「愛犬が息切れを起こしているが大丈夫なのか」「何か病気を患ってしまったのではないか」などと、心配を抱えていませんか。
愛犬の呼吸が変だと気付けば、過剰に心配してしまうことは、飼い主さんなら誰でも経験があるかと思います。
この記事を読めば息切れの対処法と、病院に連れて行くべきかの判断ができるようになるので、ぜひ最後までご覧になってください。
(アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/犬-動物-子犬-ペット-4390885/)
犬の息切れ:対処法①うつ伏せにする
対処法の1つ目は「うつ伏せにする」ことです。犬にとって、一番呼吸のしやすい楽な体勢はうつ伏せなので、すぐにうつ伏せにさせ、呼吸を安定させてあげましょう。
その際に、顎の下にタオルや枕をおくと呼吸がより楽になり安定しやすいです。
尚、横向きや仰向けは肺が圧迫されてしまうので、こういった姿勢はなるべく避けるようにしてください。
なるべくうつ伏せにした方が良いが、胸の下に痛みがある場合、無理にうつ伏せにせず、横向きにしてあげてください。
犬の息切れ:対処法②清潔な水を与える
対処法の2つ目は「清潔な水を与える」ことです。暑さが原因でも息切れを起こしますので、室温を一定に保ち、清潔な水を与えてください。
また、水場を確保し、可能であれば水遊びなどで、健康維持に必要な適度な運動も心がけてみましょう。
尚、水遊び用の水を飲ませるのではなく、必ず清潔で新鮮な水を与えてください。
暑さで過剰なパンティングを起こしている場合は、すぐに体を冷やし、水分を与えましょう。ひんやりグッズなどで体を冷やすのも効果的です。
犬の息切れ:対処法③ストレスを感じさせない
対処法の3つ目は「ストレスを感じさせない」ことです。実は、ストレスを感じると過剰なパンティングをしてしまう場合があります。
例えば、雷などの大きな音が苦手な犬は、雷の音だけでもストレスを感じ「パニック状態」になり、過剰なパンティングの他にも異常な行動を引き起こしてしまいます。
音が原因だと分かっている場合は、飼い主さんがそばにいて、慌てずいつも通りの姿を見せてあげましょう。
飼い主さんがどうしても近くにいてあげられない場合は、飼い主さんの匂いがするおもちゃなどを置いてあげてください。
少しでも安心できる環境をつくってあげましょう。
犬が息切れを起こす理由
息切れの対処法を3つご紹介しましたが、そもそもなぜ息切れを起こすのでしょうか。ここからは、犬の息切れについてご説明していきます。
犬が口を開けて「ハアハア」と荒い呼吸や、息切れのような呼吸をするのは体内の熱を外に逃すための体温調節です。これは「パンティング」と呼ばれています。
人間でいう汗をかいて体温を下げる行為を、犬は汗を分泌させる汗腺が肉球や、耳の中、鼻先にしかないため、パンティングで補っています。要するに自然な行動です。
しかし、自然な行動である荒い呼吸の原因が、病気である可能性も十分にあります。次章から注意すべき息切れの見極め方をご紹介してきます。
犬の注意すべき息切れの見極め方
では、早速ですが犬の注意すべき息切れの見極め方3つを以下にご紹介します。
- 数時間続くパンティング
- 暑い、運動後、興奮状態以外の時にしているパンティング
- 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった呼吸音が混ざっているパンティング
上記3通りのいずれかに該当する場合、病気を患っている可能性がありますので、すぐに病院に連れていきましょう。
異常なパンティングは様々な病気と関係しています。次章からは、異常なパンティングを起こす原因となっている病気についてご紹介していきます。
犬の息切れと関係する病気:呼吸器の疾患
病気の種類を大きく分けると「呼吸器の疾患」と「心臓の疾患」に分けられ、この章では「呼吸器の疾患」について、次章では「心臓の疾患」についてご紹介します。
異常なパンティングを引き起こす原因となる、呼吸器の疾患は以下の3つです。
- 肺炎
- 気管支炎
- 気管虚脱、気管支虚脱
各病気の詳細についてご説明します。気になる方はぜひご覧になってください。
肺炎
肺の中にある肺胞と呼ばれる、小さい袋やその周辺に炎症を起こす感染症です。
肺炎の原因の多くはウイルスや細菌感染ですが、寄生虫に寄生された場合や、刺激性の薬物やガスを吸い込んだ場合にも引き起こします。
肺炎の症状は、咳き込んだり鼻水がでたり、または、逆に咳がでず苦しく震えたりします。
気管支炎
気管支炎とは、咳や食欲不振、元気が無くなるなどが見られ、最悪の場合、呼吸困難を起こす病気です。
この病気は、ウイルスや寄生虫などが、気管支炎を引き起こす原因として挙げられます。
そのため、ハウスダストやたばこなどの化学物質の誤飲には気をつけましょう。
気管虚脱、気管支虚脱
気管や気管支が潰れ空気の通りが悪くなり呼吸困難を起こす病気です。
原因は、先天性の疾患、発育異常、肥満、加齢により気管の周囲にある筋肉が弱まっていることです。
症状は、呼吸音が「フガフガ」「ヒューヒュー」といった音になることですが、同じ症状で逆くしゃみと呼ばれる生理現象も存在します。
見分けるポイントは、逆くしゃみの場合は口を閉じているか、開けていても舌は外にでませんが、病気の場合は、口を大きく開け舌を出して苦しそうに呼吸をします。
犬の息切れと関係する病気:心臓の疾患
呼吸器の疾患の他に、心臓の疾患も異常なパンティングを引き起こします。
異常なパンティングを引き起こす、心臓の疾患は以下の5つです。
