医療施設で働く人の中に「医療秘書」として働く人がいることをご存じですか?
医療秘書は医療と秘書の知識を持ち合わせ、医師や看護師のサポートをします。同じくサポート役を担う医療事務や一般企業の秘書との違いが分からなくなってしまいますよね。
そこで本記事では、医療秘書の仕事内容や給料、医療秘書になるための方法について詳しく解説しています。
この記事を読めば、医療秘書のことを十分に理解できるようになりますよ。医療秘書に少しでも興味がある人は、ぜひ最後までご覧ください!
アイキャッチ画像出典:https://www.pakutaso.com/photo/15173.html
医師をサポートする役割を担う医療秘書
医療秘書とは、医療施設で医師をサポートする職種です。特に病院では、医師ではなく院長のサポートを担うこともあります。
一般的な企業の秘書は役員や社長などが指示をする人ですが、医療秘書に指示をする人は病院の経営者や医師です。
また、医療事務は患者の対応が中心ですが、医療秘書は医師や看護師の対応が主な業務です。
スケジュール管理や電話・メール対応などの基本的な業務に加えて、学会に関する業務があることが医療秘書の大きな特徴ですよ。
医療秘書の職場は病院だけじゃない?
医療秘書は、規模が大きい病院で働くことが多いです。しかし、スタッフが少ない医療施設では、医師や看護師が医療秘書にもなっていることがあります。
また最近では、医師や看護師の業務を負担する流れが出ており、個人経営のクリニックでも医療秘書を募集しているところがありますよ。
外科や内科、眼科、産婦人科など、さまざまな診療科で求められている職種の1つが医療秘書です。ぜひ医療秘書を目指してみてはいかがでしょうか。
病院は、複数の診療所と20以上の病床をもち、主に重い病気やケガを診療する医療機関です。
それに対してクリニックは、病床の数が20未満で、主に軽い病気やケガを診療する医療機関です。
医療秘書の仕事内容は大きく2つ
医療秘書の仕事は、秘書業務と事務・管理業務の2つが挙げられます。ただし、勤務先によって担当する業務の範囲が異なるため、事前に確認しておきましょう。
秘書業務
秘書業務では、医師や院長のサポート業務を行います。代表的な秘書業務として次の4つが挙げられます。
- 医師や院長のスケジュール管理
- 医師や院長の来客・電話対応
- 学会発表の資料作成や学会への同行
- 施設全体への情報伝達
事務・管理業務
事務・管理業務では、一般的な病院の受付が行う業務を行います。代表的な事務・管理業務として次の4つが挙げられます。
- 診察記録の入力やカルテの管理
- 診断書やレセプト(診断報酬請求明細書)の作成
- 窓口での患者対応
- 行政上の届出や報告
医療秘書の平均年収は320万円!
医療秘書の給料は雇用形態や医療機関によって差がありますが、平均年収は320万円です。
「意外と低い」と感じた人も多いでしょう。医療秘書は一般的に資格が必要ない職種であるため、国家資格が必要な医師や看護師と比べると給料は低めです。
しかし、勤務する場所によっても給料に差があり、北海道の病院勤務の場合は288万円ですが、都心の病院勤務の場合の平均年収は448万円ですよ。
また、正社員であればボーナスが支給されるうえ、住宅手当や家族手当などの福利厚生も充実しています。年収アップを目指す人は、正社員として勤務することがおすすめです。
医療秘書に求められるスキル
医療秘書には、秘書や医療事務を行う能力に加えて、医療に関する専門知識などさまざまな能力が備わっている必要があります。そこで、医療秘書に求められるスキルを5つ紹介しますね。
- スピーディーかつ正確な事務処理能力
- 細かい気配り
- 医療全般に関する知識
- コミュニケーション力
- 英語力
スピーディーかつ正確な事務処理能力
医療秘書に指示をする人である医師や院長は多忙です。そのため、素早い対応が求められます。
しかし、医療に関する業務はミスが許されません。医療秘書になるためには、素早さと正確性をかね揃えておく必要があります。
細かい気配り
医療秘書は一般企業の秘書と同じく、指示をする人が仕事をしやすいように気配りをする必要があります。
常に先のことを考えて、情報の整理やスケジュール管理を行うことが大切です。
医療全般に関する知識
医療秘書と一般企業の秘書の大きな違いは「医療に関する知識が必要かどうか」です。
医療秘書には医療全般に関する知識に加えて、指示をする人の診療科については専門的な知識も求められます。
コミュニケーション力
医療秘書は医師のスケジュール管理や施設内の情報伝達といった役割を担います。
医療活動をスムーズに進行させていくためにも、医師や看護師、医療スタッフとの円滑なコミュニケーションを行うことが重要です。
英語力
医療機関によっては、電話対応や資料作成を英語で行うこともあります。その場合、専門用語もあるため、医療現場に通用するレベルの英語力が必要です。
縁の下の力持ちになりたい人は医療秘書に向いている
ここまで医療秘書の仕事内容や求められるスキルについて解説しました。「医療秘書に興味が出てきた」と感じた人もいれば、「医療秘書に向いているのか分からない」と感じた人もいるでしょう。
医療秘書は医師や看護師のサポート業務が中心であるため、縁の下の力持ちのようなポジションです。
「目立つようなことはしたくないけど、誰かの役に立ちたい」という人は、医療秘書になると活躍できるかもしれませんよ!
