ピョンピョンと走り回る姿が愛らしいウサギ。そんなあなたの家の癒しキャラでも急に噛むことがありませんか?
「もしかして嫌われてる?」「噛むことを覚えたら安心してお世話できない」って考えると悲しい気持ちになってしまいますよね。ですがウサギの噛むという行動はあなたを嫌いになったからではありません。
この記事ではウサギが嚙む理由7つと、その対処法について解説しています。正しいしつけ方のポイントも合わせて紹介していますので、ぜひウサギとの安全で楽しい生活を送るヒントにしてくださいね。
アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1463345?title=%E3%81%86%E3%81%95%E3%81%8E2&searchId=3614539212
ウサギが噛む理由はさまざま
ウサギの噛むという行為にはさまざまな理由がありますが、意識するべきは噛むということはウサギの本能であり、声を出せないゆえの意思表示だということです。
当たり前ですが、あなたの愛するウサギも毎日そのときどきの感情があって行動しています。だから噛む対象やそのときの状況をしっかり観察することで、ある程度噛み癖を抑えることは可能です。
嚙み癖を抑えることはウサギの不正咬合(嚙み合わせの異常)を防ぐことにもつながりますので、飼い主の重要な役目でもあります。
ウサギが噛む理由は大別して7パターン考えられますが、それぞれに違った対処法が存在しますので次から詳しく解説していきます。ウサギの気持ちに寄り添って、ていねいに粘り強く対応していきましょう。
ウサギが噛む理由1.アピール
ゲージを一生懸命ガジガジするウサギ、なにか気付いてほしいことがあるようです。ウサギの噛む行為は意思表示、遊んでほしいのか、お腹がすいたのか、おやつの時間なのか、とにかく何かを訴えています。
やってはいけないこと
毎日決まった時間にすることは、最大限守ってあげましょう。とはいえ飼い主だって忙しくて忘れることもあります。噛まれたあとに「あぁ、ごめんね」と言いながら対応してあげる、実はあまりよいとは言えません。
この順番だとウサギは噛めば対応してくれると思ってしまい、嚙み癖を助長させる原因にもなってしまいます。
おすすめの対処法
この場合噛んでいる間はなにもしないと思わせることが大事で、無視をする、光を遮る行為などで噛むことでは自分の言いたいことが伝わらないというのを教えてあげましょう。
ただしウサギの気持ちを叶えてあげることは必要なので、噛んですぐではなく「噛むのはダメだよ」と伝えた上で対応してあげます。
ゲージを噛むパターンはウサギの歯を傷つける恐れもあるので木製のフェンスなどがあると安心です。
ウサギが噛む理由2.歯の伸びすぎ
「なんだか前に比べて歯が邪魔だなぁ」ガジガジガジと、これがウサギが嚙む理由の2つ目です。野生で育っているウサギは歯の伸びすぎを防ぐために、固いものを噛んで歯を削ります。
なぜならウサギは常生歯といってずっと伸び続ける歯を持っているからです。ですからこういった理由で噛むのはウサギの本能であり、完全に防ぐことはできません。
お家で一緒に住んでいるウサギだと動物病院で歯を削ってもらう選択肢もありますが、ウサギが感じるストレスも考慮する必要があるためお医者さんと相談して決めるのが大事です。
やってはいけないこと
大きい声で叱る、力で押さえつける、こういったしつけ方はウサギに恐怖とストレスを与えてしまいます。
おすすめの対処法
このパターンは無理に止めさせることはしないで、かじり木を用意するなどして対処しましょう。なるべく噛みやすいものだとよいです。ウサギにも好き嫌いがあるので好みのものを探してあげるようにしてください。
ウサギが噛む理由3.上下関係
3つ目は飼い主との上下が逆転している状態から起こるパターンです。手を出したときに「なんだよ、僕の方が強いんだぞ!」ガブリってことですね。
次に解説する縄張り意識が理由で噛むのと混同しがちですが、こちらは対処しないでおくとますますウサギとの関係が悪くなってしまいます。
なにも制限のない自由な環境はウサギに勘違いを起こさせる原因になってしまうので注意が必要です。
やってはいけないこと
このパターンだと噛むことは悪いことだと教える必要がありますが、力まかせはいけません。ウサギはとても繊細な生き物ですので、叱るときにも最大限注意を払ってあげましょう。
おすすめの対処法
ウサギに上下関係を教えるにはウサギの動きを制限することです。頭部を押さえてウサギが動けない状況にしてください。縄張りを主張する習性を真似た「あごのせ」という対応も有効です。
「あごのせ」のやり方はウサギの頭の上にあごをのせるだけ。これだけでウサギはにおい付けられた、つまり飼い主は自分より強いんだなと認識してくれます。
ウサギの個性によってはこれらの動きも遊びと感じてしまうパターンもあるので、そういう場合はたとえ部屋での散歩時間であってもゲージへ戻すという形で制限をかけましょう。
ウサギが噛む理由4.縄張り
「ここは僕の縄張りなのに、入ってこないで!」ガブッ、スキンシップしようと思ったらこんな感じで噛まれるパターンです。ウサギはもともと縄張り意識が強い生き物ですので、こういうことが往々にして起こります。
ウサギが自由に行動できる範囲が人のいる領域まで広がってしまうことにも原因があります。
やってはいけないこと
この場合も噛むことの根本的な原因は本能によるものなので、問答無用で叱るのは間違いです。
おすすめの対処法
