「登山初心者だから、どんな服で登ればいいか分からない。まずは登山がどんなものかを知るために、安めの服で登りたい」。最初は登山を経験する程度で、お金をかけずに登りたいですよね。
そこで今回の記事では、登山初心者が最低限そろえるべき服9選・登山服の基本の着かた・登山服選びのポイント・安くて安全な登山服をそろえる方法を紹介します。
登山初心者は、普段着の活用やアウトレット店で安く登山服を買うことで、出費を抑えることができます。無駄な服を買わなくていいので、節約にもなりますよ。
記事を読むと、コスパの良い服で気軽に登山を楽しむ方法が分かるので、ぜひ最後までご覧ください。
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登山初心者が最低限そろえるべき服装9選
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この項目では、登山初心者が最初にそろえるべき9つの服装を紹介します。山の天気は変わりやすいため、体温や天候の変化に対応して着脱できる服が必要です。
- インナー(ベースレイヤー)
- トップス(ミドルレイヤー)
- アウターレイヤー
- パンツ
- タイツ
- ソックス
- シューズ
- 帽子
- レインウェア
登山では、上記3つの服を重ね着する「レイヤリング」が基本です。登山初心者は、登る前にレイヤリングの着かたを知らないと、汗冷えにより低体温症になる危険性があります。
次の項目では、レイヤリングの仕方や着る服の特徴、登山向きの素材を紹介します。初めての登山を楽しむために、正しい服の着かたを覚えましょう。
初心者必読!登山服の基本はレイヤリング(重ね着)
登山をする際には、気温や体温に合わせた服を着用しましょう。登山の服装は、以下の3つの服を重ね着して体温の調節をするのが基本です。この重ね着をすることを「レイヤリング」といいます。
- ベースレイヤー
- ミドルレイヤー
- アウターレイヤー
上記の、ベースレイヤー・ミドルレイヤー・アウターレイヤーの服を3枚重ね着するのが基本です。
また登山用の服は、服それぞれに着る目的が違います。次の項目では、3つの服の特徴や役割を説明しますね。
吸汗速乾性の服で登山中の肌をドライに保つ:ベースレイヤー
まずは、一番下に着る服のベースレイヤーを説明をします。この服は、汗を素早く吸収して発散し、汗冷えを防ぐために着ます。
ベースレイヤーの服は素材選びが重要です。綿素材は濡れると乾きにくく、汗冷えを起こし低体温症の原因になるので、絶対に着ないようにしましょう。
体温 | 低体温症の症状 |
35℃代 | 歩行が遅くなり、震えが始まる |
34℃代 | 震えが激しくなる・ヨロヨロする・口ごもる・眠気 |
33℃代 | 転倒・意識が薄くなる |
32℃代 | 立てなくなる・震えが止まる・意識を失う |
31℃~ | 昏睡状態 |
28℃~ | 心肺停止 |
以下の素材を使っている服は、吸湿性・速乾性に優れているのでおすすめです。
登山時の体温調節をする服:ミドルレイヤー
ミドルレイヤーは、中間に着るフリース・ダウン・シャツなどの服で体温調節の役割をしています。そのため、体温調節に適した保温性や汗を逃がす通気性・速乾性に優れた素材を選びましょう。
ミドルレイヤーは大きく分けて、以下の3種類に分かれます。それぞれの服で特徴が違うので、気温や場合に応じた使い分けが必要です。
ミドルレイヤーの種類 | メリット | デメリット |
フリース(化学繊維) | 適度な保温性で動きやすい。素材は、化学繊維のポリエステルが中心 | 風や雨に弱いため高所や悪天候に向いていない |
ソフトシェル(化学繊維) | 動きやすいのが特徴。風に強く撥水性もあるため、アウターとしても使える | 使えるシーンは多いが保温性は低い |
