「ペットショップで優雅なアロワナに惚れた。飼いたいけれど水槽とほかにどんな装置が必要なんだろう」「水槽を一式揃えるのにどれくらいのお金がかかるんだろう」と頭を抱えてはいませんか?
アロワナを飼う環境を整えるために、どんな装置が必要か自分で調べるのは大変ですよね。この記事ではアロワナを飼うために必要な、以下3つの知識を紹介します。
- アロワナの水槽に必要な機能
- アロワナの水槽を揃えるのにかかる初期費用
- アロワナを飼うのに知っておくべき知識
読み終わる頃にはどんな水槽を準備すればいいかがわかるようになります。初期費用をできるだけ抑えるため、ぜひ最後までご覧ください。
アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1342422&title=アロワナ
【前提知識】アロワナの生態・特徴
アロワナに適した環境を作るには、アロワナの生態を学ぶのが最も効率的です。まずは、アロワナの特徴と生態について5つの要素を知っておきましょう。
- アロワナの種類
- アロワナの寿命
- アロワナの死亡原因
- アロワナがよくなる病気
- アロワナの餌
しっかり勉強して、できるだけ長い年月をアロワナと快適に暮らしていきましょう。
アロワナの種類
アロワナにはざっくり分けて5つの種類があり、なかには体長が1mを超える種類もあります。気に入ったアロワナが成長したときの大きさは、飼う前に把握しておきましょう。
- シルバーアロワナ(最大約100cm)
- ブラックアロワナ(最大約60cm)
- アジアアロワナ※(最大約70cm)
- ノーザンバラムンディ(最大約60cm)
- スポテッドバラムンディ(最大約90cm)
※アジアアロワナは「過背金龍」や「高背金龍」「紅尾金龍」など、大きさが概ね50〜70cmの多数の種類を総称した名前です。
名前に「アロワナ」が入っていないノーザンバラムンディとスポテッドバラムンディも、立派なアロワナの仲間です。寿命や死亡原因などがほかのアロワナと同じですから、ぜひこのまま読み進めてください。
アロワナの寿命
アロワナの寿命は約10年です。アロワナが健康に長生きするため、飼育する水槽は以下3つの環境が特に重要です。
- 適切な水温
- 清潔な水質
- 十分なスペース
上記の環境を整えるために具体的にどうするべきかは、もう少しあとの見出しで紹介します。
アロワナの死亡原因
アロワナの最も多い死因は「水槽からの飛び出し」です。アロワナはジャンプが得意な魚で、対策していない水槽からは容易に飛び出してしまいます。
そのため、アロワナがもしジャンプしても飛び出さないよう、水槽にはボルトで固定できる蓋を使用しましょう。
アロワナがよくなる病気
アロワナには「目たれ」と呼ぶ特有の病気があります。画像のように、片目、あるいは両目が飛び出して、顔の雰囲気が変わる病気です。
肉食魚らしい強面な表情がアロワナの魅力の1つですけれども、目たれを発症するとだらしない表情になります。
目たれを予防する工夫は以下の3つです。光の向きや餌の位置に注意して飼育しましょう。
- 水槽照明を上から当てる
- 基本は水面に浮かぶ餌を与える
- 底に沈んだ餌はすぐに回収する
アロワナは常に上を見ているのが自然な姿です。自然界で太陽光は必ず水面から差し込むので、アロワナは光が当たる方向を水面だと勘違いします。
特に目たれを発症しやすいのはシルバーアロワナです。もし検討されているなら、しっかり対策された水槽を選びましょう。
アロワナの餌
アロワナには、水面に浮かぶ餌を与えましょう。もともとアロワナは水面に落ちた虫や水面を泳ぐカエルを食べて生きています。したがって、水面にある餌を食べるのは得意ですが、底に沈んだ餌を食べるのは苦手です。
ですから、底に沈んだ食べきれなかった餌はすぐに回収しましょう。放置すると「目たれ」を発症するリスクが高まるので、浮遊性の餌を与え、アロワナに水槽の底を意識させないようにしましょう。
「目たれ」は、顔の雰囲気がだらしなく変わる病気で、沈んだ餌や横からの光など水槽の環境によって発症します。
アロワナの水槽の大きさ
アロワナに十分なスペースを与えるため、水槽の大きさは生魚の体長を目安に考えましょう。
水槽の大きさは、(幅)体長の倍×(奥行)体長×(高さ)体長が目安
体長60cmの場合、最低限120cm×60cm×60cmです。
水槽が小さすぎるとアロワナがターンできませんし、逆に大きすぎると餌を見つけられず衰弱します。
