一般に対する認知度も高まってきた退職代行サービスですが、「退職代行は違法」「退職代行は法律的にグレーゾーン」といった言葉も囁かれています。
退職代行の利用を検討しているときに、このような言葉を聞いてしまうと、不安になってしまいますよね?
本記事では退職代行の違法性について徹底解説。違法だと言われる理由や罰則の有無、違法性のあるサービスを避ける方法についても紹介しています。
この記事を読めば退職代行を安心して利用できるようになるので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
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退職代行サービスは違法なのか?
「退職代行サービスは違法なのか?」という問いの答えは条件によります。ですが次の内容に限っては違法とはなりません。
- 本人の代わりに退職の意志を伝える
- 退職手続きに必要な書類郵送の旨を伝える
ポイントは伝えるだけにとどまっていることです。ここまでの業務なら一般代行業者でも合法の範囲となります。
意志を伝えるだけなら合法
本人の代わりに退職の意志を伝えることが、退職代行サービスの中心となる業務です。この点においては代行業者が違法とは言えません。
したがって退職代行を利用した人や、代行業者が罰せられることもないです。また自筆した退職届の持参・会社への郵送をお願いしても違法とはなりません。
ここで気にしておきたいのは、退職届の代筆は退職代行サービスの範囲外だということ。弁護士や行政書士以外は、間違いなく違法となるので注意しておきましょう。
書類郵送願いはOK
離職票や源泉徴収票などの書類は、退職手続きに必要なものです。書類の郵送を希望するのは当たり前のことなので、退職の意志とともにその旨を伝えるのは問題ありません。
注意したいのは会社から借りていた備品の返却です。社員証や健康保険証なども含めて、備品の返却を退職代行に依頼することはできません。退職日までに郵送で返却しましょう。
退職代行が違法と言われる理由
退職代行が違法と言われる理由は、非弁行為にあたる可能性があるからです。非弁行為とは「弁護士しかできない交渉や請求を、弁護士以外の者が報酬目的で行うこと」を指します。
退職時の交渉とは、退職日の調整・有給取得・未払いの残業代請求などです。こういった事案に対して、弁護士でない退職代行が対応してしまうと違法となる可能性が高くなります。
また退職代行自体を法律事務とする意見もあり、弁護士以外が退職代行を行った場合はすべて違法とする考えもあります。
これまでの判例が多くないこともあり、一般的な考えとして意志を伝えるまでは問題ないとされているのが退職代行サービスの現状なのです。
退職代行(一般業者)が違法となるパターン
ここでは退職代行が違法となる明確な状況についてまとめていきます。問題となるパターンは次のとおりです。
- 退職にかかわる条件交渉
- 残業代や有休の請求
ここで示すのはあくまで一般の退職代行業者に当てはまるパターンで、後述する労働組合型や弁護士事務所は除きますのでご注意ください。
退職にかかわる条件交渉
一般の代行業者が行う条件交渉はすべて非弁行為にあたります。退職日の調整や退職金交渉など、相談・提案はすべて違法になる可能性が高いです。
会社側から相談・提案を持ちかけられたからといって、話し合いをすることも違法となります。認められているのは意志の伝達だけです。
残業代や有休の請求
残業代や有休の請求も違法です。取得するという意志を伝えることは可能ですが、取得したいという名目で話し合いをしてしまうと非弁行為となるので注意が必要です。
残業代や有休の請求をする可能性があるなら、弁護士事務所か労働組合型の退職代行に依頼しましょう。
利用者に罰則は?
もし代行業者の違法行為が発覚した場合、利用者はどうなるのでしょうか?結果からいうと、利用した側が罰則を受ける可能性は低いでしょう。
法律違反となる非弁行為を行うのは業者であって、利用者ではないからです。
ただし罰則がないからといって、非弁行為を行う退職代行を利用してもよいわけではありません。
非弁行為を行う業者とわかって利用するのはリスクが高く、スムーズな退職ができなかったり予期しないトラブルに巻き込まれたりする可能性もあります。
違法に見えない退職代行でも注意!
