水槽を立ち上げたら、次は「水換え」ですね。水換えは水槽内の水質を管理する上で非常に重要です。
一方で、いざ始めるとなると「水換えは毎日した方が良いのか」「水換えのタイミングはどんな時か」など、何に気をつければ良いのか分からないですよね。
水換えは一見難しそうですが、正しいやり方で行えば初心者の方でも簡単にできます。
本記事では、水換えの基本的な知識だけでなく、注意点や水質維持のポイントも紹介しているので参考にしてみて下さい。
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水槽立ち上げ後の理想像
理想的な水槽とは、魚にとって適切な水質である状態のことです。そのような水質にするためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 水素イオン濃度はpH 6〜7
- 硝酸塩濃度は10mg/L以下
水素イオン濃度はpH6〜7
水槽イオン濃度(pH)とは、水が酸性・中性・アルカリ性であるかを知るための数値です。
一般的な観賞用の淡水魚はpH6〜7の弱酸性を好みます。海水魚の場合はアルカリ性のためpH8以上を保ちましょう。
硝酸塩濃度は10mg/L以下
硝酸塩とは、魚のフンや餌の食べ残しなどによって発生したアンモニアが、バクテリアによって変化した有毒物質のことです。
硝酸塩の濃度が高いと魚が衰弱死してしまうため、濃度は10mg/L以下を心がけましょう。硝酸塩は蓄積するとpHを下げる(酸性になる)原因にもなります。
水槽立ち上げ後に水換えをする理由
水換えには水槽内の有害物質を取り除く役割があります。なぜなら、主な有害物質である硝酸塩を減らす方法は水換え以外にないからです。
水槽には通常ろ過バクテリアが棲みついていて、毒性の高いアンモニアを硝酸塩にろ過してくれます。しかし、これ以上のろ過はできません。
硝酸塩はアンモニアより毒性が低いですが、蓄積すると水槽内のpHが下がり、苔や藻の大量発生を招きます。
水質悪化を防ぐだけでなく、水槽内の環境を美しく保つためにも、水換えは欠かせない手段なのです。
水槽内のフィルターや低床材に棲んでいる。アンモニアを亜硝酸塩に変えてから、最終的に硝酸塩にろ過する。バクテリア剤を入れることで繁殖する。
水槽立ち上げ後の水換えの頻度
水槽が立ち上がってから2週間は、毎日水換えをしましょう。通常の水換えの目安は週1回程度ですが、立ち上げ直後はろ過バクテリアの数が少ないため水質が悪化しやすいからです。
バクテリア剤の効果が出るまでは、水が白く濁ったり、苔やカビが発生しやすいので、下記の表を参考に水換えを行いましょう。
水槽立ち上げ直後 | 毎日 |
水槽立ち上げから2週間経過 | 週2回 |
水槽立ち上げから1ヶ月経過 | 週1回 |
水槽立ち上げ後の水換えの量
水換えの量の一般的な目安として水槽の1/3程と言われていますが、実はこれだけでは不十分です。なぜなら毎回1/3程の水換えで水質が100%回復するわけではないからです。
有害物質は日々発生しているため、毎日水換えをしても水質は徐々に悪化しています。だからと言って、水換えの量を増やすのは、魚へのダメージが大きいので禁物です。
そのため、定期的に水槽1/2程又はそれ以上の量を入れ替えて水質を底上げする必要があります。
常に理想の水質にする必要はありませんが、水換えにもメンテナンス日を設けることを覚えておきましょう。
水槽立ち上げ後の水換えのタイミング
水槽内のpHが1〜1.5下がったら水換えをしましょう。飼育している魚の最適なpHが6の場合は、pH5〜4.5の状態です。
一方で、pHが下がっていない場合は水換えをする必要がありません。水質が良い状態で水換えをすると、水槽内にろ過バクテリアが定着しにくいからです。
基準値がpH6の水槽なら、pH5.5であれば水換えをしないでおきましょう。
今すぐ水換えが必要な状態
pHを測るよりも前に、目で見て分かることもあります。下記は、今すぐ水換えが必要な状態の具体例です。
- 水が濁っている
- 水が黄ばんでいる
- 苔や藻が大量発生している
- 白い苔がある
- 泡が残っている
- 油膜がある
- ツンとした臭いがする
これらの状態は水質に深刻な問題があるため、良くないモデルケースとして参考にしましょう。
水換えに必要なもの
水換えには6つ必要なものがあります。水換えはなるべく素早く行う必要があるので、使ったことがないアイテムは、事前に触ってみて慣れておきましょう。
- プロホース(ポンプ)
- バケツ
- 塩素中和剤
- pH試験紙
- コケフロス
- 温度計
- タオル
プロホース(ポンプ)
水の排出や低床材の掃除として利用します。プロホースには、ポンプを押すタイプと上下に振るタイプとがあり、初心者の場合はポンプ式が扱いやすいです。
また、水槽の高さによってメーカーが推奨しているプロホースのサイズが異なります。30cm以下はS、36cm以下はM、45cm以下はLが最適です。
また、チューブに水量調節クリップを差し込むと、底床材を吸い込まずに汚れを取り除くこともできます。
バケツ
容量は10L以上がおすすめです。水槽から出た水を溜めておく用と新しい水を作る用とで2つ用意しておきましょう。水換え以外でも、魚を一時的に隔離したり、水槽掃除の時に水草やオブジェを置くためにも使えます。
塩素中和剤
水道水のカルキ抜きに必要です。エーハイム 4 in 1は、塩素中和以外にも、重金属無害化、白濁除去、エラ・粘膜保護の効果があります。特にこだわりがない場合は、これ1本だけでも十分です。
