犬を飼い始めて必要なものが「しつけ」。しかし、初めて犬を飼う場合「しつけをいつから始めれば良いのか」「仔犬に何をしつければ良いのか」など分からないことばかりですよね。
この記事では、仔犬にしつけを始める時期や順番、必要なものなど基本的なポイントについて紹介していきます。仔犬とどのように接しながらしつけていけば良いかも紹介しているので、最後まで読んでみてください。
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犬のしつけはいつからするの?
犬を飼い始めたら必要になるものが「しつけ」ですが、仔犬のしつけは2〜3ヶ月頃からスタートするのが良いとされています。
2〜3ヶ月より前の時期は「社会化期」と呼ばれ、犬社会と人間社会で柔軟に対応できる力を育てる時期だからです。この時期はしつけをするというよりも、様々な環境に慣れさせることが重要になります。
- 見たものや聞こえたもの、触れたものをどんどん吸収して学んでいく時期
- 仔犬の性格を成形するのに大切な時期
この時期に仔犬を環境に慣れさせておかないと、外の世界に出た時に環境になかなか馴染めなかったり、成犬になっても警戒心が強くなってしまいまいます。
- 将来交流がある人たちとの触れ合うこと
- 一緒にお出かけする予定のある場所へ連れて行くこと
- 生活音に慣れさせること
動物愛護法が改正されて2ヶ月頃までは犬の販売ができない為、仔犬は社会化期の前半を生まれた両親の元で過ごすことが多いです。仔犬を飼い始められるのは社会化期の後半頃かすでに終わっている時期になります。
しかし、仔犬にとって家族と離れた新しい環境は不安だらけ。あなたとの生活に慣れるまでは社会化期と同じように「環境に慣れさせること」を優先にしてしつけを始めるようにしましょう。
犬に何をしつければ良いのか
家族として初めて仔犬を迎え入れる時に、どんなことをしつければ良いのでしょうか。はじめに教えておきたい基本的な6つのしつけについてまとめてみました。
- 名前を覚える
- トイレ
- ハウス
- コマンド(おすわり、ふせ、待て、おいで)
- 歯磨き
- 家庭のルール
これらは仔犬とあなたが一緒に生活する上で必要なもので、仔犬が人間社会で生きていく中でも覚えなくてはならないものです。
大切なものばかりですが、一気に覚えられるわけではないので一つずつ覚えさせていきましょう。
知っておきたい!しつけをする際の心構え
しつけをするといってもどのようにしつけをしていけば良いのか分からない人も多いと思います。しつけには様々な種類や方法がありますが、全てのしつけに共通する大切な心構えについて説明します。
しつけに上下関係はいらない
以前は「犬は上下関係を作る」「犬は家族の中で偉さの順位をつける」と言われていたので、犬を怒鳴りつけたり、叩いたり、言うことを聞くまで犬の鼻を掴み続けるといった強制的なしつけが一般的でした。
しかし、最近の研究から犬との上下関係は必要ないことが分かってきたのです。力づくでのしつけは、犬とあなたの関係性を壊したり、噛む、吠えるなどの攻撃的な行動を悪化させる可能性があることが分かりました。
あなたと犬の関係は、上下関係ではなく母子関係に近いという意識でしつけを行いましょう。愛情を注ぎながらしつけを行えば犬との信頼関係が築け、あなたと犬にとってストレスのない生活が送れるようになります。
仔犬に対してどう接したら良いのか分からなくなった時には、子供を相手にお世話をする時のことを考えてみると良いですよ。
仔犬の時期の年齢換算表 | |
1ヶ月 | 1歳 |
2ヶ月 | 3歳 |
3ヶ月 | 5歳 |
6ヶ月 | 9歳 |
9ヶ月 | 13歳 |
これは、仔犬を人間の年齢に換算した時の表です。仔犬の月齢に合わせて接し方を工夫してみましょう。
信頼関係を築いてからしつけをする
早い時期からのしつけは大事なことですが焦りは禁物です。仔犬を家族として迎えたら、信頼関係を築くことを第一に優先しましょう。犬も人間と同じで、相手を信用していなければ言うことを聞こうとはしません。
