飼い犬がいたずらや粗相をしてしまったら、時には叱るべき場面がありますよね。しかし、叱った後愛犬は本当に反省してくれているのでしょうか?愛犬をしつける上で、このように悩んだことはありませんか?
- 飼い犬のいたずらを叱っても全然なおらない…
- 叱った後反省しているみたいだけど学習してくれない…
- 何度もいたずらされるとつい怒鳴ってしまう…
- そもそも叱った後本当に反省しているの?
いたずらをしないようしつけるのって大変ですよね。「叱った後反省している素振りを見せているから、いずれ学習するだろう」と思っていても、なかなか改善しない…それ、全く学習できていないかもしれません!
間違った叱り方をしてしまうと、学習していたずらを改善させるどころか、飼い主と飼い犬の関係が悪化してしまう恐れがあるので注意が必要です。
本記事では飼い犬を叱った後の態度の意味や、いたずらを改善させるための効果的な叱り方について解説します!学習効果の高い叱り方や叱るタイミングなど、すぐ実践できる内容なので、ぜひ最後までご覧ください。
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叱った後犬はちゃんと反省してる?
飼い犬を叱ると、うつむいたり擦り寄ってきたりするなど、反省しているような素振りを見せることがあります。これは本当に反省してくれているのでしょうか?
結論から言うと、残念ながら反省できていない場合がほとんどです。
なぜなら犬は「なぜ叱られているのか」を理解することができないから。飼い主の態度がいつもと違うと察知して、叱られていること自体は理解できるのですが、なぜいつもと態度が違うのかを察することは苦手です。
また、犬は短期記憶しかできないため、過去の失敗を思い出したり振り返ったりすることができません。なので犬にとっていたずらを反省することは難しく、同じ失敗を繰り返してしまうのです。
叱った後の犬の気持ちとは
叱った後、犬は反省しているような態度を見せることがある。でも実際には反省できていない可能性が高い。であれば、叱った後愛犬はどんな気持ちになっているのでしょうか。
実は、反省ではなくこのように感じている可能性が高いと考えられます。
- ただただ怖いと感じている
- 不安を感じ落ち着かなくなっている
- 早くこの時間が終わって欲しいと思っている
- 飼い主のいつもと違う態度に戸惑いを感じている
一見反省している・学習しているように見える態度をとっていても、「なぜ叱られているのか理解できない」「短期記憶が苦手」という理由から、強い不安やストレスを感じているだけになっています。
「叱ったらちゃんと反省してくれるな」と勘違いして叱る癖をつけてしまうと、以下のような悪影響を与えてしまう可能性があるので注意が必要です。
- 無気力になってしまう
- 怒られたときの環境や場所がトラウマになってしまう
- 恐怖心が強くなってしまう
- 人に対して攻撃体制を取るようになってしまう
叱った後の犬の態度の意味とは
叱った後に飼い犬がしてくる「反省しているように見える態度」には、どのような意味があるのでしょうか。
反省しているように見える態度としてよく見られる一例と、その意味をご紹介します。
- 目を逸らす・うつむく
⇨気まずさを感じており自分を落ち着かせようとしている - 服従のポーズ(お腹を見せる)
⇨「頼むからこれ以上叱らないでくれ」という訴え - 見つめてくる
⇨不安を感じており自分の今置かれている状況を考えている - 擦り寄ってくる
⇨叱られる時間を早く終わらせようとしている - あくびをする
⇨自身のストレスを鎮め落ち着こうとしている
一見すると反省しているように見える態度をとっていても、「怒られているから、もうやってはいけないんだな」と考えているわけではない(=反省していない)ということがわかりますね。
また、あくびをしているからといって「反省していないな」と感じ、さらに叱ってしまうと大きなストレスを与えることになりますので絶対に避けましょう。
なぜ叱っても反省できない?
