最近さまざまな業界、メディアで「サステナブル」への関心が高まっていますね。
そして、アパレル業界は特にこれからサステナブルであることが必要とされてくる業界だといわれています。
この記事では、アパレル業界においてサステナブルへの取り組みが注目をされている理由についてご紹介していきます。
さらには、あなたが今からできるサステナブルへの取り組みについても一緒にご紹介していきます。ぜひこれをきっかけに普段の生活から「サステナブル」を取り入れていきましょう。
(アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2967392)
これからの時代に欠かせない「サステナブル」な考え方
(画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%e6%89%8b-%e4%bf%9d%e8%ad%b7-%e5%9c%b0%e7%90%83-%e3%82%b0%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%96-5982513/)
これからの時代は「サステナブル」、つまり持続可能である生き方や経済の仕組みがどの業界、分野においても必要とされてくる時代になります。
サステナブルへの取り組みが全世界で注目をされるようになったきっかけのひとつが、2015年の国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」です。
このSDGsによってサステナブルへの取り組みを進めることの重要性はより高まることとなりました。
これからの時代の考え方は残された地球の資源をどう使っていくのか、どのように守っていくのかが課題となり、それらの課題を解決していく取り組みが必要とされます。
アパレル業界におけるサステナブルとは?
こうしたサステナブルへの考え方や取り組みの風潮は当然アパレル業界においても広がっています。近頃はサステナブルファッションといった言葉も浸透してきました。
アパレル業界においてサステナブルであるためには環境や労働者に配慮して製品を製造することが必要とされます。
具体的には、「農薬や化学肥料を使わずオーガニックの素材を使用して製造する」ことや「公正で安全な労働環境が確保されている」ことなどが必要とされます。
なぜアパレルでサステナブルが注目されるのか?
サステナブルへの取り組みに対して、とりわけアパレル業界は大きな注目を集めている業界なのですが、それはアパレル業界とそれに関わる繊維産業が環境負荷が大きい産業であるからです。
アパレル業界は原材料の調達から生地、服の製造、そして輸送から廃棄に至るまで、それぞれの過程において大量の資源とエネルギーが使われています。
サステナブルであることは環境問題や後述する人権問題などを改善、解決していくためにも必要とされています。
アパレル業界の裏側の闇とは?
華やかにみえるアパレル業界ですが、その裏側にはいくつかの問題が潜んでいます。アパレルの製造は多大な環境への負荷がかかりますが、そうして製造された服が着られないままに捨てられている現状があります。
近年、アパレル業界は急速なファストファッションの普及によってそのシステムを様変わりさせてきました。現代は大量生産、大量消費、そして大量廃棄の時代となりました。
このシステムが確立したのは大量につくって大量に捨てる方が利にかなっているからです。廃棄する分のコストがかかることを差し引いても、より大量につくって生産コストを落とした方が利益が出るのです。
現在日本では新しくつくられた服の4枚に1枚に当たる年間約10億枚もの服が廃棄されています。これだけの服が着られずに捨てられるというのが現状なのです。(参考文献:大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実 (著)仲村和代,藤田さつき 光文社 2019年)
アパレル業界の闇とは?~人権問題~
あなたが今着ている服に付いているタグには「made in~」と書かれているでしょうか。
現代、アパレル製品の生産現場はそのほとんどがベトナムもしくはバングラデシュとなっています。その理由は賃金の水準が低い発展途上国で生産することで、コストを削減して安価な値段で製品を販売するためです。
しかし、現場で働く人たちは劣悪な労働環境で働いてる事実があります。非衛生的な労働環境に、低賃金、そして長時間の労働を強いられています。
コストを抑えて安価な製品を大量につくるために現場の人たちが酷使されているのです。アパレル業界の生産現場にはこのような人権問題が横たわっています。
アパレル業界の闇とは?~環境問題~
アパレルの製造においては環境に負荷がかかることを理解できたと思いますが、どのくらいの影響を与えてしまっているのでしょうか。
Tシャツ1枚を製造するのには2,300Lもの水が使われるといわれています。また、服を製造する過程で糸を紡いだり布を織る機械を動かしたり、縫製したり、工場の稼働によって大量のエネルギーが消費されます。
服の素材がプラスチックであれば、その原料に石油が使われていますし、エネルギーを使うことでその分CО₂など温室効果ガスの発生につながります。
アパレル業界全体で排出される二酸化炭素の量はおよそ20億トンを超えていて、アパレル業界だけで人の活動によって排出される二酸化炭素のおよそ5%を排出していることになっています。(参考文献:環境省_サステナブルファッション)
有名アパレル企業のサステナブルへの取り組みは?
続いては、アパレル業界において推し進められるサステナブルへの取り組みや活動を積極的に取り入れている代表的な企業を2つご紹介していきます。
- パタゴニア
- ユニクロ
パタゴニア
アウトドアウェアが人気のアパレルブランドであるパタゴニアはサステナブル活動の分野において最も先進的な企業のひとつといわれています。
パタゴニアは現代のサステナブルであることが求められる要素を1990年代ごろから、時代に先駆けて取り組んできた企業です。
製品の製造にリサイクル素材の使用やオーガニックコットンの使用をいちはやく取り入れて地球環境に配慮したサステナブルブランドとしての地位を確立させました。
ユニクロ
今や世界的なブランドとなった日本のユニクロもサステナブル活動への取り組みを行っています。ユニクロのサステナブル活動では特に「RE.UNIQLO」という活動が有名です。
ユニクロの全国各店舗すべてにリサイクルボックスが設置されていて、消費者はユニクロまたはジーユーで購入して着なくなった服をどんな服でもそこに出すことができます。
これは回収したすべての服をリユース、もしくはリサイクルして活用しようというもので、回収された服は世界の難民キャンプに寄贈されてリユースされたり、リサイクルされて新しい服の素材となるなどされています。
今知っておきたいサステナブルなアパレルブランドは?
