最近、「エシカルファッション」が様々なメディアで取り上げられています!でも、具体的にどのようなものがエシカルファッションと定義されるのか、言葉だけではイメージが付きにくいですよね。
また、実際のエシカルファッションがどんな見た目か分からないと、「よし着てみよう!」と実際に行動する気持ちも起こりませんよね。
そこで今回は、最近話題の「エシカルファッション」に関して、どのようなものがそれに該当するのか、その定義や具体的な服やブランドを例に挙げてご紹介します。
これを読めば、エシカルファッションについて一通り理解して、さらに興味を持つことができますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%B9-%E8%A1%A3%E9%A1%9E-%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC-%E9%8B%BC-2583113/#content
エシカルファッションとは?
まず、エシカル(ethical)とは、「倫理的」という意味になります。倫理的という言葉には、人が何か行動をする際に、道徳的にやっていいことなのかそうでないのかを判断する際の規範という意味があります。
ファッションにおける倫理のある状態とは、例えば服の生産工程において労働者を搾取しないとか、劣悪な労働環境で働かせないなどの配慮がされている状態を指します。
また、環境汚染を助長しない生産ラインの構築や、資源を無駄にしない取り組みや輸送の仕組みを構築することは、地球へ対する倫理的配慮となります。
つまり、エシカルファッションとは、人にも環境にも配慮した倫理的な行動を、ファッションの面から達成することを目的としています。
エシカルファッションの基準
エシカルファッションの基準は、2006年に設立したEthical Fashion Forumにて、10の基準を示しています。以下は、それらを分かりやすく和訳したものです。
- 短いサイクルで消費される服(ファストファッション)ではない
- 生産者の権利を尊重している
- 持続的可能な生活を支えている
- 有毒な農薬や化学薬品を使用していない
- 環境にやさしい素材を使用している
- 水を節約して製造している
- リサイクルに力を注いでいる
- 持続可能な活動を促進している
- エシカルな取り組み事例を社会に報告している
- 動物の権利を守っている
服飾産業は、原料となる環境資源以外にも、工場を稼働させるための電力、糸に色を付けるための水や塗料の資源、労働者によるエネルギー消費、輸送時の燃料など、大量に資源を消費する産業です。
現在、消費者の細かいニーズや大量生産、大量消費、大量廃棄が蔓延した影響で、地球環境や服飾に関わる労働者に対して世界規模で大きな環境破壊や倫理違反が起こっています。
上記のような10のルールを達成することにより、そのような悪い潮流を断つことが近年になって提唱されたのです。
エシカルファッションが注目されることになったきっかけ
エシカルファッションが世界的に注目されるきっかけとなった事件があります。それは2013年のバングラデシュで起こった「ラナ・プラザ崩壊事故」です。この事故で1,000人以上の方が亡くなりました。
このラナ・プラザには多くの縫製工場が入っており、犠牲者の多くはその工場で働いていた労働者でした。この工場は、労働者を低賃金かつ劣悪な環境で働かせていたことが後に明らかになっています。
また、崩落の原因は建物の耐震構造不良によるもので、事故前日に建物に大規模なひび割れが発生したにも関わらず、管理者は従業員を避難させずに製造を継続していました。
結果的に、ラナ・プラザの崩壊は現代の服飾産業の暗部を世界中が知る大きな転機となりました。そして、同じ悲劇を繰り返さない為に、エシカルファッションが注目されるきっかけとなったのです。
SDGsとエシカルファッションの関係
SDGsのキーワードであるサステナブルとは「持続可能な」という意味で、エシカルファッションにおける10の基準の一つである「持続的可能な生活を支えている」と一致しています。
元々の提唱された経緯は異なりますが、現在では「サステナブルファッション」という言葉もあり、「エシカルファッション」とほぼ同等の使い方をされています。
つまり、エシカルファッションを生活に取り入れることで、SDGsにも貢献することができるのです。
エシカルファッションでわたしたちができること
エシカルファッションを取り入れることによって、わたしたちができることはなんでしょうか?それは、エシカルファッションを身に着けて、その存在を世界に広めていくことです。
例えば、世界中でエシカルファッションの概念が広がれば、世界的に起こっている服飾産業による重要な環境問題や倫理違反を解消の方向に向かわせることができるかもしれません。
なぜならファッションは流行りに乗りやすい商品ですから、個人レベルでもSNSやメディアでエシカルファッションを広げていくことで、徐々に世界的に一般化された価値観となる可能性があるからです。
それによって世界中の人がエシカルファッションを身に着けることで、世界規模の問題を世界中が図らずしも団結して取り組んでいける構造ができるという大きな可能性が秘められているのです。
エシカルファッションのメリット
エシカルファッションは、単純に服飾産業が抱える問題の解決だけでなく、身に着けるあなた自身にもメリットがあります。
