「病棟クラーク」の仕事が気になっているけど、どんな仕事なのか周りに聞いてもわからないと困っていませんか?
医療関係の仕事はとても閉鎖的で、周りに医療関係者がいないと仕事に関する情報が聞き取りづらいですよね。
この記事では、病院にとって欠かせない存在の一つである「病棟クラーク」について、詳しく解説していきます。
この記事を読むことで、病棟クラークの業務内容や一日の流れがイメージできるようになります。また、取得しておくべき資格やスキルについても解説しているのでぜひ最後まで読んでみてください。
(アイキャッチ出典画像:https://pixabay.com/ja/photos/%e5%ad%a6%e7%94%9f%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%83%94%e3%83%b3%e3%82%b0-%e3%82%ad%e3%83%bc%e3%83%9c%e3%83%bc%e3%83%89-849822/#content)
病棟クラークの「クラーク(clerk)」ってどういう意味?
「クラーク(clerk)」とは、事務員という意味です。そのため、各病棟の事務専門スタッフのことを「病棟クラーク」と呼んでいます。
医療職は事務作業も多く、医療処置やケア以外にカルテ作成やコスト計上などの事務作業に追われ、医療者への負担が重いです。
そのため、病棟クラークは医療者の仕事を間接的に支え、病院全体の業務を効率化するための役割を担っています。
病棟クラークは、病院が正常に機能するために欠かせない職業です。中規模以上の入院患者がいる病院では、病棟ごとに1名の病棟クラークを配置しています。
病棟クラークの主な仕事内容とは?
病棟クラークの主な仕事は、事務業務のサポートです。とは言っても、具体的な業務内容についてイメージができない人が多いと思います。
ここでは、病棟クラークの事務業務サポートを大きく4つに分けて紹介していこうと思います。
- 医療に関する文書作成代行
- カルテなどの代行入力
- 医療サービスの質を高めるためのサポート
- 行政上の業務
医療に関する文書作成代行
1つ目の仕事は、「医療に関する文書作成代行」です。医療者が行う事務業務を代わりに行います。具体的には以下のようなものがあります。
- 医師が診断した診断書や処方箋などの代行作成
- 患者さんの診療・入院・手術などの予約
- 入院に必要な手続きや患者さん及びご家族への説明
- 各種保険の証明書などの作成
上記のものはどれもやらなければならないことですが、医療行為に直接かかわる部分ではないため病棟クラークが行うことが多いです。
カルテなどの代行入力
2つ目の仕事は、「カルテなどの代行入力」です。医療職者が書かなければならない記録や文書はたくさんあります。
そのため、病棟クラークでも作成可能なものであれば代行入力の依頼が来ます。指示された内容を正確に入力できるスキルが必要です。
- 医師が診断した内容をカルテに記載する
- 電子カルテへの入力代行
医療サービスの質を高めるためのサポート
3つ目は、「医療サービスの質を高めるためのサポート」です。医療サービスは膨大な情報であふれかえっています。
そのため、医療サービス向上のためには情報の整理や管理が欠かせません。病棟クラークは以下のような仕事を任されます。
- 患者さんの治療や診療に関するデータ管理・整理
- 院内におけるがん登録など統計作成や調査
- 院内会議の資料作成・議事録の作成
上記の内容は、重要な情報の管理なども含まれます。重要な情報の管理をしっかりと行わなければいけないという使命感にやりがいを感じると思います。
行政上の業務
4つ目の仕事は「行政上の業務」です。感染症や統計調査は、都道府県や国に報告しなければなりません。
そのため、以下のような業務を行うことがあります。情報に誤りがないように、正確な情報入力が求められます。
- 救急医療情報システムの入力業務
- 感染症サーベイランス(感染症予防に役立てるシステム)に関する入力業務
このように、事務作業をサポート・代行することで医療者の負担を減らし、医療行為に専念できる環境を作ることが仕事内容です。
病棟クラークの一日のスケジュール例
ここでは、病棟クラークの一日のスケジュールを紹介していきます。施設や病院ごとで仕事は違います。
そのため、あくまでも病棟クラークが行う一般的な業務を例にした紹介です。参考にしてください。
8:30 | 出勤、スケジュールの確認・打ち合わせ |
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9:00 | 夜間の緊急入院や入院予定の患者のカルテや情報を収集・整理 |
