「求人の給料を見て、すぐに手取りが分かるようになりたい。けど計算方法が分からない。簡単に計算できる方法はないかな?」
このように悩んでいませんか?求職探しをするうえで手取り収入はとても気になりますよね。
しかし、給料から引かれる税金の種類をすべて把握できている人は少ないですし、ましてや税率を理解できている人はかなり少ないです。
そこで、この記事では簡単に手取り収入が計算できる方法や税金、手取り収入を増やす方法について解説していきます。ぜひ、参考にしてみてください!
(アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%e7%b0%bf%e8%a8%98-%e4%bc%9a%e8%a8%88-%e7%a8%8e%e9%87%91-%e6%b1%ba%e6%b8%88-%e9%9b%bb%e5%8d%93-615384/#content)
給料の手取りを簡単に計算する方法
まず結論から言うと、給料が手元に残るのは額面給与のおよそ80%です。
そのため、年収や月収に0.8を掛け算することで、手取り年収をざっくり把握することができます。
例えば、独身者で月収が22万円の人の場合、計算すると手取り収入は約17万3000円となります。
しかし、なぜこのような計算で簡単に手取り収入が出せるのか気になりますよね。そこで、次からは具体的に解説していきます。
給料から税金が引かれる仕組みを解説
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自分が働いて手に入れた給料のうち、いくらかは保険や税金として国に納めなければなりません。
そのため、全ての給料が自分のものになるわけではなく、保険や税金で引かれた後に残ったお金が手取り給料として支払われています。
給料から直接税金が引かれることを、「源泉徴収」と言います。源泉徴収で引かれている保険や税金には以下のようなものがあります。
- 社会保険料
- 所得税
- 住民税
- 介護保険(40歳以上のみ)
それぞれの税率を合計すると、給料の約20%を占める割合になります。次からはこれらの税金について詳しく解説していきます。
給料から引かれる税金を解説:社会保険料の場合
給料から引かれている保険は、「社会保険料」です。まずは、社会保険について理解していきましょう。
社会保険は国が運営している強制加入保険で、全ての国民が加入しています。社会保険料の内容は大きく分けて3つになります。
- 医療保険
- 年金保険
- 労働保険
会社員の場合、社会保険料は勤務先が半額支払うことになっています。そのため、源泉徴収で引かれているのは、社会保険料の半分ということを覚えておきましょう。
それでは、それぞれの社会保険の仕組みについて確認していきましょう。
医療保険
医療保険は、「健康保険」と「国民健康保険」が存在し、必ずどちらかに加入することが義務付けられています。
- 健康保険:会社員が会社を通じて加入する保険
- 国民健康保険:事業主が個人で加入する保険
上記のような違いはありますが、どちらも役割は同じで、医療費が3割負担になったり、高額医療費制度や出産・育児一時金の時に利用します。
会社員の場合、健康保険に加入することになります。健康保険の保険料は、「4・5・6月の給料(標準報酬月額)」に基づいて決まります。
年金保険
年金保険には、「国民年金」と「厚生年金」の2種類存在します。
会社員の場合は、両方加入する義務があります。老後の生活を賄うための資金を国が運営してくれています。
年金保険の保険料は、それぞれで異なるため簡単にまとめてみました。
- 国民年金:全員一律
- 厚生年金:4・5・6月の給与(標準報酬月額)に基づいて決まる
厚生年金の税率は、標準報酬月額によりランク分けされて決まります。詳しい税率を知りたい方はこちらをチェックしてください。
労働保険
労働保険には、「雇用保険」と「労働者災害補償制度(労災)」が存在します。
労働保険は、「仕事に関連して起こったことに対して損害を被った場合に支給される保険」です。
- 雇用保険:会社を辞めて無職期間中にもらえる
- 労災:業務中や通勤中のけがでもらえる
上記のように、それぞれの保険の役割が異なるので会社員は両方の保険に加入しています。
給料から引かれる税金を解説:所得税の場合
まず、給料から引かれている税金の1つ目は「所得税」があります。収入があると必ず支払う税金です。
所得税とは、「給料から控除された金額を引いた額に定められた税率分を収める税金」になります。
給料-控除=課税所得
所得税は累進課税となっており、金額によって5~45%と7段階に分類されています。詳しくは国税庁のホームページから引用した表を確認してください。
課税される所得金額 | 税率 | 最大控除額 |
---|---|---|
1,000円以上~195万円未満 | 5% | 0円 |
195万円以上~330万未満 | 10% | 97,500円 |
330万以上~695万円未満 | 20% | 427,500円 |
695万円以上~900万円未満 | 23% | 636,000円 |
900万円以上~1800万円未満 | 33% | 1,536,000円 |
1800万円以上~4000万円未満 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、課税所得が700万円の場合、「700万円×0.23-636,000円=974,000円」が税金と納める金額になります。
給料から引かれる税金を解説:住民税の場合
もう一つ給料から引かれている税金は、「住民税」です。どこかの地域に住んでいるだけで、支払わなくてはいけない税金です。
住民税は、一律10%と定められています。そのため、計算がしやすいです。また、副業がバレる原因なので、副業をしている人は住民税の支払いに注意しましょう。
また、住民税は後払いなので、今支払っている税金は前年度分の住民税になっています。
そのため、仕事を辞めた後でも1年分の住民税は、あとから請求が来るので注意しましょう。
給料から引かれる税金を解説:介護保険(40歳以上のみ)の場合
もう一つ給料から引かれる保険として、「介護保険」があります。介護に必要なサービスを利用するときに役に立ちます。
介護保険は、強制加入保険の一つですが40歳以上になってから介入する保険になっています。
介護保険とは、「高齢者の介護を社会全体で支えあう仕組み」です。日本は高齢化社会のため介護保険料は年々上昇しています。
介護保険を利用することで、介護に必要なサービスを利用したときに、支払いの2-3割を介護保険で賄うことができます。
手取り収入を増やすために覚えておくべき計算式は?
