駐車場経営を始めるにあたって、特に気になることの1つは「利回り」ですよね。どの程度の収益を見込めるのか想定する際、利回りは重要な指標となります。
本記事では、駐車場経営における利回りの種類とその計算方法、また利回りの目安や高利回りを出すためのポイントについて解説しています。
この記事を読んで利回りについて理解できれば、より高い収益が見込める駐車場経営を行えるかもしれません。ぜひ最後まで記事を読んで、高利回りのためのポイントを掴んでくださいね。
アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3406119?title=%E3%82%B3%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0&searchId=3457540562
駐車場経営の利回りは2種類ある
まずは利回りの種類についてです。駐車場経営の利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。
以下で「表面利回り」と「実質利回り」のそれぞれについて、分かりやすく解説していきます。
表面利回り
表面利回り(別名:グロス利回り)とは、土地価格に対して年間駐車場経営における収入がどのくらい得られるのかを見込んだ数値です。
やや大雑把ではありますが、この数値によってどの程度収益性があるのかを簡単に知ることができます。
実質利回り
実質利回り(別名:ネット利回り)とは、土地価格だけでなく初期費用や経費、ランニングコストなども加味して算出した利回りです。
計算はやや複雑になりますが、表面利回りに比べるとより現実的な収益率を知ることができます。
駐車場経営の利回り計算はなぜ必要?
そもそも利回りとは、「投資した金額に対しての見込み回収率」です。
利回り計算によって利回りを把握することで、資本(お金)が効果的に活用されているかどうかを判断でき、高収益が期待できる賢い土地選びが可能となります。
「表面利回り」と「実質利回り」を正しく理解できていないと、投資した資本の回収率を適切に認識することができません。
あくまで利回りは回収率の予測ですが、具体的な数値に基づいて判断することで駐車場経営の成功率を大幅に高めることができるでしょう。
「表面利回り」計算方法
次に表面利回りの計算方法を紹介します。表面利回りは以下の式を用いて算出することができます。
表面利回り(%)=年間駐車場収入(満車時)÷土地価格×100
表面利回りは年間の駐車場収入と土地価格の2項目だけで計算できる、非常にシンプルな算出式となっています。
ですので、その土地における大まかな収益性を確認して、駐車場経営を行う土地を絞り込むのに適しています。
表面利回りを計算して候補となる土地の収益性を把握し、駐車場経営の土地として選択肢に加えるかどうかを判断していきましょう。
「実質利回り」計算方法
続いては実質利回りの計算方法を紹介します。実質利回りは以下の式を用いて算出することができます。
実質利回り(%)=(年間駐車場収入―ランニングコスト)÷(土地価格+初期費用)×100
表面利回りに比べると計算式が複雑になるため手間はかかるものの、より現実的で正確な値に近い利回りを知ることができるのが実質利回りです。
ランニングコスト
駐車場経営において発生するランニングコストとして挙げられるのは、以下3つの費用です。
- 運営管理費(管理委託料など)
- 税金
- 設備メンテナンス費
実質利回りを計算する際は、これらランニングコストを年間駐車場収入から差し引く必要があります。
初期費用
続いて、駐車場経営にかかる初期費用についても確認しておきます。初期費用として挙げられるのは以下3つです。
- 土地整備費
- 看板設置費
- 機械設置費
などです。実質利回りの計算には、土地価格にこれらの初期費用を加えた値も必要となります。
駐車場経営の利回り比較①月極駐車場
駐車場経営と一口で言っても、主に月極駐車場とコインパーキングの2種類に分けられます。どちらのタイプを経営するかによって利回りも異なりますので、以下で比較していきます。
まずは月極駐車場です。月極駐車場の利回りはおよそ5%~15%と言われています。
コインパーキングよりも月極駐車場の利回りは一般に低くなります。しかし、一度契約者が決まると長期間に渡って安定した一定の賃料を得ることができます。
駐車場経営の利回り比較②コインパーキング
続いてはコインパーキングの利回りについてです。コインパーキングの利回りはおよそ15%~30%と言われています。
コインパーキングの場合、駐車場の稼働率(駐車場が埋まっている割合)によって収入が大きく変動します。
ですのでコインパーキングは収入が安定しづらいものの、稼働率が高ければ月極駐車場より高い利回りとなります。
いかに稼働率を高めるかがコインパーキングの利回りアップのポイントです。
駐車場経営の利回りシュミレーション~表面利回り~
次は、駐車場経営における表面利回りをシュミレーションしていきます。
以下の例を参考にしながら、ぜひ自分が駐車場経営を検討している土地についても利回り計算をしてみてくださいね!
