シマリスは冬眠して厳しい冬を乗り越える動物ですが、飼育下のシマリスも冬眠するのか気になっていませんか?
だいじなシマリスに長生きしてもらうためにも、冬眠するかに関わらずしっかり環境を整えてあげたいですよね。
結論から言うと、管理の方法によっては冬眠します。ですが、飼育下で冬眠した場合は餓死してしまうこともあるので、冬眠しないように管理したほうが良いと言われています。
この記事では、シマリスの冬眠の特徴を踏まえて、寒い時期の飼い方のポイントを紹介します。
- シマリスを飼っているが、飼育下でも冬眠するのか知りたい
- いつもの睡眠と冬眠との違いを知りたい
- シマリスを冬眠させないための環境づくりをしたい
(アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2357089#goog_rewarded)
シマリスが冬眠する理由
シマリスに限らず動物が冬眠する理由は、エサの少ない過酷な冬を生き延びるためです。
シマリスの場合は、エサである木の実や芽、野草、昆虫などがいなくなるため、エネルギーの消耗が少なくても済むように冬眠します。
冬眠期間は、気温の下がる10月~4月頃までの200日間ほどです。
一般的に冬眠するときは飲食しないで眠りにつくと思われがちですが、シマリスの冬眠にはちょっと違った特徴があります。
シマリスの冬眠の特徴
一般的に「冬眠」と聞くと、あらかじめエネルギーを蓄えて、飲食せずに眠りについて春を待つことをイメージするのではないでしょうか。
シマリスは、冬眠前だからといってエネルギーを蓄えることはしません。冬眠前には1〜2mほどの深い巣穴を掘り、その中に冬眠中に食べるエサを貯めておきます。
冬眠を開始しても長くて1週間程度で体温を上げて目を覚まし、貯めておいたエサを食べてはまた眠りにつくことを繰り返して、巣穴のなかで春の訪れを待ちます。
冬眠中に体温が大きく上下するのは、からだへの負担が大きそうですよね。シマリスの冬眠について公益社団法人日本生化学会が2021年に発表した研究では、以下のように記載しています。
通常,我々ヒトを含む哺乳類は体温が30°C以下に低下すると正常体温への復温が自力では困難になり,心臓や脳・神経系などの器官にも障害が生じる.ところが,小型冬眠哺乳動物の場合は,冬眠して体温が5~6°Cにまで低下しても自力で復温することが可能であり,身体の器官に異常や障害も生じない.
秋~冬の冬眠期(10月ごろ~翌3月ごろ)には,約4°Cの外気温環境下の場合,約6°Cの低体温が約6日間持続する深冬眠と,急速に体温を約37°Cにまで上昇させ,餌を食べたり排泄をしたりする約1日の中途覚醒をくり返す.
引用:公益社団法人日本生化学会「冬眠哺乳動物シマリスの体温変動を利用した冬眠期の遺伝子発現制御機構」(https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2021.930830/data/index.html)
この情報を踏まえると、シマリスのからだは冬眠して体温が5℃前後に下がっても、からだに異常を起こすことなく自力で体温を37℃程度までもどすことができることがわかりますね。
シマリスの冬眠は、体温を下げてエネルギーの消耗を少なくすることで、冬眠前に蓄えることもなく、あまり食べなくても生存可能なつくりにしているんです。
野生のシマリスは冬眠しないこともある?
冬眠することが知られているシマリスですが、生息地域によっては野生でも冬眠しないで冬を越す個体もいるんです。
冬でも暖かい地域に生息している場合は、シマリスのからだのリズムが冬眠するようにつくられないと言われています。
そもそもシマリスの生息地域は北アジアや北アメリカなどの寒い地域のはずですが、平野部から森林、市街地にある公園など、多様な場所に生息していることが確認されているんです。
このように、様々な環境に適応できる特徴を持つ動物のため、年間を通して温暖な環境にも適応していったんですね。
飼育下のシマリスは冬眠するのか
飼育下のシマリスが冬眠するかどうかは、飼育されている環境に左右されます。そのため、飼育下でも冬眠することがあるものの、できるだけ冬眠させない方が良いんです。
野生と違って飼育下では、冬眠するための十分な準備ができていないまま冬眠して餓死してしまうことがあります。
冬眠中は体温が5~6度程度まで下がるので、そもそも弱っていて体力がなかったり、なにか病気を持っていたりすると、死亡する確率がぐっと高まってしまいます。
そのため、飼育下では冬眠させないように管理することをおすすめします。
シマリスが冬眠する条件
シマリスが冬眠するためには、気温と日照時間が大きく関わってきます。
気温が10度を下回ったり、秋冬時期の短い日照時間になると、冬眠の準備に入る傾向があります。
- 気温が10℃以下
- 秋〜冬の短い日照時間
年間を通して気温差が少ない温暖な地域に生息しているシマリスは冬眠しない反面、冬に気温がぐっと下がる地域のシマリスは、冬眠して冬を越すようにメカニズムされているんですね。
飼育下ではシマリスが冬眠しないようにしよう!