まずはウサギが安全に動ける範囲を作って、そこを縄張りとして意識させてあげることが大切です。その範囲内でウサギとスキンシップするときは、極力リラックスしているときを狙いましょう。
範囲内に入る必要がある場合はウサギを別の場所に移すなどの対策が有効です。ただし縄張り内であっても噛むことはいけないことだと伝えるために「あごのせ」などの行動を制限する方法は必ず行ってください。
ウサギが噛む理由5.思春期
「ドキドキするなぁ、なんだか気持ちが落ち着かない、」そんなときに飼い主さんの手が近づくと……がぶりっ。ウサギは生後3~4か月が思春期と言われ、その時期は特殊な行動も目立ってきます。
やってはいけないこと
こういった時期には噛む以外にもおしっこを飛ばしたり、マウンティング(腰ふり)といったものが見られるようになります。これらの行動もすべて本能によるものなので、しつけでなんとかなるものではありません。
おすすめの対処法
有効な対処法は特にありませんが、時期によるものなので時間が経てば落ち着いてくるでしょう。その間はウサギが自分で傷つかないように注意してあげてください。
噛むことはいけないことだと教えつつ、ウサギのストレスを解消してあげれるよう努めましょう。それでも困ったときは獣医さんに相談してみるのもひとつの手です。
ウサギが噛む理由6.感情
「なでてくれるのはうれしいけど、そこじゃないんだよな」そんな気持ちでガブッといかれることもあります。
やってはいけないこと
ウサギの毛並みは触っていると気持ちよく、つい長々と続けてしまいます。ウサギの気持ちを考えてコミュニケーションを取りましょう。
おすすめの対処法
ウサギをよく観察しながらのスキンシップを心がけてください。足を投げ出して地面に伏せている、目を細めている、歯ぎしりをしているなどはリラックスしている、気持ちよくなっているときのサインです。
ブーブーと弱く長い音が聞こえてもうれしい気分、逆にブッブッと強く短い間隔で音が聞こえるようだったら怒っている証ですので注意しましょう。
(目を細める、歯ぎしりをするときは調子が悪い場合も考えられるので、前後の状態や環境と合わせて判断しましょう)
ウサギが噛む理由7.ストレス
野生のウサギは身を守るため警戒心も強く非常に憶病です。人と暮らしているウサギも本能は一緒なので、まわりのちょっとした変化からストレスをためてしまいます。
したがってストレスから噛むなどの問題行動を起こしてしまうことも多々あるのです。
やってはいけないこと
ウサギは群れで生きるため孤独を嫌います。飼い主さんとの毎日のコミュニケーションと退屈にならない適度な刺激が必要なのです。しかし構いすぎるのもウサギにとってマイナスに働くことになります。
おすすめの対処法
ストレス解消のためには毎日部屋を散歩させることが大事ですが、その時間は30分~1時間がよいとされています。あくまでも目安の時間であって大切なのはウサギの個性に合わせて接してあげることです。
2時間くらい遊ばせてあげるケースもありますが、あまり長すぎると短い時間で満足できなくなるので注意。同時に言葉で話しかけることによって少しずつ信頼関係を築いていきましょう。
正しく伝える方法
ここではこれまで話してきた中で何度も登場した「噛むのはダメだよ」と正しく伝える方法についてくわしく解説していきます。これまで出てきたものも含めて主な方法を次にまとめています。
- 頭を押さえていつもと違うトーンで「ダメ」と発声する
- ゲージに戻す(噛む行為と関連付けさせる)
- 床を強めに叩いてみる(スタンピングの真似)
- あごのせ(におい付け)を行う
1.頭を押さえていつもと違うトーンで「ダメ」と発声する
ウサギに対して暴力でしつけるのはもってのほかです。ウサギの背骨などは簡単に折れやすくデリケートな生き物なので力の加減には注意してください。ウサギが動けない程度に頭を押さえて「ダメっ」と言います。
名前も呼んではいけません、声のトーンも変えてとにかく通常とはなにか違うなと思わせることが大事です。
2.ゲージに戻す(噛む行為と関連付けさせる)
お散歩中に特に有効な方法となります。悪い事をしたらゲージに戻されるとわかってくれれば嚙み癖も自然と収まってきます。
3.床を強めに叩いてみる(スタンピングの真似)
スタンピングとはウサギが自己主張するときの行動で足で強く床を叩くことから足ダンとも言われます。スタンピングするのは催促、嫌悪、警告といったときにするものです。
この行動を真似することでウサギにダメだよという気持ちを伝えます。
4.あごのせ(におい付け)を行う
ウサギはあごの下に臭線というにおい付けのための器官が存在します。あごをこすりつけ対象物にマーキングすることで自分のものであることを主張しつつ、立場が上だと示すのです。
ウサギの頭に飼い主さんのあごをのせることで、立場が上だとわからせ問題行動を抑制することにつなげます。
叱った後も大事
これらの行動をしたあとはウサギがリラックスしてる時間にスキンシップをしたり、おやつをあげたりしてったあとのフォローもしっかり行いましょう。
ウサギが噛む理由【まとめ】
ウサギは人間や他の動物と比べても小型で力の弱い生き物です。ですから対象を噛むという行動で自分の状況を示したり、いろいろな気持ちを表現したりします。
噛まれたら当然痛いし恐れる気持ちも出てきますが、あなたを一緒に過ごす相棒として認めている証拠でもあるのです。
しっかり観察してあげながらお互いの信頼を積み上げていくことが、そのままよいしつけにつながっていくでしょう。