「再就職手当という制度を耳にしたけど、どんなものなのか知りたい」「どうしたら再就職手当って受け取れるの?」など、このような疑問をお持ちの方はいませんか?
転職活動する際、色々と聞き慣れない制度が出てきて大変ですよね。でも安心してください。
この記事を読めば、「再就職手当」について受給条件、手続きの仕方、受給額、おすすめの使い道など概要を全て知ることができます。
しっかり再就職手当を受給して、新たな就職先への準備資金を獲得しましょう!(アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/22353673#goog_rewarded
再就職手当の目的
まず再就職手当の目的、この制度が存在する意味を把握しておきましょう。
- 早期再就職を促し、離職者の再就職率を高める
- 失業手当を満額もらうまで再就職しないという人をなくす
再就職手当は、ハローワーク(公共職業安定所)が、離職者に早く安定した職業について就いてもらうために設けた制度です。
「いつまでに再就職をすれば、祝い金が出ます」と、具体的な期間を設けることで離職後の早期再就職を促し、離職者の再就職率を高めようとする目的があるのです。
また、退職した際にもらえる失業手当が全額貰えなくなるから再就職はまだしないという方を減らす制度でもあります。
再就職手当とは
再就職手当とは、雇用保険の受給資格を満たしている人が、早期に再就職先が決まった場合にもらえる手当のことです。
- 失業手当の給付期間を3分の1以上残した状態で再就職→支給残額の60%給付
- 失業手当の給付期間を3分の2以上残した状態で再就職→支給残額の70%給付
再就職手当の給付額は上記の通りで早期に再就職することによって、再就職手当の給付率は高くなります。
失業手当の支給が終わってから就職しなければ損をすると考えている人も多いようですが、そうとも限りません。
再就職先から給与も支給された上に、非課税の再就職手当も受けられるので、失業手当をもらっている時よりも収入面では安定するでしょう。
再就職手当の9つの受給条件
再就職手当を受給するには、9つの受給条件を全て満たす必要があります。
再就職手当の9つの受給条件 | |
① | 受給手続き後、7日間の待期期間を満了している |
② | 失業手当の支給残日数が3分の1以上ある |
③ | 離職した前の事業所と就職先に密接な関わりがない |
④ | 自己都合などで退職した場合、待期期間満了後1か月はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものである |
⑤ | 1年を超えて勤務することが確実である |
⑥ | 原則として、雇用保険の被保険者になっている |
⑦ | 過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがない |
⑧ | 受給資格決定前に次の採用先が決まっていないこと |
⑨ | 再就職手当の支給決定の日までに離職していないこと。 |
以上が再就職手当受給の条件になります。厳しい条件ではないので、雇用保険の被保険者であればほぼ全員が受給することができるでしょう。
再就職手当の受給額について
再就職手当の受給額はこの表に当てはめて求めることができます。所定給付日数の残りが3分の1以上あれば60%、3分の2以上あれば70%が適用されます。
所定給付日数 | 残りの所定給付日数 | 再就職手当の額 | |
支給率60% | 支給率70% | ||
90日 | 30日以上 | 60日以上 | 基本手当日額(※上限あり)
× 残りの所定給付日数 × 支給率60%or70% |
120日 | 40日以上 | 80日以上 | |
150日 | 50日以上 | 100日以上 | |
180日 | 60日以上 | 120日以上 | |
210日 | 70日以上 | 140日以上 | |
240日 | 80日以上 | 160日以上 | |
270日 | 90日以上 | 180日以上 | |
300日 | 100日以上 | 200日以上 | |
330日 | 110日以上 | 220日以上 | |
360日 | 120日以上 | 240日以上 |
※基本手当日額の上限は、離職時の年齢が60歳未満の方は6120円、60歳以上65歳未満の方は4950円(〜令和4年7月31日)。
基本手当日額の計算方法は、賃金日額(最後の6ヵ月間中に支払われた賃金を180で割ったもの)に100分の80〜100分の50をかけたものです。
再就職手当の具体的な計算方法についてはこの次にお伝えします。
再就職手当の計算方法
再就職手当の計算方法は下記の公式に当てはめて求めることができます。
支給残日数 × 基本手当日額(上限あり) × 60% or 70% = 再就職手当
基本手当の上限は毎年「毎月勤労統計」の平均により改訂され、離職時の年齢が60歳未満の方は6120円。60歳以上65歳未満の方は4950円になります(〜令和4年7月31日)。
1つ例を出して計算してみます(条件:30歳、所定給付日数が120日で、支給残日数が50日。基本手当日額が満額の6120円の場合)。
50日 × 6120円 × 60% = 183,600円(再就職手当額)
このような結果になります。あなたの条件を入力するだけで簡単に計算できる”生活や実務に役立つサイトke!san“というサイトもありますので、ぜひ使ってみてください。
再就職手当の受給手続きの流れを解説
続いて、再就職手当の受給手続きの流れを紹介していきます。受給するには就職先の企業とハローワークに書類を提出していく必要があります。
