「会社から退職を勧められているけど、これって会社都合退職?」と悩んでいる人はいませんか?
退職には会社都合退職と自己都合退職があると聞いたことがあっても、具体的にどう違うのか、メリットやデメリットまで把握している人は少ないかもしれません。
失業後の失業給付金を受給できる時期や期間、退職金の金額など、一般的に労働者には会社都合退職の方がメリットが多いです。
この記事では会社都合退職と自己都合退職の違い、それぞれのメリット・デメリット、よくある疑問について詳しく解説します。ぜひ最後まで読んで正しく理解しましょう。
(アイキャッチ画像出典: https://www.photo-ac.com/main/detail/663670#goog_rewarded)
会社都合退職とは
会社都合退職とは、会社の倒産や解雇(クビ)、人員整理(リストラ)等の会社側の都合により、従業員との契約を終了することです。労働者に責任のない退職と理解することもできます。
会社都合退職は労働者に責任がないのに仕事を失うため、基本的には自己都合での退職よりも保護が手厚いです。労働者にとっては会社都合退職の方がメリットが大きいですが、デメリットもあります。
まずは会社都合退職に該当する退職理由にはどんなものがあるかを次でご紹介します。
会社都合退職に該当する退職理由
会社都合退職とは先述した通り、労働者の事情や意思ではなく、会社の業績や経営状態などによる退職を指します。
具体的には下記のような事象に当たる退職は会社都合退職となります。自分の退職が下記のいずれかに該当するかどうか確認してみましょう。
- 倒産、事業所の廃止
- 人員整理によるリストラ
- 会社からの要望による早期退職
- 会社からの解雇(個人の責任による解雇は除く)
上記に当てはまらない場合で、自己都合退職をした場合でも、状況次第で会社都合退職にできるケースを次に紹介します。
自己都合で退職しても、会社都合にできるケースも
自主的に退職したとしても下記の内容は状況によっては会社都合退職と判断されるケースがあります。ポイントは「自らの意思に反して」働くことが困難な状況になっていないかという点です。
- 契約内容と実際の労働条件が著しく違う
- 大幅な給与カット(従来の85%未満に減額)や未払い
- 慢性的な長時間残業(45時間以上の残業が3ヶ月以上続いた場合)
- パワハラやセクハラなどの嫌がらせ
- 会社が法令違反を犯した
いずれかのケースに該当する場合で自己都合退職から会社都合退職に変えたい場合は、ハローワークに相談することができます。
会社側から退職を求められた経緯がわかるメールや録音、長時間残業を証明するタイムカードの記録などの証拠を揃えておきましょう。
会社都合退職のメリット
会社都合退職のメリットを紹介します。基本的に損をすることはないので、会社都合退職にできるのであれば、その方向で話を進めましょう。
- 失業手当をより早く、より長くもらえる
- 退職金が多くもらえる可能性がある
- 会社から「解雇予告手当」を受け取れる可能性がある
失業給付金をより早く、より長くもらえる
会社都合退職の場合は自己都合退職に比べて失業給付金(失業手当)の支給時期が早く、長く設定されています。
具体的には自己都合退職の場合は「退職後7日間+給付制限期間2ヶ月」経過後からの受給ですが、会社都合退職の場合は「退職後7日間」が経過すれば受給が可能です。
また、給付期間も自己都合退職の場合は被保険者期間に応じて「90〜150日」となっていますが、会社都合退職の場合は「90〜330日」と大幅に長くなります。
退職金が多くもらえる可能性がある
一般的な退職時にまとまった金額を支給する制度の場合、自己都合退職の場合は会社都合退職よりも退職金が減額される可能性があります。
会社都合退職の場合はこのような減額はなく満額支給されるので、平均的に会社都合退職の方が自己都合退職よりも退職金の支給額が多いです。
会社から「解雇予告手当」を受け取れる可能性がある
会社都合退職の場合、労働者に対して退職日の30日以上前に解雇を予告するのが会社側の義務です。
