「水槽を立ち上げたばかりなのに、コケに覆われて水が濁ってしまった」という経験はありませんか。コケによってせっかく綺麗に作った水槽の景観を崩されてしまうのは辛いですよね。
この記事では、水槽立ち上げ後に生えるコケの種類やコケの繫殖を防ぐ方法について紹介していきます。ぜひ、最後まで読んであなたのアクアリウム作りの参考にしてみてください。
(アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/24447767#goog_rewarded)
- 水槽立ち上げてすぐにコケが生える2つの理由
- 水槽立ち上げ後によく生えるコケの種類①茶ゴケ
- 水槽立ち上げ後によく生えるコケの種類②アオミドロ
- 水槽立ち上げ後によく生えるコケの種類③藍藻類のコケ
- 水槽立ち上げ後によく生えるコケの種類④黒髭コケ
- 水槽立ち上げ後のコケ繁殖を防ぐ方法①3日に1回は水換えする
- 水槽立ち上げ後のコケの繁殖を防ぐ方法②一日の照明時間を決める
- 水槽立ち上げ後のコケ繁殖を防ぐ方法③フィルターを設置する
- 水槽立ち上げ後のコケ繁殖を防ぐ方法④水質調整剤を使う
- 水槽立ち上げ後のコケ繁殖を防ぐ方法⑤成長の速い水草を入れる
- 水槽立ち上げ後のコケ繁殖を防ぐ方法⑥コケを食べる生体を入れる
- 水槽立ち上げ後のコケまとめ
水槽立ち上げてすぐにコケが生える2つの理由
水槽内に生えるコケは藻類(そうるい)と呼ばれる、光・CO₂(二酸化炭素)・栄養があれば繁殖する植物です。
アクアリウムでよく使われる水草のコケ植物とは別物で、水草にくっついたり空気中を漂ったりしているコケの胞子が水槽内に入ることで、勝手に繁殖していきます。
水槽を立ち上げてすぐにコケが生えてしまう理由は次の2つです。
- 水槽内のバクテリアが安定せず、栄養過多になっている。
- 水槽に過度な光量を与えている。
水槽立ち上げ時は、栄養を分解するバクテリアが安定していないため栄養過多になりやすいです。分解されなかった水草のための肥料や、底床に敷かれたソイルの栄養をコケが吸収して繁殖していきます。
また、過度な光量もコケが繁殖する一因です。コケの成長には光が必要であり、光があるとどんどんコケは成長します。特に直射日光が当たるところに水槽が置いてあるとコケの成長が速いです。
次の項目から水槽立ち上げ後によく生えるコケについて、特徴やコケが生えた時の対処法をそれぞれ紹介していきますよ。
- 茶ゴケ
- アオミドロ
- 藍藻類(らんそうるい)のコケ
- 黒髭ゴケ
水槽立ち上げ後によく生えるコケの種類①茶ゴケ
茶ゴケは珪藻の仲間で、水槽の壁や水草にぬめりと臭いのある茶色のものがくっつくコケです。
- 水槽のガラス壁や水草に生えることが多い。
- バクテリアが活性化していない水槽立ち上げ1~2カ月に発生しやすい。
- 水質が安定すると自然消滅することが多い。
茶ゴケが生えた場合は、茶ゴケをホースで吸い取った後残ったコケをスポンジや手で擦って落としたり、コケを食べる生体を投入したりして取り除き、水換え頻度を増やして繁殖を防ぎます。
茶ゴケが発生すると、アオミドロも発生しやすいので見つけたらすぐに取り除きましょう。
水槽立ち上げ後によく生えるコケの種類②アオミドロ
アオミドロは緑藻の仲間で、水草やソイルなどにとろみがかったような糸状の細長いものがまとわりつくコケです。
- 水槽内の環境によって長さや色(緑や茶、薄い白、透明)が変化する。
- 水草や底床に生えることが多い。
- バクテリアが活性化していない水槽立ち上げ1~2カ月や、CO₂を添加し強い照明を使用している水槽に発生しやすい。
- 茶ゴケの発生の後に現れることが多い。
- 生体がいない水槽でも繁殖し、自然消滅はしない。
アオミドロが生えた場合は、手や歯ブラシで取ったり、アオミドロを食べる生体に食べてもらったりして取り除き、水換え頻度を増やして繁殖を防ぎましょう。
水草にまとわりついて取り切れない場合は、アオミドロがついている部分を水草ごと切ってしまうのも一つの手ですよ。
水槽立ち上げ後によく生えるコケの種類③藍藻類のコケ
藍藻類(らんそうるい)のコケはシアノバクテリアという細菌の一種で、底床や水草などに濃い緑色のどろっとしたものがつくコケです。
- 部屋に充満するほどの強い臭いを発生させる。
- 主に濃い緑で他にこげ茶色、赤、黒のものがある。
- 水槽内のどこでも繁殖する。
- 強い臭いのせいで食べない生体が多い。
- 外部からの持ち込みや水槽内の栄養過多で発生する。
- 水流がない場所に発生しやすい。
- 水槽の環境が安定していても繁殖する。
藍藻類のコケが発生した場合は、コケ抑制剤やオキシドールなどの薬品を使用したり、ブラックモーリーや貝類に食べてもらったりして取り除きましょう。
薬品を使用する場合は説明書をよく読み、用量を守って使用してくださいね。
薬品はコケ除去に効果がありますが、生体や水草にも影響があります。
