未経験の仕事にチャレンジしたいけど、「未経験者歓迎の求人は危険」と聞いて不安になっている人はいませんか?最近は特にブラック企業に注目が集まる機会が増えているので、少し神経質になってしまいますよね。
この記事では、「未経験者歓迎」の「未経験者」とはどのような意味なのかや、注意すべき求人票のワード、「未経験者歓迎」の求人なのに内定が出ないときにチェックすべきポイントを解説します。
あわせて、製造業企業の事務所マネージャーとして勤務し、実際に求人票も書いているぼくが記載するときに気をつけているポイントも紹介します。企業側の視点も考えることで、採用確率はグッと高まりますよ!
ぜひ最後まで目を通して、あなたの転職活動に活かしてみてください!
(アイキャッチ画像出典: https://www.photo-ac.com/main/detail/3888086#goog_rewarded)
知らないと危険!未経験者歓迎でいう未経験者とは
一言で「未経験者」と言っても、その意味は3つあることをご存知ですか?
- 業界未経験者
- 職種未経験者
- 社会人未経験者
この3つの定義のうち、自分がどれに当てはまるのか、その求人を出している企業はどの意味の未経験者を求めているのかを考えてみましょう。
総公開求人数 | 59,871件 | 100.00% |
「未経験歓迎」求人数 | 6,521件 | 10.89% |
「業界未経験歓迎」求人数 | 490件 | 0.82% |
「職種未経験歓迎」求人数 | 196件 | 0.33% |
「社会人未経験歓迎」求人数 | 14件 | 0.02% |
転職サイトで検索してみた結果です。社会人未経験者の募集は極端に少ないことがわかります。(参考: リクナビNEXT)
業界未経験者
その業界での経験はないものの、同じ職種での経験がある人です。不動産業界の営業職をしていた人が旅行代理店の営業職への転職を希望する場合などはこちらに当てはまります。
職種未経験者
職種は違うものの、同じ業界での経験はある人がこの定義に当てはまります。製造業の営業職から経理職への転職を考えている人などです。
社会人未経験者
新卒者やニートなどが新たに就職をしようとする場合はこちらです。社会人として勤務した経験がない場合に当てはまります。
未経験者歓迎を掲げる企業意図
あなたが転職活動で求人を見ている場合、求人を出している企業の意図を理解することで、自分に合った求人かどうかを見極めることができます。
未経験者歓迎を掲げている企業は、どのような意図でその求人を出しているのでしょうか。主な意図としては下記の5つです。
- 間口を広げることで応募者を増やしたい
- 大量退職を補うために大量採用したい
- 単純作業など、未経験でも始めやすい仕事である
- 業界・職種未経験者を募集したい
- 経験を問わず、優秀な人を採用したい
間口を広げることで応募者を増やしたい
不人気の職種の場合、求人票に経験者募集と記載してしまうと、応募者が集まりにくくなります。そのため、「未経験者歓迎」と記載して、応募のハードルを下げるケースです。
「未経験者歓迎」と書いていながらも、実際には経験者しか採用する気がない場合もあります。明らかに専門知識が必要とされる仕事であるにも関わらず、「未経験者歓迎」と書いてある場合には注意が必要です。
大量退職を補うために大量採用したい
生保レディなどの採用に代表されるケースです。3,000人採用して、そのうち9割が1年以内に退職するので、翌年も3,000人採用するといった業界です。
こうした業界では、経験者のみで必要人数を確保できないため、未経験者を多く採用しています。
単純作業など未経験でも始めやすい仕事である
シンプルに未経験でも始めやすい単純作業などの募集でも、「未経験者歓迎」という表現が使われます。マニュアルがしっかり整備されており、未経験であっても始めやすい仕事の場合です。
単純作業や事務、接客など、飲食店や肉体労働系の求人でよく見られるケースです。
業界・職種未経験者を募集したい
未経験者を採用し異なる視点や価値観を取り入れることで社内を活性化させたいと考える企業もあります。
第二新卒で仕事を探している人はこのような求人がオススメです。採用までの難易度が比較的低いためです。
経験を問わず、優秀な人を採用したい
