現在超高齢化社会で介護士は今後需要が見込まれる為、介護士として働きたいが給料面が気になる人も多いのではないでしょうか?
給料面や将来的に給料が上がるかどうかを知らずに介護士として働いた場合辛くしんどいですよね。
この記事では介護士の平均給料、介護事業所別の介護士の給料、雇用形態別の給料、今後介護士の給料が上がっていくかどうかなどについて紹介しています。
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介護士の平均給料
介護士の平均年収は約318万円で月給に換算すると26万円、初任給は約17万円程度が相場で、アルバイト、パート、派遣社員の平均時給がそれぞれ975円~1,321円です。
介護士の正社員全体の給与幅としては295〜1,020万円とかなり広く、勤務先、経験、スキル、資格によっても大きな差があります。
出典;日本の平均年収:国税庁の平成30年度「民間給与実態統計調査結果」
介護士の初給料
介護職の初任給は「新卒」、「既卒」、「年齢」、「経験の有無」などさまざまな条件で待遇や給料が変ってくるというのもポイントの1つです。
たとえば介護福祉士の資格を取得した状態でも一般的に正社員として就職した場合の初任給は平均16万7千円です。
これに資格手当、夜勤手当が加算されるため、実際には額面平均20万円程度になる施設がほとんどです。手取りだと17万円~18万円となります。(出典;平成28年度介護従事者処遇状況等調査)
介護士の生涯推定年収
介護士の平均年収は約318万円で過酷な仕事をこなす割りに報酬が低い仕事であるということが浮き彫りとなる金額です。
大学を卒業後すぐに就職して定年まで介護士として38年間勤務した場合の生涯年収は約1億4000万円となります。
ちなみに全産業の平均給料(年収)である422万円で算出して丁寧まで働く場合の生涯年収は1億6000万円なので約2,000万円ほどの差が出てしまいます。
介護士の給料実態
人の介護は誰でも行うことのできる仕事ですが介護福祉士の資格は国家資格であり、誰でも簡単に受験ができる資格ではありません。
最近では国家資格である介護福祉士を上位資格として位置付ける傾向にあります。また、訪問介護員になるためには、介護福祉士の資格を有する必要があるなど、介護福祉士の資格は重要です。
しかし生活水準が低く、生活に余裕が出来ないという理由から介護職を辞めてしまう人も少なくありません。
このような状況を改善するべく介護報酬引き上げ措置、施設の介護職員総数のうち介護福祉士が占める割合増加、その施設を優遇するなど、国をあげて介護職をバックアップする動きも出ています。
介護士の給料が低い理由
介護士の給料が低い理由は、専門性が重視されていないことや介護報酬に上限があることが挙げられます。ここでは、介護士さんの給料が低い現状についてまとめました。
介護士の専門性を重要視されていない
「介護職=誰でもできる仕事」というイメージから、介護士さんの専門性は重要視されていないのが現状です。
特別なスキルは必要ないと判断されると給料が安くても人材は集まるという考えの施設も出てきます。
介護現場は無資格・未経験でも活躍できるので有資格者や経験者でないと働けない他業界と比較すると給料が安くなっていると考えられるでしょう。
介護報酬に上限がある
介護報酬には上限が設けられているため、自由に給料を上げられません。
要介護状態の段階によってサービス内容と介護報酬が決まるので、企業努力だけでは給料を変えることが出来ません。
職場に入る介護報酬が少ないと、介護士さんの給料も低くなってしまいます。
内部留保額が高い
介護業界は内部留保額が高いことも、給料の安さの原因です。内部留保とは施設運営など経営の安定を考慮した資産であるため、給与には充てないのが一般的です。
2013年の委託調査によると、社会福祉法人が運営する特別養護老人ホーム1施設あたりの実在内部留保額は1.6億円と集計されました。
内部留保額が高いほど、介護士さんに対する還元率が低くなり給料が安くなってしまう可能性があります。
出典;厚生労働省「特別養護老人ホームの内部留保について」(2021年5月24日)
介護士の給料が上がっていく可能性
介護職員の賃金向上を目的に事業所が介護報酬に加算を行いその額に相当する介護職員の賃金向上を目的に2012年に処遇改善加算の運用が始まりました
そして、2019年10月には介護職員等特定処遇改善加算も創設されました。これは勤続10年以上の介護福祉士に月額8万円相当の処遇改善を行うというものです。
処遇改善加算は介護職員全体の処遇改善が目的でベテラン職員やリーダー職に対する処遇改善となっています。長く勤めれば給料が上がるという実績を作ることで人材不足を解消しようという制度です。
処遇改善加算によって介護職員の平均月収は約1万8,000円増加しており、国の政策として処遇改善や離職防止に力を入れていて今後の賃金改革も期待できます。
男女別で見る介護士の給料
介護職の給料は性別によって異なります。以下に「介護職の男女別(正社員)の平均年収、平均月収、ボーナス」をまとめました。
- 平均年齢43歳
- 平均勤続年数7年
- 平均年収330万
- 平均月収25万
- 平均ボーナス50万
- 平均年齢40歳
- 平均勤続年数7年
- 平均年収365万
- 平均月収25万
- 平均ボーナス60万
女性介護職の年収は約330万円で男性介護職の年収は約365万円です。女性はパート、アルバイトで働く方が多く年収が低くなる傾向があります。
