愛犬と一緒に楽しめる人気のドッグスポーツ、アジリティ。やってみたい!と思うものの「うちの子にできる?」「どんな犬種が向いているの?」とお悩みではないでしょうか?
アジリティは競技会のイメージが強くハードルが高いと感じるかもしれませんが、大会参加が目的ではなく、愛犬の運動不足解消やしつけの一環としてアジリティに挑戦する飼い主さんも多くいます。
アジリティの人気に伴い家庭で使えるアジリティグッズも販売されていますが、犬の特徴や向き不向きを知らずに始めてしまうと犬がけがをしてしまうこともあるので注意が必要です。
この記事を読むと、アジリティに向いている犬種から安全なトレーニングの方法までが分かります。ぜひわんちゃんと一緒に、楽しく安全にアジリティにチャレンジしてくださいね!
(アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/22266888?title=%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3&searchId=1505224549)
世界中の愛犬家が魅了されるアジリティの魅力
アジリティはイギリス発祥のドッグスポーツで、指導手(ハンドラー)と犬がペアになり、コース上に設置された障害をクリアしていく競技です。
設置される障害物にはハードルやシーソー、トンネル、壁(ウォール)などがあり、大会では10種類の障害物をクリアするタイムを競います。
犬とハンドラーの息がぴったりと合い、つぎつぎと障害物をクリアしていく姿に思わず息をのんで引き込まれてしまいますよね。
イギリスで開催される世界最大のドッグショー、Crufts(クラフツ)の中でも人気があるアジリティはテレビやYouTubeで観ることができ、世界中の愛犬家を魅了しています。
アジリティの大会は血統書付きの犬種しか出られない?
アジリティの競技会には血統が分かる犬しか出場していないように思えますが、国内のほとんどの競技会では雑種犬も参加することができます。
大会や競技によっては雑種犬の出場に関して規定があったり、申し込み以外の手続きが必要だったりする場合があるので、事前に確認しておきましょう。
国内の競技会は主にJKC(ジャパンケネルクラブ)、OPDES(犬の総合教育社会科推進機構)、JOAC(ジャパンオープンアジリティチャンピオンシップ)の3団体が開催しています。
上記3団体の公式ページでアジリティの競技大会に出場できる犬種の確認ができますよ。
アジリティに向いていない犬種
アジリティに挑戦したくても、体のつくりや病気などでアジリティには向いていない犬がいます。
椎間板ヘルニアになりやすい犬や、膝蓋骨脱臼になりやすい小型犬、鼻腔狭窄を患う短頭種、股関節形成不全の大型犬、心疾患を患う犬などは、激しい運動をするアジリティに向いていません。
コーギーやダックスフントなどの胴長で足の短い犬種はヘルニアに注意しなくてはいけませんし、パグなどの顔が短い犬種は呼吸器に負担がかからないように気を付ける必要があります。
一般的に向いていないとされる犬種でもアジリティをしている犬はいます。犬の健康状態に合わせたレベルで楽しむことが大切ですね。
アジリティに向いている犬種
どんな犬でもアジリティを楽しむことができますが、飼い主の指示にしっかりと従い、物覚えが良く、運動量の多い犬種がアジリティには向いています。
タイムを競うアジリティでは、速く走ることはもちろん、急な方向転換や連続したジャンプでもバテない体の強さが必要になります。
指導手(ハンドラー)の出す指示を瞬時に理解して、正しいコースに進み障害をクリアするためには頭の良さとハンドラーへの信頼が欠かせません。
主人の指示に従い家畜を誘導する牧羊犬などになれる犬種は、賢く体力もあるのでアジリティ向きの犬種といえます。
とことんアジリティ向き!運動能力の高い犬種
アジリティに向いている犬種の中でも、とくに運動能力の高い犬をご紹介します。アジリティで良い成績を狙いたいという人は、下記の犬種と参加すると良いでしょう。
- ボーダーコリー
- シェットランドシープドッグ
- ラブラドールレトリバー
- ジャックラッセルテリア
ボーダーコリー
ボーダーコリーは抜群の運動神経を誇る犬です。その運動神経と底知れぬ体力から、ドッグスポーツ界ではよく見かける犬種の代表格です。
飼い主や家族に対して強い愛情を持ち、指示や言いつけを守るので、訓練がしやすいという特徴があります。一方で見知らぬ人に対する警戒心が強く、優秀な番犬としての一面があることでも知られています。
黒と白の被毛が一般的ですが、毛色は実に30種類以上のカラーがあるともいわれています。大きさは体高50㎝ほどの中型犬です。
シェットランドシープドッグ
シェルティの愛称で呼ばれるシェットランドシープドッグは、小型~中型犬の間くらいの大きさで、ふさふさとした長く美しい被毛が特徴の犬です。
牧羊犬や牧場の番犬として飼われてきた歴史があり、飼い主への忠誠心が強く賢く運動能力が高い犬種です。
シェルティと見た目がそっくりな犬種にラフコリーがいますが、まったく異なる犬種です。ラフコリーは大型犬なので並ぶとすぐに分かりますよ。
ラブラドルレトリバー
ラブラドールレトリバーの祖先は水鳥の狩猟用に飼われていた猟犬だといわれており、手足には水かきがあるため泳ぎが得意な大型犬です。
災害救助犬や盲導犬、麻薬探知犬など、人間のパートナーとして多くの場所で活躍しています。とても賢く、自分の判断で行動できるという特徴があります。
運動能力が高く体力がありますが、遺伝子的に肥満になりやすく成犬になると1日に2回ほど散歩が必要になることも。肥満対策にアジリティは効果的ですね。
ジャックラッセルテリア
映画やドラマで壁のむこうでピョンピョンとジャンプをしているジャックラッセルテリアを見たことがあるのではないでしょうか?
