「アニマルセラピーやセラピストってどのような仕事なの?」「アニマルセラピストになるにはどうしたらいいの?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、アニマルセラピストのなり方や科学的な根拠を添えてセラピストの需要について説明しています。
「アニマルセラピーという仕事に興味がある」「アニマルセラピストになる方法を知りたい」という方にぴったりの内容です。ぜひ最後まで読んでくださいね。
アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4019787?title=%E7%8A%AC%E3%81%A8%E5%A5%B3%E6%80%A7&searchId=146514822
アニマルセラピストは社会に貢献でき需要が増す仕事
アニマルセラピストの仕事内容はアニマルセラピーを受ける人の補助やサポートをします。アニマルセラピーは複数の人に対しても個別でも行います。
高齢者や児童などアニマルセラピーを利用する方が、安心して動物と触れ合えるようにサポートすることが主な仕事内容になります。
アニマルセラピーは単に利用者の心を癒すだけではありません。社会に対してもプラスの影響を与えられる可能性があります。利用者や社会に対して貢献できるため今後需要が増すと考えられます。
なぜアニマルセラピストが社会貢献ができ、今後需要が増すのかを説明しますね。そのアニマルセラピストの需要が増える社会的な背景は下記の4つです。
- 超高齢化による社会活動の減少
- 精神的なサポートを必要とする方の増加
- アニマルセラピーによる医療費削減
- 犬の殺処分の減少
超高齢社会による社会活動の減少
日本は超高齢化社会といわれており若者より高齢の方の方が圧倒的に多く、世代が変わってもその状態は続くでしょう。
高齢になると病気になったり、身体の機能が衰えやすくなります。身体的や精神的の病気で社会活動が減り、コミュニティーとの接点がなくなると病気が悪化してしまいます。
精神疾患やサポートを必要とする人の増加
厚生労働省が公表したデータによると平成29年には419万人の精神疾患者がいました。精神疾患者は年々増加傾向にあるため今後も増えることが予想されます。
そして精神疾患者に対して、アニマルセラピーは効果があったと報告されているのです。アニマルセラピーの効果については後で詳しく解説しますね。
参照:個別事項、精神医療について1.精神医療等の現状について「厚生労働省患者調査」https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000851859.pdf
アニマルセラピーによる医療費削減
アニマルセラピーの需要が増える理由3つ目は「医療費削減が期待できる」という点です。
2013年の北海学園大学の調査によると、アニマルセラピーを受けることにより、通院回数が減って医療費削減が期待できることがわかっています。
参考:「アニマルセラピー導入の医療費削減効果分析」http://hokuga.hgu.jp/dspace/bitstream/123456789/2380/1/%E2%91%A3%E9%88%B4%E6%9C%A8%E8%AB%96%E6%96%87.pdf
犬の殺処分減少
医療費の削減に加えて、ドッグセラピーを行う場合は殺処分予定の犬をアニマルセラピーに活用することで殺処分の数も減らすこともできるでしょう。
アニマルセラピーの効果と医療費や殺処分数などの社会的背景から社会に必要とされる仕事といえます。
アニマルセラピストが働く場所や仕事環境
出典:https://www.photo-ac.com/main/search?q=%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%80%80&sl=ja&pp=70&qid=&creator=&ngcreator=&nq=&srt=dlrank&orientation=all&sizesec=all&color=all&model_count=-1&age=all&mdlrlrsec=all&prprlrsec=all&qt=&pt=B&p=1
現在、日本にはアニマルセラピストとしての求人はないのが現状です。あるとしても、職場や就職先はアニマルセラピーを導入している介護・医療施設になります。
その求人内容も看護師や理学療法士、介護福祉士として働く前提となっていました。
そのため、アニマルセラピーがメインの業務とはならない可能性が高いです。介護施設だと今後介護福祉士を目指す方も歓迎しているケースもあります。
とはいえ、アニマルセラピーにはボランティアもあるので経験を積みたい方はボランティアをするのも良さそうです。
アニマルセラピーという仕事のやりがいと大変さ
前述しましたがアニマルセラピーを行うには、人の心理、病気のこと、動物の扱いの知識と経験が必要です。スキルと知識を身につけるのに時間がかかることが大変な点です。
また、基本的にはアニマルセラピー以外の業務も兼務になるため、セラピーだけをしたいと考えている方には理想を受け入れるのに苦労するかもしれません。
しかし、利用者のメンタル状態が前向きになっていく過程や、アニマルセラピーを通して笑顔が見られることはやりがいにつながるでしょう。
そして、まだ社会的に確立されていない職業だからこそ、業界の変化を常に感じられるのもポイントです。
アニマルセラピストに必要なスキルや知識
アニマルセラピストには人間とパートナーとなる動物に対しての専門知識が求められます。アニマルセラピーの利用者の年齢は幅広くかつ、心や身体に病気や障害を抱えている方が多いからです。
また、動物の魅力を引き出し、安全にアニマルセラピーを実行するには動物の特性や扱い方の理解も必要不可欠です。
人の心理や病気、動物に対しての知識を網羅的に学ぶには、アニマルセラピスト認定資格の取得を目指すことが一般的とされています。
動物の扱いや特性を実践をしながら学びたい人は専門学校や大学、とにかく知識を学びたい人は通信講座、自分のペースで勉強したい方は独学がいいでしょう。
アニマルセラピーの仕事に向いている人