例えば、エシカルファッションの基準に沿って製造された服は、「短いサイクルで消費される服ではない」の基準に則り、耐久性に優れ、長いスパンで使用し続けることができる特徴があります。
また、「有毒な農薬や化学薬品を使用していない」基準から、身体にアレルギー反応を起こすような化学繊維が使われていないので、肌が弱い人でも安心して着用することができます。
このように、エシカルファッションは、長期的スパンにおけるお財布に優しい面や、使用者の健康に配慮されているといったようなメリットがあるのです。
エシカルファッションが抱える課題
エシカルファッションは、現状ではいくつかの課題を抱えており、その普及が抑制されている原因になっています。
- コストが高いと思われている
- 知名度が低い
値段が高いと思われている
エシカルファッションは、ファストファッションと比較すると生産コストが高いことから、消費者のもとに届く頃には売値がどうしても高くなってしまいます。
消費者は商品の質以上に値段に注目することが多いため、長期的目線で考えるとエシカルファッションの方が長いスパンで使用しやすいのに、短期スパンでコストが低いファストファッションを選んでしまいがちです。
知名度が低い
「エシカル」という言葉は、一般的にはまだまだ知名度が低く、近年になってようやく注目され始めた新しい言葉です。
そのため、エシカルファッションをうたい文句に売り出しても、それが購買意欲に繋がらりずらいため、消費者の手元に届きにくいのです。
前述した「コストが高い」と思われている点も、よく知ることで課題ではないことが分かるので、今後少しずつ「エシカルファッション」の知名度を上げていくことが世界の課題ですね。
エシカルファッションのコーデ
では、近年では実際にどのようなものがエシカルファッションとして世の中に出てきているのか、一例をご紹介します。
存在を知られていないだけで世の中にはすでに多くのエシカルファッションが流通しており、多くの一般の方がSNSなどでコーデを公開していますよ!
今回、ご紹介した以外にも、様々なエシカルファッションのコーデが紹介されているので、ぜひインスタグラムやTwitterで「エシカルファッション」と検索して調べてみてください!
エシカルファッションを取り扱うブランド
続いて、エシカルファッションを取り扱うブランドを3つご紹介します。
ステラ・マッカートニー
ステラ・マッカートニーは、エシカルファッションのパイオニアとして世界的に有名なブランドです。ちなみに創設者の父親は、元ビートルズのポール・マッカートニーです。
ブランドの信念として、デザインにレザーやファーを一切使用していません。その信念から、一見ファーに見えて動物由来の素材をしていない「ファー フリー」を発表しています。
さらに、環境に有害な接着剤を使用しないスニーカーの開発や、再生可能資源を使用したバッグなど、数えきれないほどの取り組み実績があります。
そのファッションの特徴は、高い独自性とシャープなデザイン、そして、アディダスとの提携により、女性向けのファッショナブルなスポーツウェアも開発している点です。
PeopleTree/ピープルツリー
ピープルツリーは、「人も木も地球に生きるすべてがフェアに暮らせる世界に。」をコンセプトにするアパレルブランドです。
特にオーガニックコットンなどの天然素材の使用にこだわっており、製造する人にとって健康的なものづくりができることを目指しています。そして、天然素材による手織りの服に定評があります。
また、ピープルツリーは高いフェアトレードの概念から、生産を行っている海外拠点では現地の雇用の安定化に力を注ぎ、労働者を搾取しないために、なんと賃金を話し合いで決める雇用関係を構築したそうです。
ピープルツリーの通販サイトは、商品ごとに生産した現地の会社情報が載っており、エシカルファッションの購入によって人とのつながりを感じられるという心温まる仕様となっています。
H&M
H&Mといえば、世界的に有名なファストファッションの大手ですが、ここ数年でエシカルファッションへの転換を進めています。
重視している活動は、服の廃棄物を減らす活動と、使用する素材です。取り扱う商品の中でもファッション性の高く流行を意識したものは大量に生産せず、店頭で売り切るように流通を調整しているそうです。
また、繊維くずやパイナップルの葉っぱを使った合皮など、環境に配慮した素材の開発に力を入れています。
H&Mは取り扱う製品の種類がとても多いので、組み合わせ次第でカジュアルにもフォーマルにも対応できる万能性が魅力ですね。
エシカルファッションを取り入れて、世界の課題を自分ごとに!
最後まで読んでくれたあなたには、エシカルファッションがどのようなものなのか、もうわかったのではないでしょうか。以下は、エシカルファッションの10の基準(おさらい)です。
- 短いサイクルで消費される服(ファストファッション)ではない
- 生産者の権利を尊重している
- 持続的可能な生活を支えている
- 有毒な農薬や化学薬品を使用していない
- 環境にやさしい素材を使用している
- 水を節約して製造している
- リサイクルに力を注いでいる
- 持続可能な活動を促進している
- エシカルな取り組み事例を社会に報告している
- 動物の権利を守っている
世界の課題を自分ごとにする一環として、ぜひエシカルファッションを身に着けてみましょう!
さきほど紹介したブランドのホームページを見ることで、お気に入りのエシカルファッションに出会うことができるかもしれません。ぜひ一度、チェックしてみてください!