新たな家族として家に迎え入れたペット。これからの愛犬と過ごす日々に心が弾む一方、
「犬のしつけはいつから、何を始めればいいのだろう…」と、しつけに対する不安を抱えている人は多いのではないでしょうか。
ここでは、いつから犬のしつけを始めるべきなのか、適切な時期や最低限教えておきたいしつけの内容、犬のしつけのコツについて解説していきます。
(アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4019946?title=%E6%84%9B%E7%8A%AC%E3%81%A8%E9%81%8A%E3%81%B6%E5%A5%B3%E6%80%A7&searchId=2364018687)
犬のしつけはいつから?
犬のしつけに関しては、生後2~3ヶ月後から始めるのが良いとされています。
生まれてから3~12週は、「社会化期」といわれる成長段階です。この時期は成長後の嗜好性を最も形成しやすい時期であり、外界からの刺激によって様々なことを経験し、社会に適応していきます。
好奇心や学習意欲の強い時期であるため、新しい場所に慣らしやすくしつけを開始するのに適したタイミングであるといえます。
2019年6月動物愛護法の一部改正により、生後8週齢に満たない犬猫の販売は制限されるようになったため、生後2~3ヶ月でペットを家に迎えた段階で徐々にしつけを行うのが良いでしょう。
知っておきたい犬のペットしつけ一覧
ペットのしつけといえば、「おすわり」「ふせ」などのコマンドを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
しかし、それはしつけのほんの一部に過ぎません。基本的なしつけから応用的なしつけまで、しつけは多岐にわたります。
ここでは知っておきたいペットのしつけを、人間とともに生活する上で必要となる「課題行動」と、しつけ不足などにより起こった「問題行動」に対するしつけの2点に分けて紹介していきます。
そもそもどんなしつけがあるいかイマイチ分かっていない…という方はぜひ一度、目を通してみてください。
犬の課題行動に関するしつけ一覧
課題行動に関連するしつけとして、「主に室内で重要となるしつけ」と「主に外出時に重要となるしつけ」に分けて示していきます。
- アイコンタクト
- ボディコンタクト
- トイレのしつけ
- 留守番のしつけ
- ハウスのしつけ
- 食事のしつけ
- さまざまな音に慣れさせる
- 首輪とリードに慣らす
- 「おすわり」のしつけ
- 「ふせ」のしつけ
- 「待て」のしつけ
- 「抱っこ」のしつけ
- 「ヒール」「ツイテ」のしつけ
- リーダーウォーク
犬の問題行動に対するしつけ一覧
子犬の頃に適切な経験をしてこなかったり、飼い主のしつけが不十分であったりすると様々な問題行動を起こすペットも出てきます。
癖づいてしまった問題行動でも、時間をかければ修正できることがあります。地道にしつけを継続し、問題行動を直していけると良いですね。
また、まだ問題行動が癖づいていない場合は、以下の一覧を参考にしながら問題行動が身についてしまわないよう早めにしつけを行っていきましょう。
- 無駄吠えのしつけ直し
- 噛み癖のしつけ直し
- 飛びつきグセのしつけ直し
- 拾い食いのしつけ直し
- 攻撃行動のしつけ直し
- うなりグセのしつけ直し
- トイレに関するしつけ直し
必ず愛犬に教えておきたい「しつけ基礎」
ペットのしつけには上記のように様々なものがありますが、中でも特に重要な基礎のしつけがあります。
ここでは、子犬や飼い始めたばかりのペットに特に重要な基礎のしつけについてお伝えしていこうと思います。
- 社会化
- ハウストレーニング
- アイコンタクト
犬のしつけ基礎①社会化
できるだけ早いうちにやっておいてほしいのが「社会化」です。これは、人間と社会でうまく暮らしていくために日常生活で出会うものを経験させ、慣れさせることです。
上記でも述べた通り、社会化期は成長後の嗜好性を決める重要な時期です。
この時期に人間の様々な生活環境に触れさせておかないと、成犬になったとき未知のものに対して異常に興奮したり、恐怖心で逃げ出したり外界を嫌ってしまうことになりかねません。
ペットが成犬になった時、問題行動を起こすことがないよう社会化期のうちに以下のような方法で社会に適応させておくことが重要です。
- 様々な場所を散歩させる(にぎやかな場所、自然豊かで静かな場所に関わらず)
- 体に触れる、軽く押さえつける(歯磨きや耳掃除などを抵抗なくできるようにするため)
犬のしつけ基礎②ハウストレーニング