体長60cmのブラックアロワナなら120cmの水槽を、体長100cmのシルバーアロワナなら200cmを選びましょう。
アロワナに特化した水槽の特徴2つ
水槽を購入する際は、下記2つの特徴を備えた、アロワナに特化したものを選びましょう。
- 蓋が固定できる
- 側面・底面・背面が黒く覆われている
蓋の固定は、アロワナがジャンプして水槽から出てしまうような、不慮の事故を防止します。
側面や底面・背面を黒く覆うのは、余計な方向から光が入らないようにして、目たれを予防する効果があります。
アロワナの健康と安全のため、蓋が固定でき、目たれを予防できる水槽を選びましょう。
アロワナの水槽のろ過装置3種
アロワナの成魚を飼える水槽は、小さいものでも約400リットルの水を使います。したがって、400リットルの水を処理できる強力なろ過装置が必要です。
400リットルの水槽に適したろ過装置は以下の3種類が存在します。それぞれのメリットとデメリットを解説しますので、しっかり理解して選びましょう。
- オーバーフロー式
- 上部式
- 外部式
オーバーフロー式
オーバーフロー式は、水が配管のふちを超えて下へ落ちていく構造のろ過装置です。
配管は水槽の底を貫通しており、水は真下に配置された浄水槽へ落ちます。そして、浄水槽でろ過された水がポンプで水槽へ戻されます。
- 水位を維持しやすい
- 配管を目立たなくできる
- 装置を隠せる
オーバーフロー式は装置のほとんどを水槽台の中に隠せるので、最もスッキリした印象の水槽を作れます。
- 水位の変更が苦手
- 水槽台が必須
- 位置関係をあとから変更できない
オーバーフロー式は、水位や配管の位置などをあとから変更できません。オーバーフロー式を導入するなら、あらかじめ水槽を購入する前にすべての仕様を決定しておきましょう。
上部式
上部式は水槽の上にポンプとろ過槽を設置し、吸い上げてろ材へ通した水を下へ落とす仕組みの装置です。
- 構造がシンプルでメンテナンスしやすい
- 水槽台がなくても設置できる
- 酸素をより多く水槽へ供給できる
上部式はメンテナンスの簡単さがメリットです。ほかのろ過装置だと狭い空間で作業しなければならないのに比べ、上部式は立ったまま目線の高さで作業できます。
また、ろ過槽の汚れが日常的に見えるのでメンテナンスの頻度がわかりやすく、水質を維持しやすいのも特徴です。
- 装置を隠しにくく、目立つ
- 水槽に合わせたサイズしか使えない
上部式はどう工夫しても視界に入ります。見た目がスッキリした水槽を作りたいなら、別の方式を選んだほうがよいでしょう。
外部式
外部式は、ろ過槽と水槽を配管でつなぎ、ポンプで水を循環させる仕組みの装置です。オーバーフロー式や上部式と異なり、完全に密閉された空間で処理が完結します。
- 置き場所の自由度が高い
- 大きさに制限がない
- 買い替えが容易
外部式のメリットは装置の大きさが水槽に影響されないところです。大きな装置1つで処理することも、複数の小さな装置で処理することもできます。
- 配管が目立つ
- ろ過水槽を隠すには工夫が必要
- 酸素を供給できない
問題点は、どうしても配管が長くなりがちで目立つところと、酸素を供給できないところです。酸素の供給はエアレーションか上部式との併用で解決しましょう。
アロワナの水槽に水槽台が必要な理由
アロワナを飼う大型の水槽に水槽台が必要な理由は以下の3つです。
- 水槽の重量を支えるため
- アロワナを見やすい高さに配置するため
- アロワナのストレスを軽減するため
アロワナの成魚を飼える水槽は水だけで400〜900kgあるので、適当な家具では耐えられません。水槽の重量に耐えられるように設計された水槽台を使用しましょう。
また、水槽台を設置すると床と水槽が物理的に離れるので、人間の足音がアロワナへ伝わりにくくなります。そのため、アロワナのストレスを軽減し、長生きさせられるのです。水槽台は必ず設置しましょう。
アロワナの水槽にヒーターが必要な理由
アロワナの水槽を屋内に設置するなら、夏場でもヒーターが欠かせません。なぜなら、アロワナに適した水温が28〜30℃で、人間の快適な気温よりも高いからです。
水槽の水は部屋の空気から強く影響を受けますので、何も対策しなければ同じ温度になります。ですから、人間とアロワナがお互い快適に過ごすためにも、意図して室温と水温に差を設けなければなりません。
