現在超高齢化社会で作業療法士は将来的に需要が見込まれる為、作業療法士として働きたい気持ちはあるが給料面が気になる人も多いのではないでしょうか?
将来的に給料が上がるかどうかを知らずに作業療法士として働いた場合辛くしんどい気持ちになりますよね。
この記事では作業療法士の初給料、作業療法士年齢別・男女別の平均給料、作業療法士の都道府県ごとの平均給料の違い、作業療法士の将来性などについて紹介しています。
アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4997803?title=%E8%BB%8A%E6%A4%85%E5%AD%90%E3%82%92%E6%BC%95%E3%81%90%E7%94%B7%E6%80%A71&searchId=2698898441
作業療法士の初給料
令和元年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)のデーターを参考に作業療法士と一般企業で働く社会人の初任給を比較しました。
- 作業療法士(男)24万円
- 作業療法士(女)24万円
- 一般 高校卒 (男女)20万円
- 一般 大学・院卒 (男女) 22万円
- 作業療法士(男)280万円
- 作業療法士(女)275万円
- 一般 高校卒(男女)235万円
- 一般 大学・院卒(男女)270万円
作業療法士の初任給は一般企業で働く社会人(大卒、院卒)と比較すると少し高い水準となっています。
月収は約24万円で健康保険料、厚生年金保険料、所得税、住民税などが引かれて手取り額は約19万円となります。
「出典:令和元年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/19/index.html」
作業療法士年齢別・男女別の平均給料
平成30年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)によると作業療法士の平均月収(額面)は男性約29万円、女性約27万円です。
また、賞与などそのほかの特別支給額は男女共に年間で約66万円です。以下に作業療法士の男女年齢別の月額(額面)の給料をまとめました。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20~24歳 | 24万円 | 24万円 |
25~29歳 | 25万円 | 25万円 |
30~34歳 | 29万円 | 26万円 |
35~39歳 | 30万円 | 27万円 |
40~44歳 | 32万円 | 30万円 |
45~49歳 | 34万円 | 31万円 |
50~54歳 | 36万円 | 34万円 |
55~59歳 | 35万円 | 36万円 |
新卒時期の20歳~24歳の給料が1番低く、男性、女性共に24万円で男女差はほとんどありません。50代にかけてほんの少し上昇して60歳前後には減少していきます。
「出典:平成30年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2018/index.html」
常勤作業療法士の給料
平成30年賃金構造基本統計調査結果(厚生労働省)によると常勤の作業療法士の平均年収は400万円前後で日本人の平均所得の436万円を少し下回ります。
下回っている理由は作業療法士の資格を持っている人が近年急増していて年収の低い20代の割合が大きく強く影響しており30代前半の年収は平均の400万円を超えます。
しかし30代を超えて40代に突入すると昇給のペースがゆっくりこともあり職業としてはそれほど高い給料は見込めません。
(出典:平成30年賃金構造基本統計調査結果(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2018/index.html)
非常勤の作業療法士の給料
作業療法士は国家資格が必要で専門性の高い仕事で正規職員と同じだけの責任が伴い一般的な職業のアルバイトと比較すると時給1,500円~2,000円とかなりの高時給で働くことも可能です。
リハビリスタッフが不足している訪問看護ステーションでは時給2,000円~2,500円という高時給で働ける施設もあります。
体力的には非常にきつい仕事で平日土日休みなく非常勤としていくつもの施設で長時間働けば正規職員の平均年収を上回ることも可能で年収400万以上稼いでいる非常勤の作業療法士もいます。
