夏の昆虫といえば何といっても大きなアゴがかっこいいクワガタです。そんなクワガタを捕まえてみたはいいものの、実際の飼い方が分からず悩んでいませんか?
そこでこの記事では、「飼育に必要なもの」から「実際の飼育方法や注意点」などを紹介します。
この記事を読めば、初心者でも迷いなくクワガタの飼育を楽しめるようになります。
ぜひ最後までこの記事を読んでクワガタの飼育を楽しんで、夏の良い思い出作りをしていきましょう。
(アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/24074040)
そもそもクワガタってどんな昆虫なの?
夏に人気の昆虫といえば「クワガタ」と答える人は多いでしょう。クワガタから伸びる大きなアゴは、とてもかっこよくて魅力的ですよね。
そんな人気のあるクワガタですが、詳しい生体を知らない人は多いです。そんな状態でクワガタを飼ってもうまくいくはずありません。
クワガタを飼うのであれば、まずはクワガタのことを知っておくべきなのです。ですのでこれから簡単にクワガタのことを紹介していきます。
まずはクワガタの種類ですが、世界で約1,400種類が知られています。日本には40種類前後が分布しています。その内クワガタを初めて飼う人が出会うクワガタは、以下の4種類がほとんどです。
- オオクワガタ
- コクワガタ
- ノコギリクワガタ
- ミヤマクワガタ
おそらくあなたのクワガタも、この4種類のどれかに該当したのではないでしょうか。次にこの4種類のクワガタの特徴などについて以下に表でまとめてみました。
オオクワガタ | コクワガタ | ノコギリクワガタ | ミヤマクワガタ | |
分布 | 日本全土 | 日本全土 | 日本全土 | 日本全土 |
冬眠の有無 | 有り | 有り | 無し | 無し |
昼/夜行性 | 夜行性 | 夜行性 | 夜行性 | 昼行性 |
寿命 | 2~3年 | 2~3年 | 3~4ヶ月 | 3~4ヶ月 |
特徴 | 日本にいる最大級のクワガタ。 | 小型でかわいらしいクワガタ。初心者にも飼育しやすい。 | ノコギリのようにギザギザのアゴを持つ。 | 深山(みやま)の名前のとおり、標高の高い場所に生息。 |
この表を見ると、クワガタには種類によって、冬眠するものと冬眠しないものがあることが分かります。そして冬眠する種類の方が長生きします。
また、クワガタは基本的に夜行性のものが多いので、採りに行く時間が大変です。その点ミヤマクワガタは昼行性ですので、標高の高い場所に行けば昼間でも採ることができます。
ちなみにクワガタに夜行性が多い理由は、以下の2つが考えられます。
- 天敵である鳥に襲われない
- 単純に夜の方が涼しい
夏の昆虫なので暑さに強そうなイメージがありますが、実は暑さには弱いのです。
また、クワガタは幼虫から成虫に成長する過程で、蛹を経てから成虫になります。クワガタの幼虫と成虫とでは、姿形が全く異なります。
このようにガラッと姿を変える昆虫を「完全変態」と呼びます。クワガタの「完全変態」は家庭でも体験できるので、興味があればチャレンジしてみましょう!
クワガタの基本的な飼い方
クワガタがだいたいどんな生き物かが分かったところで、次はクワガタの基本的な飼育方法を紹介します。
結論から言いますと、クワガタの飼育は簡単です。飼育に必要な飼育用品さえ揃えてしまえば、クワガタの飼育方法はシンプルなのです。
飼育用品の準備ができれば、あと気をつけることは気温を30度以上にしないことくらいです。このように初心者でも比較的簡単に飼育できるのが、クワガタが人気の理由の1つと言えるでしょう。
クワガタの飼い方で必要となるものとは?