戦略系の経営コンサルタントの採用などでまれにあるケースです。経営学や会計などの知識は当然必要となるのですが、そういった知識よりも頭の良さを重視して採用するケースがあります。
危険な未経験者歓迎求人
離職率が高く人手不足に陥っている企業の「未経験者歓迎」という求人は危険なケースが多いです。離職する人が多いという場合には、職場環境や労働条件に不満を持っている人が多い可能性があります。
「有休消化率100%」や「完全週休2日制」、「社食無料」などの福利厚生もしっかりチェックしてみましょう。
こうした福利厚生などについての表記が極端に少ない場合は、不満を持って辞める人が多く人手不足に陥っている危険な求人かもしれません。
また、「求人票から具体的な仕事内容がイメージできるか」も大切なポイントです。あえて曖昧な表現しているのは、入社後に思ってもいなかったような業務が追加されても反論できないようにしている可能性があります。
危険でない未経験者歓迎求人
事業成長に伴う人手不足で未経験者を多く募集している場合などは危険ではない求人と言えるでしょう。その企業のホームページやニュース、口コミサイトなどをしっかり調べましょう。
また、明らかに専門知識が必要とされるような業界、職種で未経験者歓迎、と表現されている場合には、先程紹介したように間口を広げているだけのケースがあります。
しかし、入社後に専門知識や資格取得サポートの仕組みがある場合には良心的な企業と言えるので、求人票を隅々まで読んで、求人の背景を理解するようにしましょう。
未経験者歓迎以外の危険なワード
「未経験者歓迎」以外に求人票でよく見られる危険なワードを4つ紹介します。ポイントはそれを「わざわざ書く理由があるか」という視点です。
- アットホームな職場
- 「仲間」や「家族」といった表現が多用されている
- 次期マネージャー、部長候補
- 人物重視
ぼくも仕事柄、求人票を書く機会がありますが、わざわざ伝える必要のない無駄な表現は削り、本当に来てほしい人に伝わるメッセージを書くようにしています。
アットホームな職場
「アットホームな職場」という表現は、一見すると和気あいあいとした良い会社のように見えます。
しかし、週末の社内イベントが強制参加だったり、同調圧力が強く長時間残業が常態化していたり、プライベートへの干渉が多かったりするケースがあります。
また、なれ合いで働いてしまっていて、組織として機能していない可能性もあります。
「仲間」や「家族」といった表現が多用されている
「仲間」や「家族」といった表現が多用されている場合も注意が必要です。アットホームな職場と同じような状況の可能性があります。
もちろん仕事をする上で仲間意識は必要ですが、それが強すぎる場合には、転職で入社した人を「よそ者」として排除する雰囲気があるかもしれません。
次期マネージャー、部長候補
次期マネージャー候補、次期部長候補といった求人も注意すべき求人です。通常管理職には経験が求められます。未経験者がすぐにマネージャーや部長として活躍するのはほぼ不可能です。
本当にマネージャーや部長を求めているのであれば、経験者を採用するでしょう。社内で人が育たないから外部から手っ取り早く仕事を押し付けられる人を探しているのかもしれません。
人物重視
本来人物重視をしていない求人はありえません。他にアピールするポイントがないので記載している怪しいケースが多いです。
未経験者歓迎に応募すべき人
「経験はないが、どうしてもやりたい仕事がある」という人は、上記で紹介したような注意点を意識しながら、応募先企業の選定を行いましょう。
もちろん経験がある方が有利なのは事実ですが、今は本当にどの業界も人手不足にあえいでいます。未経験でも熱意と意欲があり、将来的に成長して会社の力になってくれると思ってもらえればチャンスはあります。
なぜその業界に興味を持ったのか、なぜその職種に興味を持ったのか、そして、なぜその会社に興味を持ったのかを論理的に説明しましょう。
そして経験がないことをどう補おうとしているのか、入社後にどのように活躍したいと思っているのかもしっかりアピールしましょう。
【危険】未経験者歓迎に応募すべきでない人
軽い気持ちで「やったことのない仕事をやってみたい」と思っている人は未経験者歓迎の求人に応募するべきではありません。
