ふとした瞬間に犬が足をなめてくると、「なぜだろう?」と不思議に思いますよね。
この記事は、「なぜ犬は足をなめてくるの?」「どうやってしつけたら足なめを辞めてくれる?」と気になっている方にうってつけです。
具体的には、犬が足をなめてくる4つの理由や足なめを辞めさせる正しいしつけ方、病気の危険性などを解説しています。また、「犬のしつけ教室」についても紹介!
この記事を読んで犬の気持ちを理解すると、今よりさらに愛犬との距離が近づき、幸せなドッグライフを送れますよ。ぜひ、最後までご覧ください。
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どうして犬は足をなめてくるの?4つの理由
犬が足をなめてくる行為には、一体、どんな理由があるのでしょうか?
実は、きちんとした理由があるのです。ここでは、犬が足をなめてくる4つの理由を紹介します。
- 情報を得るため
- 仲間と認めたため
- 塩分を摂取するため
- 傷を治すため
これらは主に、犬の習性や本能が関係していますよ。一つずつ詳しく解説していきますので、気になる理由だけでも、ぜひ読んでくださいね。
情報を得るため
犬は、さまざまな匂いが集まって発生する「混合臭」にとても敏感です。この混合臭を嗅いだりなめたりすることで、人の個性や情報を本能的に記憶します。
また、混合臭は喜怒哀楽の感情で変化するため、人の感情を読み取ることも可能です。
「犬は犬好きな人と犬嫌いな人を判別できる」という話は、嗅いだりなめたりする行為で情報を得ているからだといえますね。
仲間と認めたため
犬は本来、群れで行動していた動物です。足をなめる行為は、その群れの一員、つまり仲間として認めたということになります。
また、尊敬や服従の意味が込められているともいわれていますよ。犬よりも人が上に立つ関係性が理想とされているため、足をなめてくる行為は良い関係を築けている証ですね。
塩分を摂取するため
人より摂取する量が少ない塩分ですが、とはいえ犬にとって必要な栄養素です。
犬は塩分が足りないと食欲不振などになり、健康状態に影響を及ぼしてしまいます。
汗をかきやすい足をなめることで、適度に塩分を摂取しているといえますね。
傷を治すため
犬は傷口をなめる習性があります。これは、唾液に含まれている物質が殺菌効果を発揮し、傷を治してくれることに関係しているのです。
このことから、あなたの足に傷がある場合、犬は傷口を治そうと執拗になめることがあるでしょう。
しかし、「傷を治すためになめてくれている」と喜んではいけません。後述しますが、傷口をなめられると感染症のリスクが高まり、危険だといわれています。
足をなめてくる犬はどんな気持ち?3つの願い
犬が足をなめてくる理由について理解したところで、次は足をなめている犬の気持ちについて見ていきましょう。
足をなめてくる犬の気持ちとして、主に以下3つが挙げられますよ。
- 遊んで欲しい
- 慰めてあげたい
- 愛情が伝わって欲しい
人からすると、足をなめる行為はなかなか理解し難いものですが、犬は上記のような気持ちで足をなめています。
犬の気持ちを理解することで、より深いコミュニケーションを図れるようになるでしょう。
遊んで欲しい
足をなめられると、あなたはどんな反応を示しますか?人の足は、全身の4分の1の骨や多くの神経などが集まる「第二の心臓」ともいわれています。
感覚が鋭い足をなめられたら、多くの方が驚いたり、くすぐったくて声をあげたりするでしょう。犬はこの反応を見逃さず、忘れません。
足をなめることで飼い主が大きく反応してくれると認識すれば、「遊んで欲しい」「構ってほしい」と思ったときに足をなめるようになるのです。
慰めてあげたい
あなたは、怒ったときや泣いたときに足をなめられた経験はありませんか?前述したように、犬は匂いを嗅いだり体をなめたりすることで感情を読み取っています。
負の感情を察知すると、「どうしたの?大丈夫?」「元気出して!」と慰めてくれるのです。筆者が飼っていた犬は、泣いているときにそっと足をなめて、慰めてくれました。
誰しも、怒っている人や泣いている人には近寄りづらいですよね。犬も同じく、様子を伺いながら、一番遠い距離にある足をなめることが多いのでしょう。
愛情が伝わって欲しい
前にも述べましたが、犬が足をなめるのはあなたを仲間として認識し、ひいては尊敬の意を示しています。
言葉が話せない犬は足をなめることで、信頼・尊敬・服従だけでなく、愛情までもを伝えているのです。
また、なめる行為は幸福度が上がるともいわれています。犬はあなたと「幸せ」を共有したいのでしょう。
足をなめてくる犬と足をなめてこない犬の違い
足をなめてくる犬がいれば、足をなめてこない犬もいるでしょう。
その違いは、犬の性格によるものだと考えられます。犬にも個性があり、人懐っこい犬や好奇心旺盛な犬、シャイな犬、臆病な犬とさまざま。
積極的な性格の犬は、足をはじめとするいろいろな部位をなめてきます。人とたくさんコミュニケーションを図りたいと思っているのです。