- 企業から採用証明書をもらう
- 採用証明書をハローワークに提出する
- ハローワークから申請書類を受け取る
- 申請書類による企業からの証明を受ける
- 就職日の翌日から1ヶ月以内にハローワークに提出する
5つ目にも記載されていますが、申請期限は就職日の翌日から1ヶ月以内です。就職したてはバタバタして時間がすぐ過ぎてしまうので注意しましょう。
①採用証明書をもらう
再就職手当をもらうための第一歩目は「採用証明書」をもらうことから始まります。
採用証明書は、雇用保険の受給手続きの際に渡される「受給者のしおり」の中にあります。紛失してしまった場合は、ハローワークのWebサイトからダウンロードすることも可能です。
②採用証明書をハローワークに提出する
「受給者のしおり」の中にある採用証明書を再就職先に必要事項を記入してもらい、自身の支給番号を記入してハローワークに提出します。
③ハローワークから申請書類を受け取る
採用証明書が受理されると、ハローワークから「再就職手当支給申請書」という申請書類が渡されます。
この申請書類を受け取るためには、「採用証明書」「雇用保険受給資格者証」「失業認定報告書」の3点が必要になりますので、忘れずに持参しましょう。
④申請書類による企業からの証明を受ける
受け取った「再就職手当支給申請書」を就職先に記入してもらい証明を受けましょう。
また、転職先と前の職場につながりがないことを確認する書類にも記入してもらう必要があります(就職先が記入)。
⑤就職日の翌日から1ヶ月以内にハローワークに提出する
就職日の翌日から1ヶ月以内にハローワークに提出を済ませましょう。
1ヶ月以上経ってしまうと、せっかくの再就職手当が受給できないので注意が必要です。
再就職手当を受給手続きで必要なもの5つ
再就職手当の受給手続きの必要になるものは下記の4つとその他ハローワークが求めるものの合わせて5つになります。
- 「採用証明書」
- 「雇用保険受給資格者証」
- 「失業認定申告書」
- 「再就職手当支給申請書」
- その他にハローワークが求める書類
受給手続きに必要なものは、雇用保険の受給者のしおりの中にある「採用証明書」、受給番号や基本手当日額などが記載されている「雇用保険受給資格者証」、就職活動の実績を記載した「失業認定報告書」が必要です。
そしてその3点を提出することで受け取れる「再就職手当支給申請書」の他、ハローワークが求める書類5点が必要になります。
その他ハローワークが求める書類には、就職先が記入する転職先と前の職場につながりがないことを確認する書類などが挙げられます。
再就職手当を受給することによる注意点
再就職手当を受給するにあたっての注意点、デメリットもしっかり把握しておきましょう。
- 残りの雇用保険の基本手当が満額もらえなくなる
- 雇用保険の基本手当を満額もらおうとして、就職のチャンスを逃す
- 再就職手当を最大限もらおうとして、焦って就職した結果失敗する
再就職手当をもらう注意点としては上記3点が挙げられます。急にまとまったお金が手に入る予定が出てくると、舞い上がってしまい大切なものを見失いがちです。
給付期間を有効活用し、しっかりと企業研究や自己分析をおこなうことで、よりよい転職先を見つけることに繋がります。
再就職手当を受給するために焦って求職活動をしてしまうと、企業研究や自己分析が疎かになり、自分と相性の悪い企業に就職してしまうリスクがあります。
目先の利益を追い求めた結果、早期退職に至ってしまっては元も子もありません。貴重な準備時間を大切に過ごすことは忘れないようにしましょう。
再就職手当のおすすめの使い方
失業時の制度として再就職手当や雇用保険の基本手当などがありますが、それらをどのようなものに使おうと考えているでしょうか。
生活費や自分への就職祝い、就職の準備などさまざまなものに使うことが考えられます。ですが、この手当の使い方を間違えると痛い目にあうかもしれません。そうならないためにもおすすめの使い方を紹介します。
- 再就職先で必要になるもの
- スーツなど、身だしなみを整えるもの
- 何かあった時に備え貯金
- 自己投資(書籍、資格取得、セミナー参加)
やはり、再就職手当は新たな就職先への準備に使用するのが望ましいと言えます。
これまで、きちんとしたビジネススーツを持っていなかった方であれば、次の職場に来ていくビジネスに即したスーツを用意するのも良いでしょう。
無駄遣いをするのではなく、身だしなみを整えて心機一転新しい環境に立つ、ということが目的であることを忘れないことが大切です。
また、次の職場で必要となる知識を蓄えるために書籍など、自分を高めることに繋がるものを購入するのもおすすめです。
まとめ:再就職手当は就職の翌日から1ヶ月以内に書類提出しよう
再就職手当の概要は理解していただけたでしょうか。幅広くお伝えしましたが、再就職手当は就職の翌日から1ヶ月以内に書類を提出する必要があるということは頭に入れておきましょう。
最後に、この記事で紹介した再就職手当を申請するにあたって大切なことを簡単にまとめておきます。
- 再就職手当の受給条件は9つ全て満たす必要あり
- 申請に必要なものは5つ
- 申請は就職した翌日から1ヶ月以内
- 目先に手当に囚われず、将来の準備をしっかりする
この4点はしっかり頭にいれておきましょう。大切なことは再就職を成功させることというのを忘れてはいけません。
一時の感情でお金に目が眩んでしまえば再就職の質が落ち、人生を棒に振ってしまうことになります。
あくまで手当はおまけのような存在であることは頭に入れておきましょう。