シマリスを冬眠しにくくするためには、冬眠する条件を満たさないことがポイントです。
シマリスが快適と感じる温度は20〜25℃なので、冬でも20℃以上をキープするように、ペット用のヒーターや空調で調整しましょう。
冬場は部屋の中でも温かい場所にケージを設置してあげたりと、寒いと感じることがないようにしましょう。湿度まで気を配るなら、40~60%を保つといいでしょう。
日照時間は、短くなってきたと感じるタイミングで調整を始めます。夏と同じ時間ほどは明るい環境にいられるよう、証明をつけて調整しましょう。
- 冬でも室温を20℃以上に保つ
- 日照時間は夏に合わせて証明で調整する
- 湿度は40〜60%に調整する
冬のシマリス飼育におすすめのグッズ紹介
本格的に寒くなる前に、ケージ内の温度を保てるように寒さ対策グッズを活用しましょう。
おすすめは、ペット用のヒーターです。電球型やシート型などさまざまな種類があるので、ケージの形や大きさ、ケージ内のレイアウトに合わせて設置しやすいものを選びましょう。
「ヒーターは設置したけど、夜間見ていないときの温度が心配…」という方は、デジタルサーモを併用することをおすすめします。
デジタルサーモとは、ヒーターに接続しておくと、ケージ内の温度を自動で検知してくれる上に、設定した温度範囲に準じてヒーターの電源も自動で操作してくれます。
ケージ内の温度が高いときはヒーターをオフに、逆に夜間など温度が下がったときはオンにしてくれるので、ケージ内の温度を一定の間隔に保つことができますよ。
シマリスが冬眠してるかも…見分け方は?
冬眠が心配だけど、いつもの睡眠との違いがよくわからないと思っていませんか?
シマリスの冬眠は、よく見てみると明らかに通常時の睡眠とは違う特徴があるんです。
以下にシマリスの冬眠時の特徴をまとめたので、飼っているシマリスが冬眠しているかどうか、上から順番に確認してみてください。
- 室温が20℃以下(10℃前後)である
- 呼吸数は1分間に3〜4回程度か
- 触ってみた体温は冷たいか
冬眠時のシマリスは、体温が5℃前後まで下がり、呼吸数や拍動が極端に少ないのが特徴です。
すべて当てはまったら冬眠しているか、もしくは衰弱している可能性が高いと言えます。
シマリスが冬眠しちゃった!どんな対応をすべき?
飼育中のシマリスが冬眠もしくは衰弱している可能性が高いと判断した場合は、冷静に対応しましょう。
「温めなきゃ!」と、焦って急にシマリスの体温を高く上げてしまうと、体内の循環が急に良くなり、心臓に一気に負荷がかかって死んでしまうことがあります。
エアコンやパネルヒーターなどの器具を使って温めるのはいいことなのですが、直接温風をからだに当てるのではなく、室温をゆっくりと上げていくように心がけましょう。
暖かい部屋で、1時間ほどかけてゆっくり温めてあげてください。手で包んでゆっくりさすってあげるのも、徐々に循環を促すことができるので効果的ですよ。
- 急激に体温を上げないように心がける
- 温風は直接シマリスに当てず、間接的にゆっくり温める
ゆっくり温度を上げていき、しばらく経っても覚醒しない場合は、衰弱している可能性も考慮して病院の受診を検討しましょう。
【まとめ】シマリスを冬眠させない環境をつくろう!
野生のシマリスの寿命は3〜5年と言われていますが、飼育下では飼い方次第で6〜10年ほど生きる動物です。
長生きの秘訣は、なるべくストレスをかけないことや、運動不足にさせないことです。
一時的に仮死状態になる冬眠は、シマリスにとって大きなストレスになります。
シマリスがより長く、元気な姿であなたと一緒に過ごせるように、寒い時期は特に室温と日照時間に気をつけて、冬眠しないように管理しましょう。