テレワークが普及する中、会社と自宅、外出先を繋ぐことができるVPN対応ルーターが注目を集めています。
しかし、いざ導入をするとしても「どのようにVPN対応ルーターを選べばよいのか」、「そもそもVPN対応ルーターについてよく理解していない」と困ってしまうこともありますよね。
この記事では、VPN対応ルーターについての概要やメリット・デメリット、実際にVPNを接続する方法など幅広く紹介しています。ぜひ最後まで読んで、VPN対応ルーターを導入する参考にしてみてくださいね。
出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3294469?title=%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%8F%E3%83%96&searchId=682747487
VPN対応ルーターとは
VPNは、仮想専用線(Virtual Private Network)のことを言います。つまり、VPN対応ルーターとは、VPNを構築する機能を持ったルーターのことです。
VPN対応ルーターは、設置することで外部から自宅や会社のネットワークにアクセスできるようにするものです。一般的な使い方としては、テレワークで自宅から社内ネットワークに接続するという例が挙げられます。
つまり、VPN対応ルーターが設置されている会社から自宅のPCまで仮想のLANケーブルが繋がっており、テレワークなどにおいてその回線を使った社内ネットワーク内の仕事が可能になるというイメージです。
次の見出しでは、VPN対応ルーターを使うメリット、デメリットについて説明します。
VPN対応ルーターのメリット
VPN対応ルーターのメリットは以下の2つが挙げられます。それぞれ見てみましょう。
- 低コストで簡単に導入できる
- どこからでもアクセス可能
低コストで簡単に導入できる
専用線を設置する際は、初期費用や毎月の回線使用料など莫大な費用がかかります。また、システムやネットワークの変更設定で時間も多く必要になります。
それに比べてVPN対応ルーターでは、今使っているルーターから置き換えるだけなので、費用も時間もそれほどかけずに導入することが可能です。
どこからでもアクセス可能
VPN対応ルーターは有線LANのように使用範囲が限られず、インターネットが使える環境であればどこの外出先からでも使用することができます。
VPN対応ルーターのデメリット
続いて、VPN対応ルーターのデメリットを以下に2つ挙げました。それぞれ確認しましょう。
- 運用管理の負担が大きい
- セキュリティや品質にリスクがある
運用管理の負担が大きい
VPNのネットワーク構築や日常的な運用管理・メンテナンスは自身で行います。ですので、社内にVPN対応ルーターを設置する際は、VPNに詳しいスキルを持った人材を確保する必要があります。
社内で「使用しているPCを買い替えた」、「回線の接続が遅い」などのサポートにも労力がかかるので、会社の負担は少なくありません。
セキュリティや品質にリスクがある
通常、VPN対応ルーターには通信時にデータの暗号化・復号化を行う「VPNゲートウェイ」という機能がついています。
しかし、VPNはインターネット回線を利用する仕組みのため、セキュリティの脆弱性をついた攻撃を受ける可能性があります。
また、インターネットのアクセスが集中すると回線速度が遅くなったり、切断されてしまうなどの通信障害を起こすことがあるので注意が必要です。
このように、VPN対応ルーターには魅力的なメリットもあれば、リスクのあるデメリットも存在します。次の見出しではVPN対応ルーターを選ぶポイントを2つ紹介していきます。
VPN対応ルーター選択ポイント①セキュリティ機能はあるか
VPN対応ルーターを選ぶ際は、以下に挙げた5つの機能を備えているか確認しましょう。
- ファイアウォール機能
- IDS・IPS(不正侵入検知・防止システム)
- アンチウイルス・アンチスパム機能
- リモートアクセス機能
- プロキシ機能
製品によって、VPN対応ルーターの機能は異なります。セキュリティ面は今後使用していく上で必ず影響を与えてくるものですので、VPN対応ルーターを実際に購入する前に必ず確認しましょう。
VPN対応ルーター選択ポイント②最新プロトコル対応しているか
VPNにはプロトコルという「インターネットを通信する際の約束事」が定められています。このVPNのプロトコルが異なるとうまく通信接続をすることができません。
以下にVPNのプロトコルを5つ挙げました。上から順に古いプロトコルとなっています。それぞれ確認しましょう。
- PPTP:標準的な方式で、セキュリティは強くない。MacOSやiOSは非対応。
- L2TP/IPsec:回線速度が遅く、ファイアウォールにブロックされることがある。