アロワナが体調を崩さないよう、夏場でもヒーターを使用して水温を28〜30℃に維持しましょう。
アロワナの水槽に照明が必要な理由
照明が必要な理由は以下の3つで、アロワナの健康と鑑賞性のために使います。
- 「目たれ」を予防するため
- 自然な昼夜サイクルを再現するため
- アロワナを美しく見せるため
「目たれ」とは、片目、あるいは両目が飛び出して、顔の雰囲気が変わる病気です。水槽で飼われるアロワナに特有の病気で、照明を使用すると予防できます。
また、水槽が暗いと、何が泳いでいるのかよくわかりません。照明を設置して、アロワナが美しく見えるよう演出しましょう。
アロワナを水槽で飼うまでにかかる初期費用と揃えるべきもの6つ
下記はブラックアロワナを飼うために必要なもの6つとおおまかな価格です。ネットで買える具体的な商品だけで1つの水槽を立ち上げると仮定して選びました。
6つの価格を合計すると、初期費用として400,000〜450,000円くらいかかる計算です。
- アロワナの生体(約20,000〜40,000円)
- 水槽(約240,000円)
- 水槽台(約50,000〜80,000円)
- ろ過装置・フィルター(約20,000円)
- ヒーター(約30,000円)
- 照明(約40,000円)
なお本記事では、成長しても体長が60cm程度までしか成長しないブラックアロワナを飼う前提で選んでいます。
アロワナの生体(20,000〜40,000円)
ブラックアロワナのベビーは、おおむね20,000〜40,000円です。
生体の価格だけを見るとシルバーアロワナのほうが安価(4,000〜9,000円)です。しかし、シルバーアロワナは体長100cm程度まで成長するので、大きな水槽を用意しなくてはなりません。
必要な水槽の大きさを考えると、ブラックアロワナのほうが全体的な初期費用が安価です。
なお、アロワナのベビーはAmazonや楽天で購入できます。しかし、一定期間が過ぎると販売ページがなくなり、商品リンクを作成できません。この記事を読み終わったあと改めて検索してください。
水槽(240,000円)
ブラックアロワナを飼うために必要な水槽は240,000円程度で購入できます。
水槽の幅はだいたい体長の2倍が目安です。ブラックアロワナは最大体長60cm程度ですから、全長が120cmかつ奥行きが60cmのものを選びましょう。
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なお、シルバーアロワナの場合、下記のような全長180cmの水槽が必要です。
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ブラックアロワナとシルバーアロワナは、水槽だけで500,000円弱の差がありますね。ブラックアロワナのほうが安価だとするのは、水槽の価格が理由です。
水槽台(50,000〜80,000円)
ブラックアロワナを飼う120cm水槽の水槽台は、おおむね50,000〜80,000円で入手できます。
120×60×60cmの水槽は、単純計算すると水だけで約400kgあります。普通の家具では400kgに耐えられませんので、アロワナを飼う水槽は専用の水槽台の上に設置しましょう。
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木目調のものとブラックのものを例に挙げましたが、調べるとさらに多くの種類があります。水槽台の色や素材は、あなたの部屋に設置しているほかの家具との調和を考えて選びましょう。
ろ過装置・フィルター(20,000円)
ろ過装置は外部式あるいは上部式を採用しましょう。おおむね20,000円あれば購入できます。
120cmの水槽でオーバーフロー式を採用したい場合、水槽をオーダーメイドする必要があり、ネット上に価格がありません。そのため、この記事ではオーバーフロー式を除外します。
また、今回選んだ120×60×60cmの水槽は、単純計算で水量が約400リットルです。したがって、以下2つの条件でろ過装置を検討します。
- 外部式もしくは上部式
- 400リットル以上の水量を処理できる
コトブキ工芸のパワーボックスSV1200Xは270〜420リットルの水槽を浄化する能力がある外部式フィルターです。
外部式は配管の届く範囲ならどこにでも設置できるのが強みです。水槽の見た目をスッキリさせるため、本体は水槽台の中に隠してしまいましょう。
