「退職拒否されたらどうしたらいいの、辞められるの」「退職願を出したけど受け取ってもらえない」とお悩みではないでしょうか?
ただでさえ、退職に対して不安があるのに拒否されてしまうともっと不安になってしまいますよね。
この記事では退職拒否されたときの対処法やその後の動きについて話していきます。最後まで読んでいただくと、退職拒否に関する悩みごとを解決できるでしょう。
記事の前半では退職拒否された場合に考えるべきこと、後半では退職の前後にすべきことについて話していきます。ぜひ最後までご覧ください。
(アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/illustrations/%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%ac%e3%82%b9-%e7%a4%be%e4%bc%9a%e4%ba%ba-%e5%ae%9f%e6%a5%ad%e5%ae%b6-%e6%ad%af%e8%bb%8a-2051408/)
基本的には退職拒否されても辞められます
辞めようと思っていたけど退職拒否されたら「辞められる」のか、「どうしたらいいか」不安になりますよね。結論から言いますと、基本的には退職拒否されても辞められます。
労働者には「退職の自由」が与えられているので退職するかどうかは、労働者に権利があります。以下は厚生労働省のサイトに記載されていた文です。
働き始めてから1年が経過していれば労働基準法第137条の規定により、当面の間はその使用者に申し出ることにより、いつでも退職できることとなっています。
引用:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_6.html
このように基本的には、どのタイミングで退職するのかは労働者が決められます。しかし、契約状態によっては原則退職できない場合もあります。どのような場合なのか次の見出しで確認していきましょう。
退職拒否されると退職できない可能性もある?
契約を状態を大きく2つに分けると「無期労働契約」「有期労働契約」に分けられます。
退職できるかどうかは自身がどちらの契約状況にあるのかによって変わってきます。1つずつ見ていきましょう。
- 無期労働契約
- 有期労働契約
無期労働契約
無期労働契約は、どちらかが契約を切るまでは契約が続く状態です。一般の正社員などはこちらに当たります。
この契約の場合には、民法627条第1項により、原則2週間前までに退職の申し入れをすることで、基本的にはいつでも労働契約を解約できることになっています。
有期労働契約
有期労働契約とは派遣や契約社員といった雇用の関係を表します。
民法628条によるとやむを得ない事由がないと契約期間の途中での解約ができないとあります。ただし労働契約の日から1年以上たつと基本的には、いつでも退職できます。
自身の雇用形態を把握して退職に臨みましょう。ここからは退職拒否されたときは、どのようにしていけばいいのかについて順を追って話していきます。
退職拒否された場合でも原則円満退職を目指しましょう
退職拒否された場合でもできる限り円満退職することをおすすめします。その理由は以下の3つです。
- 退職の手続きをスムーズに済ませるため
- 減額や損害賠償請求の可能性を低くするため
- 転職後に悪影響を及ぼさないため
退職手続きをスムーズに済ませるため
退職時にもめてしまうと、その後の退職手続きがスムーズにいかないことがあります。
転職日や今後のスケジュールに影響が出てくるので円満退職を目指しましょう。
減額や損害賠償請求の可能性を低くするため
無理に退職してしまうと給与や賞与が減らされたり、場合によっては損害賠償を請求される恐れもあります。
その可能性を減らすためにもできる限り円満退職する必要があります。基本的には特別な理由がない限り減額や損害賠償はないのですが、手間がかかってしまいます。
転職後に悪影響を及ぼさないため
会社を辞めたからといってどこで何があるかわかりません。悪い噂を流されてしまったり、実は転職先とつながっていて関わる機会があって気まずかったり、と次の働き先でどのような影響があるかわかりません。
すぐにでも辞めたい気持ちもわかりますが、今後のあなたのためにもできる限り円満退職を目指しましょう。
無理に円満退職しなくてもよい人もいます
上記で述べた通り、どのような状況でも基本的には円満退職が望ましいです。しかし、場合によっては無理に円満退職する必要はありません。以下にあてはまる人は、自分のことを最優先にしましょう。
- 精神的に病んでいる人
- 身体を壊している人
- 労働環境が著しく悪い人
精神的に病んでいる人
精神的に病んでいる人は必ずしも円満退職を目指す必要はありません。あなたの体が大事なので適切な手続きを取って退職すれば問題ありません。
退職を断られた場合は、人事や労働組合に相談するのがおすすめです。
身体を壊している人
