育休中は勤務先から給料が出ない場合が多く、「育児をしながらのお金のやりくりはどうしていこうか」と悩んでしまう人もいるかと思います。
そこで、「育児休業給付金」という制度をご存じでしょうか?これは、育休中に生活費で困らないようにするための国の制度のことです。
この記事では、育児休業給付金の説明から申請方法などについて載せています。これから産休・育休取得を考えている人にとっては特に大切な内容ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。
出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4329109?title=%E3%83%91%E3%82%BD%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%92%E4%BD%BF%E3%81%86%E5%A6%8A%E5%A9%A6&searchId=2627385961
育児休業給付金とは?育休中の給料について
育児休業給付金とは、従業員が育児休業中に申請することでもらえる給付金のことを言います。
育児休業中は当然、従業員が仕事に入ることはできません。だからと言って事業主もこれまで通りの金額で給料を支払うわけにもいきません。
そこで育児休業給付金は、育児休業者が生活に困らないようにするため国が支給するものとして制定されています。
ただし、すべての国民が育児休業給付金を受給できるとは限りません。受給する際には様々な条件や期間が設定されています。育児休業給付金の受給資格については次の見出しで説明します。
育休中の給料の代わりとなる育児休業給付金の受給資格は?
育児休業給付金を受給するには以下に挙げた5つの条件を満たす必要があります。
- 1歳未満の子供がいる
- 雇用保険に加入している
- 育休前の2年間で11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
- 育休中の各1ヶ月ごとに、休業開始前の1ヶ月の賃金の80%以上が支払われていないこと
- 育休中就業している日数が各1ヶ月に10日以下であること
この条件をすべて満たしていればパートや契約社員で働いている非正規雇用の従業員でも育児休業給付金の受給対象となります。しっかり確認しておきましょう。
育休中の給料の代わりとなる育児休業給付金はいくらもらえる?
育児休業給付金はもらえる金額が定められています。しかし、子供が生まれてから8週間は育児休業期間には含まれません。
ですので、出産から1~2か月後に申請手続きをし、その後2ヶ月ごとに育児休業給付金を受給できるようになります。
支給金額の計算方法は以下の通りとなっています。「育児休業開始時賃金日額」とは、事業主が提出する休業開始時賃金月額証明書にある金額の休業開始前6ヶ月の賃金を180日で割った金額です。
従業員の育児休業開始時賃金日額×支給日数(通常は30日)×67%(育休開始から6ヶ月経過後は50%)
その日額に育休をとった日数をかけ、67%にした金額が1ヶ月あたりに受給できる育児休業給付金となります。次の見出しでは、育児休業給付金の申請方法について説明します。
育児休業給付金の申請書類について
育児休業給付金の申請を行うには手続きや書類の提出が必要になります。
申請時に必要な書類について以下に3つ挙げました。このうちの育児休業給付金支給申請書については、内容を証明するために賃金台帳もしくは出勤簿、母子健康手帳または住民票の写しを添付して提出します。
- 休業開始時賃金月額証明書
- 育児休業給付受給資格確認票
- 育児休業給付金支給申請書
いざというときに慌てて申請書類や添付物を間違えないよう確認しておきましょう。
育児休業給付金の申請の流れ
続いて申請する際の流れについてです。育児休業給付金の初回申請の流れは大きく4つに分かれています。それぞれ順番に確かめておきましょう。これ以降は2ヶ月に1回申請書を提出し、育児休業給付金を受給します。
- 育休予定の従業員が事業主に育休を申し出る
- 事業主から管轄のハローワークへ書類申請する
- 育児休業給付受給資格確認票、育児休業給付金支給申請書を従業員が記入し、母子健康手帳または住民票の写し、受取口座の通帳の写しとあわせて事業主に提出する
- 3で事業主に提出されたものとあわせて、休業開始時賃金月額証明書、添付書類として賃金台帳または出勤簿を揃え、管轄のハローワークへ提出する
次は、育休中の給料のことで疑問に浮かぶポイントについて3つ挙げました。それぞれ詳しく見てみましょう。
育休中の給料の疑問①育児休業給付金は延長できる?
保育所に子供を預けられないなどの理由で仕事に復帰できない場合、最大子供が2歳まで受給期間の延長ができます。
ただし、延長する際には条件があります。以下に5つ挙げたのでそれぞれしっかり確認しましょう。
- 保育施設に保育の実施申し込みを行っているが、当面の間実施されないとき
- 配偶者が死亡し養育者がいなくなったとき
- 負傷や病気、精神上の障害によって養育できなくなったとき
- 婚姻の解消などで配偶者が子供と同居できなくなったとき
- 配偶者が6週間以内に出産の予定がある、または産後8週間を経過していないとき
育休中の給料の疑問②第2子以降の育休中の給料はどうなる?
第2子以降も、従業員が雇用保険に加入していれば育児休業給付金を受給することができます。ただし、第1子のときと就労条件が変わっている場合は、受給資格を満たしているか確認する必要があります。
また、第1子のときと全く同じ金額を受給できるとは限りません。育休後、以前より月例賃金が減っていれば育児休業給付金額が下がってしまう可能性があります。
労働環境によっては第1子に続けて第2子の育休に入るとなると、育休期間が少なくなってしまうなど事業主側としては対応を考えなければならないことがあります。
そういった場合は従業員と事業主で今後についてよく相談して決めていきましょう。
育休中の給料の疑問③第1子の育休中に第2子を妊娠した場合は?
第1子を出産後、育児休業給付金を受給している期間中に第2子を妊娠する場合があります。
育児休業給付金は産休・育休期間中は免除されますので、第1子を変わらず受給できることが多いです。しかし、ずっと職場に復帰しないままでいると事業主にも迷惑が掛かってしまいます。
第2子の育休後に職場復帰をする予定でいるのであればそのまま育児休業給付金を受給するという選択肢もありますが、もし職場復帰しないのであれば早めに勤務先へ相談しましょう。
なお、育児休業給付金は退職してしまうと受給できなくなるので注意しましょう。
育休中は社会保険料免除が受けられる
続いて、産休・育休中の社会保険料の支払いについて説明していきます。
産休・育休中の社会保険料(健康保険、厚生年金)の支払いは、被保険者分、事業主分ともに支払いが免除されます。基本的には、産休・育休の開始月から終了前月が免除の対象期間です。
免除を受けている期間でも被保険者としての資格は継続しています。また、将来年金額を計算する際にも、保険料を納めた期間として見なされます。
社会保険料の免除は自動的に行われるものではありませんので、勤務先から受け取った申請書類の記入と提出を必ず行いましょう。
しっかり準備をして、安心できる育休を
妊娠をしてこれから出産を迎えるとなると、今までとは違う新しい生活が始まります。育児のことを考えると、わくわくしたり不安になったりと様々な気持ちが湧いてくることかと思います。
この記事ではこれから産休・育休取得を考えている人に向けて、条件を満たせば育休中に受給できる「育児休業給付金」について紹介してきました。
産休・育休前の時間があるときにぜひこの記事を参考にして、育休中の生活に向けた準備を進めてみてくださいね。