では、なぜ叱っても犬は反省することが難しく、いたずらを繰り返してしまうのでしょうか。その理由は、犬の脳の構造にあります。
人間と犬の脳の構造は非常に似ていると言われています。しかし、人間と犬では脳の「発達している部位」に大きな差があります。
人間は「前頭葉」と呼ばれる言語理解や思考に関する部位が発達しており、脳全体の3割を占めます。対して犬はにおいを感じるための部位や本能に関与する部位が発達しており、前頭葉は全体の7%ほどしかありません。
よって犬は叱られていることを理解できず、過去の過ちを振り返ることもできないのです。人間のように、正しいこと・やってはいけないことを理解するのは脳の構造的に難しいということを理解してあげましょう。
叱った後に悪影響があるNGな叱り方5選
やってはいけないことを犬が学習するのは難しい。これを踏まえた上で、飼い犬に悪影響を与えてしまう間違った叱り方を紹介します。
これらに該当する叱り方をしてしまうと、飼い犬との信頼関係が崩れたり、飼い犬に強い不安やストレスを与えたりしてしまう原因となりますので注意しましょう。
- いたずらして時間が経ってから叱る
- 大きな声で怒鳴る
- 長時間叱る
- 叱る時に愛犬の名前を呼ぶ
- 叩く
いたずらして時間が経ってから叱る
先述の通り、犬は脳の構造から短期記憶しかできず、叱られても何に対して叱られているのかを理解することが難しい生き物です。
いたずらをしてから時間が経った後に叱っても、飼い犬は戸惑うだけで何も学習できません。
飼い主が外出中に家でいたずらをされてしまったとしても、それに対して叱ったところで効果は薄いことを覚えておきましょう。
大きな声で怒鳴る
怒鳴ると犬はびくっとなり、いたずらをとめて反省している素振りを見せることがあるので、叱り方として効果的だと思っている方は多いようです。
しかし、ビクッとなっているのは恐怖心を抱いているだけで、「いたずらをしてしまったから叱られているんだな」ということを理解することはできません。
飼い犬にストレスと不安を与えるだけになってしまうので避けるようにしましょう。
長時間叱る
ちゃんと言い聞かせるために何度も「ダメでしょ!」と言い続けたり、「なんで怒られてるかわかる?」と問いかけたりするなど、時間をかけて叱る飼い主さんもいらっしゃることでしょう。
飼い主としては、飼い犬とのコミュニケーションを大事にしながら愛を持って叱りたいと考えているのかもしれません。
しかし残念ながら、これも効果はほとんどありません。丁寧に時間をかけて叱っても、犬は過去を振り返ることができません。
不安な気持ちを長時間感じ続けるだけになってしまうため、長く叱るのはやめましょう。
叱る時に犬の名前を呼ぶ
叱る時に「こら、〇〇!」と愛犬の名前を呼んでいる方は多いのではないでしょうか。しかしこれも避けるべき叱り方です。
基本的に犬は、名前を呼ばれる=何かいいことがある(餌をもらえる・散歩に連れて行ってもらえるなど)と認識しています。
名前を呼ばれたからきっといいことあるぞ!と思っている矢先に叱られてしまうことで、名前を呼ばれることに恐怖心を感じてしまうことになりかねません。
名前は、愛犬にとっていいことがある時に愛を持って呼んであげましょう。
叩く
いたずらをしたら、つい飼い犬を叩いてしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。「叩く」という叱り方は、飼い犬だけでなく飼い主にとっても以下のようなデメリットがあります。
【飼い犬にとってのデメリット】
- 人に対して不信感・警戒心を持ちやすくなる
- 飼い主の手が高く上がっただけで恐怖を感じるようになる
- 萎縮してしまい無気力になってしまう
【飼い主にとってのデメリット】
- いたずらは改善されない(なぜ叩かれるのか理解できない)
- 叩く際に噛まれやすくなることがある
- 信頼関係を失いさらにいたずらが増える可能性がある
悪戯をやめさせるどころか、飼い犬が反抗的な態度を取るようになってしまうきっかけになりかねませんので、叩いて叱ることはおすすめできません。