- SSTP:セキュリティは強いが一部のデバイスにしか対応していない。
- IKEv2:セキュリティ、回線速度ともに優れている。モバイル向き。
- OpenVPN:セキュリティ、回線速度に優れており、柔軟性がある。オープンソースであるため、開発が進んでいる。
古いプロトコルでは対応していない機器が多いだけではなく、性能も劣ります。できるだけ新しいプロトコルに対応したVPN対応ルーターを選びましょう。
Windows10でVPNを接続する方法
ここまで読んでいただくと、VPN対応ルーターを選ぶ際の大切なポイントについておわかりいただけたかと思います。次は、実際にVPNを接続する方法について説明していくのでしっかり確認しましょう。
まずはVPN対応ルーターを設置し、メーカーの説明書に従って設定をしていきます。その次に、PCをVPNに接続するという流れです。
この見出しではWindows10の場合の接続方法について紹介します。まずはVPNプロファイル設定手順を以下に載せました。
- スタートボタン>「設定」>「ネットワークとインターネット」>「VPN」>「VPN接続を追加する」の順番でクリックする
- 「VPNプロバイダー」をクリックし、「Windows(ビルトイン)」を選択する
- 「接続名」に任意で決めた名前を入力する
- 「サーバー名またはアドレス」にVPNサーバーのIPを入力する
- 「VPNの種類」で該当する接続方法を選択する
- 「サインイン情報の種類」で該当する項目を選択する
- 必要な情報を入力し保存する
- その他の詳細な設定を行う際は「共有の詳細オプションを変更する」をクリックする
次に、VPNに接続します。以下に載せた手順通りに進められたら作業完了です。
- タスクバーのネットワークアイコンをクリックする
- 「接続名」で入力した名前のVPN接続を選択する
MacOSでVPNを接続する方法
次に、MacOSの場合の接続方法について紹介します。VPN対応ルーターを説明書に従って設置したあと、PCでVPN接続先の追加作業を以下に載せた手順で行います。
- アップルメニューを開き、「システム環境設定」>「ネットワーク」をクリックする
- 接続先を追加するため、+ボタンをクリックする
- 「インターフェース」では「VPN」を選択し、「VPNタイプ」で該当するものをクリックする
- 「サービス名」に任意で決めた名前を入力する
- 「サーバーアドレス」にサーバーのIPアドレス、「アカウント名」にアカウント名を入力する
- 認証設定をクリックする
- 認証に必要な情報を入力する
- 追加情報の設定が必要な場合は「詳細」をクリックして、各情報を入力する
- 「メニューバーにVPNの状況を表示」にチェックを入れ、「適用」をクリックし「OK」を選択する
次に、VPNに接続します。以下に載せた手順で進められたら作業完了です。
- 画面上部のVPNアイコンをクリックする
- 「接続」をクリックする
次の見出しでは、VPN対応ルーターを利用する際に注意してほしいことを2つ紹介します。
VPN対応ルーター利用の注意点①運用マニュアルの整備
まず1つ目の注意点は、VPN対応ルーターの運用管理マニュアルを整備しておくということです。
VPN対応ルーターの日常的な管理やトラブル対応は、すべて自身で行う必要があります。そのため導入する前には必ず運用管理マニュアルを作成しましょう。
VPN対応ルーターを運用管理していくには、ネットワーク関係に詳しいスキルを持った人材を確保する必要があります。
そのようなスキルを持った人にマニュアルを作成してもらうことで、引継ぎ時や担当者がいない場合にも役立ちます。
VPN対応ルーター利用の注意点②追加セキュリティが必要か検討
2つ目の注意点は、追加のセキュリティが必要か検討するということです。
VPN対応ルーターはインターネットを介して使用するものですので、セキュリティ面では弱くなってしまうこともあります。この部分を補うためのセキュリティがほかに必要なのか必ず検討してください。
また、商品によってはVPN対応ルーターにセキュリティ機能がすでに備わっていることもあるので、どのようなセキュリティになっているのか商品の説明書を確認しましょう。
VPN対応ルーターで接続環境の整備を!
VPN対応ルーターは、運用面での負担はかかってしまいます。しかし、コストや利便性では優れていますので、この点を重視している企業であれば導入することをおすすめします。
VPN対応ルーターを導入することで日々の業務が効率良くなれば、全体の業務にも良い影響が得られますね。
この記事では、VPN対応ルーターのメリット・デメリットや設定方法、ルーターを選ぶポイントを紹介してきました。ぜひ参考にして、VPN対応ルーターの導入を検討してみてはいかがでしょうか。