「格安SIM」とは、大手携帯電話会社(キャリア)よりもスマホの月額料金が安いサービスのことです。しかし、なぜ「格安」にすることができるのかについて知る人は少ないのではないでしょうか。
ただ安いと聞かされただけでは、「安いというだけで、本当はサービスの質が悪いのではないか」などと不安になりますよね。
この記事では、格安SIMの安さの秘密やそのメリット、デメリット等を紹介します。
自分に合った格安SIMに変更することで、スマホの月額料金を節約することも可能なので、少しでも変更を検討されている方はぜひ最後まで読んでくださいね。
(アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/23683487)
格安SIM(シム)・格安スマホとは
格安SIMとは、auやdocomoなどの大手携帯電話会社(キャリア)のインターネット回線や通話線を借りることで、格安にサービスを提供するSIMカードのことです。
また、格安スマホは格安SIMを利用することのできるスマホのことをいいます。
格安SIMの特徴としては、インターネットや通話の品質は大手携帯電話会社と同じであるにもかかわらず、大手携帯電話会社よりも月額料金が大幅に安くなることが挙げられます。
SIMカードとは
SIMカードとは、スマホの中に挿入されているICカードのことです。このICカードは携帯電話会社から発行され、スマホ利用者の情報や電話番号などが記録されています。
スマホはSIMカードが挿入されていることで、電話機としての利用やWi-Fi環境以外でのインターネットの利用が可能となります。
格安SIMを申し込んだ際は、MVNO(格安SIMの携帯電話会社)から新たにSIMカードが発行されるため、それを格安SIMに対応したスマホに挿入すれば利用可能となりますよ。
格安SIMはどうして格安で利用できるの?
MVNO(格安SIMの携帯電話会社)は、大手携帯電話会社のインターネット回線や通話線を借りることで、利用者にサービスを提供しています。
そのため、新たに回線の基地局等を建設する費用や維持する費用が不要となる為、月額料金を安くすることが可能となります。
また、大手携帯電話会社と比べると店舗数も少なく、人件費や店舗の維持費用を削減できる点も月額料金を安くできる要因です。
MVNO(格安SIMの携帯電話会社)とは?通信は問題ない?
MVNOの正式名称はMobile Virtual Network Operatorで、通信回線を自社で持たず、他社の回線を借りて通信サービスを提供している事業者のことをいいます。
また、MVNOは格安SIMを運用するにあたり、回線は大手携帯電話会社のものと同じものを使用しているので、インターネット・通話の品質や通話エリアも大手携帯電話会社のものと変わりません。
格安SIMのメリット3点・デメリット3点
ここまで格安SIMの仕組みについて書きました。しかし、格安SIMを申し込んだ後で「この情報も知っておきたかった」と後悔することは避けたいですよね。
そういった後悔をしないように、以下にて格安SIMのメリットとデメリットを各3点ずつまとめましたので、ぜひ確認してください。
- 月額料金が安い
- 料金プランの種類が豊富
- オプションの選択肢が多い
- キャリアのメールアドレスが使えない
- LINEのID検索ができない
- 店舗でのサポートが受けづらい
格安SIMのメリット
格安SIMのメリットは、月額料金の安さ以外にも、料金プランの種類が豊富な点とオプションの種類が多い点の2点があります。
月額料金が安い
格安SIMに変更すると月額料金は格段に安くなります。例えば月々のデータ使用量が1GB以下の場合、docomoの月額基本使用料は約3,000円ですが、mineoという格安SIMでは約1,300円です。
通話料によって月額料金が前後するとは思われますが、格安SIMに変更すれば1年間で20,000円も節約することも可能となる計算になります。
料金プランの種類が豊富
大手携帯電話会社の場合、月々のデータ使用量が7GB以上のプランとなると60GBまでの大容量のものになるなど、料金プランの幅が少ないところも多いです。
格安SIMの場合は、例えばイオンモバイルだと1GBから10GBまでなら1GB単位でデータ使用量が選べるなど、料金プランが豊富なものも多いですよ。
オプションの選択肢が多い