叱った後犬が学習してくれる叱り方
では、どのように叱ってあげれば愛犬は学習してくれるようになるのでしょうか。叱る際は、以下の4点を意識して叱ってあげると学習効果が高まります。
- 短い言葉で叱る
- 低い声で叱る
- 叱る時の言葉を統一する(「ダメ」「コラ!」など)
- 家族で叱り方を統一する
飼い犬にストレスを与えないよう、短くスパッと叱りましょう。叱る時は低いトーンで言葉を統一し、毎回同じにすることで、叱られていることを学習できるようになります。
また、家族によって叱り方がバラバラだと混乱させてしまい、学習効果が低くなります。叱る時のルールを家族で決めておくと良いでしょう。
これらを意識してしつけを繰り返すことで、愛犬が感じるストレスを最低限に抑えながら、やってはいけないことを少しずつ学ばせてあげることができます。
叱るタイミングは「いたずらをした直後」
飼い犬に学習させるために叱るには、叱り方だけでなく叱るタイミングも重要です。そのタイミングはズバリ、いたずらをした直後に叱ること。
繰り返しお伝えしている通り、いたずらをしてから時間が経った後に叱っても学習できませんし、そもそも短期記憶しかできないのでいたずらを覚えていません。叱る時は現行犯、これが大原則になります。
また、同様の理由でいたずらをする直前に叱ることも効果的です。家具などに噛みつきそうな素振りを見せたら、家具に向かって走り出したタイミングで叱ると、学習効果が高くなります。
犬を叱らないための環境づくり
叱り方・叱るタイミングだけでなく、そもそも犬を叱らなくて済むような環境を作る工夫をしてあげるとなお良いでしょう。
例えば、噛み癖があり家具などをよく噛んでしまう場合は、以下のような対策を講じてみましょう。
- 噛まれたくないものを愛犬の身近に置かない
- 犬用の噛むおもちゃを与えてあげる
- 噛まれたくない家具に保護カバーをつける
- ストレス発散のため定期的に運動をさせてあげる
犬が何かを噛みたい・食べてみたいと思ってしまうことは本能的に仕方のないこと。ダメと言われても、どうしても噛みたくなってしまうものです。
叱らないようにするための工夫をすることで、飼い犬・飼い主双方のストレスを軽減し、より良い関係の構築につながっていきます。
「叱る」より「褒める」ことが効果的
ここまで、飼い犬をしつけるために「叱る」というアプローチでお話ししてきましたが、飼い犬をしつける上では褒めることも重要です。
理由は、犬も人と同様に欲求が満たされ褒められると脳の報酬系回路が活性化し、快楽物質「ドーパミン」が分泌されてやる気が向上するからです。怒られるより、褒めてもらう方がやる気が出るのです。
犬が褒められたと認識するのは、自分にとって楽しい・うれしいことが生じるとき。飼い犬が学習してくれたら以下のように振る舞うことで、「どうすれば自分(犬)が褒めてもらえるか」を教えてあげましょう。
- 優しいトーンで声をかけてあげる
- ご褒美やおやつをあげる
- 撫でてあげたり、遊んであげる
学習効果を高め愛犬とより良い環境を築くために、叱るだけではなく褒めてやる気を高めることが、しつけをする上で非常に効果的となります。
犬を叱った後は「どう学習させるか」を考えよう
飼い犬を叱った後の態度や、適切な叱り方について解説してきました。
いたずらをした時は叱らないといけませんが、「叱りたくて叱っているわけじゃない!」と思っている飼い主さんが大多数のはずです。
少しでも愛犬を叱らないようにするために、ただ言って聞かせるだけの叱り方を繰り返すのではなく、「どうすればいたずらをやめてくれるか」を考えてあげることが大切です。
- 叱り方のルールを決めて家族で統一させる
- 叱るタイミングは「いたずらをした直後」
- 叱らずに済むよう飼い犬に配慮した環境づくり
- 「怒る」より「褒める」ことで学ばせる
本記事を参考に効果的な叱り方を学ぶことで、飼い主さんと愛犬のストレスを減らし、さらに良好な信頼関係を築ける手助けとなれれば幸いです!