子犬を迎え入れて一番最初に悩むことは、「しつけ」についてですよね。いつからどのタイミングで何を始めたらいいのか、しつけと言ってもさまざまなポイントがあります。
この記事では、しつけを始めるタイミングや何から始めたらいいか、順番などをご紹介します。あわせて、しつけの大切さや注意点も伝えします。
子犬のしつけに悩んでいる方やしつけをしっかり理解したい方は、是非最後まで読んでみて下さい。
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犬のしつけを始めるのはいつからがいいの?
犬のしつけを開始するのに適しているのは、社会化期が始まる生後2~3か月と言われています。
生後2か月以前からしつけをしようとしても、脳が未発達のため、覚える・理解することが基本的に出来ません。
しかし最近は、法律で生後56日以下の動物引き渡しが禁止されているので、迎えいれる子犬は最短でも生後2~3か月のはずです。
よって、おうちに迎えたタイミングですぐにしつけを始めていいと言えるでしょう。
犬の年齢を人に換算すると?
犬は人の年齢よりも早く成長し、なんと1年で人間のほぼ成人年齢になります。
下の表を見て頂くとわかる通り、まだ小さく子犬だと思っていてもあっという間に大きくなります。
なので、しつけを始めるタイミングは生後2か月を超えたら出来るだけ早い方がいいのです。
犬の社会化期とは?
犬の個性を決めるには、【犬種】【遺伝】【環境】の3つの要因があります。
中でも【環境】で最も影響力があるのが、「子犬の社会化期にどのように過ごしたか?」どうかです。
社会化期とは、外からのさまざまな刺激を受けて社会に順応していくことを学ぶ時期であり、どういった過ごし方をするかでその後の個性や癖に影響が出ます。
社会化期を迎える生後4週頃からは、脳が急激に発達するので、犬生の中でひときわ強い好奇心と高い学習力を発揮する時期でもあります。
最低限必要な犬のしつけとは?
一言で犬のしつけと言っても、たくさんの種類があり、最初からすべてのしつけを子犬に教えるのは難しいですよね。
そこで今回は、子犬を家に迎え入れたら最低限教えておきたいしつけを、大きく4部類に分けご紹介します。
- 信頼関係を築くためのしつけ
- おうちの中の生活に合わせたしつけ
- 犬を守るためのしつけ
- 他者を攻撃させないためのしつけ
コミュニケーションに必要なしつけ
名前を覚えてもらったりアイコンタクトをしたりすることは、大切なコミュニケーションの第一歩です。より信頼関係を深めるために、お互いに基本的な触れ合いに慣れていきましょう。
それでは、コミュニケーションに必要なしつけを3つご紹介します。
- 名前を覚えてもらう
- アイコンタクトをとる練習
- スキンシップ(目の周りなど体のどこを触られても大丈夫)
スキンシップは、ただ触るだけでなく、「耳の中」「口の中」など犬が身体のどこを触られても嫌がらないよう慣れさせておくことも含みます。
身体全体を触ること慣れていると、歯の手入れや身体の異常をいち早く見つけるなどのメリットがたくさんあるので、スキンシップはとても大切な行為なのです。
おうちの中の生活に合わせたしつけ
「どこに排泄させるのか?」「入ってはいけない場所」など、おうちの中で使うルールを教える必要があります。家庭によって決まり事は異なりますが、最低限「トイレ」「ハウス」の場所は教えてあげてください。
それでは、おうちの中の生活に合わせたしつけを4つご紹介します。
- トイレトレーニング
- ハウストレーニング
- 入ってはいけない場所を教える
- 噛んで良い物悪い物を教える
子犬は、好奇心旺盛なので、いろいろなものを噛んだり振り回したりしてみたいものです。
噛んで良い物と悪い物を教えるために、おもちゃを与えて一緒に遊び、「このおもちゃが噛んでいい物」と犬に認識してもらうことから始めましょう。
犬自身を守るためのしつけ
子犬にとって外は音や光、他の生物などの刺激がたくさんある場所です。刺激が強い環境でも興奮したりパニックになったりすることを防ぐために、飼い主が犬をコントロールするしつけを教える必要があります。
それでは、犬自身を守るために必要なしつけを4つご紹介します。
- おすわり
- まて
- 呼び戻し
- 散歩時のリーダーウォーク
他者を攻撃させないためのしつけ
犬の中では、飼い主や飼い主以外に対して、吠えたり噛みついたりする子がいます。
子犬の時は、「甘噛みで痛くないから」「じゃれているだけ」と噛み癖を気にしなかったとしても、成犬になればそうはいきません。
飼っている犬が原因で、自分や他者がケガをする、もしくは怖い思いをするなんてことは絶対にあってはいけないのです。その為には、しっかり知識をもって早いうちから対策をしていくことが大切です。
それでは、他者を攻撃させないためのしつけを2つご紹介します。
- 吠え癖対策
- 噛み癖対策
犬のしつけはどうして必要なの?