当たり前ですが、代行業者自ら違法行為をしているとは言いません。一見違法に見えない退職代行でも注意して判断する必要があります。
特に「即日退社の文言」と「非弁提携」については気にしておくべきでしょう。
即日退社可能の文言
退職代行サービスでよく見かける「即日退社可能」の文言には注意しておきましょう。実際に即日退社を可能とするには有給が必要だからです。
退職するには基本的に「2週間前までの申し出が必要」とされています。つまり即日退社の実現には、退職代行を利用して退職を申し出たその日からの有給使用が条件なのです。
したがって有給を所持していない場合、即日退社ができる可能性は限りなく低くなります。退職代行固有のサービスではなく、利用者側の条件となる点を理解しておいてください。
非弁提携
非弁提携とは一般業者が弁護士の名前だけを借りて、交渉や請求を行うことです。実際に交渉・請求を行うのは一般業者なので、高い確率で非弁行為に該当します。
弁護士が提携・アドバイスしていても、実際の業務を一般業者が行えば違法になる可能性が高いです。
弁護士が意識して行わなければ非弁提携は生まれませんが、そういう事例があることも頭に入れておきましょう。
違法サービスを利用しないために
ここからは一般業者による違法サービスを利用しないために、どういった点に注目すればよいのか解説します。要点は次に紹介する3つです。
- 弁護士の存在を確認する
- 退職の意志を伝えることのみ依頼
- 実績に注目
弁護士の存在を確認する
違法となる可能性がある以上、弁護士による監修・指導は最低条件です。監修・指導している弁護士が本当に存在するのか調べてみましょう。
日本におけるすべての弁護士は日本弁護士連合会のホームページによって確認できます。氏名や登録番号だけでも調べることが可能です。
無料相談の際に、弁護士の名前や登録番号を教えてもらい確認してみてください。
実在が証明できるだけで実際に業務を行っているかどうかはわからないので、調べた弁護士の事務所に確認を取るのもおすすめです。
退職の意志を伝えることのみ依頼
退職の意志を伝えることだけなら違法にはなりません。利用する退職代行のサービス範囲を明確にして、条件交渉や請求は絶対に行わないという点を確認しておきましょう。
口頭だけでなく書面による確認も必要です。逆に代行業者側から率先してサービス範囲の説明があれば、安心して利用できる根拠にもなります。
実績に注目
実績に注目すれば、ある程度安心できるかどうかがわかります。積み上げられた実績は、ノウハウの多さと法を順守している証とも言えるでしょう。
料金は安いけど実績が少ない、そんな代行業者には注意が必要です。もちろん実績の少ない業者すべてが違法サービスに直結するわけではありません。
適正な退職代行でも、サービス開始時期が最近で実績は少ないというパターンもあるでしょう。
実績は違法サービスを利用しないための補助的要素として注目してみてください。
弁護士事務所による退職代行がおすすめ
今まで解説してきた退職代行に関する違法性を考えると、依頼するのにもっともおすすめなのは弁護士事務所です。退職時に起きる可能性のあるトラブルにも適切に対処できます。
残業未払いや有給残数を自身で把握していなくても、弁護士による退職代行ならそのまま交渉や請求も可能です。
退職代行を利用するのに少しでも不安があるのなら、弁護士事務所によるサービスを検討しましょう。
以下はおすすめの弁護士事務所による退職代行サービスです。ぜひチェックしてみてください。
弁護士法人みやび
最初におすすめするのは弁護士法人みやび。弁護士事務所による退職代行の中でも知名度の高い老舗のサービスです。
- 24時間で無料相談可能
- 私物の引き取りも可
- 丁寧な対応で高評価
利用前の無料相談が可能で、公式サイトからのメールやLINEを使って24時間受け付けてくれます。
費用を払う前に、さまざまな疑問・不安に対する答えと退職できるまでの期間を教えてくれるうれしいサービスです。
弁護士法人みやびでは業務の引継ぎや私物の引き取りも請け負ってくれるため、一度も出社することなく退職できます。
基本料金は55,000円(税込)、丁寧な説明と対応で口コミの評価も高い安心の退職代行サービスです。