10:00 | 入院・退院する患者の手続きや案内、書類作成 |
12:30 | 昼休憩 |
13:30 | 入院・退院患者の手続きや案内、書類作成 |
17:00 | カルテ整理や明日のスケジュール確認・準備 |
多くの病院は午前中に患者さんが退院し、午後は患者さんが入院してきます。そのため、午前中は、退院の手続きで終わってしまうことが多いです。
また、午後は入院の手続きだけでなく、翌日の入院予定患者を把握しておきます。入院時間は決まっているため、残業はほとんどありません。
病棟クラークと勘違いされやすい職業について解説
病院には様々な役割を持った職業が働いています。そのため、役割が異なるにもかかわらず、病棟クラークと一括りにされてしまう職業があります。
病棟クラークと勘違いされやすい職業は以下の3つです。病棟クラークとの違いについて、のちほど詳しく解説します。
- 医療事務
- 看護助手
- 外来クラーク
上記3つは、似たようなイメージがありますが病院内では異なった役割があり、それぞれに必要なスキルや知識・技術があります。
病棟クラークと思っていた仕事が、医療事務が行う業務であったり、看護助手が行う業務だったりします。そのため、しっかりと違いを認識しておきましょう。
病棟クラークと勘違いされやすい職業①:医療事務
病棟クラークと勘違いされやすい職業の1つ目は、「医療事務」です。医療事務は、医療費の計算や診療報酬の請求をします。
つまり、医療費に関する業務を扱います。そのため、医療事務になるときも経験や資格は特に必要ありません。
ただし、数字や医療関連の法律に詳しくないと、対応できないことが多いです。そのため、資格を取得してから医療事務として働く人が多いです。
医療事務で役に立つ資格は次の3つです。経験がない人は、資格を取ることで知識を身につけていることが証明できるので、就職に有利です。
- 診療報酬請求事務能力認定試験
- 医療事務管理士(R)技能認定試験
- 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)(R)
病棟クラークとの違いは、医療費関連の情報を扱うかどうかです。医療費制度について詳しく学びたい方は、「医療事務」をオススメします。
病棟クラークと勘違いされやすい職業②:看護助手
病棟クラークと勘違いされやすい職業2つ目は、「看護助手」です。看護助手は、看護師の業務サポートを行います。
看護師も看護業務以外に事務業務があります。例えば、ケアや処置に使う物品の補充などです。また、検査に患者さんを連れていくことも、看護師の業務負担が重くなる業務です。
そのため、看護助手でできる範囲の看護師業務をサポートする役割があります。特別な資格は必要ありませんが、最低限の医療知識は覚えておく必要があります。
病棟クラークとの違いは、看護師のサポートをするかどうかです。病棟クラークは、病棟全体が効率よく回るように働きます。しかし、看護助手は看護師が効率よく働けるように動きます。
病棟クラークと勘違いされやすい職業③:外来クラーク
病棟クラークと勘違いされやすい最後の職業は、「外来クラーク」です。違いは「病棟」か「外来」で対応するかどうかです。
外来の場合は、入院せず診療後にすぐ帰宅します。入院患者と比較すると外来患者の方が多いため、比較的外来クラークの方が忙しいです。
ただ、外来クラークの場合は受付時間がきまっているため、残業が全くありません。病棟クラークは、入院受付時間ギリギリに来る患者さんがいるので、残業が発生する可能性が比較的多いです。
また、外来クラークは夜間にも対応できるように数名配置されています。そのため、夜勤業務があるのも特徴的です。夜勤があると収入も上がるので、収入を少しでも増やしたい人にオススメです。
病棟クラークは未経験・無資格でも始められる
ここまで読んでいると仕事内容が理解できたけど、病棟クラークとして働くためにどうすればよいのか気になってきますよね。
病棟クラークは、未経験・無資格で誰にでも始められる職業です。そのため、まずは病棟クラークを募集している求人を探していきましょう。
探す方法は「求人サイト」か「直接病院や施設のホームページ」の2つです。オススメの求人サイトは以下の通りです。
上記のサイトは、どれも病棟クラークの求人を多数取り扱っています。自分が使いやすい求人サイトを活用していきましょう。
行きたい病院や施設がきまっているようであれば、直接ホームページの求人募集を確認するのが良いでしょう。
病棟クラークで持っておくべき資格やスキルは本当にないのか?