インサレーション(ダウン・化学繊維) | 保温性が高い | 行動中に着るのは暑すぎる場合も。標高が高い山や寒い時期に着るのはいいが、着るシーンは選ぶ必要がある |
登山中の風・雨・雪から身体を守る服:アウターレイヤー
3つ目に、一番上に着るアウターレイヤーを説明します。登山中の風・雨・雪から身を守るため、防寒性・防雨性・防水性に優れた服を選びましょう。
アウターレイヤーは、ソフトシェル・ハードシェル・アウターシェルの3種類あります。以下では、登山初心者でも買いやすい安価なソフトシェルと、アウターシェルの2つを紹介します。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
ソフトシェル | ファッション性が高くて動きやすい。暖かい時期の登山向け | 雨や風、冷気から身を守る | 完全防水ではないため、撥水性が落ちると水が染み込む。値段が高いものが多い |
アウターシェル | 初心者向けで、安くて軽い。低山に登る時に使うのメイン | 雨や風を防ぐ・雨の浸透を防ぐ・ウェア内の蒸れを外に逃がす・値段が安い | 保温性がない・ファッション性がない・カッパみたいでゴワゴワしている |
予算や登る山に応じて、自分に合うアウターレイヤーを選びましょう。
登山初心者必見!レイヤリング以外の服選びのポイント
この項目では、先ほど紹介したレイヤリング以外の服を選ぶポイントを紹介します。
アイテム | 選び方 |
パンツ | 歩きやすさや耐久性、速乾性で選ぶ。険しい岩場や塗装されていない道もあるため。汗により、パンツが肌にはりつかないものや、ストレッチ素材があるものが良い |
タイツ | 筋肉や関節の動きをサポートし、負担を軽減する機能があるタイツがおすすめ |
ソックス | 靴ずれにしくい厚手のソックスを選ぶ。透湿性や吸汗速乾性の機能があるものが良い |
シューズ | 道が塗装されていない山や、険しい山に登る場合は、ソール(靴底のこと)が硬く足首まで固定できるハイカットがおすすめ。塗装されている道の場合は、足首が自由に動かせる靴でも良い。防水性があるものを選ぶ |
帽子 | 暑さ対策・紫外線対策のために、日差しをさえぎるツバのあるタイプがおすすめ。標高の高い山は、風が強いことがあるので紐で固定できるタイプが良い |
レインウェア | 防水性・透湿性・撥水性をチェック。登山用レインウェアに求められる最低限の耐水圧20,000mm以上・透湿性20,000g/㎡/24h以上の機能がある服を選ぶ |
以下は、レインウェアの耐水性・透湿性・撥水性について説明したものです。
- 耐水性:生地にしみこもうとする水の力を押さえる性能数値のこと。
- 透湿性:生地内の湿気を外に逃がす性質のこと。透湿性は、「g/m2/h」で表され、素材1平方メートルあたり1時間に何gの水分を透過したかを示している。
- 撥水性:水をはじく性質のこと。
以下の表は、耐水圧の数値によって、どのくらいの雨に耐えるかを表したものです。登山中は嵐のような天候になることもあるので、耐水圧が20,000mm以上のものを選びましょう。
雨の程度 | 小雨 | 中雨 | 大雨 | 嵐 |
耐水圧 | 300mm | 2,000mm | 10,000mm | 20,000mm |
登る季節や山の標高によっても、着る服の種類や選び方は変わります。登山初心者は、いきなり富士山のような高山に登るより、低山がおすすめです。次の項目では、初心者に低山をおすすめする理由を説明します。
登山初心者は春や秋の低山(標高1,000m以下)がおすすめ
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登山初心者が、標高2,500m以上の山に挑戦するのは危ないです。なぜなら、標高2,500m以上は「高所」と呼ばれていて、高山病の危険性があるからです。