そもそもどうして「しつけ」が必要なのかご存じですか?しつけとは、人間と犬が共存し、幸せに暮らすために必要なマナーやルールを指します。
よって、ただ犬を「おりこう」にするための指示ではないのです。
飼い主が正しく理解し、しつけをすることで、犬は安心して人間社会で生活することができます。
しつけをしないとどうなるの?
では、逆にしつけをしないとどうなるのか?考えられる問題行動を例を5つあげてみましょう。
- 家の物を壊す(いたずらをする)
- 他者へ吠えたり噛みついたりする
- 拾い食いをして体調を壊す
- 驚いて逃げ出し交通事故にあう
- 散歩のときにひっぱる癖があり飼い主が転んでケガをする
どうでしょう?世の中でもよく「問題犬」と言われる時、例にあげられる行動ですね。
他者はもちろん、飼い主や犬にとっても危険であり、ケガや命に関わってからでは遅いですよね。
こういった危険を回避するためにも、「しつけ」は犬を飼う上で最も大切なことなのです。
子犬のしつけのスタートは「いろいろな体験をさせること」
一番最初に始める子犬のしつけは、色々な場所や物、人や生物に触れる機会・体験を1つでも多く作ってあげることです。
特に、掃除機など大きな音がする生活音は、害がないことを早いうちから子犬に教え、慣れさせておくことで無駄吠えを防ぎます。
さらに、動物病院やトリマーなどに早くから連れて行くことで環境に慣れるので、飼い主以外に触られる恐怖心や不安を和らげてあげることが出来ます。
最初が大事!犬にしつけを教える時の5大ポイント
ここまで、しつけはなぜ大切なのかをお伝えしてきました。しかし、ただ方法通り犬にしつけ教えるだけでは、残念ながら覚えてもらうことは出来ません。
犬との信頼関係を築き、スムーズにしつけを教えるためにとても重要な5つのポイントをお伝えします。
- アイコンタクトを大切にする
- しつけは1回につき短時間でおこなう
- 上手に出来たらかならず毎回褒める
- 失敗しても絶対に怒らない
- 教え方や呼び方は家族で統一する
アイコンタクトを大切にする
しつけやコミュニケーションを行う上で大切なのは、アイコンタクトがとれることです。
例えば、人と話す時に、「目を見て話す」と「目を見ないで話す」ではどちらの方が興味があるように感じますか?
もちろん、「目を見て話す」ですよね。これは犬のしつけにも同じことが言えます。
飼い主が「今あなたに伝えている」と意思を表し、犬は「集中しなければならない」と感じることが出来るので、アイコンタクトをお互い意識することが重要です。
しつけは1回につき短時間でおこなう
人間の子どもが集中できる時間は約45分と言われていますが、犬の集中できる時間ってどのくらいかご存じですか?
