不動産投資用の物件を見つけたあなた、購入前のシミュレーションは済ませていますか?
不動産サイトやおススメされた物件がその通りの利回りや収入になるか事前にシミュレーションして確認しておかないと、「実際に運営を開始したら毎月赤字!」という事態に陥る可能性があります。
また、掲載された宣伝情報通りにちゃんと利益が出るのか不安ですよね?そこで今回は、不動産投資における利益や利回りのシミュレーション方法や、物件の購入費用以外に把握しておきたい出費項目などを解説します。
この記事で不動産投資のシミュレーションを知ることによって、将来性のある黒字運営の不動産運営ができる確率がぐっと上がります。ぜひ最後までお付き合いください!
(アイキャッチ画像出典:https://www.pakutaso.com/20210420112post-34455.html)
不動産投資のシミュレーションとは?
シミュレーションをすることで、「購入した物件の月の収入がどれぐらい見込めるか」、「月々のローン返済額がそれぐらいかかるか」、「最終的に手元に残る利益がどれぐらいか」を知ることができます。
つまり、あなたが購入した不動産で、どれだけ儲かるかを予想できるのです。また、将来的にかかる修繕費用も見越しておくことができるので、より計画性と将来性のある運営ができるようになります。
もちろん絶対にシミュレーションの通りになるとは限りませんが、シミュレーションを行うことで後から説明する利回りや物件の相場観もわかるようになるので、後述する計算方法はぜひ押さえてください。
尚、不動産経営をしている会社や不動産投資で利益を出している人は、必ず投資の前にシミュレーションをしています。これができることが、大家さんになる第一歩ですよ!
不動産投資のシミュレーションが大事な理由
不動産投資のシミュレーションをする目的は、自分で「購入したい」と思った物件や不動産会社から紹介された物件が本当に利益を生むか判断するためです。
実は多くの不動産サイトでは、物件の購入金額に対しての利益が甘く設定されていることが多いのです。
なぜなら掲載されている利回りは部屋が満室だった場合の家賃収入を想定しており、経年劣化による修繕費やリフォームに必要な諸費用など、物件購入費用以外にかかる出費を計算に入れていません。
そのため、信憑性や正確性を確認するために自分で対象の物件に対するシミュレーションを行っておくことが非常に重要となります。
不動産投資シミュレーションに必要な基礎知識
下記に、不動産投資のシミュレーションにおいて重要な用語について解説します。
- 物件価格
- 維持管理費用
- 利回り
物件価格
土地代と建物の建築費用を含めた不動産の値段です。また、購入した際に不動産会社に支払う仲介手数料などもこれに含まれます。
不動産の購入にかかる予算の大部分を占める項目です。この価格が高ければ高いほど、支払うローンも高くなり、運営を開始した以降の利回りは低くなります。
維持管理費用
経年劣化した場合の修繕費やインターネットの回線設置などの、時代のニーズに沿った工事対応にかかる費用であり、固定資産税もこれに含まれます。
新築の場合は維持管理にかかる費用は安めになる場合が多いですが、逆に中古物件の方はこちらにかかる金額は高くなる傾向があります。
利回り
家賃収入から月のローン支払いや維持管理費用を差し引き、物件価格で割った値です。この値が高いほど、収益性のよい不動産であると判断ができます。
新築の場合は物件価格が高くなりがちなため、どうしても利回りの低い運営になりがちですが、中古の物件であれば最初にかかる費用が安く抑えられるため、利回りが高くなる傾向があります。
ただし、そのメリットの分、中古の物件には元々の老朽化に伴う維持管理費用やメンテナンス費用が多くかかるリスクを抱えています。
不動産投資のシミュレーションに必要な情報
シミュレーションには単純に購入価格や家賃だけでなく、他にも様々な情報が必要です。また、不動産サイトの情報だけでは不足する場合が多く、場合によっては項目別に個別に調査が必要な場合があります。
- 物件の購入価格、築年数
- 仲介手数料や不動産所得税などの初期費用
- 頭金
- 銀行からの融資条件(金利、ローンの期間など)
- 想定される家賃収入
- 空室率
- 維持管理費用
物件の購入価格、築年数