山は、標高が1,000m上がるにつれて気温が6度下がり、風速1mにつき体感温度が1度下がります。そのため、真夏でも2,000mを超えると地上より約12度も下がります。
人によっては、標高1,500mでも高山病を発症する場合もあるので、初心者は1,000以下の地上との温度差が少ない低山で慣れてから挑戦しましょう。
それに、低山の方がダウンなどの防寒着がいらないので、登山服を安くそろえられます。
初心者の登山は普段来ている服を活用しよう
初めて登山をする場合、すべての登山服をそろえるのはコスト的に難しいですよね。登る山によって着る服は変わります。
登山初心者の場合、地上との温度差が少ない低山や、塗装された広い道やリフトがある山であれば、普段着の服を活用しましょう。
動きやすい素材を使ったトレーニングウェアや、雨や汗に濡れてもすぐ乾く速乾性のものなど、登山に適した素材の服がおすすめです。ですが、綿素材のものは汗冷えして体温が奪われるので着ないでくださいね。
初心者が登山服を安くそろえる方法3選
普段着だけでは、登山服に必要な要素の防水性・透湿性・撥水性を補えないこともあります。そこで、この項目では初心者が登山服を安くそろえる方法について紹介しますね。
- 必要最低限のものから揃える
- アウトレット品の売れ残りや型落ち品を買う
- ユニクロの服も登山服に使える
必要最低限のものから揃える
登山で着る服はレイヤリングが基本です。低山に登る場合は、ありあわせの服を組み合わせて対応して、あとは登山に行ってみて必要に応じてそろえれば大丈夫です。
例えば、初めての登山を夏の低山でする場合、ダウン製品は必要ありません。必要最低限の服だけを購入することで、無駄な服を買わなくて済み、節約に繋がります。
アウトレット品の売れ残りや型落ち品を買う
2つ目は、アウトレットモールやアウトドア用品を扱うお店でシーズンの売れ残りや型落ち品を買う方法です。登山服を安くそろえたい方は、ぜひ行ってみてくださいね。
ユニクロの服も登山服に使える
「アウトレット品の登山服も高そう…」とお悩みの登山初心者は、ユニクロの服がおすすめ。
ただ、険しい山や寒い時期用の服ではないので、晴れた日の低山に日帰りで登山する場合で使いましょう。以下では、登山服におすすめなユニクロのダウンパーカーを紹介します。
防水・防風機能があり、軽量のため丸めて持ち運べます。首回りはダウンたっぷりで、袖口も重構造になっているため、袖口から入る風を防げて暖かいです。
まとめ:初心者は手持ちの服を活用して登山を楽しもう
今回の記事では、登山の初心者が服をそろえる時のポイントや服の種類、登山服を安くそろえる方法について紹介しました。以下で記事のポイントをおさらいしますね。
登山初心者が最初にそろえるべき服9選
山の天気は変わりやすいので、登山に行く際は以下の9つの服は最低限そろえましょう。
- インナー(ベースレイヤー)
- トップス(ミドルレイヤー)
- アウターレイヤー
- パンツ
- タイツ
- ソックス
- シューズ
- 帽子
- レインウェア
レイヤリングの服の種類と選ぶポイント
登山服の基本スタイルは、レイヤリング(重ね着)です。以下の3種類の服は、それぞれ着る役割が違うので、買う際はポイントを意識して選びましょう。
- ベースレイヤー:吸湿性・速乾性にすぐれたポリエステル・ウール・ナイロン素材の服。綿素材はだめ
- ミドルレイヤー:保温性・通気性・速乾性にすぐれた服
- アウターレイヤー:防寒性・防雨性・防水性にすぐれた服
レイヤリング以外の服選びのポイント
以下は、レイヤリング以外の服を選ぶ際のポイントです。登山に適したものを選んでくださいね。
また、初心者が登山をする場合は普段着の活用・ユニクロやアウトレット店で購入することで、登山服を安くそろえられます。
登山服を選ぶ際は、今回紹介したポイントをおさえて、コスパ良く安全な登山を楽しんでくださいね。