体高は30㎝ほどの小型犬ですが、そのケタ外れの体力は大型犬並みだといわれています。キツネ狩り用の猟犬だったジャックラッセルテリアは気が強く勇敢な性格が特徴です。
気の強さから、しつけのしにくい犬種だとされていますが、しっかり信頼関係が築けると指示を聞いてくれるようになります。
アジリティは小さい犬種でもできる?
アジリティは小型犬でもできます!競技会でもトイプードルやパピヨンなどの小型犬が活躍していますよ。
大会では、犬の体高ごとにS(スモール)クラス、M(ミディアム)クラス、L(ラージ)クラスの3つのカテゴリーに分けられ、体高35㎝未満の小型犬はSクラスで競技をします。
小型犬は脱臼しやすい、股関節に問題が出やすいといわれることがありますが、個体差が大きく過度に負担をかけなければ小型犬でもじゅうぶんアジリティを楽しめます。
異常があった場合にすぐ気づけるように毎日の観察と、定期的な健康診断をしてアジリティを楽しみましょう!
家で始めるアジリティトレーニング
アジリティを始める前に「基本的なしつけ」ができているかを確認しましょう。最低でも飼い主の横について歩くことができ、「まて」「すわれ」「ふせ」「こい」ができると良いですね。
犬のトレーニングでは、失敗させないことが何より大切です。犬が「楽しい!」と思えるようにおやつなどを適度に使いながら、簡単にクリアできるレベルから始めてください。
屋外でリードを外しても問題ないレベルまで基本的なしつけがしっかりできたら、下のような簡単なトレーニングから始めてみましょう。
- トンネル
- ハードル
- スラローム
トンネル
トンネルは「くぐる」トレーニングです。初めてでも成功できるように短いトンネルから始めましょう。段ボールなどで長さが10㎝ほどの短いトンネルを作るのも良いですね。
出口が見えていないと怖がってしまう犬もいるため、まずは直線のトンネルに慣れることを目標にしましょう!
トンネルに慣れてきたら、入り口を指さして「入る」などの掛け声で犬に指示を出します。短く出口が見えるトンネルが問題なくクリアできるようになったら曲がるトンネルに挑戦してみてください。
ハードル
ハードルの最初の一歩は、床に置いたバーから始めましょう。けがをしなくて済みますし、失敗して嫌になってしまう心配もありません。
床に置いたバーを怖がらず乗り越えられるようになったら、ハードルの手前で「まて」をさせ、「ジャンプ」などの掛け声でハードルを越えさせます。できたら褒めておやつをあげましょう。
少しずつバーの高さを上げていきますが、犬が嫌がるそぶりをみせたら無理をさせないようにしましょう。高いバーを越えることではなく、犬が楽しんで飛べることが何より重要です。
スラローム
「スラローム」ではポールの間をジグザグに通り抜けることを覚えます。アジリティの中では教えるのが難しいので、ドッグスクールなどでしっかり教えてもらうのも良いですね。
競技会では12本のポールの間を交互に抜けていき、ポールを抜かしてしまったり、抜ける方向を間違えると減点になります。
家でトレーニングを始めるときは、まずはゆっくりで良いのでポールの間をぬって通り抜けられるように練習しましょう。
アジリティの体験に行こう
本格的に始める前にアジリティを体験してみたい!という方のために、アジリティの体験ができるドッグスクールやしつけ教室が多くあります。
まだ基本的なしつけができていないわんちゃんも、スクールでなら安全にアジリティ体験をすることができますよ。
基礎的なしつけを含めた体験から、本格的なトレーニングを体験できるスクールもあるので、犬のレベルに合わせて選んでみてください。
競技会出場を目指すなら、JKC(ジャパンケネルクラブ)が認定している訓練所に行ってみるのも良いでしょう。
アジリティだけじゃない!すべての犬種が楽しめるドッグスポーツ
ドッグスポーツはアジリティなど激しく動くものだけではありません。アジリティが向いていない犬種にもおすすめしたいのがノーズワークです。
ノーズワークは、飼い主が隠したおやつなどを犬が嗅覚のみで探し当てる「嗅覚を鍛えるトレーニング」です。老犬でも持病があっても、においさえ嗅げればできるので、すべての犬におすすめ。
臭いを嗅ぐという犬の習性を使って、獲物を追跡し探しあてる狩猟本能を満たしてあげることができますよ。
下のような専用グッズも販売しているので簡単に始められます。運動が苦手な犬や持病のある犬は頭を使ってストレス発散をしましょう。
【まとめ】アジリティは犬種の特性に合わせて楽しもう
アジリティは、犬と飼い主が一緒に楽しめるスポーツですが、からだの作りや持病によっては向かない犬もいるので、注意が必要です。
競技会には大型犬から小型犬まで参加できます。雑種犬の参加については別途手続きが必要な場合があるので大会主催者の公式サイトなどで詳細を確認しましょう。
自宅でトレーニングを始めるときには「基本的なしつけ」ができていることが重要です。ドッグスクールのアジリティ体験などを利用すると、安全にアジリティを始められるのでおすすめですよ。
犬と一緒にドッグスポーツをすることで信頼関係が深まり、愛犬との絆が今より強くなるはずです。ぜひ犬のレベルや特性に合わせてアジリティを楽しんでくださいね!