犬を飼う上でしつけは必要不可欠ですが「いつから始めればいいか」タイミングがわからない人が多いと思います。
また、具体的にどんなしつけをすればよいのかわからない人もいるでしょう。
しつけは飼い主と犬が良いパートナーであるためのコミュニケーション手段の一つです。時間が多少かかったとしても焦らず着実に進めるのが大事です。
この記事では、しつけの開始時期や具体的なしつけの方法、しつけをする際の注意点などを解説していきます。
出典:https://pixabay.com/ja/photos/%e3%83%96%e3%83%ab%e3%83%89%e3%83%83%e3%82%b0-%e7%8a%ac-%e3%83%9a%e3%83%83%e3%83%88-%e5%8b%95%e7%89%a9-1224267/
犬のしつけはいつからが良いのか
基本的に犬のしつけの開始時期は生後2~3か月頃に始めるのが良いでしょう。
この時期は社会化期といい、成長後の嗜好性や愛着が一番形成しやすい時期です。そのため、様々な刺激や場所などにも対応しやすくなっています。
自分がどのような生活スタイルで犬と過ごしていくのかを考え、そのスタイルに合わせた人や場所、体験を親しませることが大事でしょう。また、家の中でのルールをきちんと覚えさせるためにしつけは重要です。
犬のしつけに関する家族ルールはいつから決めるべきか
しつけをする際、家族の中で共通したルール作りは非常に大事です。
例えば、家族の中でだれか一人が甘やかしたり、対応方法が統一されていないと犬にとって安心した環境にならず、不安感からストレスを持つようになります。
また、犬に対してのしつけ用語がバラバラだとしつけをしても犬が怒られていることを理解できません。
犬を迎え入れる前に犬のしつけに関する共通した家族ルールを決めておくのが良いでしょう。
犬のしつけの具体的な内容と意義
それでは犬のしつけに関して、具体的に見ていきます。教えたいしつけとしては以下のモノです。
- 自分の名前を覚えさせる
- アイコンタクト
- トイレのしつけ
- ハウストレーニング
- ボディコントロール(体を触らせることに慣れさせる)
- 歯磨き&ブラッシング
どれも基本的なしつけであり、子犬のうちにきちんと行う必要があります。
自分の名前を覚えさせる
信頼関係を構築する第一歩として、犬に自分の名前を覚えさせる必要があります。
これは家族の名前も同様で、意識的に固定の名前で呼び合う必要があります。
ここで注意したいのが、複数の呼び方をしてしまうと犬が混乱してしまうので、1つの名前に統一するようにしましょう!
アイコンタクト
犬が自分の名前を覚えたら、アイコンタクトをとれるようにしましょう。
アイコンタクトはコミュニケーションをとるうえで必要不可欠であり、名前を呼ばれたら飼い主に注目できるようにすることが目的です。
他にも目を合わせることで気持ちが伝えやすくなります(いいことをしたときに褒めたり、ダメなことをしたときにダメと伝えるなど)。
アイコンタクトができることは、犬が飼い主を信頼している証なのです。
トイレのしつけ
最近は多くの犬が室内で飼われています。そのため、家の特定の場所でトイレをしなければいけなくなり、トイレのしつけが非常に重要になりました。
トイレのしつけは早い段階で教えたほうがいいです。なぜなら、トイレの場所を認識する前に家のどこかにトイレをしてしまうと、残った匂いに誘発されて同じ場所に再度トイレをしてしまうからです。
ハウストレーニング
ハウスを安全な寝床だと教えるしつけを「ハウストレーニング」といいます。
犬に快適で安心できる場所を提供し、慣れさせることで災害時にも冷静な対処が可能になります。
ただ、クレートは狭く暗い場所です。犬も急に閉じ込められたら恐怖でしかありません。徐々にハウスに慣れてもらうようにしましょう。
ボディコントロール
ボディコントロールは犬が体のどこを触られても反抗せず、じっとしていることです。
噛み付き防止などで、このしつけは重要になってきます。ほかにも、歯磨きやブラッシングなど犬の健康を保つためのケアをするためにも大事です。
歯磨き&ブラッシング