男性の場合は、正社員で働く方が多く、家族手当、住宅手当の支給もあり、女性よりも収入が多くなる傾向があります。
介護事業所別の介護士の給料
「平成29年度 介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2017年の施設ごとの平均給与額は以下の通りです。
施設の種類 | 平均給与額(月収) |
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) | 32万2,310円 |
介護老人保健施設 | 32万6,810円 |
介護療養型医療施設 | 27万8,010円 |
訪問介護事業所 | 29万3,590円 |
通所介護事業所(デイサービス) | 26万4,790円 |
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 26万9,920円 |
出典:「平成29年度介護従事者処遇状況等調査結果」(厚生労働省) 2019年7月12日時点
このデータを参考にすると、特別養護老人ホームの給料はほかの施設よりも高い傾向にあり収入が高いことは働くうえでメリットといえます。
ただし、訪問介護やデイサービスは夜勤がないのに対し、特別養護老人ホームの仕事には夜勤が含まれます。特別養護老人ホームの給料の高さは夜勤の金額も含まれていることを理解しておきましょう。
雇用形態別の介護士の給料
正社員で介護士として働く場合、資格の有無が給料に直結します。以下に正社員の給料(年収)をまとめました。
正社員(常勤)の場合
保有資格 | 平均勤続年数 | 平均給与額(月給) | 年収(想定額) |
---|---|---|---|
介護福祉士 | 9年 | 329,250円 | 3,951,000円 |
実務者研修 | 7年 | 303,230円 | 3,638,760円 |
初任者研修 | 7年 | 301,210円 | 3,614,520円 |
無資格 | 5年 | 275,920円 | 3,311,040円 |
正社員として働き給料を上げるのであれば、積極的に資格取得をしていくべきでしょう。
次にパート、アルバイト、派遣社員(非常勤)の場合の給料(年収)をまとめました。
パート・アルバイト、派遣社員(非常勤)の場合
保有資格 | 平均勤続年数 | 実労働時間数 | 平均給与額(時給) | 平均給与額(月給) |
---|---|---|---|---|
介護福祉士 | 8年 | 88時間 | 1,421円 | 125,690円 |
実務者研修 | 7年 | 84時間 | 1,422円 | 120,650円 |
初任者研修 | 7年 | 75時間 | 1,409円 | 106,130円 |
無資格 | 5年 | 91時間 | 1,169円 | 107,520円 |
介護福祉士の資格を持っていて日中のみの時短勤務より、初任者研修の資格を持っていて日勤も夜勤も週5で働いている方が、給料が高くなります。
パート、アルバイト、派遣社員の場合は、資格の有無よりも働き方に着目した方が、給料が上がるかどうかで判断すると良いでしょう。
介護士に向いている人の特徴
ここまでは介護士の給料事情についてさまざまな方向から説明してきました。給料について知れたことで介護業界により興味が出て働いていみたいという気持ちを持っている方もおられるのではないでしょうか。
この見出しではどのような人が介護士に向いているのかを性格と働き方の2つのポイントで解説していきます。
介護士に向いている人の性格
- 人と接することが好き
- 気配りができる
- 明るく笑顔が絶えない
- チームで仕事を進めるのが好き
介護職は常に人と接しながら仕事をして入居者さんや介護サービスの利用者さんの命を預かる仕事です。
そのため、根本的に人とかかわることが好きな人に向いている職業です。
また介護士が行う介助の基本的な動作、知識は同じですが介助をする人にとって少しずつやり方を変えていく必要性もあります。
常に勉強をして自分のできることを増やしていくという姿勢を持っている人は介護士として働くことに向いています。
働き方の面で向いている人
- 夜間の時間でも働くことに抵抗がない
- 土日祝でも働くことに抵抗がない
- スキルアップしたいと考えている
介護の現場は24時間365日絶えず稼働をしていて、そのため夜間の時間に働くことに抵抗がなかったり、土日祝日の休みにこだわりがなかったりする人には向いている職場環境です。
また介護士は勤務年数が増える、資格を取得するなどによって給料が上がっていきます。
手に職をつけてスキルアップしたいと考えている方は介護士として働くことに向いています。
介護士として給料を上げる為に
2019年10月には介護職員等特定処遇改善加算も創設されました。これは勤続10年以上の介護福祉士に月額8万円相当の処遇改善を行うというものです。
処遇改善加算は介護職員全体の処遇改善が目的でベテラン職員やリーダー職に対する処遇改善で長く勤めれば給料が上がるという実績を作ることで人材不足を解消しようという制度です。
長く働き、特別養護老人ホームのなどの給料が高い施設で働くことは介護士にとって給料アップにも繋がり大きなメリットになります。
給料面も大切ですが、特別養護老人ホームの給料の高さは夜勤という背景があることをしっかり理解して、自分にあった施設と給料を介護士として長く続けることが大切です。