次に実際にクワガタを飼育する際に必要となるものを紹介していきます。一回揃えてしまえば飼育は簡単ですので、確実に揃えていきましょうね。飼育に必要なものは以下のとおりです。
- 飼育ケース
- 成虫管理用マット
- 昆虫ゼリー
- エサ台
- 転倒防止材
- 霧吹き
ホームセンターに行けば、ほぼ揃えられるものですので、クワガタを飼うことになったらすぐに買いに行きましょう。
また100均で売っているものも多いので、まず先に100均をチェックしてみることをおすすめします。
クワガタの飼育セットの準備方法
クワガタの飼育用品が揃ったら、早速飼育環境を作っていきましょう。難しいことは1つもありませんので、心配せずにチャレンジしていきましょう。
STEP1:飼育ケース内にマットを敷く
まずは、飼育ケース内にマットを敷くことからはじめましょう。マットには、クワガタがマットの中に潜って隠れられるようにするためと、ケース内の水分を保つためという役割があります。
マットの深さは、産卵目的でなければ5センチ程度あれば十分です。また、マットが少し締める程度に霧吹きをしておきましょう。
マットに霧吹きする時は、水分を含ませすぎてベチャベチャにならないように気をつけましょう。少し湿る程度に霧吹きしておけば十分です。
STEP2:転倒防止材を入れる
飼育ケースにマットを敷いたら、次に転倒防止材をマットの上に配置しましょう。
転倒防止剤がないと、クワガタはものを掴んで起き上がることができずにずっと転倒したままの状態になってしまいます。
その状態が続いてしまうと、クワガタはいつまでももがき続けてしまうので、体力をどんどん消耗して、最悪の場合は死んでしまうこともあります。
ですので、クワガタが転倒しても起き上がれるように、飼育ケース内には転倒防止材を入れておきましょう。
転倒防止材は、具体的には登り木や枯れ葉などです。どちらも100均ショップに行けば売っていますよ。
STEP3:餌皿と昆虫ゼリーをセットする
忘れてはならないのがクワガタの餌です。餌は、その手軽さから考えても「昆虫ゼリー」の一択です。
栄養のバランスも考えられていますし、なによりもゼリーの蓋を剥ぐだけでいいのでとにかく簡単です。
ですが、昆虫ゼリーだけ入れると元気のいいクワガタがゼリーをひっくり返してしまうことがあります。ゼリーがマットに付着して不潔になると、コバエが大量に発生するトラブルが発生します。
そこで餌皿を入れて昆虫ゼリーを配置することで、ゼリーがひっくり返るのを防げるので、必ず餌皿は配置しましょう。
餌皿を配置することで、クワガタが転倒した時に起き上がるための転倒防止材としての役目も果たします。まさに一石二鳥なので必ず配置しましょう。
STEP4:コバエ対策をする
せっかく楽しく飼育するクワガタに、コバエがたかるようになってしまったら嫌ですよね。
餌皿を使っているとはいえ、100%マットを清潔な状態にしておくことはなかなか難しいでしょう。
そこでコバエ対策としてオススメなのが、コバエ対策のされた専用の飼育ケースを使うということです。それがなければ、ケースと蓋の間にキッチンペーパーを挟むなどすると効果的です。
キッチンペーパーは通気性もあるので、クワガタが窒息する心配はありませんよ。
もしコバエが大量に発生してしまったら、思い切ってマットを総入れ替えしてみましょう。心機一転、ニューマットでクワガタ飼育を楽しむのが良い方法です。
クワガタの日々の飼い方
飼育用品が揃って準備ができたらいよいよ飼育開始です。早速ケース内にクワガタを入れて観察してみましょう。
しばらく観察していると、クワガタが転倒することがあるはずです。その時きちんと自分の力で起き上がれるかをチェックしておきます。
その後は、ケース内が乾燥してきたら霧吹きで保湿をしていきます。それと昆虫ゼリーも長く放置すると腐ってしまうので、週に1回は交換しましょうね。
クワガタの飼い方のポイント
クワガタを飼う時に、ついやってしまいがちなミスを3つ紹介します。このミスを防ぐことが、クワガタを長生きさせるポイントですので、必ず最後まで目を通してくださいね。
- オスとメスは別々に飼育する
- 飼育温度は30度以下にする
- 餌にスイカやメロンは避ける
オスとメスは別々に飼育する
オスとメスを飼う際に、つい仲良く一緒のケースで飼おうとしてしまいがちですが、大きな間違いです。
クワガタのオスは気性が荒いので、メスと一緒にすると敵とみなして傷つけたり、場合によっては殺してしまうこともあるのです。
結果として、一緒に飼育すると寿命が短くなる傾向があるので、長く飼育するためにも別々に飼育しましょう。