身体を壊している人も同じく無理に円満退職を目指す必要はありません。何よりもあなたの体が大事なのでしかるべき手順を取って退職に臨みましょう。
精神的に病んでいる場合と同じで、退職を断られた場合には、人事や労働組合に相談するのがおすすめです。
労働環境が著しく悪い人
労働環境が著しく悪い場合も、必ずしも円満退職する必要はありません。もちろん、あなたに余裕がある場合は円満退職を心がけましょう。
基本的には、どの場合でも円満退職を目指すのがよいですが、あなた自身が限界で「円満退職していられる状況ではない」と判断したのであれば、退職に進みましょう。
退職を断られ、さらにあなたが限界と感じているのなら、後ほど説明する「対処してもどうしても退職できない場合」の見出しの中から1つの方法を選択するといいでしょう。
退職において大事なこと
退職において大事なことなことが3つあります。この3点は必ず意識して退職に臨みましょう。
- 退職の意思は強く持つ
- 有給や給与を把握しておく
- 就業規則など把握しておく
退職の意思は強く持つ
退職すると決めたのなら意志は強く持ちましょう。説得されてあなたが納得しているのであれば無理やり辞める必要はありません。
考えた末にやめたいと考えているのなら意志は固く持っておきましょう。曖昧な返答をしてしまうとやめられなくなってしまいます。
有給や給与を把握しておく
退職の際には有給や給与がどれくらいもらえるのか把握しておきましょう。事前にわかる範囲で上司や人事に確認しておくといいでしょう。
退職するとなると、減給などの処置がとられている可能性もあります。損しないためにもできる限り把握しておきましょう。
就業規則などを確認しておく
会社には就業規則なるものがあります。退職について書かれている箇所があるはずなので、きちんと把握しておきましょう。
何かおかしい点があった時に、自分が損しないために目を通しておくべきです。
退職が拒否されたときのパターン別対処法
それでは、ここからは退職拒否されたときに何をしたらいいのかパターン別で話していきます。慌てずに冷静に対応しましょう。
- 退職できるが、給与・賞与・退職金を払えないと脅される
- 退職できるが、損害賠償を請求すると脅される
- 待遇面の改善するからと引き止められる
- 人が足りない育っていないからと引き止められる
- 話すら聞いてくれず、理由も教えてくれない
退職できるが、給与・賞与・退職金を払えないと脅される
退職はできるが、給与や賞与、退職金が払えないといわれるパターンです。初めに行っておきますが、退職が理由での賃金の引き下げは基本的にはできませんので安心してください。
どれくらいもらえるのか自身で計算して人事や総務に相談しましょう。相談しても話が進まない時は弁護士に相談するといいでしょう。
退職できるが、損害賠償を請求すると脅される
続いて、退職できるが「辞めるなら損害賠償を請求する」と脅されるパターンです。基本的には退職自体を理由として損害賠償の請求はできません。
そのままやめても問題ない場合が多いですが、より上の人役職の人間や、人事に相談をするといいでしょう。
待遇面の改善をするからと引き止められる
待遇面の改善するからといって退職を引き止められる場合があります。もし、内容を聞いてあなたが満足するなら残るのも一つの手です。
始めから、待遇面での不満を理由に退職しないようにすることがポイントです。対処法としましては、待遇面への感謝を述べたうえで、退職の意思は固いことを伝えましょう。
人が足りない、育っていないから拒否される
人員不足でやめないでほしいといわれることはよくあります。冷たく言ってしまうと、人員不足は会社の都合なのであなたが従う必要はありません。辞めたい旨を伝えて手続きを進めてもらいましょう。
もし、あなたが納得できるのであれば退職時期の延期などに従うと円満退職に繋がります。その際には、期限を明確にしておきましょう。明確にしておかないといつまでもやめられなくなる可能性があります。
話すら聞いてくれず、理由も教えてくれない
忙しいからといって話すら聞いてくれない場合もあるでしょう。その場合は、より上の上司に直接相談しましょう。
話を聞いてくれるまで待つと、今後の予定に影響を及ぼすかもしれません。
対処してもどうしても拒否される場合
退職したい旨を伝えても引き止められる可能性はあります。本来であれば両者がきちんと納得した上で退職できれば良いのですが、上手くいかないこともあるでしょう。
ここではどうしても退職を認めてもらえない場合に労働者が取れる選択肢について話していきます。
- 内容証明郵便で退職の意思を証明する
- 労働基準署や労働相談センターへ相談する
- 退職代行を活用する
内容証明郵便で退職の意思を証明する
一つ目の方法は内容証明郵便で退職の意思を証明する方法です。退職するには2週間前までに退職の意思を示さなければなりません。
内容証明郵便は「いつ・誰が・どこに・何を」郵送したのかを証明してくれるので、退職の意思を証明できます。
労働基準署や労働相談センターへ相談する