- 僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)
- 心室中隔欠損症(しんしつちゅうかくけっそんしょう)
- 肺水腫
- 心筋症
- 熱中症
こちらも各病気の詳細についてご説明します。気になる方はぜひご覧になってください。
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)
犬の心臓病で最も多く見られる病気で、心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁が変形しうまく閉じなくなり、血液が逆流してしまう病気です。
早期は無症状ですが、進行すると疲れやすく、痩せやすい体になり、息切れや呼吸困難の症状も引き起こします。
また、発症するリスクが高いのは高齢の小型犬で、犬種によってもリスクの高い犬種が存在します。以下に発症するリスクが高い犬種をまとめておきますね。
- キャバリア・キング
- チャールズ・スパニエル
- マルチーズ
- シー・ズー
- チワワ
- ポメラニアン
- プードル
- ペキニーズ
- パピヨン
心室中隔欠損症(しんしつちゅうかくけっそんしょう)
心室中隔欠損症とは、生まれつき心室中隔という心臓の中の壁に、穴(欠損孔)が空いている病気です。
この病気は生まれつき起こる病気のため、手術や投薬で治療を行いますが、異常なパンティングを起こす原因の一つです。
肺水腫
肺の中に水が溜まり、酸素と二酸化炭素を交換する肺胞という組織が水でつぶれ、呼吸困難を引き起こす病気です。
犬が肺水腫を患い、咳や呼吸困難が悪化すると、口を開き前足を突っ張ったような姿勢をとることがあります。
心筋症
心臓は全身に血液を循環させるポンプの役割を果たしていますが、心筋症とは、心臓に異常が起きて機能を低下させる病気です。
これにより、酸素を含んだ血液をうまく循環できなくなるので、酸素が不足し、呼吸数が増えたり、息が荒くなったりします。
熱中症
人間にも聞き馴染みのある病気ですが、犬が熱中症を引き起こすと異常なパンティングを行う場合があります。
そもそも、熱中症とは体温が上がり、心臓から十分に血液を循環できず、脳や体内組織が酸欠になる病気です。
症状は、口を大きく開けて苦しそうな早い呼吸をしたり、よだれを垂らしたり、体温の上昇で体が熱くなったりします。
また、悪化すれば呼吸困難や吐血といった症状に変わり、命を落とす危険もあります。
息切れの原因が病気だった場合の対処について
息切れの原因が病気であった場合は、必ず獣医さんの指示に従いましょう。ここでは、指示に従った上で、気をつけられる生活習慣3つをご紹介します。
- 過剰な運動は避ける
- 夏の散歩は時間を気をつける
- 首輪の見直し
犬は、人間よりも顔が地面に近いので、地面の照り返しの熱を直接浴びてしまいます。そのため、暑い時期の日中は散歩を避け、早朝もしくは夕方以降の時間に散歩をしましょう。
また、散歩の際につけるリードや首輪のサイズが合っていない場合、気管を圧迫してしまう恐れがあるので、首輪のサイズにも気をつけてください。
適切な首輪のサイズは、愛犬に首輪を装着した際に、飼い主さんの人差し指と中指の2本がちょうど入るサイズです。
首輪は気管に負担がかかるので、呼吸器に疾患がある犬や老犬は、胴体につけるハーネスタイプがおすすめです。
加齢や肥満も息切れの原因
息切れや荒い呼吸は自然の行動、または病気が原因とご説明しましたが、実は加齢や肥満も息切れの原因になり得ます。
年齢を重ねると、筋力や心肺機能が低下してしまい、少しの運動で疲れやすく息切れを起こしますが、特別なことではないので過度な心配は不要です。
ですが、肥満の場合は身体に大きな負担がかかります。特に首のまわりに余計な脂肪がつくと喉を圧迫し、それが気管に悪影響を及ぼします。
そのため、毎日のお散歩や食事量の調整で肥満対策をしましょう。また、冬場もできるだけ散歩をし、運動時間を確保してください。
短頭犬種は注意!短頭種気道症候群について
短頭犬種とは鼻ぺちゃと呼ばれている鼻の短い犬種のことで、例えば、フレンチ・ブルドック、パグ、シー・ズー、チワワ、ペキニーズ、ボストン・テリアなどです。
これらの犬種は鼻孔や気道が狭く、呼吸器の病気にかかるリスクは別の犬種よりも高いため、「短頭種気道症候群」の病気になりやすいです。(短頭種気道症候群の主な病気を以下に記載します。)
- 狭窄性外鼻孔(きょうさくせいがいびこう)
- 軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)
- 気管虚脱(きかんきょだつ) など
安静にしている時の呼吸に「ブーブー」「グーグー」といったいびきのような音を出す場合や、パンティング時に「ガーガー」といった音が混じる場合は獣医さんに診てもらいましょう。
また、短頭犬種に限らず肥満の犬も気管が圧迫され、短頭種気道症候群になりやすいので、体重管理は気をつけてください。
【まとめ】何か変だなと感じたらすぐに病院へ!
今回は、愛犬が息切れを起こす理由、原因、対処法までご説明してきました。
犬の呼吸は「パンティング」と呼ばれ、過剰なパンティングの場合は、すぐにかかりつけの獣医さんに診てもらいましょう。
すぐに病院に行けない際は、ご紹介した対処法を参考にしてください。最後に、対処法をまとめておきます。
- うつ伏せにする
- 清潔な水を与える
- ストレスを感じさせない
愛犬の様子が変だと気付けるのは、飼い主さんだけです。少しでも、本記事が役に立てば幸いです。