作業療法士の給料(ボーナス)
作業療法士のボーナスは10人〜99人の従業員数の企業は約60万円(男)、55万円(女)、100人〜999人で約65万円(男女)で1,000人以上は約70万円(男)、約75万円(女)です。
春夏2回に分けて支給される場合は20~30万円程度が相場です。また年齢別のボーナスは50代(男)のボーナスがピークで55歳〜59歳で約110万円が支給されます。
一方女性の年齢別ボーナスのピークも55歳〜59歳で約132万円支給されます。
作業療法士の都道府県ごとの平均給料の違い
作業療法士の給料水準は働くエリアによって異なります。各都道府県の中で最も給料が高いエリアはどこかランキング形式で1~5位まで紹介します。
上位5都道府県 | |
---|---|
東京都 | 約380万~450万円 |
大阪府 | 約380万~440万円 |
愛知県 | 約360万~430万円 |
北海道 | 約350万~430万円 |
神奈川県 | 約360万~420万円 |
東京都の年収は約380~450万円で全国で1番高い結果となっています。病院、介護施設、訪問リハビリなどどの施設においても高水準の給料です。
2番目に給料が高いエリアは大阪府です。東京都とほぼ同じで、働き方や施設次第では東京都の平均年収を上回る可能性もあります。一般企業で働く人の平均賃金の高さが作業療法士の給料にも直結しています。
(出典:マイナビコメディカル/https://co-medical.mynavi.jp/)
他の医療職と作業療法士の給料の違い
ここでは作業療法士の給料の違いと他の医療職との給料の違いについて説明します。
理学療法士
平均年齢35歳で勤続年数6年の理学療法士の月給は約30万円で基本給は約25万円です。
作業療法士は理学療法士よりも女性が多く、将来的なキャリアの積み方や管理職になれるかが収入に大きな影響を与えます。
男女年収ベースで約15~20万円の差があり、男性比率の高い理学療法士のほうが作業療法士よりも給料は高水準と考えられます。
看護師
18~24歳の新卒の看護師の基本給は約20万円で10年目のベテラン管理職の看護師の基本給は約25万円となっています。
看護師は看護師長など役職、上位資格を取得するとさらに40,000~50,000円の役職手当や資格手当が期待できます。
まとまった手当は付きますが夜勤、昼、夜交代勤務で働くなど仕事内容が異なるため作業療法士の収入とは差が開きます。
(出典:2018日本看護協会https://www.nurse.or.jp/home/news/2018.html)
介護職員
厚生労働省令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果によると介護職員の平均給料約32万円で年中無休で夜間の就労などもあり、仕事量のわりに給料が低い傾向にあります。
作業療法士の平均月収のピークは40代~50代にかけて約45万円で介護職員の平均月収のピークも40~50歳にかけてで平均月給は約34万円です。(男女)
介護職員の平均月収のピークと比較すると10万円程度高く作業療法士の方が介護職員より給料面で優遇されています。
作業療法士が給料を上げるためにおすすめの副業
ここまでは作業療法士のの給料事情について、さまざまな方向から説明してきました。
給料について知れたことで、作業療法士としてもう少し給料を上げたいと思っている方もいるのではないでしょうか。
ここからは作業療法士の資格を活かしながら働ける、おすすめの副業を3つ紹介します。
訪問リハビリ
主な勤務先は訪問看護ステーション、訪問リハビリステーションで時給相場は約2,000円です。
病院、介護施設に勤務する作業療法士は高齢者、障がい者の在宅生活の様子を知る機会となり退院、退所支援に必要な知識、技術を学ぶことも出来ます。
介護施設の非常勤スタッフ
主な勤務先はデイサービス デイケア、介護老人保健施設、介護老人福祉施設で時給相場は約1,700円です。
非常勤の場合は作業療法士の代行で利用者さんの訓練をおこない個人に合わせたリハビリを実施することも出来ます。
また介護施設の副業は施設によっては時給が低い施設もあるので事前に給与などの条件をしっかり確認しておきましょう。
発達障がい児施設の指導員
主な勤務先は発達支援センター、放課後等デイサービスで時給相場は約1,600円です。
