世間では月々のスマホ代が安くなる「格安SIM」を利用する方が増えていますが、格安SIMとは何で、どのような仕組みで安くなっているのかご存知でしょうか?
政府が携帯電話料金に注文を付けたり、ドコモの新しい料金プランが発表されて話題を呼んだりと、何かと話題に上る携帯電話。
格安なの? どんな仕組みなの? スマートフォンに詳しくなくても使えるの? と、興味を持った方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「格安SIM」とは何か、どのようなもので、どうすれば使えるのか。基礎の基礎から見ていきたいと思います。
(画像出典:https://www.pakutaso.com/20160352074sim-3.html)
「格安SIM」とは?
格安SIMとは、格安で契約できる通信会社との契約で用いるSIMカードのこと、または契約そのものを指しています。では、そもそもSIMカードとは何なのでしょう。
SIMカードとは、スマートフォンに取り付けられた、スマートフォンや契約の情報を記録する部品のことです。スマートフォンに取り付けられる小さな金属片のような部品がSIMカードです。
SIMカードには情報が記録されています。SIMカードに記録されている情報とは、電話番号であったり、スマートフォンを特定するための暗号情報が記録されています。
SIMカードがスマートフォンの情報を保有してくれるおかげで、我々はスマートフォンで便利に電話をしたり、Webページを見たりできているのです。
「格安SIM」という言葉の使われ方とは
「格安SIM」という言葉は、格安通信業者が展開するサービス自体(SIMカードの購入を含む)を指すことが多いです。
どこかの通信会社とスマートフォン利用のための契約を結ぶと、まずはSIMカードが送られてきて設定をするということをします。(そうでない場合もあります。)
つまり、格安通信業者と契約をすると、その格安の契約のためのSIMカードが送られてきて設定するということが多いです。
なので、SIMカード自体の値段に加えて、格安の料金体系を持つ通信会社のSIMカードを使うことも含めて「格安SIMにする」と言ったりします。
「格安スマホ」とは
「格安SIM」と似た言葉に「格安スマホ」があります。「格安SIM」との違いは何か、簡単に説明しておきましょう。
こちらも格安SIMと同じように、スマートフォン本体の値段が安い場合に加え、格安の料金で提供されている格安通信業者のサービス全体を含めて呼ばれることが多いです。
「格安SIM」との違いは、「SIM」はSIMカードのことであるのに対して、「格安スマホ」の「スマホ」は当然スマートフォンのことであり、スマートフォン本体まで含める点です。
格安通信業者と契約する際に、SIMカードを交換しない場合は、スマートフォンごとその業者から購入して契約をしたりします。そのような場合に、「格安スマホにした」といった使われ方をするのです。
「格安SIM」が格安な理由とは
では、格安通信業者は何故、格安な電話代や通信料で「格安SIM」や「格安スマホ」を提供できるのでしょうか。答えは、「キャリア」に比べてサービス提供にかかるコストが非常に少ないからです。
「キャリア」とは?
いわゆる「キャリア」とは、全国の通信設備を自社で持っている通信業者のことです。通信設備と一言で言っても、スマートフォンの機能を使うためには全国に膨大な設備が必要となります。
つまり、莫大な投資をして通信設備を整えることができた「キャリア」は、どこもお金持ちなのです。
ドコモ、AU、ソフトバンクといった「三大キャリア」の華々しいCMやプロモーションを1度をは見たことがあるのではないでしょうか。キャリアとは、全国に通信設備を持っているエリート通信業者と言えます。
キャリでない「格安SIM」が安いワケ①
では、キャリア以外の通信業者はどのようにサービスを提供しているのでしょうか。キャリアは自社で通信設備を持っているため、問題なくサービスを提供できるでしょう。ではそれ以外は?