その予告がなく解雇された場合には会社側から30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として受け取ることができます。
例えば、何の予告もなく突然解雇された場合には給与30日分以上が支給され、15日後の解雇を予告された場合には、15日分を差し引いて給与15日分以上が支給されます。
会社都合退職のデメリット
会社都合退職は基本的には労働者にとっては自己都合退職よりもメリットが大きいですが、デメリットとして挙げられるのは転職で不利になる可能性があるという点です。
会社に解雇された場合のうち、個人の能力や態度が問題で解雇された場合には、転職活動に不利になるケースがあります。
会社の業績不振や倒産などの場合は経営に関わる部署や業務に就いていた場合を除いて転職に不利になることはありません。
自己都合退職のメリットとデメリット
会社都合退職のメリット・デメリットに対して、自己都合退職となった場合のメリットとデメリットを紹介します。
自己都合退職のメリット
履歴書に記載する退職理由は「一身上の理由」と記載するだけで問題ありません。
転職活動において、極端に転職回数が多かったり、在職期間が極端に短かったりしない限り、退職理由を深く追求されないのがメリットです。
自己都合退職のデメリット
会社都合退職のメリットの項で紹介したとおり、自己都合退職の場合は失業給付金の支給時期が遅く、短くなるのがデメリットです。
家庭状況が急変した場合や家族の介護を行なっていた場合などは制限が免除されるケースがありますが、基本的には自己都合退職の場合は会社都合退職よりも不利な条件となります。
会社都合退職なのに自己都合退職にしてほしいと言われたら?
「会社都合退職に該当する退職であるにもかかわらず、自己都合退職にしてほしいと言われた」という声をよく聞きます。
表向きは「あなたの経歴に傷がつくから」とか「今後の就職活動に影響が出るから」といった理由で自己都合退職を促すそうですが、会社側の意図は別です。
多くの場合は政府が支給する助成金の支給条件に「会社都合退職をしていないこと」というものがあるため、自己都合退職にしてもらうことで助成金を受け取る条件を満たそうとしています。
会社都合退職に該当するケースであれば自己都合退職とされる理由はないので、はっきりと断りましょう。
会社都合退職なのに退職届の提出を求められたら?
会社都合退職に該当する場合でも、退職届の提出を会社側から求められるケースがあります。結論から言うと、会社都合退職の場合は退職届の提出は不要です。
退職届を出してしまうと、自己都合退職扱いにされる可能性があるので、安易に承諾しないようにしましょう。
どうしても必要な場合には書面や録音で会社都合であることを確認した証拠を残しておくことが重要です。
退職届には「一身上の都合により」ではなく、「退職勧奨に伴い」のように会社都合であることを明示した書き方をしましょう。
会社都合退職の場合の履歴書の書き方や面接での応答
会社都合退職の場合、履歴書にはどのように経歴を書けばいいのでしょうか。結論から言うとそのまま「会社都合により退職」と記載しましょう。
面接の際に理由を確認されると思いますので、率直な理由を伝えましょう。質問する面接官は退職理由が応募者自身の問題によるものかどうかを気にしているのです。
詳しい会社都合の理由を記載する必要はありませんが、簡潔に「倒産のため」や「事業撤退のため」などと記載しておくと、採用担当者の理解が深まるでしょう。
損はしない!会社都合退職のまとめ
この記事では会社都合退職と自己都合退職の違い、それぞれのメリット・デメリット、よくあるシチュエーションについて、詳しく解説しました。
特に失業給付金や退職金についてはお金に関わることですので、あなた自身に責任がない会社都合退職なのにあなたが不利になってしまうことがないように正しく理解しましょう。
情報は知らないと損をすることが多いです。この記事で紹介した内容をしっかり頭に入れて、会社側の揺さぶりに振り回されないようにしましょう。