「駐車場経営にはどんな税金がかかるの?」「駐車場経営は税金が高いって聞いたけど大丈夫かな…」
近年、注目を浴びている土地活用。中でも初心者が始めやすいと言われる「駐車場経営」に興味を持つ人が増えている中、税金について不安を抱く方も多いのではないでしょうか。
本記事では、駐車場経営における税金の種類やその算出方法、また【節税】できる方法についても紹介します。
税金の種類や節税方法を理解できていれば、無駄な出費なしで安心して駐車場経営ができるかもしれません。ぜひ最後までこの記事をご覧くださいね。
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駐車場経営における税金①:固定資産税
固定資産税とは、毎年1月1日時点での現在の土地・家屋などを所有する人に対して市町村が課税する税金のことを指します。
税金の金額は、課税標準額に税率を乗じて算出されます。固定資産税の税率は原則1.4%です。
固定資産税額=課税標準額×1.4% ※課税標準額については以下参照
課税標準額は、固定資産税評価額(公示地価の約7割水準)の約70%です。正確な金額は4~5月に市町村から送付される「納税通知書」で確認することができます。
住宅用地の場合、「小規模住宅用地(200㎡以下)であれば固定資産税評価額の6分の1」といった課税標準額の減額特例がありますが、駐車場用として利用する更地には減額特例はありません。
ですので、更地における固定資産税は、住宅用地の6倍程度高くなってしまいます。
駐車場経営における税金②:消費税
消費税は、商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金のことを指します。
駐車場経営においては駐車車両の管理を行ったり、有料駐車場にするための地面の整備等を行った場合、駐車場の利用者から得た賃料収入に対して課税されます。以下が消費税の算出式です。
消費税=課税取引額×10%(消費税率7.8%と地方消費税率2.8%の合計)
なお、駐車場経営における収入が年間1000万円を超えない場合、消費税の納税義務はありません。
駐車場経営における税金③:償却資産税
償却資産税とは、駐車場経営で用いる「設備」に対してかかる税金のことです。
具体的には、フェンスや舗装、駐車機器、外灯など「土地以外で取得費用が10万円以上のもの(いわゆる償却資産)」が該当します。
ただし、償却資産税がかかるのは課税標準額が150万円以上の場合のみです。以下の式によって償却資産税を算出しています。
償却資産税=課税標準額×税率1.4%(固定資産税と同様の算出式)
なお課税標準額は毎年安くなっていくため、償却資産税も年々安くなります。
駐車場経営における税金④:所得税
所得税は、売上から経費および各種控除を差し引いた「所得」に対してかかる税金のことです。
所得税は累進課税によって金額が決まるため、税率は所得に応じて5%~45%となります。以下が消費税の算出式です。
所得税=所得額×税率(所得に応じて5%~45%の間)-所得控除
なお、駐車場の収容台数が10台以上の場合には、所得税ではなく個人事業税として課税されます。
また有料駐車場の経営における所得は、経営形態によって「不動産所得」「事業所得」「雑所得」の3つに分類されます。
不動産所得 |
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事業所得 |
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雑所得 |
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これら分類の違いで大きく違うのが控除額です。以下で一例として、青色申告による控除について紹介します。(青色申告については後ほど「駐車場経営における【節税】の方法」で詳しく説明します)
駐車場経営では、およそ50台以上を運営していることが事業的規模と判断される目安です。事業的規模と認められなかった場合は不動産所得となります。
ですがこの場合、青色申告による65万円の特別控除が受けられません。簡易帳簿による10万円の特別控除のみとなってしまいます。
また雑所得の場合では、青色申告による控除を受けることができません。他にも各種控除に違いが生じるため、所得税の分類と各種控除については徹底的にリサーチしておきましょう。
駐車場経営における税金⑤:個人事業税
個人事業税とは、個人が事業を営んだ際に課税される税金のことで、都道府県によって課税対象者が決定されています。
上述の通り、駐車場経営においては収容台数が10台以上の場合、所得税ではなく個人事業税として課税されます。以下が個人事業税の算出式です。
個人事業税=(所得額-事業主控除額290万円)×税率 ※事業主控除:1年間事業を行っていれば一律で受けられる290万円の控除