一方、消極的な性格の犬は、ほとんどが人の体をなめてきません。一定の距離感を保ちながら表現できる、鳴き声や尻尾で気持ちを示します。
約40倍以上の嗅覚!?人より優れた犬の鼻の秘密
積極的な犬も消極的な犬も、鼻から感じる匂いは同じです。ここでは、犬の優れた嗅覚について、より理解を深めてみましょう。
人と同じように、犬は鼻腔奥にある「嗅細胞(きゅうさいぼう)」という粘膜細胞で匂いを感じており、その数は人と比較して約40〜44倍といわれています。また嗅細胞自体のレベルも、犬の方が優秀です。
このことから、犬にとっての鼻は、人にとっての目と言い換えられるでしょう。参考までに、犬の五感に関する表をまとめてみました。
五感 | 利用度 |
嗅覚 | 100% |
聴覚 | 70% |
視覚 | 50% |
味覚 | 20% |
触覚 | 10% |
足には、犬が過剰に反応する混合臭がぷんぷんと漂っています。犬の五感において100%の利用度を占める嗅覚が反応し、足をなめる行動に至るのは必然的といえますね。
犬が足をなめてくるのは危険?注意点2つ
あなたにとって、犬が足をなめてくる姿はどこか微笑ましく感じるでしょう。
しかし以下の状態のときには、足をなめさせないように注意してください。
- 足に傷を負っているとき
- 足が汚れているとき
足に傷を負っているときはあなたに、足が汚れているときは犬に、悪影響を及ぼしかねません。
足に傷を負っているとき
足に傷を負っているときは、傷口の大小にかかわらず、犬に足をなめさせてはいけません。
なぜなら、傷口からバイ菌が入り、症状が悪化してしまうからです。痛みや痒みがひどくなり、完治するまでの期間が長引く可能性もあります。
したがって、足に転んだときの擦り傷がある場合などには、足をなめさせないようにしましょう。
足が汚れているとき
足は立ったり歩いたりと、1日においてほとんどの割合で使用しています。そのため、頻繁に汗をかく部位だといえるでしょう。
また、靴下を履いている場合は蒸れて、より一層バイ菌が繁殖しています。バイ菌だらけで汚れている足をなめさせるのは、控えてください。
汚れている足をなめさせると、そこからバイ菌が犬の体内に移り、体調不良になってしまいかねません。足を常に清潔にしておくよう、注意しましょう。
最悪の場合は死に至ることも!?
前にも述べたように、足に傷を負っているときは足をなめさせてはいけません。傷口からバイ菌が入り、さまざまな感染症を引き起こす可能性があるためです。
どんな病気にかかってしまうのか、具体的に見ていきましょう。主な病気は、以下2つが挙げられます。
- パスツレラ症
- カプノサイトファーガ感染症
どちらも、最悪の場合は死に至ってしまう恐ろしい病気です。犬と幸せに暮らしていくためにも、しっかりと理解しておいてくださいね。
パスツレラ症
パスツレラ症は、近年患者数が増えてきている感染症の一つです。
噛まれる、引っ掻かれる、傷口をなめられるなどで感染してしまいます。また、パスツレラ菌を吸い込んでしまうことで感染する可能性もあるので、気をつけてください。
- 炎症(関節炎・骨髄炎)
- 発熱
- 激痛
- 敗血症
- 肺炎
- 気管支炎
- 副鼻腔炎
傷口をなめられて異変を感じたら、すぐに病院で診察を受けましょう。早急に抗生物質を投与すれば、大事に至らない場合が多いといわれています。
カプノサイトファーガ感染症
カプノサイトファーガ感染症は、患者数が少ない病気です。その理由は、感染していることに気づかないほど、発症率が低いからだといわれています。
犬の口内に常に存在する菌なので、いつ感染してもおかしくない病気でしょう。噛まれたり引っ掻かれたり、傷口をなめられたりすることで感染してしまいますよ。
- 発熱
- 頭痛
- 腹痛
- 倦怠感
- 吐き気
- 敗血症
- 髄膜炎
- 多臓器不全
発症率が低いといえど、実際に死亡例が挙がっている恐ろしい病気です。傷口をなめられたら、すぐに石鹸で洗って清潔にし、病院で診てもらいましょう。
足をなめてくる犬の正しいしつけ方
犬に足をなめさせないためには、あなた自身が冷静になって指示を出してあげることが大切です。
足をなめてきたら、「待て」や「おすわり」などと声をかけてください。指示に従えたら、顔を犬の目の高さに合わせて、思い切り褒めてあげましょう。おやつを与えるのも効果的ですよ。
なかなか言うことを聞いてくれない場合は、きちんと叱ることも重要です。犬は、時間が経ってから叱られても、何に対して怒られたのか理解できません。
そのため、足をなめてきた瞬間に「ダメ」と伝えましょう。2〜3度注意しても辞めないときは、首根っこを強く抑えて叱るのがベストです。
大きな声で荒々しく叱ると犬は指示を聞かなくなり、かえって関係性が悪くなってしまいます。落ち着いた声でしつけるように、心がけてくださいね。
ずっと足をなめてくる犬に悩んでいる方へ
「何度叱っても足をなめ続けられて困る…」という方は、犬のしつけ教室を検討してみてはいかがでしょうか?