どうしても交尾させたいというのであれば、オスの大アゴを輪ゴムなどで縛ってから一緒に飼育しましょう。
一週間ほど交尾は完了するはずですので、その後はまた別々にして、オスの大アゴのゴムも外して自由にしてあげましょうね。
飼育温度は30度以下にする
一番重要と言っても過言ではないのが、飼育温度です。クワガタといえば、夏を代表する昆虫なので暑さに強そうなイメージですが、実は暑さは苦手なので注意が必要です。
具体的な温度でいうと、30度を超えないようにすることです。ここで一番気をつけたいのが「夏の旅行に行く間をどうするか」です。
例えば2泊3日で夏の旅行に行くとして、飼育中のクワガタをエアコン無しで放置したらどうなるでしょうか?家の中は簡単に30度を超えてしまいますよね。
こういう旅行などの時に飼育するクワガタをどうするかは、しっかりと対策を考えておきたいところです。
餌にスイカやメロンは避ける
クワガタにスイカやメロンなどの餌をあげるのは避けたほうが良いです。理由は、スイカの水分はクワガタには多すぎますし、栄養価が低いこともクワガタには良くないからです。
また、衛生面を考えても数日間スイカを飼育ケース内に入れておくと、暑い夏場では簡単に腐ってしまいます。
飼育する側も飼育ケースで悪臭がしたら、クワガタを飼うテンションはガタ落ちですよね。
ちなみにクワガタにスイカを与えると、お腹を壊して死んでしまうといわれたりしますが、明確な根拠はありません。いずれにしてもクワガタにスイカやメロンはNGですよ。
クワガタの越冬時の飼い方
クワガタの中でも、オオクワガタ、ヒラタクワガタやコクワガタなどは冬眠します。大体気温が15度を下回ると活動が鈍くなって冬眠します。
クワガタを冬眠させるには、飼育ケース内のマットを高さ7~8分まで押し固めずに入れて、マット内には1~2本程度の木材を入れておくと良いです。
昆虫ゼリーは冬眠するまで入れておきますが、冬眠中は一切不要です。ただし、冬眠から覚めて活動再開する3月前後になったら、再び昆虫ゼリーを入れておきましょう。
ちなみに冬眠する種類のクワガタでも、気温を23~25度程度に保てば、冬眠しません。ただしその場合は、冬眠したクワガタに比べると短命となります。
クワガタは何年くらい生きるの?
飼育にも慣れてきてクワガタに愛着を持てるようになると気になってくるのが、クワガタはどのくらいの期間生きるのかということです。
結論から言うと、クワガタの種類によって大きく変わるということです。越冬するクワガタは約2〜3年で、越冬しないクワガタは3〜4ヶ月が寿命となります。
日本でよく見かけるクワガタでいうと、越冬するのは、オオクワガタやコクワガタです。越冬しないクワガタは、ミヤマクワガタやノコギリクワガタとなります。
クワガタを産卵させてみたい
クワガタを飼育に慣れてくると、産卵もさせてみたいと思うこともありますよね。クワガタのメスは一部の種類を除いて、朽木の中に卵を産みます。 ここでは朽木の中に産卵するケースについて紹介します。
まずは、交尾したメス用の飼育ケースを準備しましょう。はじめに太めの朽木を3時間位水に浸したあと、飼育ケース内に敷き詰めます。そして、マットを朽木の間やその上に埋め込んでいきます。
ここでメスを飼育ケース内に入れましょう。そうするとメスは、7月後半から9月にかけて朽木の中に産卵します。10月〜11月になったら朽木を取り出して割ってみると、中に幼虫がいるはずです。
幼虫の簡単な育て方は「菌糸ビン」を使うことです。菌糸ビン内にクワガタの幼虫を入れて後は放置。成虫になるまでにビンを3回ほど交換しますが、それ以外に手入れは一切不要ですので、とても簡単に成虫まで育てられますよ。
クワガタの飼い方が分かったら、飼育用品を揃えよう!
クワガタの飼育方法は、シンプルで難しくはありません。一度飼育用品を揃えて準備してしまえば、あと気をつけるべき点は以下の3つです。
- 週に1回は昆虫ゼリーを交換する
- マットが乾いたら霧吹きをする
- 温度は30度以下をキープする
どれをとっても難しいものは何1つもありませんね。初めてクワガタを飼う場合でも、全く問題はありません。
それでは最後に、クワガタの飼育用品をいくつか紹介していきたいと思います。飼育に必要なものを厳選したので、クワガタ飼育の参考になりますよ。
これさえ揃えれば、不便なく楽しくクワガタ飼育できるようになるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
たったこれだけのことで、迷いなくクワガタを飼育できます。更に興味があれば「完全変態」の生体も学べるので、ぜひクワガタの飼育にチャレンジしてみましょうね。