なお、個人事業税は所得税や個人住民税の確定申告書を提出していれば不要です。また税率は標準税率が5%、制限税率が5.5%となっています。
駐車場経営における税金⑥:都市計画税
都市計画税とは都市計画法による都市計画区域のうち、市街化区域にある土地・家屋の所有者に対して課税される税金のことです。
ただし、市町村によっては都市計画税が課税されないこともあります。
Googleなどの検索エンジンで『〇〇市町村 都市計画区域』と検索するとその市町村が課税地区かどうかをチェックできますので、興味のある方は後ほど確認してみてくださいね。以下が都市計画税の算出式です。
都市計画税=課税標準額(固定資産税評価額)×制限税率0.3%
なお、都市計画税の課税標準額も固定資産税のものと同じ値を用いて計算します。
また都市計画税にも、住宅用地であれば固定資産税と同様に課税標準額の減額特例があります。
住宅用地の場合、「小規模住宅用地(200㎡以下)であれば固定資産税評価額の3分の1」といった課税標準額の減額特例がありますが、駐車場用地には減額特例はありません。
ですので、駐車場用地における都市計画税も、住宅用地の3倍程度高くなってしまいます。
駐車場経営における税金⑦:相続税
相続税とは、亡くなった人の財産を相続した場合に課税される税金です。駐車場を経営している土地を相続した場合にはこの相続税が発生します。
相続した土地をそのまま、もしくはアスファルト舗装やフェンスなどによる整備を施して駐車場にしている場合、相続税は原則自用地評価となります。以下がその算出式です。
- 路線価方式(路線価のあるエリアにある土地の場合)
自用地評価額=路線価×各種補正率×面積 - 倍率方式(路線価のないエリアにある土地の場合)
自用地評価額=固定資産税評価額×倍率
駐車場経営における【節税】の方法
ここまでは駐車場経営にかかるさまざまな税金の種類やその算出式を紹介してきました。「駐車場経営にはかなりの税金がかかるんだな…」と不安になった方もいるかもしれません。
ですが、これらの税金を節税することができる方法があるのです。
続いては駐車場経営における節税方法について、詳しく説明していきたいと思います。
青色申告による特別控除を受ける
青色申告とは、正規の簿記の原則に従って作成された帳簿に取引内容を逐一記録しておき、その記録に基づいて確定申告を行う制度です。
所得の分類によって控除の条件は異なりますが、一定要件を満たすことで最大65万円の青色申告特別控除を受けることができます。
ただし、この控除を受けるためには事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」を税務署へ提出しておかなければなりません。
届け出を出していないと、要件を満たしているにも関わらず自動的に白色申告者となってしまい、控除を受けることができませんので必ず申請を行ってください。
アスファルト舗装工事を行う
更地にアスファルト舗装を行うことで、場合によっては小規模住宅用地としての減額特例を受けられる可能性があります。
ただし、アスファルト舗装や駐車場設備の工事に10万円以上の費用がかかり、かつ償却資産評価額の合計が150万円を超えてしまった場合、アスファルトなどの償却資産に対して償却資産税が発生することになります。
また小規模住宅用地として減額特例を受けるための要件を満たしている必要があるため、アスファルト舗装工事の前に一度、土地活用の専門会社などに相談することをおすすめします。
駐車場経営の税金対策で計上可能な経費
駐車場経営に必要な設備に関して、設備費などを「経費」として計上することができるものもあります。
費用を経費として計上するには、自分で購入したものである必要があります。
しかし、経費として計上できれば課税対象となる範囲を減らすことができますので節税対策になります。以下が経費として計上できるものの例です。
経費 | 経費の費用 |
舗装費 | 35000円~/㎡ |
車止め機器 | 6000円~/台 |
看板 | 1万円~/個 |
精算機 | 65万円~/台 |
外灯 | 3万円~/基 |
フェンス | 2万円~/m |
上のように、土地の整備費や看板の設置費用、設備費用などが経費として計上可能となっています。
駐車場経営は節税ポイントを把握してから
今回は駐車場経営における税金の種類や算定方法、節税の方法について述べてきました。参考になりましたでしょうか。
駐車場経営にはかなりの税金が課税されるのは確かです。しかし、きちんと税制度を理解できていれば節税も可能になります。特に理解しておいていただきたいのは、以下の2点です。
- 税金の種類と大まかな金額
- 所得の分類、受けられる控除
税金や控除についての知識の違いで、駐車場経営にかかる費用が大幅に変わってきます。しかしながら、複雑な税制度を正確に理解するのはなかなか難しいのも事実です。
そういった場合は税理士に相談したり、土地活用サイトなどを上手に活用してみてくださいね。