな機器で使われるのに対し、5GHzはWi-Fiルーターでしかほとんど目にしないからです。
本記事では、5GHzの通信上でのメリット、デメリット、使いどきについて、2.4GHzと比較しながら2つの周波数帯の特徴を分かりやすく説明していきます。
あなたのWi-Fiの5GHzって何?っていうモヤモヤが解消されれば幸いです。
(画像出典:https://pixabay.com/ja/illustrations/%E5%86%99%E7%9C%9F%E5%AE%B6-%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA-%E7%84%A1%E7%B7%9Alan-1927657/)
Wi-Fiの2.4GHzと5GHzって?
Wi-Fi(無線LAN)にはIEEE 802.11という通信規格があり、その通信規格で使用されている周波数帯が2.4GHzと5GHzということになります。
ここでは通信規格と最高通信速度、使用できる周波数帯の関係は紹介しますね。
世代 | Wi-Fi(無線LAN)規格 | 最大通信速度 | 周波数帯 |
第6世代(2019年)
Wi-Fi6 |
IEEE 802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz/5GHz |
第5世代(2013年)
Wi-Fi5 |
IEEE 802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz |
第4世代(2009年)
Wi-Fi4 |
IEEE 802.11n | 600Mbps | 2.4GHz/5GHz |
第3世代(2003年) | IEEE 802.11g | 54Mbps | 2.4GHz |
第2世代(1999年) | IEEE 802.11a | 54Mbps | 5GHz |
IEEE 802.11b | 11Mbps | 2.4GHz | |
第1世代(1997年) | IEEE 802.11 | 2Mbps | 2.4GHz |
規格によっては一方の周波数帯しか対応しておらず、使い分けができないものもありますね。そんな中やはり、通信速度も圧倒的で両方の周波数帯に対応している最新のWi-Fi6がベストですね。
Wi-Fiの2.4GHzと5GHzの特徴(メリットとデメリット)
Wi-Fiの周波数帯(2.4GHz・5GHz)のメリットとデメリットを以下の表より確認しましょう。表の下で補足説明していますので不明点がありましたら確認してみてください。
2.4GHz | 5GHz | |
メリット | ・5GHzよりも電波が遠くまで届きやすい
・5GHzよりも障害物に強く、電波が広範囲で使える ・Wi-Fiが使える機器のほとんどが2.4GHz帯に対応している |
・Wi-Fi専用の周波数帯であるため、他の機器で電波干渉が起きにくい
・2.4GHzよりも通信速度が速い |
デメリット | ・様々な機器で対応している周波数帯のため、電波干渉が起きやすい | ・2.4GHzよりも障害物に弱く、電波は広範囲で使えない
・Wi-Fiが使える機器でも5GHzに対応していないものもある |
2.4GHzの方が壁も突き抜けて広範囲で伝わるため「しぶとい」印象を受けますね。一方で5GHzは狭範囲で速度に特化しているため、必殺仕事人のような「一瞬」といった印象を受けました。
イメージがあると覚えやすいですよね。イメージをもっと膨らませるために、周波数の違いが及ぼす影響、電波干渉が起きる理由について説明しますね。
- 周波数の違いがもたらす影響
- 電波干渉の理由と影響
周波数の違いがもたらす影響
周波数とは1秒間に波が振動する回数のことを言います。Wi-Fiの周波数帯の場合は、1秒間で24億回振動する波と1秒間で50億回振動する波ということになります。
つまりWi-Fiでは、2.4GHzの方が5GHzよりも緩やかな波であるため、1秒間で伝えれる情報は少ないですが(通信速度が遅い)、波長が長いため電波距離が長くなる(広範囲に届く)特性があります。
電波干渉の理由と影響
2.4GHzの周波数は、Wi-Fi以外にも家電など様々な機器で使われています。同じ周波数帯の電波が重なると、情報の波が干渉し合い、通信が不安定になったり、速度が低下することがあります。
Wi-Fiの2.4GHzと5GHzはどちらを使うべき?
先で説明した通り、2.4GHzと5GHzにはそれぞれメリットとデメリットがあるため、利用する環境を踏まえた上でメリットを引き出せる周波数帯を選択すると良いでしょう。
Wi-Fiルーターの設置場所と実際にWi-Fiを利用する部屋の間に壁などの障害物がある場合は、障害物に強い2.4GHzの方が安定し速度も速いということもあります。
アパートやマンションの場合は、家の中の家電だけでなく隣の部屋からの電波の影響も受ける可能性があるため、Wi-Fi専用の周波数帯である5GHzの方が安定した速い通信が期待できるでしょう。
環境を考えて行動しよう!とは言いましたが、まずは通信速度が速い5GHzに接続してみて、不安定だったり遅い場合は2.4GHzを試してみるのが良いでしょう。
Wi-Fiの通信規格を選ぶ時のポイント
周波数帯の使い分けだけでなく、Wi-Fiの通信規格についても選ぶポイントがあれば知っておきたいですよね。
以下より、Wi-Fiの通信規格を選ぶ時のポイントについて説明していますので、Wi-FiルーターやWi-Fiに接続する機器を購入する際に確認してみてください。
- Wi-Fiルーターと使用機器のつながりを確認する
- 電波干渉を避ける
Wi-Fiルーターと使用機器のつながりを確認する
Wi-Fiルーターや、使用したい機器(携帯・ゲーム機など)によって対応可能なWi-Fiの規格は異なります。
Wi-Fiルーターが高速なWi-Fi規格に対応していても、使用する機器が対応していない場合もあるので、Wi-Fiルーターと使用機器の仕様をよく確認しましょう。
電波干渉を避ける
パソコンを使用しながら電子レンジを使うと、まれに通信速度が落ちたり、不安定になることがあります。先述した通り、複数機器での2.4GHz利用による電波干渉が原因です。
電波干渉を避けるためには、5GHzに対応しているWi-Fi規格のルーターや機器を選び、更に中継機を準備できれば、安定して5GHzの周波数帯を利用することができるでしょう。
Wi-Fi周波数帯(2.4GHz・5GHz)の切り替え
ここまでくると2.4GHzと5GHzを切り替えて自分の環境に合った周波数を見つけたくなりませんか?とはいえ、どれが2.4GHz、5GHzのWi-FiIDなのか分からない方も多いのではないでしょうか。
安心してください、すごく簡単に見分けれますよ。周波数帯の区別はアルファベットに注目です。”G”が「じーっとしぶとい」2.4GHz帯、”A”が「あっと速い」5GHz帯です。
Buffalo製のWi-Fiルーターの場合、スマホに表示されてるWi-Fiの接続先一覧に「Buffalo-G-XXXX」と「Buffalo-A-XXXX」が表示されますので確認してみましょう。
ちなみに2.4GHzと5GHzに対応している通信規格は、IEEE 802.11axとIEEE 802.11nだけなので、Wi-Fiルーターを購入する際は仕様確認を忘れずに!