信頼関係がないうちからしつけを始めても仔犬は言うことを聞いてくれないので、しつけが思うように進みません。
スキンシップを取り仔犬の性格を理解する、仔犬が喜ぶ遊びや声かけを見つける、ということをしながらあなたとの信頼関係が築けたら徐々にしつけを始めていきましょう。
犬のしつけに必要なもの3つ
犬のしつけを始める時に必要になるものを3つ紹介します。他にも必要なものはありますが、この3つがあれば最低限のしつけを始めることができます。
- 仔犬にとって安全な環境
- クレート
- トイレ用品
仔犬にとって安全な環境
産まれてきたばかりの仔犬は、何が危険かの判断ができません。危険な物に近づいたり、誤って口に入れてものが原因で大きな事故につながる可能性があります。
人間の赤ちゃんと同じように、飼い主のあなたが仔犬にとって安全な環境を作ってあげることが大切です。安全な環境作りの一例を紹介します。
- キッチンや階段など危険な場所に入らないようにゲートをつける
- 仔犬が誤飲、誤食しそうなものは手の届くところに置いておく
- 仔犬がいたずらをしないように物を隠す
仔犬のいたずらでよく耳にするのが、ゴミ箱をあさる、ティッシュを散らかす、スリッパを噛む、というものです。
このようないたずらは、子犬の頃に習慣化すると成犬になってから直そうとしても難しく犬にとってもストレスになるので、習慣にならないように予防していきましょう。
クレート
クレートとは、犬が移動する時に使うカゴのことです。しつけの一つである「ハウス」を覚えさせる時に使います。
ゲージがあるからクレートは必要ないという意見もありますが、お出かけや災害時にはゲージを使うことはできません。
このような場合を考えるとゲージよりもクレートを用意する方が良いでしょう。
トイレ用品
犬が適切な場所で排泄が行えるようにするにはトイレは必要不可欠です。犬用のペットシートのほかに、トイレマットをペットシートの下に敷くとシートがずれなくてすむので合わせて用意してあげましょう。
トイレマットは種類が豊富にありますが、ゴム製のトイレマットだと汚れても洗えるのでおすすめです。
何から始める?犬にしつける順番
犬のしつけを始める時に、何から教えていけばいいのか分からないこともあるかと思います。
結論を言うと、しつけを教える際の順番はありません。仔犬の種類や月齢によって、覚えやすいものや教えたいものは異なってきますが、犬も一度に教えたこと全てを覚えられるわけではないからです。
一つのしつけが成功するまで他のしつけは教えないというのではなく、様々な場面で少しずついろんなしつけをしていき犬にとって覚えやすい順番でしつけていくと良いでしょう。
【いつから始める?】犬を迎えてすぐに行いたいしつけ
犬のしつけに教える順番はありませんが、ある程度しつけの順番や教えることの例があったほうがしつけのイメージがつきやすいと思うので、犬を迎えてから早い時期に行った方がよい4つのしつけについて紹介します。
- 犬自身の名前を覚える
- アイコンタクトを取る
- トイレのしつけ
- ハウストレーニング
4つのしつけが具体的にどのようなものなのか順番に説明していきます。
犬自身の名前を覚える
あなたやあなたの家族だけではなく、犬自身に名前を覚えてもらいましょう。どのように覚えさせるのかを「ココ」という犬の名前を例にして説明します。
生活の中で「ココ」という名前を意識的に呼ぶようにします。会話の中に名前が多く出てくることで覚えやすくなるからです。
「可愛いね!」→「ココ、可愛いね!」
名前を呼ぶ時のポイントは、犬の名前の呼び方を統一することです。多くの呼び方をすると、犬が覚えにくくなってしまいます。
「ココ」「ココちゃん」「ココっち」(複数の呼び方)→「ココ」
犬がなかなか名前が覚えられない時は、自分の名前で反応した時にご褒美をあげてみても良いでしょう。
アイコンタクトを取る
犬と良い関係を築く為にはしっかり目を合わせてアイコンタクトが取れることが大切です。また、アイコンタクトが取れることで「おすわり」や「待て」といつまた次のステップで教えるしつけがしやすくなりますよ。
アイコンタクトは2つのステップを繰り返し行うことで身についていきます。