近年では人や環境にやさしい生産を心がけてビジネスを行い、それを売りにしているまさにサステナブルに特化したアパレルのブランドも増えてきています。
ここでは先進的ともいえるそうしたサステナブルに取り組むブランドの中でも代表的なブランドを3つご紹介したいと思います。
もちろん、注目を集めるべきサステナブルアパレルブランドはこの3つだけではありません。他にも有意義な取り組みを行っていて紹介したいブランドはいくつもあります。
今回は3つだけしかご紹介することはできないですが、少し興味をもっていただけたのならご自分で調べてみるのも面白いでしょう。
- エバーレーン
- メルシー
- ピープルツリー
エバーレーン
エバーレーン(EVERLANE)は2010年にサンフランシスコで創業されたアパレルブランドです。
エバーレーンでは材料費から輸送費、人件費までそれぞれのコストを細かく公開しています。コストを表示して原価や販売価格まですべてを見える化させたブランドです。
一般的にアパレル業界においては原価率やコストの公表をすることはタブーとされてきて公開されることはありませんでしたが、エバーレーンはここを公開することで消費者への透明性を確保しています。
メルシー
メルシー(MERCI)は日本のサステナブルアパレルブランドで、製品のすべてを国内で生産しているブランドです。
製造工程でCО₂排出を減らす工夫が施された生地、染色で水の汚染をしない生地、動物を犠牲にしない生地などサステナブルである素材を使用して製品を製造しています。
また、消費者へ直接販売する販売形態をとったり、製造工程を消費者に公開するなどして透明性の確保にも力を注いでいるブランドです。
ピープルツリー
ピープルツリー(People Tree)は、フェアトレード商品を専門に扱っているブランドでサステナブルファッションの分野ではパイオニアともいえるブランドです。
フェアトレードの実践によって、生産者の顔が見えるようになっていて、発展途上国の農村地域の職人によって製品が手作りされていることなどが消費者にもわかるようになっています。
オーガニックコットンなど環境にやさしい自然素材の使用、染料も発がん性物質を含まないアゾフリー染料を使用して、環境に配慮した生産を行っています。
発展途上国の生産者が虐げられない労働環境、環境にやさしい生産、その両方を実践しているのがピープルツリーというブランドです。
今からできるサステナブルな取り組みは?
私たち消費者は当然サステナブルブランドを選んで買うことだけでなく、日々の暮らしにおいてもサステナブルへの取り組みを行うことができます。
ここからは今すぐにできるサステナブルへの取り組みの第一歩をご紹介していきます。
どれもサステナブルを考えるうえでは当然のことと思われる取り組みかもしれませんが、少しだけサステナブルへの意識を持つようにして、かつ楽しみながら取り入れていけることができるとよいですね。
- 長く着る
- 古着を買う
- リメイク、リサイクルする
長く着る
同じ服を長く着続けることで、余分な服の購入を避けることができます。
この記事で触れてきたように、新しくつくられた服が大量に捨てられることがアパレル業界の大きな問題です。一人ひとりが服を長く使うようになれば、生産される服の量は減り、廃棄される服も減らすことができます。
もちろんファッションというものは、流行のものを取り入れたり、自分が着たいと思った服を買ったりと楽しむことも大切ではありますが、行き過ぎずに現実の世界もしっかりと見れるようにしましょう。
何でもかんでも新しく服を買うだけでなく、自分にとって必要なだけの服をできるだけ長く使用することができるように意識していきましょう。
古着を買う
古着を買うこともサステナブルへの立派な取り組みのひとつです。
古着が捨てられずに再び利用されることになれば、その分廃棄される服にかかる環境への負荷を避けることができます。
また古着は値段が安くなっていたり、ファッションとしても人気になっていたりもするので取り入れうやすいのではないでしょうか。
古着ファッションを楽しもうかなと軽い気持ちで新しく服が欲しいときには古着を買うことを選択肢として持つようにするといいでしょう。
リメイク、リサイクルする
服はつくるときにも、捨てられるときにも環境に負荷をかけています。
これまで着てきた服が汚れたり破けたりして着れくなってしまったというときにはそのまま捨てるのではなく、リメイクやリサイクルをするという選択をとるようにしましょう。
ご自分で大人用の服を子供用の服につくりかえて再利用したり、着なくなった服の端材を利用してトートバッグをつくってみるのもいいかもしれません。
古着屋に売ってみたり、ごみ収集でリサイクル回収に出したり、着なくなった服を回収している店舗でリサイクルに出すようにするなど方法はいくらでもありますので、服を捨てないように意識していきましょう。
まとめ ファッションにサステナブルを取り入れよう!
近年SDGsの概念の広がりなどにより、地球にやさしく持続可能であることの必要性が全世界、そしてどの産業の分野においても求められるようになりました。
特にアパレル業界は環境の負荷が大きい産業となっています。それはファストファッションが浸透し大量生産、大量消費というシステムがつくられたことで拍車がかけられました。
今後はそのシステムが見直され、サステナブルブランドやサステナブルへの取り組みによってつくられた製品がさらに増えて広がっていくことになるでしょう。
今は服を選ぶことやファッションでも地球にやさしい選択を選ぶことが簡単にできるようになっています。あなたもサステナブルへの取り組みを一緒にはじめてみませんか。