続いては労働基準署や労働相談センターへ相談することです。社内で対応してくれないと判断したら外部へ相談することも選択肢の一つです。
具体的にどうすればいいのか質問できます。あくまで相談になるので、自身が動く必要があります。
退職代行を利用する
退職代行の利用は最終手段だと思っていてください。もちろん費用がかかってきますし、会社側にとっても気持ちのよいものではありません。
退職についての手続きを行ってくれますが、よっぽどでない限り自身で退職を進めましょう。
ここまでは、退職拒否されたときの対処法については話してきました。ここからは退職が認められた後は何をすればいいのか話していきます。大きく、退職前と退職後に分けられます。
- 退職前にしておくこと
- 退職後にすること
退職前にしておくこと
ここでは、退職前にしておくことについて話していきます。しっかりと把握して慌てることのないようにしましょう。
- 担当者への引き継ぎ
- 物品の返却
- 転職活動の準備
- あいさつ回り
- 退職後の流れの確認
担当者への引き継ぎ
退職までに担当の業務の引き継ぎを行いましょう。引き継ぎは退職の1週間前に終わらせるのが目安です。
余裕を持って引き継ぎを行うことで、後継者が退職日までに質問できる機会があります。後継者がしっかりと仕事を行えるように引き継ぎしましょう。
物品の返却
会社から借りている物品や名刺、就業規則など忘れずに返却しましょう。どうすればいいかわからないものは会社の担当に確認しましょう。
返却しないといけないものを返却し忘れた場合は会社に連絡した後、郵送などで直接届けるといいです。
転職活動の準備
転職活動については可能な限り在職中に行いましょう。ブランクが空いてしまうと転職活動で不利になる可能性があります。
また、退職後の転職活動は収入減がなくなるので、長引いてしまうと精神的にもつらくなります。焦って、妥協して転職することにならないようにできる限り在職中に転職活動を進めるのがおすすめです。
挨拶回り
退職までに営業先やお客様にあいさつしましょう。後継者と共に訪問すると後継者も今後の仕事がしやすくなります。
お世話になった先輩や後輩にも直接挨拶しておきましょう。退職するとはいえ、今までお世話になったことは確かなので挨拶するのが礼儀です。
退職後の流れの確認
退職後の流れを確認しておきましょう。退職後に考えると大事な手続きを忘れてしまったりして、退職後に慌てることになります。
後ほど説明する年金や保険の手続きには期限もありますので、「期限に間に合わない」とならないためにも事前に流れを把握しておきましょう。
退職後にしないといけない
ここでは退職後にしないといけないことについて話していきます。すぐに次の働き先に入社する場合は手続きのいらないものもあります。
ただし、次の転職先で行わないといけない手続きもあるので注意してください。転職先へ事前に確認しておきましょう。
ここでは基本的に退職後に転職活動する方がしないといけないことについて話していきます。
- 失業保険の手続き
- 退職金の手続き
- 年金の手続き
- 健康保険の手続き
失業保険の手続き
次の働き先が見つかっていない場合、条件を満たすと失業保険の給付が受けられます。手続きはハローワークで行えます。転職先が見つかるまでの間の収入の代わりになります。
失業保険受給は、基本的には「離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間(雇用保険を支払っている期間)が通算して12カ月以上ある」という条件を満たしていれば受け取る資格はあります。
退職金の手続き
会社に退職金の制度がある場合は退職後に手続きをすることで受け取れます。会社の人事や総務に手順を確認しましょう。
目安として手続くが滞っていなければ、退職後1カ月以内に指定の口座へ振り込まれるでしょう。
年金の手続き
退職後すぐに働かない場合は年金の手続きが必要です。お住まいの市役所や年金事務所で手続きができます。
退職後の期間に払うことが難しい場合は2年間であれば支払いを延期できます。資金に余裕ができてから改めて支払いましょう。
健康保険の手続き
在職中は会社が支払いの手続きをしてくれているのですが、次の仕事まで期間が空く場合は国民年金に切り替えなければいけません。
お住まいの市役所で行えるので年金と一緒に手続きするといいでしょう。
まとめ:退職拒否されても退職可能です
退職が拒否されたときの不安は取り除けましたでしょうか?改めて言いますが、退職拒否されても基本的には退職可能です。落ち着いて一つずつ解決していきましょう。最後に簡単にまとめておきます。
- より上の役職上司へ相談
- 労働相談センターへ相談
- 内容証明郵便で退職の意思を証明する
- 退職代行を活用する(最終手段)
- 人事や総務、より上の役職上司へ相談
- 弁護士に相談
退職に不安はつきものです。少しでも気持ちよく次の職場に移りましょう。最後までご覧いただきありがとうございました。