- 仔犬を見て名前を呼ぶ
- 名前に反応してアイコンタクトが取れたら褒める
仔犬の名前を呼ぶ時は、1度だけはっきりと仔犬の名前を呼んであげます。何度も名前を呼ぶと犬が混乱する原因になるからです。
仔犬の名前を呼んで、あなたの方をみる、そばに寄るといった反応を見せたら必ず褒めるようにしましょう。この時にしっかりと目が合えばアイコンタクトの成功です。
褒めてもアイコンタクトがなかなか上手くいかない時は、おやつや仔犬が喜ぶご褒美を用意するのも一つです。
トイレのしつけ
犬を室内で飼うのであれば、トイレは早いうちにしつけておきたいしつけの一つです。仔犬の排泄するタイミングを知っておくとトイレトレーニングがしやすくなりますよ。
- 運動後
- 寝て起きた後
- 月齢+1時間
「ご飯の後にはトイレに連れていく」「起きたらトイレに連れていく」など決まったタイミングでトイレに連れて行ってあげるとトイレトレーニングが上手く進みます。
犬が遊んでいる最中は気持ちが高ぶって排泄しやすくなるので、遊びの途中で何度かトイレに連れて行ってあげると失敗を防ぐことができますよ。
「ソワソワして落ち着きがない」「やたらと地面の臭いを嗅いでいる」などの仕草が見られた時は排泄したい合図です。決まったタイミングでなくてもトイレに連れて行ってあげましょう。
犬用のトイレを設置する場所や環境にもいくつかポイントがあります。
- 自由にトイレが出来るようにゲージの中とゲージの外にトイレを設置する
- ゲージの中にトイレを置く時は、寝床とトイレを区別できるように離して置く
- カーペットやクッション、ソファーなどをなるべく置かない
犬はカーペットやクッションなどの柔らかい場所でトイレをしやすいので、なるべく置かないようにしましょう。一度トイレに失敗すると、おしっこが染み込んで臭いがついてしまうので同じ場所で失敗しやすくなります。
ハウストレーニング
ハウストレーニングは、犬に待機させたい場所を覚えてもらう為のしつけです。一般的にゲージやクレートに入るように促すことを「ハウス」と言ってしつけます。
この時に大切なのは、言い方を統一すること。「お家」「ゲージ」「クレート」といった様々な言い方で指示をすると犬が混乱してしまうからです。
ゲージの中にクレートを入れる際には、どちらをハウスと定義するかもポイント。仔犬の頃からクレートに慣らしておくと、人間社会で生活する中でメリットがあるのでおすすめです。
- 公共機関や自家用車を使った外出する時
- 病院やペットホテルなどのサービスを利用する時
- 災害時の避難所での生活
どれもクレートが必要になる機会で、周りの人たちとの関わりが重要になってきます。クレートに慣れておけば「なかなかクレートに入らない」「クレートに入って吠え続ける」などの困った行動を防げますね。
【いつから始める?】犬が環境に慣れてきたら始めたいしつけ
仔犬を飼い始めて2〜3週間が経ち環境に慣れてきたら仔犬の行動を抑制する指示を覚えさせていきます。アイコンタクトが取れるようになり、仔犬との信頼関係が築けてきた頃を目安に始めると良いでしょう。
また、この時期にしつけとして歯磨きや家庭のルールを覚えさせると習慣化されやすいのでおすすめです。
- コマンド(おすわり、ふせ、待て、おいで)
- 歯磨き
- 家庭のルール
コマンド(おすわり、ふせ、待て、おいで)
コマンドは英語で「命令」という意味があります。しつけにおいては、「あなたが仔犬に対してして欲しい行動を起こさせるために指示を出すこと」がコマンドです。
何故コマンドをしつけるのかというと、仔犬を危険から守ったり他の犬や人に迷惑をかけないようにするために必要だからです。
コマンドトレーニングをしておくと知らない人やものに対して吠える、急に道路へ飛び出す、勝手に遠くへ走るというような行動をを防ぐことができます。
- ふせ
- 待て
- おいで
犬に「座る」という行動をして欲しい時に「おすわり」という言葉や合図を出してコマンドトレーニングをしていくと、言葉や合図だけで犬が座ってくれるようになります。
おすわりやふせはコマンドの基本となるので、始めにしつけておくと良いでしょう。