実は、成犬でも集中できる時間は、長くても5分程度といわれています。
なので、しつけをあまりにも長く教えようとしてしまうと、犬は疲れたり飽きたりしてしまいます。
しつけをおこなう時は、1回につき5分以内に終わらせること、短時間の間に連続しておこなわないことを意識してみてください。
上手に出来たらかならず毎回褒める
「おすわり」や「マテ」など一度マスターしたしつけも、ちゃんと従った場合は必ず直後に褒めてあげて下さい。
「褒める」という行為までが一連の動作にあたるので、褒めないことで「どうしてできたのにいつもと違うんだろう?」と混乱してしまいます。
さらに、犬を褒めることで、スキンシップや信頼関係の構築に繋がります。
出来ることが分かっていても、必ず最後には褒めてあげることを忘れないであげてください。
しつけ訓練中に失敗しても絶対に怒らない
どんなしつけをする上でも、絶対に守らなければいけないのが「失敗しても怒らない」ということです。
例えばトイレトレーニングをしている時に、指定した場所で犬が上手に排泄できなかったとしても、声をあげたり怒ったりしてはいけません。
失敗したタイミングで怒ってしまうと、「排泄することが悪い事」と覚えてしまうので排泄を我慢するようになってしまいます。もし失敗してしまった場合は、声を発せず無表情のまま淡々と処理することが大切です。
このように「失敗を怒る」という行為は、健康を害したり性格に影響が出たりしてしまうことがあるので注意しましょう。
教え方や呼び方などのルールは統一する
犬は、しつけの仕方や呼び方などのルールが統一されていないと困惑してしまいます。
特に、自分以外に家族がいる場合などはルールの統一に注意してください。
では、ルールが統一されていないよくある例を4つご紹介します。
- 「はなこ」という名前を付けた場合、「はなちゃん」「はな」など異なる呼び方をしてしまう
- 家族によって入っていい部屋が違う
- おやつをあげるタイミングが違う
- 「マテ」「ステイ」のように、同じ意味の指示でも言葉がバラバラ
子犬を迎えたらまずは何をいつから教えたらいい?
冒頭で「しつけを始めるタイミングは生後2~3か月頃」とお伝えしたように、最低限のしつけは、子犬を迎え入れたらすぐに同時進行で始めることをおすすめします。
理由は、子犬は1か月の短い間にもどんどん成長するので、好奇心旺盛で知識の吸収力が高いうちにしつけた方が早く覚えることが出来るからです。
しかし、初めて犬を飼う方が同時にしつけを教えていくのは、少しハードルが高く感じてしまうかもしれません。
そこでまずは、【おうちの中の生活に合わせたしつけ】と【他者を攻撃させないためのしつけ】から教えていきましょう。「子犬を迎えてからすぐ」と「環境に慣れてきたら」の2ステップに分けてご説明します。
子犬が家に迎えてすぐ
子犬を家に迎えたタイミングは、お互いまだ信頼関係が築けていない状況です。
今後の信頼関係をしっかり作る為にも、迎え入れた後すぐに教え始める必要があるしつけを3つご紹介します。
- 子犬自身の名前を教える
- スキンシップ(アイコンタクト含む)
- ハウス(自分の居場所)を教える
子犬が慣れてきたら
数日一緒に過ごし、徐々に慣れ始めたら次のステップに移ってみましょう。子犬が慣れてきたら始めるしつけを4つご紹介します。
- トイレの場所を教える
- 入ってはいけない場所を教える
- 吠え癖対策
- 噛み癖対策
散歩などで外に出る時に必要なしつけはいつから教えるの?
子犬は免疫力の問題から、最後のワクチンを接種してから約2週間後からお散歩を開始できます。
先述しましたが、お散歩は子犬にとって刺激がとても強いので、飼い主がコントロールしてあげられないと思わぬ事故に繋がります。
家の中でのしつけを教え始めた後は、次のステップとして「危機回避をするためのしつけ」を教え始めましょう。
- おすわり
- まて
- 呼び戻し
- チョーダイ/はなせ
- 散歩時のリーダーウォーク
子犬のしつけはいつから何をするの?まとめ
子犬のしつけは、生後2か月以降であれば家に迎えてすぐに教える必要があります。まずはしつけのスタートとして、好奇心が旺盛になる社会化期にいろいろな体験をさせてあげることが大切です。
実際に飼い主が教える必要があるしつけには、大きく分けて【信頼関係を築くため】【おうちでの生活のため】【犬を守るため】【他者を攻撃させないため】の4つの部類があります。
これら4部類のしつけは、同時進行で教えていくことが望ましいですが、初めて犬を飼う方には少しハードルが高く感じるかもしれません。
その場合は、【子犬を迎えてすぐ】【子犬が慣れてきたら】【基本的なおうちでのしつけを教え始めたら】のようにステップを踏んで教えていくことをおすすめします。