答えはシンプルで、「キャリアに借りている」ということになります。キャリアから必要分の電話線等を借りて、そこをお客さんに使ってもらって商売をしているのです。
そのため、キャリア以外の通信業者は莫大な初期投資が必要な設備投資をしていないので、それほど大きな利益が出なくても、慌てる必要がありません。
キャリでない「格安SIM」が安いワケ②
それだけではありません。格安通信業者と呼ばれる多くの業者は、通信設備以外のコストも削減することで、格安のサービスを提供しています。
例えば実店舗を少なくして従業員を減らしたり、ネットでの申し込みのみを受け付けて手続きの手間を減らしたりと、コストがかからない事業展開をしています。
格安通信業者は、コストが少ないので、料金が安くても格安SIMが提供できるようになっているのです。
「格安SIM」の特徴とは
「格安SIM」の特徴を大きく分けて、4つ説明します。プラス面では「安い」「機能が選択できる」の2つ。マイナス面では「回線が不安定」「サポートが少ない」の2つに整理できます。
必ずしも全ての業者の、全てのプランで当てはまるものではありませんが、導入を検討するのであればプラス面(メリット)とマイナス面(デメリット)をしっかり把握しておきたいですね。順番に説明していきます。
「格安SIM」の特徴① 安い
「格安SIM」の料金は、とにかく安いです。「格安」と付くくらいなので当たり前かもしれません。安い理由は、一言で言えば、コストがかからない設計になっているからになります。
具体的にどれくらい安くなるのでしょうか。もちろん、どの業者の、どのようなプランかによって、値段は大きく変わってきます。しかし、一般的な内容で、データ容量もそこまで大きくないといった内容で考えてみます。
三大キャリアの利用料金の、様々なキャンペーンや値引きがない場合は大雑把に、月1万円程度になるでしょうか。これに対し、格安SIMの契約だと、月3000円から4000円、もっと安いプランもあったりします。
月数千円でも、1年続ければ数万円の差になります。値段という面で比べると、半分以下になることもある格安SIMは、魅力的な選択肢ですね。
「格安SIM」の特徴② 機能が選べる
「格安SIM」は、キャリアの契約に比べて、機能選択の自由度が高いことが多いです。もちろんキャリアも、複数プランを用意して利用者に最適な料金プランを選択できるようにしてくれています。
しかし、一部の「格安SIM」を展開する業者は、より柔軟に利用者の需要に応えるため、キャリアにはないような変わったプランや、とにかく利用方法を絞ったプランなどを用意してくれていることがあります。
例えば、電話を全く使えない代わりに安いプラン。出先で電話がかけられませんし、Wi-Fi環境がないと大変不便となりますが、人によってはこれで十分だという人もいます。
格安通信業者が展開する「格安SIM」のプランは柔軟な選択ができることが多いため、自分に必要なプランが柔軟に選べるという魅力があります。
「格安SIM」の特徴③ 回線が不安定
「格安SIM」を展開する格安通信業者は、キャリアの通信設備を借りることでサービスを提供していますが、それによって繋がりにくいことがあるというデメリットがあります。
自社では通信設備を有していないので、回線が混み合った場合に何か技術的な手が打つことが難しいです。
通常の状態であれば、キャリアとの契約と差を感じることはほとんどありません。ただし、何か回線が混み合うような事態が発生したときなど、繋がりにくくなる可能性があるのがデメリットです。
「格安SIM」の特徴④ サポートが少ない
「格安SIM」を展開する格安通信業者は、実店舗を減らしたりと、人員を削減することでコストを減らしています。したがって、何か問題が発生した場合のサポート体制が手厚くできないというデメリットがあります。
キャリアの場合、全国に数多くのショップを展開しています。契約で何か困りごとがあれば、あるいはスマートフォンの操作が分からなかったりしたら、とりあえず近くのショップに駆け込めば対応してくれます。
これに対して、格安通信業者はコストを抑えるために人員が少ないために、自分の家の近くにショップがあることは稀でしょう。最初にSIMカードの設定をするところから、自分で行う場合が多いです。
このように、「格安SIM」を使うと、サポートにかける人員が少ないことから、サポート体制がキャリアほど手厚くないというデメリットがあります。
「格安SIM」とは何かのまとめ
「格安SIM」とは何か、その特徴について説明してきました。メリットとデメリットを考えて、気になった方はぜひ導入を検討してみてください。
- 格安SIMとは、格安で契約できる通信会社との契約で用いるSIMカードのこと
- 格安通信業者が展開するサービス自体(SIMカードの購入を含む)を指すことも多い
- 格安通信業者は通信設備を借りていて、コストが少ないので、料金が安い
説明した格安SIMの特徴は、全ての業者、プランに当てはまるものではありません。また、格安通信業者の中にも、キャリアが立ち上げたサブブランド(サブキャリア)があったりします。
ぜひ、色々な業者とプランを比較しながら、自分にあったプランを見つけて頂ければと思います!