これらの情報は、不動産サイトを確認することで大体把握することができます。もしも不足した情報があれば、問い合わせをすることで簡単に情報を得ることができるでしょう。
仲介手数料などの初期費用
不動産を購入する場合に、仲介した不動産会社に支払う費用です。一般的に、物件の購入価格に対して3~5%の費用がかかると言われています。
頭金
不動産を購入する際に自分が支払うことができる費用です。尚、足りない分は銀行からローンとして融資を受ける必要があります。
この頭金が多いほど、月々の支出となるローン返済の負担が減るので、月々の収支がプラスとなりやすくなり、結果的に利回りの高い運理が可能となるのです。
銀行からの融資条件(金利、ローンの期間など)
銀行から融資を受けた場合の金利によって、月々返済するローンの金額が大きく変わります。
金利が高いと当然返済額は大きくなりますが、金利が同じでもローンの期間が長ければ、この場合も最終的に支払う返済額が大きくなってしまうので注意が必要です。
想定される家賃収入
家賃収入は、満室を想定した場合の1年間の家賃の収入となります。ただし、100%満室になるとは限らないので、あまり信用してはいけない値です。
空室率
空室率は、部屋数に対する空室の割合であり、空室の分だけ想定される家賃収入が減るということですのでとても重要な要素となります。
とはいえ、実際に運営をしないと空室がどれだけ発生するかなんて細かく見積もることはできないので、シミュレーションの際は1~2割の空室率を想定しておきましょう。
維持管理費用
老朽化や法律や条例に対応するための工事に必要な費用や、建物や土地にかかる税金です。
また、住人や時代のニーズに合わせたリフォーム代などがこれにあたります。家賃収入に対して年間10~20%ほどかかると想定しておきましょう。
不動産投資における利回りについて
不動産投資において重要なキーワードは、利回りです。ただ、この利回りには2種類あり、どちらを参考にするかによってシミュレーションの正確さに大きな差が生まれるので、注意してください。
- 表面利回り
- 実質利回り
表面利回り
表面利回りとは、購入した不動産の価格に対して想定される年間の家賃収入の割合のことで、最もシンプルに珪砂できる不動産投資の利回りです。
表面利回りの計算式:想定される年間の家賃収入÷不動産の購入価格×100
多くの不動産サイトにて不動産別に掲載されている利回りとは、この「表面利回り」のことを指します。
注意が必要なのは、計算に使われている家賃収入は、常に満室であった場合の値であることと、維持管理費用や仲介手数料が計算に含まれていないことです。
そのため、実際の利回りは表面利回りを下回るケースがほとんどのため、この表面利回りだけを見て購入する不動産を選ぶことは危険です。あくまでも参考程度に留めましょう。
実質利回り
実質利回りとは、上記の表面利回りの計算式に不動産購入時の仲介手数料や、不動産運営よって将来的にかかる維持管理費用、銀行の金利などの要素を追加したものです。
実質利回りの計算式:(想定される年間の家賃収入×0.9~0,8(空室率)-(維持管理費用+ローンによる金利分の支払い)-仲介手数料(初年度のみ))÷不動産の購入価格×100
追加することによって分子が減るので、表面利回りよりは値が小さくなります。この実質利回りこそが、不動産投資のシミュレーションにおいて最も重要なポジションを占める数値です。
この計算によって、利回りがほぼ0であることやマイナスになることが分かった時点で、その不動産は購入すべきではないと判断することができます。
逆に、この計算によって高い利回りが計算できた場合は、対象の不動産は投資すべき物件であると分かるので、ライバルに取られる前にすぐに押さえるべきです。
不動産投資の利回りの平均相場
利回りの計算方法がわかったところで、物件ごとの平均的な相場をご紹介します。都会か地方かという違いだけでなく、時代によっても変動するため、あくまで目安としてとどめておいてください。
2021年10月の都会のワンルームタイプのマンションの表面期待利回りは5.1%、家族向けのマンションの場合は5.0%が平均値のようです。(参考:https://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2010/10/20211125-kouhyou.pdf)