それでも、本当に病棟クラークは資格・スキルが必要ないのかと疑問を持つ人もいるかと思います。
本当に資格やスキルは必要ないのですが、医療関連の情報を扱うため少しでも医療用語や解剖生理・治療などの医療知識があった方が就職には有利です。
また、現在は電子カルテが主流なので、ITスキルを持ち合わせているとなお就職に有利になります。
では、どのような資格やスキルを取得すれば、就職が有利になるのか気になりますよね。主に、以下の3つを持っていると、かなり有利になるといわれています。
- 医療事務検定試験
- 医療秘書技能検定
- 医事コンピューター技能検定資格試験
医療事務検定試験
医療事務検定試験とは、日本医療事務協会(JMCA)が行っている試験です。医療事務全般の基本的な知識と技術が問われます。
合格率は約60%前後とそれほど難易度は高くありません。資格取得後は、医療機関で即戦力として活躍することができます。
試験日や試験会場は変わるので、詳細が知りたい方は日本医療事務協会(JMCA)の公式ホームページを確認してください。
医療秘書技能検定
医療秘書技能検定とは、医療秘書教育全国協議会が行っている検定です。医療秘書としての専門知識と技能を認定するものです。
検定なので階級が分かれており、合格率は3級は約70%、2級は約50%、準1級・1級は約30%となっており、徐々に合格率が下がっていきます。
病棟クラークとして就職するときに3級を取得し、働いていく中で上の階級を目指していくのが良いです。
詳細を知りたい方は、医療秘書教育全国協議会の公式ホームページを確認してください。下記ボタンから、サイトに行くことができます。
医事コンピューター技能検定資格試験
医療コンピューター技能検定資格試験は、上記と同じく医療秘書教育全国協議会が行っている検定です。
医療機関では、IT化が進み医療事務ではコンピューターが欠かせないです。そのため、この検定では医療に必要なコンピュータースキルの確認ができます。
こちらも検定なので階級があり、3級は約63%、2級は33%、準1級は55%です。比較的難易度は優しい検定です。
詳細を知りたい方は、医療秘書教育全国協議会の公式ホームページを確認してください。下記ボタンから、サイトに行くことができます。
病棟クラークの仕事内容まとめ
病棟クラークの仕事内容や資格について解説してきました。ここまでの内容をまとめていきます。
病棟クラークとは、事務業務を専門的に行う職業で、入退院患者さんのカルテや情報をコンピューターで取り扱います。
病棟クラークになるために必要な資格やスキルはありません。しかし、下記の資格を保有することによって就職が有利になります。
- 医療事務検定試験
- 医療秘書技能検定
- 医事コンピューター技能検定資格試験
上記試験や検定に合格することができたら、求人サイトや直接病院や施設の公式ホームページから病棟クラーク応募しましょう。
オススメの求人サイトは次の3つです。どれも病棟クラークの求人数が多くあります。使いやすいものを利用してみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。病棟クラークになるときに参考にしていただけたら幸いです。