ケージなどは犬にとって「自分の部屋」になります。慣れていない場合、ストレスを感じてケージ内で暴れてしまうこともありますが、きちんと慣れさせておけば犬にとって落ち着いて休める場所になります。
中にはペットをケージに入れず、自由な環境で生活させたいと考えている人もいるでしょう。
しかし、留守番をさせる際はケージに入れておいた方が安心・安全です。また病院などやむを得ずケージに入れなければならない場合もあります。
そういった場合に犬にストレスを感じさせることがないよう、ハウストレーニングを行って慣らしておくことは非常に重要で
- おやつでハウスまで誘導する
- 「ハウス」とコマンドをかける
- ハウスから出てきそうになったらすぐにもう1つおやつをあげ、扉を閉める
犬のしつけ基礎③アイコンタクト
アイコンタクトはどのしつけを行う時でも必要不可欠です。また飼い主とペットの信頼関係を築く上でも欠かせません。
ここでいう「アイコンタクトがとれるようになる」ということは、飼い主の呼びかけに反応し目を合わせて指示を待つことができるということであり、飼い主に対し注意を払えるようになった証拠です。
日常生活の中で自然とできるようになる犬もいますが、早いうちからしっかりと教えておいた方が良いでしょう。
アイコンタクトの練習を始めるのは「名前を呼んだら反応する」ということができているのが前提です。名前に反応できるようになってからアイコンタクトの練習を始めましょう。
- 近くにいる時
- 名前を呼び、目があったら褒めておやつなどのご褒美をあげる
- 何かに気をとられている時
- おやつを握った手に注目させ、視線が手に集中した状態で上記と同様に行う
- 様々な場所・状況で
- 散歩中やおもちゃに集中している時など様々な状況で上記と同様に行う
何のしつけをいつから始める?しつけの順序と始めるタイミング
「しつけ」と一言でいっても、内容はさまざま。何をいつ始めたらいいのか、戸惑う人も多くいるのではないでしょうか。
ここからは進めていく最低限のしつけの順序と始めるタイミングについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
以下の4点が、しつけをする上で特に重要なタイミングとなります。
- ペットを家に迎えた時
- ペットが環境に慣れてきた時
- お散歩デビューの時
- 自由に触れ合えるようになった時
ペットを家に迎えた時
ペットを家に迎えた時、絶対教えておきたいしつけは次の2つです。
- 名前を覚えてもらう
- トイレットトレーニング
ペットを家に迎えたばかりの時は、まずお互いの絆を深め、信頼関係を構築していくことからスタートしましょう。最初にやるべきなのはペット自身の名前を覚えてもらうことです。
このとき気をつけたいのが、複数の呼び方をしてしまうこと。「ココちゃん」「ココ」「コッちゃん」など複数の呼び方をされると覚えるのに時間がかかってしまうため、呼び方は統一しましょう。
また、トイレットトレーニングも早めに教えておきたいしつけです。トイレ環境を用意しておき、トイレシーツの上で排泄させるように教えていきましょう。
愛犬が環境に慣れてきた時
ペットが周囲の環境に慣れてきたところで、ようやく本格的なしつけをスタートしていきます。
環境に適応したこの段階でやっておきたいしつけには、次の3つがあります。
- 「おすわり」や「ふせ」などのコマンド
- ハウストレーニング、家庭内のルール
- ボディコンタクト
「おすわり」や「ふせ」は、ペットの興奮を抑えるために有効なコマンドです。出会った子供に興奮して吠えかかりそうな時などに、これらのコマンドをかけることで問題行動を制止できます。
またハウストレーニングを行っておくことや家庭内のルールを教えておくことも、のちのトラブル回避に繋がります。
他にも、ボディコンタクトを通して絆を深めることも大切です。体を自由に触れさせてくれるようになると、しつけも行いやすくなります。少しずつ、ペットとの距離を縮めていきましょう。
お散歩デビューの時
続いてはお散歩デビューの時についてです。初めてのペットとのお散歩はワクワクしますよね。
ペットを外に出してお散歩させることはとても良いことです。しかし、しつけがきちんとできていないと、すれ違った他人に飛びかかってしまうこともあります。
お散歩デビューの前に、最低限以下のしつけが身についていると良いでしょう。
- 「待て」「おいで」のコマンド
- 「立って待て」ができるようにしておく
- 飼い主にペットがついてくるよう練習しておく