歯磨きをする目的としては歯周病予防のためです。歯周病は痛みや出血を伴うので生活の質が落ちたり、よだれや口臭の原因にもなります。
犬は虫歯になりにくい反面、歯周病になりやすく、3歳以上の犬の80%が歯周病といわれてます。
ブラッシングをすることで、犬の健康状態を見ることができます。日常的にチェックする習慣があれば、病気の兆候にも早く気付くことができます。
また、ブラッシングにはリラックス効果もあるので、心と体どちらも整えることができます。
それぞれのしつけはいつから始めればよいか(しつけの順序)
しつけにはそれぞれ順序があり、それをきちんと守ることでスムーズにしつけを進めることができるでしょう。
犬を迎え入れてすぐ
迎え入れてすぐの一週間は犬が新しい環境に慣れるための期間です。急に新しい環境になったので、犬も戸惑うことがたくさんあります。
しつけとしては犬に自分の名前を覚えさせたり、トイレトレーニングから始めましょう。
その際、神経質になる必要はなく、気楽に接するようにするのがよいです。
大抵のことは継続すればできるようになるので、あきらめずにしつけを続けましょう。
犬が環境に慣れたら
一週間ほどたつと、犬も新しい環境に慣れ始めます。この頃から、アイコンタクトやボディコントロールなどのしつけを始めるようにしましょう。
本格的なしつけのスタートはこのあたりです。ハウストレーニングなどもこのタイミングがよいでしょう。
生後三か月頃は好奇心旺盛で、いろんなことを習得しようとします。最初はできなくても長い目で見るようにしましょう。
それぞれのしつけの方法
どのしつけもやみくもにやれば良いというわけではありません。適した順序や気を付けるべきポイントなどを見ていきましょう。
名前を覚えさせる
犬に名前を覚えさせるといっても、我々のように名前=自分と覚えさせるのは難しいでしょう。だからこそ、犬に具体的な状況を覚えさせるのが大事です。
どんな状況かというと「名前を読んだら振り返る or 飼い主のところに来る」ことです。
「あるキーワード(=名前)を言われた後に、飼い主のところに行ったら褒められた」という流れを犬が覚えたら、名前を呼ぶ=行動という仕組みを犬が認識できます。
流れを何回も何回も経験することで、犬はだんだんと覚えていきます。大事なのは、根気強く続けることとできた時には全力で褒めてあげることです!
アイコンタクト
アイコンタクトは1つずつ順番に進めるのが大事です。第一ステップは「近くにいるときに名前を呼ぶ→目が合う」ができるようにしましょう。名前を呼ぶときは、一回だけはっきりと呼びましょう。
第二ステップは「犬が何かに気をとられているときに名前を呼ぶ→目が合う」ができるようにしましょう。おもちゃやフードでわざと気をそらさせるのもいいです。
第三ステップでは「いろんな状況で名前を呼ぶ→振り返って目が合う」ができるようにしましょう。散歩中やおもちゃで遊んでいるときなど、たくさん試して練習しましょう。
どのステップでも大事なのが、アイコンタクトができたら全力で褒めることです。また、時間がかかったとしても焦らずに根気強く続けましょう。
トイレのしつけ
トイレのしつけは環境面の準備が大切です。子犬の場合は排泄数も多く、我慢できる時間も短いのでケージ内にトイレを用意してあげましょう。
また、なるべく目を離さないようにして、排泄をしそうなタイミングでトイレに連れていくのが大事です。
- ご飯を食べた後&水を飲んだ後
- 運動後
- 興奮後
- 寝て起きた後
- 個体によっておおよそ決まった時間
犬によりますが、排泄のサインがあります。下記のような行動がみられたら、すぐにトイレに連れていきましょう。
- 床や地面をクンクンとかぎ始める
- その場をくるくると回りはじめる
- そわそわしだす(動きが速くなる、左右に往復するなど)
もし、粗相をしても叱ってはいけません。叱ったり、叩いたりしてしまうと犬は排泄を我慢するようになってしまいます。もし、失敗しても何事もなかったように片付けてください
ハウストレーニング
ハウストレーニングの最初はハウスに興味を持ってもらうことから始めます。フードやおやつをハウスの手前において興味を持ちようにしましょう。