月極駐車場の表面利回り
以下のような条件の月極駐車場を想定してシュミレーションしてみましょう。
- 大阪府駅前
- 50坪/3000万円の更地(道路舗装済)
- 月12000円/台で8台分の駐車スペースを確保
- 委託管理費で収益の5%を支払う
この条件の場合、表面利回りを計算すると以下のようになります。
12000円/台×8台分×12カ月÷3000万円×100(%)≒3.8%(表面利回り)
コインパーキングの表面利回り
次は、以下のような条件のコインパーキングを想定してシュミレーションしてみましょう。
- 大阪府駅前
- 50坪/3000万円の更地(道路舗装済)
- 設備レンタル費用で500万円
- 駐車スペース6台/1時間あたり600円/稼働率40%
- 委託管理費、メンテナンス費用で1台あたり月0.4万円支払う
計算しやすいよう、先に年間駐車場収入を計算しておくとこのような計算結果になります。
6台×24時間×365日×600円×40%=1261.44万円
この場合、コインパーキングの表面利回りを計算すると以下のようになります。
1261.44万円÷3000万円×100(%)≒42%(表面利回り)
駐車場経営の利回りシュミレーション~実質利回り~
続いては、駐車場経営における実質利回りをシュミレーションしていきます。
表面利回りよりも計算がややこしくなりますが、以下の例を参考にしながら実質利回りもぜひ計算してみましょう。
月極駐車場の実質利回り
上記の月極駐車場の表面利回りと同様の条件を想定してシュミレーションしてみましょう。
- 大阪府駅前
- 50坪/3000万円の更地(道路舗装済)
- 月12000円/台で8台分の駐車スペースを確保
- 委託管理費で収益の5%を支払う
この条件で月極駐車場の実質利回りを計算すると、以下の通りになります。
{(12000円/台×8台分-0.48万円(委託管理費))×12カ月}÷3000万円×100(%)≒3.6%(実質利回り)
コインパーキングの実質利回り
上記のコインパーキングの表面利回りと同様の条件を想定してシュミレーションしてみましょう。
- 大阪府駅前
- 50坪/3000万円の更地(道路舗装済)
- 設備レンタル費用で500万円
- 駐車スペース6台/1時間あたり600円/稼働率40%
- 委託管理費、メンテナンス費用で1台あたり月0.4万円支払う
計算しやすいよう、先に年間の駐車場収入を計算しておきましょう。
6台×24時間×365日×600円×40%=1261.44万円
この場合、コインパーキングの実質利回りを計算すると以下のようになります。
(1261.44万円-0.4万円×6台×12ヶ月)÷3000万円×100(%)≒41%(表面利回り)
駐車場経営で高利回りを出すポイント
ここからは、駐車場経営で高利回りを出す秘訣を紹介します。以下が重視すべきポイントです。
- 土地選び
- 初期費用をできるだけ抑える
- 専門会社に相談
土地選び
駐車場経営において最も意識すべきなのは、立地にこだわった土地選びを行うことです。
コインパーキングの場合は多数の利用者が頻繁に利用する場所、月極駐車場の場合は定期的な利用が見込める土地を徹底的にリサーチしていきましょう。
リサーチして高利回りが期待できる土地を見つけ、そこで駐車場経営を行うことが収益最大化のための最も重要なポイントです。
具体的には、コインパーキングなら人気店の近隣、月極駐車場なら便利な抜け道沿いなどが挙げられます。
初期費用をできるだけ抑える
初期費用を抑えて経営することも、利回りアップの方法の1つです。
ただし、初期費用を抑えすぎて利用者に好まれない駐車場になってしまった場合、全体の収益性が落ちてしまい低利回りとなる危険性があります。
利用者にとって利用しやすい駐車場にするための初期投資はしっかりと行った上で、無駄な初期費用はできるだけ抑えるようにしましょう。
専門会社に相談する
高利回りを得るために最も確実で手っ取り早い方法は、駐車場経営の専門会社に相談することです。
駐車場経営に関する豊富な知識があるため、適切なアドバイスをもらうことができるでしょう。
専門会社に相談する時は複数社と連絡をとり、適した駐車場経営プランを複数の視点で検討していくことをおすすめします。
まとめ:利回りを理解して収益最大化を!
今回は、駐車場経営における利回りの種類とその計算方法、また利回りの目安や高利回りを出すためのポイントについて紹介してきました。
駐車場経営の利回りは決して高くありません。しかし、算出した利回りをもとに適切な土地選びや初期費用にかける資本の割合を判断できれば、高収益を得られる可能性が高まります。
駐車場経営を検討しているのであれば、駐車場経営における利回りの考え方を理解することは必須です。
利回り計算で算出した具体的な数値をもとに扱う土地を判断し、駐車場経営の収益最大化を目指してくださいね。