上部式フィルターはコトブキ工芸のスーパーターボゼットプラス1200はいかがでしょうか。120cm水槽のために設計された上部式フィルターで、本記事で紹介している水槽にちょうど収まるサイズです。
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上記の外部式と上部式は、どちらか一方あれば問題ありません。お好みのろ過装置を選びましょう。
ヒーター(30,000円)
120cm水槽の400リットルの水を温めるヒーターは約30,000円で購入できます。
ヒーターの容量は「W(ワット)」で表現されます。水槽のヒーターはおおむね水量(リットル)の3倍を目安に考えましょう。
計算例:水量400(リットル)×3=ヒーター容量1,200(ワット)
ただし単純な3倍ではなく、少し小さい容量で問題ありません。今回選んだ水槽は水量が400リットルですから、1,000W級のヒーターを選びましょう。
とはいえ、1,000Wのヒーター1本よりも500Wを2本使ったほうが無難です。
1,000Wのヒーター1本で水を温めると、広い水槽のなかに暖かい場所と冷たい場所の差が発生しやすく、アロワナがストレスを感じてしまいます。さらに、万が一故障したときは水が一気に冷えてしまいます。
ヒーターは、大きく強い1本よりも小さく弱い2本を使いましょう。
照明(40,000円)
照明は水槽の幅にあわせて選びましょう。価格は40,000円として計算します。
今回選んだ水槽に合わせた、幅が120cmの照明を2つピックアップしました。
水槽用の照明は水槽のふちへうまく乗るよう設計されていますので、水槽のサイズごとに種類があります。120cmよりも大型の水槽を検討している方は、水槽の大きさに合わせた照明を探しましょう。
色の違いは、単純に好みの違いです。あなたのお好みに合わせて選んでください。
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アロワナのベビーを育てるときに必要な工夫
アロワナのベビーは、60cmの規格水槽を別に買ったり、メインの水槽を一部区切ったりして、適したサイズの空間に入れましょう。
20cm未満のベビーを120cm水槽に入れてしまうと、餌を見つけられず衰弱してしまいます。
ベビーの体長が20cmを超えてきたら少しずつ大きな空間に変え、30cmを超えたなら120cm水槽を開放して問題ありません。
とはいえ、ブラックアロワナは1年飼育すれば60cm程度まで成長します。大きくなってから慌てないよう、ベビーの時点でメインの水槽を準備しておきましょう。
【初心者NG】上級者向けの楽しみ方
初心者がアロワナを飼う場合、水槽のなかには生体のほかに何も入れないのが普通です。
水草・流木・石などを配置したなかを何種類もの魚が泳ぐ水槽はいかにも優雅ですよね。しかし、以下のような楽しみ方は上級者向けで、初心者は避けたほうが無難でしょう。
- ほかの魚との混泳
- 水草・流木・石などの水槽内レイアウト
- 底砂
ほかの魚との混泳を避けるのは、アロワナが同居している魚を食べてしまうからです。またなわばり意識が強く、アロワナ同士でも同居はできません。
さらに、水槽内レイアウトはアロワナがケガをするので避けましょう。アロワナは基本的に上しか見ないため、底に流木や石があるとぶつかってしまいます。
そのうえ、底砂を入れないのは、水質の悪化を避けるためです。底砂はフンを隠すので、掃除のタイミングをわかりにくくします。
したがって、アロワナを飼育するなら、生体だけを水槽に入れて楽しみましょう。
ダイナミックな水槽で優雅なアロワナを飼育しよう
この記事では初めてアロワナを飼育しようと考える方へ向けた情報として、以下の内容を紹介しました。
- アロワナを飼う水槽の大きさ
- アロワナを飼う水槽に必要な装置
- アロワナを飼うまでにかかる初期費用
- アロワナを飼ううえで気を付けること
初期費用の項目では、最も安価で済むように、アロワナのなかでも比較的小さなブラックアロワナを飼育する水槽や装置を選んでいます。
ほかの種類を飼う場合、ブラックアロワナよりも大きく成長するので、より大きな水槽や装置が必要です。したがって、この記事で紹介した組みあわせよりも初期費用が高額になる点をご注意ください。
あなたが見つけたアロワナの種類がなんだったのか、改めてペットショップに確認しにいきましょう。