未経験者歓迎という求人は応募のハードルが低いので、競争相手が多いです。履歴書や面接などの志望動機で、熱意がないことやキャリアビジョンが明確でないことは簡単に見抜かれます。
わざわざ今の仕事を辞めて、未経験の仕事にチャレンジする強い熱意や覚悟を語る自信がない場合には、応募は止めておくのが賢明です。
未経験者歓迎に受からないときにチェックする4つのポイント
未経験者歓迎の求人でもなかなか内定が出ないというのはよくあることです。内定が出ない人がチェックすべきポイントを4つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
- 熱意や覚悟が伝わっていない
- 応募書類を使い回している
- ライバルの存在を忘れている
- 企業側の視点が欠落している
熱意や覚悟が伝わっていない
未経験者歓迎の求人の中には、ポテンシャルのある人材を探しているものが多いです。新卒の時はスキルや経験はほとんど求められなかったと思います。
むしろ、「しっかりと学び、成長する意欲があるか」や「協調性はあるか」といった点が主に評価されていたと思います。
「未経験者歓迎」という求人に対しては、あなた自身の熱意や覚悟を前面に押し出してアピールすることが重要ということを意識してみましょう。
応募書類を使い回している
「未経験者歓迎」という言葉に甘えて、履歴書や職務経歴書に記載する自己PRや志望動機を使い回していませんか?
志望動機は企業側が最も重視する項目です。志望動機が明確でない場合や、説得力に欠ける場合には、企業側もあなたを採用することに不安を感じてしまいます。
住所や職務経歴はそのままコピーしてしまうのが効率的ですが、保有資格や自己PR、志望動機は企業ごとに違う内容にすべきです。
なぜその会社に応募したのか、なぜわざわざ未経験の仕事にチャレンジしたいのかという点は、明確かつ論理的に伝えられるようしっかりと表現できるようにしましょう。
ライバルの存在を忘れている
「未経験者歓迎」という求人には、経験者も応募できることを意識していますか?
未経験者ばかりがライバルではありません。経験のあるライバルと競って、企業側に認めてもらわなければならないという気持ちで、普段以上に応募書類の作成や面接対策に力を入れましょう。
企業側の視点が欠落している
この記事でも、「未経験者歓迎」の求人を出す企業の意図を紹介しました。企業の視点でその求人を捉えてみると採用の可能性はグッと高まります。
企業が求めるスキルを予想して書き出してみたり、仕事内容にマッチしそうな経験やスキルを表現したり、熱意や意欲を積極的にアピールしたりと、企業の意図を考えてみましょう。
企業の期待やニーズに応えられる人材であること、もしくはそうした人材になれるように努力することが、採用への一番の近道です。
裏読みのしすぎも危険
ここまでいろいろな求人票の危険ワードを紹介してきましたが、裏読みのしすぎも危険です。最近は各種メディアでブラック企業の話題が取り上げられることが多いので、少し神経質になってしまいますよね。
ただし、「未経験者歓迎=ブラック」というのは飛躍しすぎです。超売手市場とも呼ばれるように、どの業界も人手不足にあえいでいて、本当に人材が必要な状態です。
経験者がいれば優先的に採用したいが、未経験者でも熱意と覚悟があるならば、きっちり教育・研修を通じて育って欲しいと思っている企業も多いです。
裏読みしすぎるとどの求人も怪しく見えてきます。面接やリサーチを通じて、その会社をしっかりと見極めていくようにしましょう。
未経験者歓迎は危険なブラック企業?まとめ
「未経験者歓迎」は危険かどうかについて解説しました。「未経験者」という言葉に3つの意味があることを意識していましたか?転職活動をするにあたって、ぜひ覚えておきましょう。
ネガティブな内容もポジティブに言い換えることは可能です。裏読みをすると悪い面をいい面に言い換えているのではないかと不安になってしまうこともあると思います。
そんなときに大事なのが、自分の軸をしっかり持つことです。自分は何を達成したいのか、そしてそれはどの会社のどんな仕事なのかを改めて考えてみましょう。
転職活動は時間とパワーが必要ですよね。時間ばかりかけて疲弊してしまわないよう、求人の意図をしっかりと考えながら、自分のやりたいことを実現していきましょう!