医療秘書になるまでの流れ
医療秘書になるまでには大きく4つのステップを歩んでいく必要があります。その4つのステップを下で解説しますね。
- 高校を卒業する
- 大学・短期大学・専門学校のいずれかに進学する
- 総合病院・大学病院・医薬品メーカーなどの企業に就職する
- 医療秘書になる
医療秘書になるために必須の資格はありません。進学先はあなたが行きたいところにしましょう。
最近は医療秘書になることに特化した養成コースがあるため、それらの養成コースや通信教育で学ぶのも良いですね。
医療秘書におすすめな資格
医療秘書になるために必須の資格はありません。しかし、資格取得を目指すことで、医療秘書に求められるスキルを身につけられ、就職や昇給といった面で有利になることがあります。
ここでは医療秘書に関する資格を3つ紹介します。ぜひ、資格取得を目指してみてくださいね。
- 日本医師会認定医療秘書
- 医療秘書技能検定
- 医療秘書資格
日本医師会認定医療秘書
日本医師会認定医療秘書とは、公益社団法人日本医師会が認定する資格で、専門的な医療事務の知識や情報処理技能に加えて、医療秘書としてふさわしい対応ができることを証明するものです。
認定養成期間(1〜2年間)のカリキュラムを修了し、認定試験に合格する必要がありますが、合格率は9割と高く、試験に合格できるか不安な人におすすめな資格ですよ。
医療秘書技能検定
医療秘書技能検定とは、一般社団法人医療秘書教育全国協議会が主催している医療秘書の検定資格です。
受験級は3級、2級、準1級、1級の4つがあり、医療秘書としての専門知識と技能を認定します。
医療秘書資格
医療秘書資格とは、一般財団法人日本能力開発推進協会が認定している資格です。
指定された認定教育機関のカリキュラムを受講し、修了する必要がありますが、医療機関での受付業務やコミュニケーション、秘書業務に関する職業能力を身につけられますよ。
医療秘書はこれからも欠かせない存在になる
医療技術は日々進歩しており、診療内容は複雑化しています。その一方で、患者が医療機関に対して充実したサービスを求める動きが強まっています。
医師や看護師同士のコミュニケーションがうまく行えず、スケジュール管理や電話対応などが十分にできていない医療機関もあるのが現状です。
そこで、医師や看護師のサポートをする医療秘書が加われば、医療機関内の業務がスムーズに進み、多くの医師や看護師の助けになるかもしれません。
複雑化する医療施設において、医療秘書の存在はこれからも欠かせない存在になるでしょう。
医療秘書になって医療施設のサポートをしよう!
医療秘書は、事務業務と秘書業務の2つを行います。そのため、医療と秘書の両方の知識が問われる職種です。
高い専門性を必要とするため、資格取得や医療施設での経験を通して、総合的なスキルを身につけることが大切です。
資格を取得するには認定養成期間のカリキュラムを修了する必要がある場合が多く、ハードルは高いかもしれません。
しかし、医療秘書はこれからの医療施設には必要不可欠な存在です。多くの医師や看護師をサポートして、感謝される医療秘書になってみてはいかがでしょうか。