保護者とコミュニケーションを取る回数も多く、日々の生活の悩みを聞きながら問題解決に向けてサポートをおこないます。
介護施設と比較すると時給が低い傾向にありますが子どもの成長を見守り実感しながら仕事をすることが出来るので作業療法士としてやりがいを感じやすい副業の1つと言えます。
作業療法士の将来性について
長く勤めるためには職業そのものの将来性も気になるポイントです。作業療法士の場合以下のような点で将来性が期待できます。
高齢化社会により需要が増加
作業療法士は身体、精神共に障害がある人に対し食事、入浴、編み物、工作など細かな動きがスムーズにできるように補助していくことが主な仕事です。
このような細かな動きはケガや病気だけでなく加齢によってもやりづらくなっていきます。
このことから「超少子高齢化」といわれている日本では今後作業療法士は需要が増加していく仕事の1つと言えます。
時代の変化と共に活躍の場が広がる
現在高齢化社会の為、介護系における作業療法士の需要が高まっていて、将来的には若年層のサポートをする機会も増加する可能性もあります。
作業療法士はケアマネージャー、理学療法士など類似職の方と協力してリハビリに取り組むことも多くなっています。
このように関連職の知識を得ることも新しい視点で仕事をできるようになり将来他職種に転職する際のアピールポイントにもなります。
時代の変化に対応していくのは大変ですがキャリアアップの方向性が見えやすい仕事とも言えます。
作業療法士のワークライフバランス
施設の方針や体制により違いはありますが女性の多い職種で子育てへの理解があり、休日も完全シフト制ので決まっているといった職場も多くあり作業療法士の仕事はワークライフバランスを保ちやすいです。
リハビリ業務は朝から昼間に行われることがほとんどのため夜勤がない職場が大多数であるということも作業療法士として働くことはワークライフバランスの面で非常に大きなメリットになります。
作業療法士に向いている人
作業療法士が向き合う患者さんの中には動きたいのに上手く動かないという悩み、不安、イライラを抱えている方がたくさんいます。
そのような患者さんを上手にサポートしていく為には作業療法士自身が1人1人の患者さんへしっかり寄り添う気持ちが必要となってきます。
心暖かい優しい性格
作業療法士の仕事は人を助けることが仕事の大部分を占めています。
他人の気持ちに興味関心がなく、自分でやってよと思ってしまう人は作業療法士に向いているとはいえません。
街中などで困っている人を見付けるとつい声をかけてしまうという心暖かい優しい性格を持っている方は作業療法士に向いています。
患者さんと2人3脚でリハビリに歩む
作業療法士はリハビリに関わり患者さんとと共に2人3脚の気持ちを持って日々リハビリをしていくことが最も大切なことです。
患者さんのリハビリのペースに合わせることも大切で時には励ましながら1歩ずつ前に進みリハビリの必要なくなった日には、患者さんと共に素直にしっかり喜んで笑顔になれる人が作業療法士に向いています。
人と話すのが好き
患者さんの状態を見極めてリハビリをしていく為には、日々の体調、悩み事を話してもらえるよう信頼関係をしっかり築く必要があります。信頼関係を築く為には日々の会話は絶対に欠かせません。
頷き、相槌、質問など、言葉だけではなく身体全体を使ったコミュニケーションを取る事も重要で人と話すのが好きな人は作業療法士に向いています。
給料の高い職場・地域で働くことがオススメ
今回の記事では作業療法士の給料事情や将来性について紹介しました。作業療法士として給料を上げるには給料が高い職場に転職することがオススメです。
厚生労働省が発表しているデータによると平成30年度の全国の作業療法士の平均年収は約408万円で東京都の作業療法士の年収は約380~450万円です。
この結果から東京都の作業療法士の平均年収は施設により全国平均を上回るケースもあります。また大阪府の年収も約380万~440万円と東京都と大差なく施設、働き方次第で東京都の平均年収を上回ります。
実際に働く職場、地域、働き方により給料は異なるため作業療法士として収入を上げたい場合は求人情報をしっかりと観て自分にあった環境で働くことが大切です。
(出典:平成30年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2018/index.htm