格安SIMには選べるオプションの数が多いため、不要なものは選択しないことで月額料金を抑えることもできます。
例えば、UQモバイルでは留守番電話や割込電話のサービスが有料オプションとなりますが、通話の使用状況に応じてオプションの有無を選択することが可能ですよ。
格安SIMのデメリット
格安SIMを使用するにあたり、大手携帯電話会社のものと比べて不便な点が3点あります。以下のことに気を付けたうえで申し込むとよいでしょう。
キャリアメールが使えない
キャリアメールとは、大手携帯電話会社の「@docomo.ne.jp」「@ezweb.ne.jp」「@softbank.ne.jp」などの付いたメールアドレスのことです。これらは格安SIMで使えません。
しかし、Gmailなど無料で作成できるフリーメールを取得すれば、メールを使うことができます。フリーメールの使い方はキャリアメールと特に変わりはありませんよ。
LINEのID検索ができない
LINEで友達追加をする際、LINEモバイルやYモバイルなど一部を除き、ほとんどの格安SIMではIDを使ったユーザー検索ができません。
LINEのID検索には年齢認証が必要ですが、この年齢認証には大手携帯電話会社のサービスが利用されていて、ほとんどの格安SIMにはこの年齢認証のシステムがないためです。
しかし、専用URLのメール・SMS送信やQRコードの読み取り、ふるふる機能を使うなどしてLINEの友達追加を行うことは可能となります。
店舗でのサポートが受けづらい
格安SIMの場合、月額料金を安くするために店舗がほとんどありません。また店舗でも申し込みまでの案内しか行わず、利用方法の案内はできないという場合もあります。
しかし、店舗でサポートを受けることが難しいからといって、格安SIMのサポート体制が皆無という訳ではありません。
電話やチャット、Web上の解説ページで確認する等、格安SIMによりサポートは様々ですが、これらを活用すれば店舗で受けるものと同程度の問題解決も可能となりますよ。
今のスマホで格安SIMは使えるの?SIMロックって何?
せっかく格安SIMで月額料金が安くなるのなら、現在使用しているスマホを流用して初期費用も安く抑えたいですよね。
しかし、以下の理由で現在のスマホを流用できない可能性がありますので、格安SIMの申し込みの前に確認しておきましょう。
- スマホが格安SIMに対応していない
- SIMロックがかかっている
スマホが格安SIMに対応していない
格安SIMによってはスマホ端末が対応していないことがあります。格安SIM各社のホームページに動作可能なスマホ端末についての情報が記載されていますので、ぜひ確認してくださいね。
もし自身のスマホが対応していない場合は、SIMカード以外に新しいスマホも購入する必要がありますよ。
SIMロックがかかっている
SIMロックがかけられているスマホでも格安SIMが使えない場合があります。SIMロックとは、大手携帯電話会社で購入したスマホがその携帯電話会社の回線でしか使用できない仕組みのことです。
例えば、現在docomoのスマホを使用している場合、docomoの回線を借りた格安SIMであれば使用可能ですが、auの回線を借りた格安SIMは使用不可となります。
SIMロックの解除はオンラインや店舗等にて手続きができます。方法や料金の詳細は携帯電話各社のホームページに記載されていますよ。
以下に3大キャリア各社のホームページの該当箇所のリンクをまとめましたので、参考になれば幸いです。
自分に合ったものは?格安SIM選びの注目ポイント4点
格安SIMには様々な会社やプランがあるため、どれにするか迷ってしまいますね。
以下、申し込む前に注目すべき4つのポイントを挙げてみました。
- SIMの種類
- 通信回線の種類
- 利用するデータ量
- オプション
SIMの種類
「音声通話SIM」と「データ通信専用SIM」の2種類があります。音声通話SIMはスマホにて電話とインターネットが使用可能となり、データ通信専用SIMはインターネットのみが使用可能となります。
音声通話を全くしないという方は、データ通信専用SIMを選択すると、月額料金を安くすることが可能となりますよ。
ただし、一部のデータ通信専用SIMでは、SMSが使用不可になります。LINEなどSMS認証が必要となるアプリもあるので、利用状況に応じてSMSの対応可否にも注意しましょう。
通信回線の種類