歯磨き
人間と同じように犬も歯磨きが必要です。何故かというと成犬になってから歯磨きに慣れさせようとしても嫌がることが多いからです。
歯磨きを怠ってしまうと虫歯や歯周病の原因になるので仔犬のうちからしつけをして習慣化させておきましょう。
始めのうちは仔犬の口元に歯ブラシが触れることに慣れさせ、仔犬が慣れてきたら口を開けて指や歯ブラシで本格的に歯磨きができるようにしつけていきます。
家庭のルール
「散歩終わりに足を拭く」「毎日ブラッシングをする」など、仔犬と毎日生活していく中で必要になるルールは各家庭で異なります。
あなたと仔犬が一緒に生活するために必要だと思うことを見つけたら、家庭のルールとしてこの時期から少しずつ仔犬にしつけていくようにしましょう。
犬のしつけで注意したいこと、ポイント
犬は1歳頃まで体も子供なので、しつけを教えても失敗してしまうことがあります。失敗した時に注意したいこととポイントについて紹介します。
- しつけに失敗しても感情的に怒らない
- しつけは1分!短く何度も繰り返す
- 名前を呼んだすぐ後に怒らない
しつけに失敗しても感情的に怒らない
犬が教えたことが上手くできなくても感情的にならず「失敗する時もあるよね」と心に余裕を持って接することがポイント。
犬は、人間のように過去に失敗したことと今を関連付けて学習することが難しいので「何度言ったら分かるの!」と叱っても、犬にとっては何故怒られているのか理解できません。
一方で、あなたに怒られたという恐怖や不安などの感情的な記憶はずっと覚えていることが多いので、怒られることを嫌がってストレスになったり余計に失敗しやすくなります。
何度も失敗しているとイライラしがちですが、失敗ばかりに目を向けるのではなく成功する割合が増えたことに意識を向けるとイライラせずに接することができますよ。
しつけは1分!短く何度も繰り返す
しつけを始めた時に、教えたことがすぐにできるようになるとは限りません。仔犬が言うことを聞いてくれないこともありますが、できるまで一つのしつけに対して長時間のトレーニングをする必要はありません。
なぜなら長時間のトレーニングは子犬にとってストレスになるからです。トレーニングするあなたにとっても「早く教えたことをやって」とストレスに感じてしまうでしょう。
長時間のしつけに耐えさせるよりも、短いしつけを覚えるまで何度も繰り返す方が効果的です。
一回のしつけに対する時間は、1分〜3分程を目安に行ってみてください。
名前を呼んだすぐ後に怒らない
犬の名前を呼んだすぐ後に起こらないこともポイントです。名前を呼んだ直後に怒ると、名前と怒られた嫌な記憶が関連付いて残ってしまうことがあります。
犬があなたの言うことを聞いてくれなくなる原因にもなるので注意しましょう。
しつけが上手くいかない時の解決方法
しつけが上手くいかない理由は仔犬だけではない場合があります。
「つい甘やかしてしまう」「指示が統一されていない」といったことは、しつけが上手くいかない原因になります。時には厳しく接してあげることも大切なので、思い当たる点があればしつけの見直しをしてみましょう。
それでもしつけが上手くいかない時には、専門のトレーナーさんや動物病院の先生に相談やしつけの方法を聞くこともおすすめです。
専門家のトレーナーには、しつけ自体をお願いすることも一つの方法です。トレーナーにお任せすることにより改善される事は多くあります。一度しつけを覚えれば、安心して外出できるようにもなりますね。
犬のしつけはいつから?のまとめ
将来、仔犬が行儀の良い成犬になる為に、しつけは必要不可欠です。しかし、初めて犬を飼う場合「いつからしつけを始めればいいのか」「どんなしつけをすれば良いのか」と分からないことが多くあると思います。
しつけを始める時期や基本的なポイントを紹介しましたが、大切なのは「仔犬との信頼関係を築くことがしつけの基本」ということ。
家族として迎えたその日からできることを、仔犬のペースに合わせて教えてみてください。
しつけをしながらも愛情をたっぷりと注いで、仔犬との素敵な毎日を送れるといいですね。