Wi-Fi周波数帯(2.4GHz・5GHz)を切り替えても遅い場合の対処法
Wi-Fiの周波数帯を切り替えるだけで通信速度や安定性が変わらないことは多くあります。そんな時は、お使いのWi-Fiルーターからインターネットまでの光回線サービスや接続方式などを疑いましょう。
フレッツ光や光コラボといった多くの人が利用しているサービスを契約されている場合、通信混雑を避けるために独自回線で利用者の少ないNURO光やauひかりへの変更を検討してみましょう。
また接続方式については、確実に混雑する接続方式(IPv4のPPPoE接続)を使用している人は、インターネットまで最短ルートの接続方式(IPv6のIPoE接続)に変更してみるのがオススメです。
【たまにある質問】Wi-Fiの周波数帯(2.4GHz・5GHz)
ここまででWi-Fiの周波数帯についての基本的な内容はお分かりいただけたと思います。ですがWi-Fiの周波数帯など、少し難しい分野になれば分からないことは山ほどでてきます。
ここでは少し踏み込んだ「たまにある質問」を2つ紹介しますので、Wi-Fiルーターや接続機器を購入される際に参考にしてみてください。
- Wi-Fiの設定で5GHzの中に屋内、屋外とありますが違いはなんですか?
- Wi-Fiの規格で速度を決めるストリーム数(例:4×4)とはなんですか?
Wi-Fiの設定で5GHzの中に屋内、屋外とありますが違いはなんですか?
5GHzは屋外用と屋内用の2つがあります。一部のWiMAXルーター(モバイルWi-Fiルーター)では屋外用に対応しています。
5GHzは気象衛星やGPS衛星などのインフラとして重要な設備で使用されており、屋内用の5GHz帯を屋外で無線使用すると電波干渉が起き、公共サービスに悪影響を与える可能性があります。
外出する際は必ず利用モードの切り替えを確認しておきましょう。
Wi-Fiの規格でよく見るストリーム数(例:4×4)とはなんですか?
ストリーム数はその機器に搭載されているアンテナの本数で、ストリーム数が多いほど通信速度の高速化が期待できます。
Wi-Fiルーターには「4×4」や「3×3」などの数字が書かれており、送信アンテナ数が4本、受信アンテナ数が4本搭載されていることを表しています。
そもそも2.4GHzと5GHzを気にしなくていいものもある
ここまでWi-Fi周波数の2.4GHzと5GHzについて、メリット、デメリットがそれぞれにあり、環境に合わせて使うのがいいんだよ、と説明してきました。
2.4GHzとか5GHzとか屋内とか屋外とか、環境に合わせて考えながら切り替えて使用するのは少し面倒くさいですよね。
実はWiMAXのホームルーターであれば、2.4GHzと5.GHzを自動で切り替えてくれるハンドステアリング機能があるんです。
ハンドステアリング機能によって、環境に合わせて自動的に最適化させることができ、速度改善にもつながるので、ホームルーターを考えている方にはオススメです。
新しいWi-Fi規格(IEEE 802.11ax)について
最新Wi-Fi規格のIEEE802.11ax は2.4GHzと5GHzに対応しており、最高速度は一つ前世代のIEEE802.11ac の1.4倍、通常速度はなんと4倍以上と言われるほどの優れものです。
IEEE 802.11ax は安定した高速通信を実現していて、Wi-Fiルーターの買い換えを検討している方は確認しておきましょう。
iPhone11ではIEEE 802.11ax に対応していますが、新しい規格ということで、対応しているWi-Fiルーターは比較的値段が高く、対応している機器も多くないので注意しましょう。
【まとめ】Wi-Fi周波数2.4GHzと5GHzについて
ここまで読めばWi-Fiの周波数帯2.4GHzと5GHzのメリット、デメリット、使い分けについては理解できたのではないでしょうか?
さいごにWi-Fiの周波数帯2.4GHzと5GHzについて、3つのポイントを本記事のまとめとして紹介しますね。
- 2.4GHzは障害物に強く、通信速度は5GHzより遅い
- 5GHzは障害物に弱く、通信速度が速い
- 電波干渉は2.4GHzの方が起きやすい
最後まで読んでいただきありがとうございました。あなたのWi-Fiの5GHzって何?っていうモヤモヤが解消されたなら幸いです。