格安SIMごとに借りている大手携帯電話会社の回線が異なります。例えば、日本通信SIMであればdocomo回線のみが使用可能ですが、UQモバイルではau回線のみが使用可能となります。
現在契約中のスマホの回線と格安SIMの借りている回線が同じであればSIMロックを解除する必要がなくなりますので、現在のスマホをそのまま使う場合は注目してみてくださいね。
利用するデータ量
格安SIMの月々のデータ使用量は細々と選べるものが多いです。月々に使用するあらかたのデータ量を確認の上、申し込みをするといいでしょう。
また、同じデータ使用量でも、料金やデータの繰り越しの可否等は会社によって異なりますので、複数の格安SIMで比較してみてくださいね。
オプション
格安SIMによってオプションが有償なのか無償なのかが異なります。
例えば、J:COMモバイルとmineoで比較してみましょう。データ量が10GBの場合の月額基本料金は、J:COMモバイルは約2,100円、mineoは約2,000円となります。
しかし、もし子ども向けのフィルタリングサービスが必要ならば、J:COMモバイルは無償なのに対し、mineoでは月額220円となる等、必要なオプションによりお得な会社が異なる場合もあるのです。
このように、月額料金で比較する場合は、基本料金だけでなく必要なオプションが有償かどうかについても確認するとよいでしょう。
電話番号は継続して使用できる?注意点も合わせて解説
MNP(ナンバーポータビリティ)を申し込みすれば、格安SIMでもこれまでの電話番号を継続して使用可能です。MNPは大手携帯電話会社の解約をする際に申し込みできますよ。
MNPには申し込み日からの有効期限があり、確約SIMによっては有効期限までにある程度日数の余裕がなければ申し込みできないものもあります。
その場合も再度MNPの予約をし、早めに格安SIMの申し込みをすることで対応可能とはなりますが、二度手間にならないよう申し込みの際は余裕をもった手続きをしましょう。
その他よくある疑問
ここまで読んでみて、格安SIMについての疑問点は全て解消できたでしょうか。
もし、まだ不明点が残っている場合は、以下にて前述したんのもの以外のよくある質問3点をQ&A形式でまとめましたので、参考になれば幸いです。
- Q.スマホを買い替えても電話帳のデータ移行はできますか?
- Q.格安SIMにした後もアプリは使えますか?
- Q.格安SIMは災害時にも使えますか?
Q.スマホを買い替えても電話帳のデータ移行はできますか?
A.可能です。データを移行する際はSDカードを用意し、以下の手順にて操作してくださいね。
まずはSDカードを古いスマホに挿入し、電話帳のデータをSDカードへエクスポートします。
次に、新しいスマホにそのSDカードを挿入後に電話帳を開き、データをインポートすることで移行することができますよ。
Q.格安SIMにした後もアプリは使えますか?
A.使えます。スマホを替えない場合は、SIMカードを差し替えるだけでアプリはこれまで通り使用可能です。
スマホを替える場合は、古いスマホでアプリ内のデータ移行を行っていれば、新しいスマホにてデータを引き継ぎしたアプリを使用できます。
Q.格安SIMは災害時にも使えますか?
A.格安SIMの借りている大手携帯電話会社の通信設備に影響がなければ使用できます。電話が利用可能である音声通話SIMの場合は、110番や119番などの緊急通報も可能ですよ。
ただ、災害時は音声通話に使用制限がかかることが多いので、格安SIMのみではなく、大手携帯電話会社のスマホや固定電話も含め制限がかかることも多いです。
また、大手携帯電話会社以外で購入したスマホの場合、緊急時の通知が鳴らないものもあるので、災害時に役に立つアプリを取得しておくとよいでしょう。
格安SIMの安さの理由は?変更した方がいい? まとめ
格安SIMは、auやdocomoなどの大手携帯電話会社の回線を借りており、回線基地局等に掛かる費用を減らすことが可能となることで、格安でサービスを提供しています。
また、大手携帯電話会社と同じ回線を使用するため、通信の品質に差もありません。
格安SIMはサービス内容の選択肢も幅広いため、使用状況に応じて無駄のない契約をすることで月額料金を減らし、1年間に20,000円節約することも不可能ではありませんよ。
格安SIMへの変更を検討している方は、ぜひ自分に合ったものがないか調べてみてくださいね。