もし、犬がハウスの回りをウロウロしだしたら、扉を開けて自分からハウスに入るようにしましょう。また、もしハウスの中に入ってもすぐに扉は閉めず、開けっ放しにしておきましょう。
何度もハウスに入るようになったら、おもちゃなどを入れてハウスの滞在時間を伸ばしましょう。この段階までいったら、犬が気をとられているうちに静かに扉を閉めましょう。扉を急に閉めないように注意してください。
ボディコントロール
ボディコントロールで大事なのは「触ってもらう=いいこと」と犬に認識させることです。触れる部分や撫でられる部分を徐々に増やすようにし、その都度たくさん褒めるようにしましょう。
ボディコントロールで重要視されるのが、マズルコントロールとマウンティングです。
- マズルコントロール=犬の口周りや歯、歯茎に最終的には触れられるように
- マウンティング=腰回りを触らせてくれるようになると、順位が上だと捉えられるので、他のしつけもしやすくなります
このほかにも触れるようにすべき場所は様々あります。ボディコントロールは歯磨きや診療など健康面でも大事です。
最終的には、体の隅々まで触れるようにしましょう。触れない場所があるのに成犬になってしまうと、その後の練習が大変です。そんなことがないよう子犬の時にいろんなところを触りましょう。
歯磨き
歯磨きも各ステップを踏んで、進めていくのが大事です。焦らずゆっくりと進めていきましょう。
- 口元を触る
- 歯や歯茎を触る
- 指を口の中に入れる
- 歯磨きシートを使って歯磨き
- 歯ブラシを使って歯磨き
犬が少しでも嫌がったら、無理せずやめましょう。また、歯ブラシを使うときは、すぐに入れるのではなく、歯ブラシを慣れさせる時間を設けましょう。得体のしれないものを急に口に入れられても怖いだけです。
少しでも出来たら、その都度褒めたりご褒美を挙げるようにしましょう。
ブラッシング
ブラッシングは犬本来の習性ではないので、まずはブラッシングに慣れさせるのが大事です。
例えば、ブラッシングの道具をいきなり使うのではなく、犬に近づけて様子を見てみましょう。もし怖がっているのあれば、日常的に目に入る位置において、慣れさせましょう。
ブラッシングを行うタイミングも大事です。運動後や食後の犬の心が満たされて、リラックスしているタイミングでゆっくりと行うようにしましょう。
最初は短い時間で切り上げ、徐々に時間を伸ばすようにしましょう。
散歩トレーニングはいつから?
散歩の練習は生後3か月くらいにはさせるべきです。理由は社会化期に様々な体験をさせるべきだからです。ただ、ワクチン接種(免疫力向上のため)の直後はやめたほうがいいでしょう。
最初は犬を抱っこして家の周りを歩くのがいいでしょう。外の世界は知らないものばかりで、犬に多少負担がかかるものです。短時間で行いましょう。
子犬の時は好奇心が旺盛なので、拾い食いに気をつけてください。リードなどは短く持つといいでしょう。
犬のしつけをする際の注意点
犬のしつけは基本的に根気強く行わなければいけません。できなくても、冷静に対処するようにしましょう。
また、しつけを長時間やるのはよくないです。短時間のしつけを何度もやるようにしましょう。
ほかにも、何か間違ったときに名前を呼んで叱るのはやめましょう。名前を呼ばれる=怒られると犬が認識してしまいます。
叩くのもあまりやらないようにしましょう。犬は叩かれると少なからず敵対心を持ちます。時には必要かもしれませんが、極力しないようにしましょう。
犬のしつけはいつからがいいのか まとめ
犬のしつけの開始時期、具体的なしつけ内容、しつけ方法などを見てきました。犬のしつけというのは、飼い主と愛犬が快適な生活を送るための第一歩です。犬とともに段階を踏んで行いましょう。
また、今回説明した方法は犬によって効果がないかもしれません。そんなときにはしつけ教室やドッグトレーナーの方に相談するのも一つの手です。
思うようにいかず、時間がかかることもあると思います。気楽に接しながら長い目でしつけを行うようにしましょう。そして、少しでもできた時にはいっぱい褒めてあげましょう!