街をお散歩する時に、「待て」「おいで」がきちんとできるようになっていると非常に安心です。ペットが道路に飛び出してしまわないよう、コントロールすることができます。
また「立って待て」ができるようしつけを行っておくことも必要です。飼い主の横に立ったまま待つことができると、飼い主さんにとってかなりお散歩が楽になります。
犬が飼い主にきちんとついてくるよう、リードをつけての練習もしておきましょう。その際リードは短く持ち、ペットが急に飛び出してしまわないようにしておくことも重要です。
愛犬と自由に触れ合えるようになった時
ペットの体に触れても抵抗しない程度に触れ合えるようになったら、歯磨きの練習を始めましょう。
歯磨きは人間と同様、犬にとっても歯周病予防のために必要です。
始めのうちは口元に触れることができたらご褒美をあげ、徐々に歯や歯茎に触れられることに慣れさせていきます。
犬にとって口周りや口の中は、あまり触られたくない場所です。そのため、時間をかけて焦らずゆっくり歯磨きの練習を進めていくように心がけてください。
愛犬のしつけ準備はいつから?ペットのしつけ関連グッズ紹介
ペットのしつけはやるべきことがたくさんある上、身につくまでは正しい場所で排泄ができなかったり、家具にいたずらをしてしまうなど飼い主さんが後処理に苦労することも時にはあるでしょう。
しかし、しつけグッズを上手に活用できれば最低限のしつけをより早く身に付けさせることができたり、いたずらを防ぐこともできます。紹介したいものは以下の2つです。
- トイレの学習スプレー
- 舐めても安心!苦味スプレー
トイレは失敗したときの後処理が大変ですので、早めに身につけてもらいたいですよね。また苦味スプレーを使えば、お気に入りのソファなどがかじられてしまうのを防ぐことができます。
しつけグッズを使うのなら、ペットを家に迎えた段階で準備を始めておくことで思わぬトラブルを防ぐことができるでしょう。
ペットのしつけを行う上で注意したいポイント
ここまではしつけの順序やタイミングについてお話してきました。ここで、しつけの際に注意してほしいことが2つありますので以下でお伝えしていこうと思います。
- 犬の集中力は5~15分
- 叱る時はその場ですぐに叱る
犬の集中力は5~15分
1つ目は、犬は5~15分しか集中力がもたないということ。長時間トレーニングを行っても効果は期待できません。
むしろ集中力の切れた状態でしつけを続けていると、トレーニングそのものが嫌いになってしまいます。
長時間ではなく、短時間でのトレーニングを1日数回に分けてやることでしつけの効果が上がるでしょう。
叱る時はその場で短く叱る
いたずらをしている、といった時にはその場ですぐに叱ることでなぜ叱られているのかを分からせてあげましょう。
この時、問題行動から時間をおいて叱ってしまうと、犬は叱られた理由を理解することができません。叱るときにはその場ですぐに叱るようにしてください。
またその時々で叱る単語が違う場合、犬は混乱してしまいます。問題行動がみられた時は、「ダメ!」など1つの言葉で伝えるようにしましょう。
- 排泄を誤った場所でしてしまった時は叱らないようにしましょう。
この時に叱ると、排泄することがダメなのだと勘違いしてしまい、飼い主の目が届かない場所で排泄をするようになるためしつけがさらに困難になってしまいます。
ペットのしつけのやり方・コツ
ペットのしつけを行う上で最も大事なことは、よくできた時に「本気で褒める」こと、一方で噛んだりなどダメなことをした時はメリハリをつけて叱ることです。
褒める時はしっかりと褒め、叱る時はしっかりと叱ることでやっていいこと・ダメなことの区別がつき、次第に覚えてくれるようになります。
また褒めた時には、ご褒美をあげることもしつけをする上で効果的です。
よくできた時に与えるご褒美としては、おやつやおもちゃがあります。愛犬が好む物を与えてあげるとより効果的ですが、高カロリーなおやつを与えすぎるのは健康に良くないので注意しましょう。
「犬のしつけはいつから?どうやるの?」やり方に困った時は
以上、いつからしつけを始めるべきなのか、また最低限教えておきたいしつけとそのコツなどについて述べてきました。参考になっていれば幸いです。
最後まで読んでくださった方は、しつけの大変さを改めて実感したのではないでしょうか。またしつけを進めていく中で、新たな不安や分からないことも出てくると思います。
そういった場合は、しつけのプロに相談してみるのも一つの手です。
トリミングサロンやドッグランなどの施設が相談を受け付けていたり、電話での無料相談を行っている所もあります。またペットのしつけ教室も存在しますので、困った時は上手に活用していきましょう。