pH試験紙
pHを測る道具は値段も種類もピンキリなので、まずは試験紙から始めてみましょう。テトラテストはpH以外の硝酸塩などの有害物質の濃度も分かるので大変便利です。
コケフロス
水槽のガラス面に付着した苔を取るのにはコケフロスがおすすめです。一般的に苔取りにはメラミンスポンジが使われますが、コケフロスでも十分ガラスが綺麗になります。
スポンジ手袋は、指先がスポンジになっているので、オブジェや流木、底床材などの細かい部分の苔取りに最適です。コケフロスと併せて持っておくと、普段の水換え中にも簡単に苔取りができます。
温度計
新しい水を作る際に、水温が水槽内と同じであるか測るために使います。2°C以上の寒暖差は厳禁なので、正確な水温を把握するためにもデジタル温度計を選ぶのが無難です。
もちろん、アナログ温度計の方が使い慣れている場合は、デジタルでなくても問題ありません。
タオル
基本的には水換え中の水ハネを拭くために使います。機材に水がかからないように、あらかじめ水槽設備に覆っておくと安心です。
水換えのやり方
水換えは以下の順番で行います。その際に、なるべく素早く水換えをしましょう。目安は60cm四方の水槽で30分程です。
また、長時間設備の電源を落とすと、フィルター内のろ過バクテリアが酸欠になってしまいます。感電の恐れがある場合以外は、設備の電源は抜かないで水換えを行いましょう。
- 水槽内のpHを測定する
- 水槽のガラス面の苔を落とす
- プロホース(ポンプ)で水槽の水を抜く
- 新しい水を作る
- 水槽に新しい水を入れる
1 水槽内のpHを測定する
水換えをする前に、pH試験紙もしくは測定器を使って水槽内のpHを確認します。pHの値が1〜1.5下がっていたら水換えのサインです。
2 水槽のガラス面の苔を落とす
水槽のガラス面を手で触った時にヌメヌメとしていたら苔が付着している証拠です。コケフロスかスポンジを使い、ガラスがツルツルになるまで苔を落としましょう。
3 プロホース(ポンプ)で水槽の水を抜く
プロホースを使い、水槽の1/3程の水を抜きます。その際に、プロホースのホースジョイント(排水口)が水槽の底よりも必ず低くなるように設置しましょう。
水槽と排水先の高低差がないと上手く排水できないため、排水ができない場合は、ホースジョイントを水槽の底よりも50cm以上下げてみましょう。
4 新しい水を作る
新しい水を作る用のバケツに水道水を入れ、温度を水槽内の温度と同じにします。魚は水温差に敏感なため、寒暖差は最大でも1°C以内にしましょう。
バケツ内の水が適温になったら、エーハイム4 in1などの塩素中和剤を入れてよく混ぜます。
5 水槽内に新しい水を入れる
新しい水を水槽内に入れる時は、カップなどを使い水流を弱めて入れます。急な水流は魚への負担になるため、できるだけゆっくり静かに入れることを心がけましょう。
水換えの注意点
水質は1日の中で変動するため、水換えをするときは必ず時間を決めましょう。二酸化炭素の影響を受けやすいため、特に水槽内で水草がある場合は、朝と夜でpHの値が異なります。
おすすめの時間帯は昼間か、もしくは水槽用の照明をつけて1時間後です。水換えだけでなく、水槽内の掃除も同様の時間帯に行いましょう。
水換えや掃除といった作業は、魚が起きている時に行わないとストレスになってしまいます。見落とされがちですが、魚の生活リズムに合わせた手入れが大切です。
水槽立ち上げ後も水質を保つポイント
水槽内の水質維持には4つポイントがあり、その全てにろ過バクテリアを最大限活用するという共通の目的があります。
しかし、ポイントを押さえていないと、活性化させるどころか、ろ過バクテリアの働きを阻害してしまいます。
ろ過バクテリアと上手に付き合うためにも、下記の水質維持のポイントを心がけましょう。
- フィルターや底床材の掃除はやりすぎない
- 苔取りをやりすぎない
- 魚に餌を与えすぎない
フィルターや底床材の掃除はやりすぎない
フィルターや底床材の掃除には、ろ過バクテリアが棲んでいるため注意が必要です。一般的にフィルターの掃除は2、3ヶ月に一度を目安に行います。
底床材の汚れ落としは、水換えと同じタイミングでやる場合床の1/4〜1/3だけ掃除しましょう。一度に全ての面積分掃除してしまうとバクテリア不足の原因になるからです。
苔取りをやりすぎない
うっすらと苔が生えている状態になってから取りかかりましょう。水槽の苔を長期間放置するのはダメですが、苔取りのやり過ぎもまた魚にとって良くありません。
苔取りは人の手が直に加わる作業なので、水槽内の生き物全てに対する負荷が大きいです。苔取りの際はレイアウトの変更など、水槽の環境が大きく変わる作業は控えましょう。
魚に餌を与えすぎない
餌の食べ残しは有毒物質の発生源でもあり、苔や藻の栄養源です。可愛さのあまり餌を与えすぎてしまう時は、魚の健康を想ってぐっと我慢しましょう。
【まとめ】水換えは水質管理の要
水換えは水槽内のpHや硝酸塩濃度を理想値に戻す上で非常に重要です。水質が悪いと、苔や藻の大量発生や魚の衰弱死の直接的な原因になります。
水槽を綺麗に保つためにも、水換えのタイミングや量、やり方を守り、正しい水質管理を心がけましょう。
- フィルターや底床材の掃除はやりすぎない
- 苔取りをやりすぎない
- 魚に餌を与えすぎない
下記は水換えに必要なものリストです。これらをもとに、さっそく水換えの準備に取りかかりましょう。