『国内REIT』を知っていますか?国内REITは、投資信託の1つなのですが、「聞いたことはあるけど、正直よく分からない」という人も多いのではないでしょうか?
それもそのはず、国内REITが初めて証券取引所に上場したのは2001年9月です。比較的新しく、その内容は複雑です。投資の一種ですし「怖い」と感じる人がいても仕方ありません。
しかし、その複雑な内容も、順番に紐解いていけば怖くありません。「何が分からないか分からない」という人も安心してください。むしろ、この記事はそのような『投資初心者』に向けて書いています。
この記事は『国内REITの教科書』を目指し、国内REITについての基本的な情報をまとめています。ぜひ、最後まで読んでいただいて、国内REITを自身の資産運用に上手く活用してください!
- 国内REITとは何なのか分かる
- 国内REITの魅力が分かる
- 国内REITと海外REITの違いが分かる
- 国内REITの種類が分かる
- 初心者にオススメの商品が見つかる
- 国内REIT購入までの流れが分かる
アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%e3%81%8a%e9%87%91-%e5%ae%b6-%e3%82%b3%e3%82%a4%e3%83%b3-%e6%8a%95%e8%b3%87-%e4%bb%95%e4%ba%8b-2724245/
国内REITとは『不動産投資信託』のこと
国内REIT(J-REIT)とは、『不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)』のことです(頭文字を取って”REIT”になります)。
投資家から資金を集め、オフィスビルや商業施設、マンションといった複数の不動産などを購入し、その『賃料収入』や『売買益』を投資家に分配します。
国内REITも株式と同様にいつでも売買できますし、税制面も同じです。
REITの魅力は”安定”かつ”高い”分配金
REITの一番の魅力は、安定かつ高い分配金でしょう。株式や国債と比較しても、その分配金利回りは高いです。では、なぜREITの分配金は安定し、高いのでしょうか?
『賃料収入』がメインだから安定している
REITの分配金が安定している理由は、REITのメイン収入が『賃料収入』だからです。基本的に、賃料というのは借主が毎月貸主に支払います。
これはつまり、『不動産を所有している貸主側は、毎月家賃収入を得られる』ということです。とはいえ、借りる人がいなければ、賃料が入ってこないというリスクがあります。
そこで、REITは多くの不動産に投資することで、空室により収入を確保できなくなるというリスクを分散しています。
こうすることで、「収入が全く入ってこない」という事態を上手に避け、比較的安定に分配金を支払うことが出来ているわけです。
分配金が高いのは、不動産投資法人も税制面で有利だから
それから、REITの分配金が高くなる理由として、REITが不動産投資を目的とする特別に認められた法人であり、『一定の条件の下、税金を免除されている』ということも知っておくと良いでしょう。
その『一定の条件』というのが、『賃料収入から費用を引いた当期利益の90%超を投資家に分配すること』です。これを条件に、不動産投資法人は税金が免除されることになっています。
これは、株式会社の株主は『会社が法人税を支払った後の利益から配当を受け取る』のに対し、REITの投資家は『税金を引かれる前の利益を分配金として得ることができる』ということでもあります。
これらが、REITが安定かつ高い分配金を実現できる仕組みであり、実際に利回りも高くなる理由なのです。
【強みと弱み】国内REITと海外REITの比較
『国内REIT』があるのですから、『海外REIT』というものもあります。その海外REITには、米国REIT、欧州REIT、アジアREITなどがあります。
国内REITと海外REITの違いを一言でいうと「運用はどこでされているか」です。しかし、細かく見ればそれぞれにちゃんと『強み』と『弱み』があります。
今回は、海外REITと比較した時の『国内REITの強みと弱み』を解説します。
【強み】『売買益』と『情報の入手し易さ』
国内REITはREITを取り扱う日本の証券会社であれば、基本的にどこでも購入できます。ネット証券で手軽に注文できるのも魅力の1つで、ネット証券経由であれば、スマホ1台で売買できます。
また、個別銘柄の購入が容易で、スピーディーに売買することができるため、売買による利益(キャピタルゲイン)も得やすいです。これは、国内の現物不動産投資と比較しても強みになるでしょう。
国内REITは日本国内の物件を運営しますので、不動産のある現地まで赴き、実際にチェックしたり、情報を集めたりすることも可能です。この、情報の入手し易さもメリットの1つです。
『個別銘柄』とは、株式市場における1つ1つの銘柄のこと。REITの場合、市場には約60の銘柄が上場している。
【弱み】『利回りの低さ』と『地震リスク』
国内REITの運用対象は海外REITよりも狭いです。収入の原資も賃貸に出して家賃による利益を得られる物件に限られており、海外REITと比較すると分配金利回りは低いです。