退職110番
次に弁護士法人あおばが運営する退職110番の紹介です。注目ポイントに沿って解説していきます。
- 弁護士事務所による退職代行の中では安価
- 全額返金保証
- 面談不要(一部例外もあり)
退職110番の料金は一律43,800円(税込)となります。未払い賃金や退職金の請求などの成功報酬を除いて、弁護士事務所による退職代行の中では最安値のクラスです。
利用前の無料相談はありませんが、退職できなかった場合の全額返金保証サービスが付いています。残業代未払いや未消化の有給がなければ、退職110番がおすすめです。
メールのみのやり取りで退職が可能なため、一部の例外を除いて弁護士との面談も必要もありません。
労働問題に強い弁護士事が事案を担当するため、想定外のトラブルにも的確に対応してくれる心強いサービスです。
労働組合による交渉はOK
弁護士事務所以外に交渉が可能となるのが、労働組合型の退職代行サービスです。労働組合には団体交渉権が認められているため、会社側と交渉しても違法にはなりません。
労働組合型の退職代行に依頼した場合、利用者が労働組合に加入してから退職代行の業務が始まります。
労働組合の加入は退職までの一時的なものですが、通常の料金とは別に組合への加入料が必要となる点に気を付けておきましょう。
労働組合型の退職代行は弁護士事務所のようにあらゆる事態に対処できるわけではないですが、比較的安価で利用することができるのでおすすめです。
退職代行に対応する企業側の違法性
意志を伝えるだけの退職代行に対して、企業側はどういった対応を取るのでしょうか?退職代行は違法だから認める必要がないと言われる可能性もあります。
退職代行に対応する企業側の違法性について理解しておくことも大切です。
退職を認めない
退職代行のサービスに関係なく、退職自体を認めないことは違法となります。ゆえに企業が退職を拒む可能性はかなり低いです。
民法上では2週間前の申告があればいつでも退職は可能となります。会社の規定で1か月前の申告が必要となっていても、優先順位は法律のほうが上です。
それでも退職を認めないとされたら
万が一退職を認めないという対応をされた場合は、多少なりとも企業側との話し合いが発生してしまいます。
話し合いは交渉を意味するため、一般の退職代行だと業務の継続は無理です。法律上の争いとなるため、弁護士事務所による退職代行に再依頼することになります。
退職を認めないというケースは非常に稀だと考えられますが、万全を期すなら弁護士事務所による退職代行を選択しましょう。
例外となるケースもある
例外として契約社員やパート・アルバイトのような有期雇用契約は、定められた期間までの就労が必要となり途中の退職は認められません。(契約から1年を経過したケースは除く)
しかしながら、パワハラのような法令違反があった場合は別です。期間終了前でもやむを得ない事情として、退職が認められるでしょう。
退職と同時に損害賠償請求を行うケースでは、弁護士事務所による退職代行一択となります。賠償額に準じた成功報酬を払う点に注意です。
残業代や有休を認めない
残業代や有休を認めない行為も違法です。実際に働いた分の残業代や、制度上の有給を認めないことは労働基準法に違反します。退職代行を理由に懲戒解雇を行うことも不当です。
適正な退職代行を使った退職は、自身が行う退職と何ら変わりありません。残業代や有休を認めない、懲戒解雇を理由に退職金を払わないといったことはすべて違法となります。
残業代や有休が認められない場合、事態を解決するには企業側との交渉が必要不可欠です。労働組合型の退職代行や、弁護士事務所による退職代行に依頼する必要があります。
適切なサービスの利用なら違法性はなし
退職代行の違法性は、退職代行業務を誰が行うかによって決まります。退職時に発生する一部の業務が法律事務にあたるからです。
適切なサービスの利用なら違法性はありません。一般業者は意志を伝えることのみ、労働組合と弁護士事務所による退職代行なら、交渉・請求までが可能です。
主たる業務を誰が行うか、どこまでがサービスの範囲なのか、この2点をしっかり理解して退職代行を検討してみてください。