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ここまでが、給料から引かれている保険料や税金になります。詳しく見ていくと、このように思うことはありませんか?
「なんでこんなに引かれるんだ。もっと手取りの収入を増やす方法がないのか?」
一生懸命に働いても、保険料や税金がどんどん上がっていくだけで嫌になる気持ちもわかります。
しかし、手取り収入を増やす方法はあります。最も重要になるのは所得税です。なぜ所得税が重要なのかは以下の式が関係しています。
給与-控除=課税所得
この式が手取り収入を増やすために、重要な計算式なのか、次から詳しく解説していきます。
計算式から見えてくる手取り収入を増やすための2つの方法
手取り収入を増やすためには、課税所得を少しでも減らす必要があります。
課税所得を減らすには、上記の式から考えると以下の2つの方法が考えられます。
- 収入を減らす
- 控除を増やす
手取り収入を増やしたいのに、収入を減らすのは本末転倒ですよね。そのため、最も重要になるのが「控除を増やす」ことです。
控除が増えるほど課税所得が減るため、引かれる税金が少なくなり、手取り収入が増えます。
次からは、控除の種類がどのくらいあるのか見ていきましょう。意外と知られていない控除もあるので確認してみましょう。
手取り収入を増やすために計算式に用いられる控除は15種類
2020年4月1日現在では、15種類の控除が存在します。控除は、法改正とともに変わっていくものなので、適宜最新のものを確認してください。
15種類の控除を以下に一覧でまとめてみました。どんな控除があるのか確認してみましょう。
- 基礎控除
- 扶養控除
- 配偶者特別控除
- 配偶者控除
- 勤労学生控除
- ひとり親控除
- 寡婦控除
- 障害者控除
- 寄付金控除
- 地震保険料控除
- 生命保険料控除
- 小規模企業共済等掛け金控除
- 社会保険料控除
- 医療費控除
- 雑損控除
15種類の全ての控除を使うのは、難しいです。しかし、自分に適した控除を使うことで課税所得を減らし、税金の支払いを少なくすることは可能です。
それぞれの控除については、国税局のホームページより詳しく確認ができます。こちらのボタンから確認してみてください。
控除額によってどのくらい手取り収入が変わるのか確認してみよう
ここで、実際に手取り収入を計算していきましょう。年収400万円の場合を考えていきましょう。
控除額が100万円の場合、「400万円-100万円=300万円」となります。300万円に所得税がかかります。
所得税は、課税所得に応じて段階的に上昇していきます。そのため、以下のような計算になります。
- 300万円のうち195万円未満にかかる所得税は5%なので、97,500円
- 「300万円-195万円=105万円」のため、105万円にかかる所得税は10%なので、105,000円
- 合計すると、202,500円となる
このように所得税を計算すると、約20万円ほど税金でなくなってしまいます。
しかし、控除額が150万円の場合、「400万円-150万円=250万円」となると、250万円に所得税がかかります。
- 250万円のうち195万円にかかる所得税は5%なので、97,500円
- 「250万円-195万円=55万円」のため、55万円にかかる所得税は10%で、55,000円
- 合計すると、152,500円となる
つまり、控除額が50万円変わると手取り収入が5万円増えることになります。とても大きな金額ですよね。
実際に計算してみると、控除額が増えることで手取り収入に大きく関わることが分かると思います。
計算式以外に覚えておくべき手取り収入を増やす方法
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手取り収入を増やすには、所得税をコントロールする必要があります。コントロールするには、控除をうまく活用することが重要です。
それ以外にも、実は手取り収入を増やす方法があります!それは、副業をすることです。
副業をして得た利益には、社会保険料がかかりません。なぜなら、本業の方で納めているからです。
そのため、本業で1,000万円稼ぐより、本業+副業で1,000万円稼いだ方が社会保険料が引かれなくなる分、手取り収入が多くなるのです。
ただし、パートやアルバイトで社会保険料を支払っていない場合は、副業で稼ぎが上がってしまうと、扶養から外れてしまうことがあります。
そうすると、社会保険料がかかるようになってしまうので注意してください。
パートやアルバイトで、社会保険料をすでに支払っている人であれば、副業で稼いだ金額に社会保険料がかかることはありません。
給料の手取りを計算する方法のまとめ
ここまでのことをまとめると、手取り収入は給与額面の80%です。残りの20%は社会保険料や税金で源泉徴収されてしまいます。
手取り収入を増やすには、所得税を最適化する必要があり、控除をうまく活用しましょう。
また、副業からの収入には社会保険料がかからないので、副業を始めることで手取りの収入が増えるようになります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。少しでも多く手取り収入が増えるよう知識を身につけていきましょう。