アニマルセラピーは年齢も性別も利用する背景も様々な人に行います。そのためアニマルセラピストに求められるものは、動物を扱う知識と利用者を思いやり、相手を理解するコミニュケーション能力です。
さらにアニマルセラピーを行う環境や目的によって他に必要になる知識が変わります。例えば、医療目的として医療施設で行う場合は医療知識が必要です。
アニマルセラピストに向いている人をまとめると以下になります。
- 人の役に立つのが好き
- 人も動物も愛を持って接することができる
- 利用者に合わせて適切なコミニュケーションができる
- 心理学や病気に対して理解がある、またはこれから勉強する
- アニマルセラピー以外の仕事もやることを受け入れらる
上記に全て当てはまらないとできないわけではないですが、コミニュケーション能力は必須です。求められる能力が多いからこそ、やりがいも得られます。
効率よくアニマルセラピストを目指すなら学校に通うのがおすすめ
アニマルセラピストの勉強をするには専門学校や大学に通う・通信講座で学ぶ・独学する方法があると説明しました。
効率よく勉強したいなら動物に関連した資格が取得できる学校に通うことをおすすめします。
他の動物関連の資格取得がメインになるところが多いですが、動物関連の資格を学ぶ過程で専門知識や動物の扱いを身につけられるからです。教員や仲間からのサポートが得られるなど環境面も充実しています。
通信講座や独学と比較すると実践の場が圧倒的に多いことがメリットです。しかし学校に入学・通学に費用が加わることがデメリットといえます。
アニマルセラピーについて勉強できる学校
「効率よくアニマルセラピストを取得したいなら学校に通うのがおすすめ」と説明しました。
動物関連の資格を学習できる学校はプロがサポートしてくれるため、わからないところもすぐに解決できます。
アニマルセラピーについて勉強できる学校は全国にあり専門学校や大学などがあります。ただ、アニマルセラピスト専門のカリキュラムは基本的にありません。
全国にあるアニマルセラピストの勉強ができる学校をまとめた情報が、マイナビ進学というサイトで見れます。気になる方はリンクをクリックしてみてくださいね。
専門資格がなくてもアニマルセラピーを仕事にする方法
「アニマルセラピストに興味あったけど、求人がないなら意味ないな」と諦めかけているあなたに朗報です。医療や介護の資格を持っていなくても、アニマルセラピーに関われる唯一の方法があります。
それは国際セラピードッグ協会のハンドラー候補生になることです。ハンドラーとはセラピードッグの教育する人のことを指します。
国際セラピードッグ協会ではハンドラー候補生として求人を募集しています。仕事内容はセラピードッグの育成・アニマルセラピーの実施・協会の啓蒙などです。
ただ、2022年6月時点で募集人数が1名となっていたので、すぐに募集が埋まってしまう可能性があるのが注意点です。気になった方はリンクにアクセスしてみてください。
アニマルセラピーの効果
動物が苦手な人は違うかもしれませんが、動物は動画などで見ているだけでも癒されますよね。実際に触れ合うと心がより癒されポジティブな感情が湧いてきます。
アニマルセラピーにはどんな効果があるのか、どんな方に必要とされているのかを知るとアニマルセラピーやセラピストの仕事内容の理解が深まります。
アニマルセラピーの効果を検証した研究結果などの紹介を交えながら、アニマルセラピーの効果を解説します。
アニマルセラピーとは?
アニマルセラピーは動物の力を借りて行うセラピー手法です。「アニマルセラピー」は日本の造語で他の言い方があります。他の言い方としては「動物介在療法」や「動物介在活動」を使います。
アニマルセラピーの目的は動物と触れ合うことで精神的ストレスを緩和や身体機能の改善をすることです。
アニマルセラピーで扱う動物は犬・猫・馬・イルカなどの人間の情緒を少し理解できる動物がパートナーとして起用されます。
アニマルセラピーでストレスを緩和できる理由
アニマルセラピーでストレスを緩和できる理由について説明します。動物と触れ合うと幸福を感じるといわれています。
幸福感を感じる理由はオキシトシンというホルモンが分泌されるからです。もう少し詳しく説明すると以下のボックスのようになります。
ドイツのロストック大学の研究で動物との触れ合いが人のオキシトシンを出すシステムに影響を与えると報告されています。
そのオキシトシンは安らぎや結びつきを強くさせ不安や痛みを軽減したり、共感性を向上させたりする効果があります。
参考:「人間と動物の相互作用の心理社会的および心理生理学的影響」https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2012.00234/full
また実際にアニマルセラピーが効果があるのかを調査した研究では、動物介在療法後に被験者の不安スコアを低下させたというデータも報告されています。
参考:「入院中に精神病患者の不安評価に対する動物介在療法の効果」https://ps.psychiatryonline.org/doi/full/10.1176/ps.49.6.797
アニマルセラピーを必要としている人
アニマルセラピーの対象になるは方様々で子どもから高齢の方まで年齢も幅広いです。主な対象は精神的なストレスを抱えている方です。
他にもリハビリをされている方や難読症や吃音症などによってストレスを抱え、社会的なサポートが必要な方もアニマルセラピーを受けています。
また、病気の有無にかかわらず必要としている方はアニマルセラピーの対象になります。さまざまな方に実施するからこそコミニュケーション能力や幅広い知識が求められます。
アニマルセラピーの仕事とセラピストになるためには?まとめ
アニマルセラピーは動物の力を借り、精神的あるいは肉体的な治療や機能改善を行うものです。アニマルセラピストになるために資格は必要ありませんが、民間の認定資格があります。
仕事をする場所は医療・介護福祉施設が多いです。しかし、アニマルセラピストの求人はないのが現状です。
とはいえ、今後アニマルセラピーの需要は増えていくと予想されるので、ボランティアで実績を積み、複数の資格やスキルを掛け合わせて活動しながら準備しておくのも良いでしょう。