犬のしつけ教室には、さまざまな種類があります。種類と特徴についてまとめたので、ぜひ参考にしてくださいね。
種類 | 特徴 |
保育園や幼稚園 |
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ドッグトレーナー |
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動物病院 |
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ペットショップ |
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表最下部の条件付きに関しては、該当のペットショップで購入した犬に限るケースが多いといわれています。
しつけ教室を利用することで、しつけの秘訣を聞けたり、コミュニティーが広がったりなど、犬に対する理解が深まるでしょう。
足以外をなめてくるのはなぜ?犬はこんな気持ち!
あなたは足だけでなく、手や顔などをなめられた経験はありませんか?
実は、犬がなめる部位によって意味合いは変わるといわれているのです。
- 手や腕をなめてくる
- 顔をなめてくる(口の周り)
- 顔をなめてくる(鼻や耳)
さっそく、犬がなめる部位によって異なる気持ちや理由について見ていきましょう。あなたが気になる部位だけでも、ぜひ読んでみてくださいね。
手や腕をなめてくる
落ち着いた状態で手や腕をなめてくるのは、「甘えたい」「撫でてほしい!」といった気持ちです。
また、尻尾を振りながらなめてくるときは、「遊んで欲しい!」というような気持ちが込められています。
特に手は、おやつをもらったり撫でてもらったりと、犬にとって一番人と触れ合う部位です。愛情を感じる部位でもあるため、信頼感・安心感からなめているといえますね。
顔をなめてくる(口の周り)
低い姿勢で口の周りをペロペロとなめてくるのは、尊敬を意味しています。自分より目上の存在の口周りをなめることが、犬にとっての挨拶なのです。
また、耳を折ってウキウキした状態で口の周りをなめてくるときは、大きな愛情表現といえます。口周りをなめる行為は、「だいすき!」「信じているよ!」と伝えているんですね。
別の意味では「お腹が空いたよ」と表現しているケースです。犬は母犬の口周りをなめて、空腹をアピールする習性がありました。その名残りともいえますよ。
あなたが食事をした後に口周りをなめられる場合は、「何を食べたの?」と気になっている可能性があります。嗅覚が鋭い犬ならではの行動です!
顔をなめてくる(鼻や耳)
顔において、特に鼻や耳を執拗になめられる場合、塩分を摂取している可能性が高いです。なぜなら鼻や耳は、意外にも塩分を含む分泌物がたくさん溜まる部位だからです。
また、皮脂などが集まる鼻や耳は混合臭を発生しており、犬はこの匂いに大きく反応します。このため、感情を読み取っていることも考えられるでしょう。
そもそも、犬が顔全体をなめてくることには、深い愛情の気持ちが込められています。よって、「好き!」「甘えたい」などと表現している可能性もありますよ。
足をなめてくる犬と上手に付き合おう!
この記事では、犬が足をなめてくる理由や気持ちを解説しました。
犬が足をなめてくるのは、習性や本能が関係しています。また、犬からあなたへの意思表示でもあることがわかりました。
その他、病気のリスクや足なめの対処法についても触れています。上手にしつけができなくて困っている方は、紹介した犬のしつけ教室を参考にしてくださいね。
犬にとってあなたは、世界でたった一人のパートナーなのです。この記事を読んで犬の気持ちを理解し、愛犬と今よりさらに絆を深めていきましょう!