尚、地方の不動産であれば物件の価格が安い分、都会の利回りよりは高くなる可能性があります。
ただし、こちらの値はあくまでも表面利回りの値である点から実質利回りはこの値よりも小さい可能性が高いので、狙っている物件についてはあなた自身で一度計算してみることをおススメします。
不動産投資シミュレーションの例
では、実際に不動産投資のシミュレーションを手計算で行う場合の例を、下記の条件で計算してみました。
不動産価格 | 1,500万円 |
---|---|
仲介手数料 | 45万円 |
頭金 | 500万円 |
ローン期間 | 20年 |
ローンの金利 | 2% |
想定される年間の家賃収入 |
100万円 |
空室率 | 20% |
年間の維持管理費用 |
18万円 |
表面利回りは、90万円[想定される年間の家賃収入]÷1,000万円[不動産価格―頭金]×100で、9.0%となります。ただし、こちらはあくまでも表面利回りですので、参考程度に考えてください。
続いて、初年度の実質利回りは、100万円×0.8(空室率)-(18万円[年間の維持管理費用]+15万円[年間のローンの金利分の利息]-45万円[仲介手数料]初年度のみ)÷1,000万円×100=2.2%と計算できます。
この場合、初年度は約22万円が手元に残り、翌年からは仲介費用がかからないので約67万円が手元に残り、2年後以降の実質利回りは6.7%となります。
このように実際に計算をしてみることで、表面利回りと実質利回りの違いを確認することができるので、ぜひ一度計算をしてみてください。
不動産投資のシミュレーションに役立つツール
不動産投資の利回りや収支をシミュレーションするために役立つツールが存在するので、ご紹介します。
あなた自身で投資したい不動産の利回りを計算するために使用するのもよし、自身で計算した後の答え合わせのために使用するもよしです。ぜひ参考にしてみてください。
収支シミュレーション 不動産投資連合体
物件価格や満室時の想定年収、想定される空室率などを入力することで、簡単に月々のローンや利回りを計算することが可能です。
諸経費欄は割合計算なので、正確な数値を確認することはできませんが、このツールを使えば大まかな利回りや収支が手早く把握できますよ。
東急リバブル 収支シミュレーション
こちらのツールは物件価格のほかに、購入にかかる諸費用の入力もできます。ちなみに「稼働率」は、想定する空室率を10%とするならば、90%と入力すればOKです。
計算結果として、年間の収入と実質の手取りの収入を求めることができますよ。
不動産投資シミュレーション
こちらのツールは、具体的な数値を入力することで家賃収入とローンの返済のシミュレーションが可能です。
年数ごとに手取りの収入やローンの返済額が表示されるので、不動産運営の将来的な収支のイメージが付きやすい特徴があります。
不動産投資は事前のシミュレーションが不可欠!
シミュレーションを行うことで、実際の利回りや、収入から必要経費ローンを差し引いた手元に残るお金が分かるようになりますよ。
また、将来的な見通しが立ちやすくなのるで、あなた自身が不動産投資に対して夢を見すぎずに現実的な運営を実現できる可能性が高くなるのです。
見通しが立たないままに不動産運営をしてしまうと、採算の取れない投資に知らず知らず手を出してしまい、毎月借金が発生する赤字経営となってしまうこともあり得ます。
不動産投資は、シミュレーションによってしっかりと実質利回りと収支の見通しを立ててから、臨むことが鉄則です。
事前のシミュレーションが、将来性のある不動産投資を実現する!
繰り返し述べますが、不動産投資はシミュレーションがとても大切です。実際に不動産を購入する前には必ずシミュレーションによって、実質利回りと年間の収支を求めましょう。
また、利回りには表面利回りと実質利回りの2種類が存在し、不動産サイトに載っている情報は、あくまでも表面利回りです。そのため、かかる維持管理費用などを計算に入れた実質利回りから収支を予想しましょう。
そして、シミュレーションをサポートしてくれるツールを使うことによって、より信憑性のある不動産投資のシミュレーションが可能になります。
事前にシミュレーションをすることによって、あなたが収益面や利回りにおける将来の不安が抑えられた不動産運営が可能になることを願っております!最後まで読んでいただき、ありがとうございました!