高い利回りの海外REITはハイリスクですが、収益性や投資効率を重視している方は、海外REITへの投資を検討した方が良いかもしれません。
また、海外REITは、外国の不動産に投資できるのでリスク分散になります。日本は他の国と比べて『地震リスク』が高く、国内REITはその日本特有の災害リスクと向き合わなければなりません。
国内REITの種類『単一用途特化型』と『複数用途型』
ここからは、『国内REIT』についてさらに深掘りしていきます。まず、国内REITは投資する不動産の用途により、大きく2種類に分類されます。
その2種類とは、特定の用途を持つ不動産のみに投資する「単一用途特化型」と、複数の用途に分散して投資する「複数用途型」です。
先に言っておきますが、「どちらの方が良い」というものではありません。それぞれの特徴を理解し、自分の性格に合ったものを選びましょう。
なお、今回詳しい説明は省きますが、投資不動産のエリアに特化した『エリア特化型』というREITもあり、これは『地域を応援する』という意味合いも含まれています。
国内REITの種類①『単一用途特化型』
単一用途特化型REITは、ある特定の用途の不動産に投資するREITで、オフィスビル特化、住居特化、ショッピングセンターなどの商業施設特化、倉庫のような物流施設特化及びホテル特化のタイプがあります。
例えば、『オフィスビル特化型』は景気の影響を受けやすく、景気が良ければ配当金も高くなり、反対に『住居特化型』は、景気の影響をあまり受けないというような特徴があります。
単一の種類の不動産に特化しているだけに値動きの幅も大きいです。リスク分散されない分、複合型REITと比較すればハイリスク・ハイリターンだと言えるでしょう。
国内REITの種類②『複数用途型』
一方、複数用途型REITは、その名のとおり複数の用途の不動産に投資をするREITです。この複数用途型REITは、さらに以下の2つに分けられます。
- 複合型REIT(2つの用途の不動産に投資)
- 総合型REIT(3つ以上の用途の不動産に投資)
複数用途特化型では特徴の異なる不動産をいくつか組み合わせることで、ひとつの不動産が持つリスクを分散することが可能です。
大きな売却益を狙うのであれば単一用途特化型にメリットがありますが、初めて投資する場合は、急激な値下がりの少ない複数用途特化型に投資する方が手堅く安心でしょう。
初心者にオススメの国内REITは『投資信託』タイプ
国内REITも株式同様に『個別銘柄』『投資信託』『ETF』の3つのタイプがあります。この3つ中で、初心者にオススメなのは『投資信託』タイプで、その理由は以下のとおりです。
- 複数の商品が組み合わさっているので『リスク分散』できる。
- 金額を指定して購入できるので『少額』で始められる。
- 『プロ』に運用を任せられる。
個別銘柄タイプは、どの銘柄を、どのタイミングで、どれだけ買うかを自分で判断する必要があります。購入資金もある程度まとまった金額が必要で、この3タイプの中で一番難しいと言えるでしょう。
ETFタイプは、1口で国内REIT市場全体に投資するので、一番リスク分散できます。しかし、個別銘柄同様に、いつ、どれだけ購入するかは自分で判断しないといけません。
投資信託タイプは、銘柄の組み合わせ、購入タイミングを投資のプロにお任せすることができます。その上、少額からでもスタートできるため、一番初心者に向いていると言えるでしょう。
『ETF』とは上場投資信託(Exchange Traded Fund の略)という、日経平均株価やNYダウ等の指数に連動するように運用されている投資信託の一種。
国内REIT(投資信託)の人気ランキング
投資信託は金融機関や証券会社によって取り扱う商品が異なります。とはいえ、「具体的な国内REITの商品を知りたい」という人もいるでしょう。
そこで、参考までに国内REIT(投資信託)の人気ランキングを紹介します。このランキングはMINKABUの『【国内REIT】投資信託人気ランキング』を参考にしています。
各商品の詳しい情報を知りたい場合や、気になった商品があった場合は、リンク(ファンド名をクリックして表示されるMINKABUの個別商品サイト)からご確認ください。
【国内REIT】投資信託人気ランキング(上位5つ) | ||||
順位 | ファンド名 | 基準価額 | 信託報酬 | 販売会社数 |
1 | 投資のソムリエ | 11,504円 | 1.54% | 148社 |
2 | ダイワJ-REITオープン(毎月配当型) | 2,814円 | 0.792% | 54社 |
3 | 財産3分法ファンド(不動産・再建・株式)毎月配当型(財産3分法) | 3,425円 | 1.045% | 93社 |
4 | J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型) | 6,602円 | 1.1% | 32社 |
5 | しんきんJリートオープン(毎月決算型) | 3,467円 | 1.045% | 165社 |
- 更新日:令和4年3月19日
- 期間:月間(令和4年2月17日〜令和4年3月18日)
- 地域:全て
国内REITの取引を開始するための『3ステップ』
