「サステナブルファッション」という言葉をよく聞くようになりました。環境破壊や格差社会など、世界全体のデメリットを改善していこうという動きが広がっています。
「環境に良いこと」と聞くと、協力したい気持ちはあります。しかしサステナブルファッションのメリットやデメリットがわからないと、具体的にどう行動すれば良いかわからないですよね。
サステナブルファッションは決してメリットばかりではありません。この記事では、メリットと比べてあまり聞かない「サステナブルファッションのデメリット」について紹介しています。
この記事を読むとサステナブルファッションのデメリットがわかり、サステナブルファッションをより理解できるでしょう。メリットだけでなくデメリットもしっかり把握して、自分でできることを考えていきましょう。
(アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%e6%9c%a8-%e6%ad%bb-1%e4%ba%ba-%e3%81%95%e3%81%bf%e3%81%97%e3%81%84-%e5%ad%a4%e7%8b%ac-2649411/)
サステナブルファッションは素晴らしい?
2015年9月に国連サミットでSDGsが掲げられてから、私達の身近でもサステナブルファッションを取り入れる企業が出てきました。
「環境に良いから、サステナブルファッションを取り入れることは素晴らしい」と言うのは簡単ですが、サステナブルファッションなら何でも良いという訳ではありません。
なぜなら、今の生産と消費の形になっているのはそれなりの理由があるはずだからです。サステナブルファッションに変えるのであれば、何かしらのデメリットが生じます。
サステナブルファッションのデメリット7選
ものごとの多くはメリットがあればデメリットもあります。サステナブルファッションもその両方を理解しメリットの割合を増やすことで、より理解でき普及していくでしょう。
そのために、ここからはサステナブルファッションのデメリットを7つ説明していきます。
- 定義がよくわからない
- 範囲がわからない
- 効果がよくわからない
- 価格が上がる
- 品質が落ちる
- 選択肢が減る
- 国の考え方に差がある
サステナブルファッションの根本にある環境保全は、いろいろな状況に置かれた世界の人々がみんなで考えていく問題です。1つ1つ詳しく説明しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
サステナブルファッションのデメリット① 定義がよくわからない
1つ目は「定義がよくわからない」です。「サステナブルファッション」という言葉は知られつつありますが、どういうものなのかを具体的に説明できる人はまだ少ないでしょう。
「サステナブルファッション」は、環境省のホームページによると以下のように定義されています。
衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのことを言います。
引用:環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/)
サステナブルファッションの難しいところは、自分が置かれている環境以外の見えない部分も考えなければいけないということです。すべてのプロセスで環境・人・社会に配慮しなければいけません。
もし自分のまわりで環境破壊が急激に進むのであれば、おそらくみんな必死になって何とかしようとするでしょう。
しかし知らない国の環境が少しづつ破壊され、住む人の健康を害することにどれだけ危機感を感じられるでしょうか。どうしても、意識するのは難しいと思います。
サステナブルファッションのデメリット② 範囲がわからない
2つ目は「範囲がわからない」です。一言で「服」と言っても、生地や裏地、ボタン、ファスナー等さまざまな原材料からできています。
生産する企業はできるだけ安く服を作ろうと、海外に工場を作ったり原材料の調達先を探したりしています。調達から物流、労働環境など、どこまで考えればサステナブルファッションと言えるのでしょうか?
また、動物の毛皮を使用することもあります。服を作るために劣悪な環境で大量飼育するのは当然やめるべきですが、動物の権利をどこまで守れば良いのでしょうか?
考えるときりがなく、「すべて完璧でなければサステナブルファッションではない」となるとほとんど無理だと言わざるを得ないでしょう。
サステナブルファッションのデメリット③ 効果がよくわからない
3つ目は「効果がよくわからない」です。あなたは現在、エコバックを持ち歩いていますでしょうか?
2020年7月1日よりレジ袋が有料化されています。1年以上経っていますが、どのくらいの成果があったのか情報がほとんどありません。
環境に配慮するために始めた取り組みですが、CO2排出量は減ったのでしょうか?エコバックを作る方がむしろ石油を消費するという話も耳にします。
過剰包装なども同じですが、全体から考えるとその効果は微々たるものなのではないかと考えてしまいます。
サステナブルファッションのデメリット④ 価格が上がる
4つ目は「価格が上がる」です。今のファッション業界は大量生産・大量消費で価格を下げており、その「服の短サイクル化」が環境破壊につながっていると言われています。
海外の安い労働力を使うことで価格を抑えようとするのも当然のことです。しかし、労働者に適正なお金が支払われない、大量の農薬が使われ労働者の健康を害するなどの問題も出てきています。
これらの問題をサステナブルファッションで適正にしようとすると、当然服の価格に影響してきます。動物の飼育、植物の栽培を適正にするにも、価格が上がることは避けられないでしょう。
サステナブルファッションのデメリット⑤ 品質が落ちる
5つ目は「品質が落ちる」です。現在の服は「長持ちする、丈夫な、肌触りが良い」素材を選んで作られています。
サステナブルファッションで今の素材が使用できないとすると、代替品を使用することになります。しかし代替品が従来のものより「長持ちする、丈夫な、肌触りが良い」ということはなかなかないでしょう。
もちろん同等以上の素晴らしいものができるかもしれませんが、価格は驚くほど上がると想像できます。
現在の服と比べて品質が落ちるものを高い価格で買わなければいけないことに、自分がどのくらい納得できるかがポイントになるでしょう。
サステナブルファッションのデメリット⑥ 選択肢が減る
6つ目は「選択肢が減る」です。サステナブルファッションが広がると、服を大量生産して売れ残りを大量廃棄するファストファッションはなくなっていくでしょう。
「受注生産」のような形が増えていき、気軽にファッションを楽しむ機会が減ってしまうことが考えられます。
サステナブルファッションは長く大切に着ることがポイントになります。長く大切に着ることを考えると、どうしてもシンプルで飽きのこない定番のものが多くなるでしょう。
サステナブルファッションが広がると、ファッションを楽しみたい人には物足りない状況になってしまうかもしれません。
サステナブルファッションのデメリット⑦ 国の考え方に差がある
7つ目は「国の考え方に差がある」です。SDGsは世界共通の目標です。
しかし世界の国は「先進国」と「発展途上国」に分けられます。発展途上国から見ると「先進国が今まで発展するために環境破壊をしてきたのに、自分達には環境破壊をするなと言うのか」と思うでしょう。
また、服のサイクルが長期化したりリサイクルが進んだりすると、発展途上国の労働が減り発展が遅れることも考えられます。
サステナブルファッションは自国の利益を第一とする国どうしの、国際問題の一部だということを理解しておきましょう。
【まとめ】自分ができる範囲で意識していこう
この記事ではサステナブルファッションのデメリットを7つ紹介しました。
ファッション業界は環境負荷が大きい産業と言われています。環境とともに動物、生産者、消費者みんなが幸せを目指すというのはかなり難しい課題と言えるでしょう。
でも先延ばししていては解決しないので、いま生きている私たちがまず行動しなければなりません。とりあえずでも、自分が簡単に始められる行動を以下にあげてみたいと思います。
- 気に入った服を長く大切に着る
- 日常でできるエコは積極的にする
- 環境を考えている企業には協力する
- サステナブルファッションに興味を持つ
サステナブルファッションや環境問題は、少しずつでも普段の生活から心がけることが大切です。自分ができることを行動に移す意識をもつことで、きれいな環境で気持ちよく暮らしていきましょう。