繰り返しになりますが、国内REITは『個別銘柄』『投資信託』『ETF』の3タイプあります。基本的に、どのタイプの商品も証券会社から購入することが可能です。
国内REITを購入するためには、証券会社に取引口座を開設しなければいけません。その取引口座開設(国内REITを購入できる状態)までの流れを解説します。
なお、『投資信託』タイプの商品は金融機関(銀行や信用金庫など)でも購入することが出来ますが、その購入方法についての説明は省略します。
- 証券会社を選ぶ
- 口座開設に必要なものを用意
- 証券口座に投資資金を入金
ステップ①|証券会社を選ぶ
証券会社に口座を開設するためには、まず証券会社に口座の開設申請をします。証券会社を選ぶ際は、取引手数料や普段利用している銀行口座との連携を考慮しつつ選ぶと良いでしょう。
実店舗型の総合証券会社の場合は、投資について相談することができます。ただ、取引手数料が高く設定されていたり、証券会社が販売したい商品を勧められたりすることがあます。
一方、ネット証券と呼ばれる証券会社の場合は、基本的に実店舗がないため、相談を行うことは困難です。しかし、実店舗型の証券会社に比べ取引手数料が格安です。
ステップ②|口座開設に必要なものを用意
証券会社を決めたら、必要な書類を揃えて、口座開設を申し込みましょう。
証券口座を開設する場合には、下記の書類が必要になると思います。(証券会社によって必要書類が異なる可能性があるため、必ず口座開設予定の証券会社に確認してください。)
- 運転免許証【表/裏】
- 住民票の写し
- 印鑑登録証明書
- 各種健康保険証【表/裏】
- 住民基本台帳カード
- パスポート(日本)
- 在留カード/特別永住証明書【表/裏】
- 個人番号(マイナンバー)カード
申し込み後に本人確認ハガキが送られてくるケースもありますが、その場合は、送られたハガキに記されたコードを入力することで口座の開設が完了します。
ステップ③|証券口座に投資資金を入金
口座開設が完了したら、開設した証券口座に入金しましょう。これで、その証券口座に入金した資金を使って、国内REITを購入することが出来ます。
繰り返しになりますが、投資初心者にオススメなのは『投資信託』です。このタイプの商品は100円から購入することができ、必要な最低投資金も少なく済みます。
『個別銘柄』や『ETF』の場合は、安くて10万円前後、高ければ100万円もする銘柄もあります。リスクを抑えて投資したいのであれば、まずは安い銘柄から買ってみると良いでしょう。
少額から国内REIT(不動産投資信託)を買ってみよう
REITとは、『安定』かつ『高分配』が魅力の『不動産投資信託(Real Estate Investment Trust』のことです。『安定』かつ『高分配』となる理由は以下の通りです。
- 『賃料収入』により毎月収入を確保するできる
- 複数不動産に投資することで『空室リスクを軽減』している
- 『利益の90%超を分配』することで、不動産投資会社も法人税が免除される
- 『税引前利益』を分配してもらえる
国内REITは海外REITと比べ、以下のような『強み』と『弱み』があります。ただし、いきなり投資初心者が、国内REITの強みである『個別銘柄』の売却益を狙うのは少し危険です。
- 強み①:個別銘柄の売買による利益を狙いやすい
- 強み②:国内の不動産であるため、投資不動産の情報を得やすい
- 弱み①:運用対象が狭く、分配金利回りが海外REITより低い
- 弱み②:日本特有の地震リスクと向き合う必要がある
投資初心者にオススメなのは『投資信託』
国内REITは投資不動産の用途による種類分けがあり、投資初心者だと『いつ』『どの銘柄を』『どれだけ』売買したら良いのかを判断するのは困難です。
- 単一用途特化型:特定の用途を持つ不動産のみに投資(ハイリスク・ハイリターン型)
- 複数用途型:複数の用途に分散して投資する(ローリスク・ローリターン型)
しかし、投資信託であれば運用をプロに任せることが出来ます。他にも2点ほど初心者に投資信託タイプの商品をオススメする理由がありますので、以下にまとめておきます。
- 複数の商品が組み合わさっているので『リスク分散』できる。
- 金額を指定して購入できるので『少額』で始められる。
- 『プロ』に運用を任せられる。
証券口座を開設し、少額から始めてみよう!
国内REITを購入するためには、証券口座の開設が必要です。まずは、証券口座を開設し、少額からでもスタートしてみてはどうでしょうか?
- 証券会社を選ぶ
- 口座開設に必要なものを用意
- 証券口座に投資資金を入金
国内REITを買うことは『投資』です。そして、投資にはリスクがあります。ここまで国内REITに関する基本的な情報を解説しましたが、実際に購入するかを決めるのはあなたです。
国内REITに限らず『投資』はいきなり大きく始めると、大きく失敗した時に再起不能になるかもしれません。『少額で、少しづつ始める』ことで経験値が積まれ、長く続けることが出来るでしょう。
この記事でオススメした『投資信託』タイプの商品は、まさに『運用期間』が武器になります。少しでも早く、少額からでも、将来に向けた資産運用を始めてみてはいかがでしょうか?