特にオキシドールはアクアリウム用品ではないので入れすぎに注意しましょう。1Lあたり0.25mlが目安で、コケが枯れない場合は水草の様子を見ながら添加量を少しずつ増やします。
オキシドールはスポイトを使って、コケに直接つけるのがおすすめですよ。
水槽立ち上げ後によく生えるコケの種類④黒髭コケ
黒髭コケはカワモズクの仲間で、水草や水槽の至る所に黒くフサフサした短い毛がつくコケです。
- 強い吸着力を持つ。
- 水質によって形状や色(白や灰色)が変化する。
- 水槽内のどこでも繁殖する。
- 底床にソイルを敷いて立ち上げた水槽の初期や、栄養分が溜まった水槽に発生しやすい。
- 水換え不足により繁殖しやすい。
黒髭コケが発生した場合は、水換え頻度を増やしヘラでそぎ落としたり、ヤマトヌマエビやサイアミーズフライングフォックスなどの生体に食べてもらったりして取り除きます。
流木や石、器具についた黒髭コケは、食酢や木酢などの酢を塗りつけて除去するのが効果的ですよ。
酢を使う場合は、水槽から取り出して黒髭コケのある部分に刷毛や筆で酢をつけ、3分経ったら水道水でしっかり洗い流して水槽に戻しましょう。
酢が水草につくと、その部分だけ枯れてしまうことがあります。水草についた黒髭コケには使用せず、もし酢が水草についてしまったときは、すぐに水道水で洗い流してくださいね。
次の項目からは、水槽立ち上げ後のコケ繁殖を防ぐ方法を紹介していきます。
- 3日に1回は水換えする。
- 一日の照明時間を決める。
- フィルターを設置する。
- 水質安定剤を使う。
- 成長の速い水草を入れる。
- コケを食べる生体を入れる。
水槽立ち上げ後のコケ繁殖を防ぐ方法①3日に1回は水換えする
コケ繁殖を防ぐためには水換えが最も重要です。特に水槽を立ち上げてバクテリアが安定するまでは、水換えの手を抜くとすぐにコケが繁殖してしまいます。
バクテリアが安定するまでは3日に1回、少なくとも週に1回は水槽の半分の水を入れ換えましょう。余裕がある人は毎日4分の1ずつ水換えをするとよりコケが繁殖しにくくなります。
水換えはプロホースを使うのがおすすめです。水と一緒に生えている少量のコケも吸い込めるので、水換えと水槽掃除を一緒にすることができますよ。
水槽立ち上げ後のコケの繁殖を防ぐ方法②一日の照明時間を決める
光は水草を美しく育ててくれますが、強すぎる光はコケの成長を推進してしまいます。一日中照明をつけるのではなく時間を決め、夜間は照明をつけないようにしましょう。
照明時間は6~10時間、水草水槽の場合は8~10時間がいいですよ。水槽立ち上げ後はコケが繁殖しやすいので、最初の2週間は照明時間を6時間と短めにするのがおすすめです。
また、直射日光はコケ繁殖を手助けし水槽の劣化にもつながるので、なるべく直射日光が当たらない場所に水槽を置くようにしましょう。
水槽を立ち上げた後に照明をつける時間を変更したり、ライトを1本に減らしたりといった光量の調節を頻繁に行うと、水草が弱ってしまいます。
水草水槽の場合、水槽を立ち上げた後の光量の調節は最小限に留めるようにしましょう。
水槽立ち上げ後のコケ繁殖を防ぐ方法③フィルターを設置する
水槽のサイズに合っていないフィルター(ろ過装置)を設置していたり、フィルターの中のろ材が古くなっていたりすると、本来の機能を発揮できずに水槽が汚れてしまい、コケが発生しやすいです。
必ず水槽に合ったフィルターを設置し、古くなる前にろ材を取り換えましょう。また、コケ発生を抑えてくれるフィルターを使用するのもいいですよ。おすすめのろ材は『テトラバイオバッグアルゴストップ』です。
『テトラバイオバッグアルゴストップ』はテトラのワンタッチフィルターシリーズに使用する淡水用のろ材で、アオコや水槽の壁に生えるコケの発生を防ぐ効果があります。
増えすぎて生体が死ぬ原因になるアンモニアも除去してくれるので、魚が入った水槽におすすめですよ。
水槽立ち上げ後のコケ繁殖を防ぐ方法④水質調整剤を使う
水質調整剤はその名の通り水槽の水質を調整する薬品で、水草や魚にとって有害な物質を取り除いたり、逆に必要な物質を追加したりと様々な種類があります。
コケ対策には、コケの発生を防ぎ繁殖したコケを除去する水質調整剤や、バクテリアを増やしてくれるバクテリア剤を使いましょう。
水質調整剤やバクテリア剤は水流がないと十分な効果が出ないので、使用する時は水中に酸素を送り込むエアレーションを設置して水槽内に水流を作るようにしてください。
おすすめのコケ防止・除去効果を持つ水質調整剤は『テトラコケブロック』です。水草に影響を与えないよう調整された有効成分でコケの光合成を抑え繁殖を防ぐので、水草水槽でも安心して使用できます。
また、おすすめのバクテリア剤は『ベルテックジャパンBioスコール淡水用』です。値段が高めですが、その分質の高いバクテリアが入っており水質を安定させます。
これ一本で良質なバクテリアが手に入るので、水槽立ち上げ時の栄養過多解消に効果的ですよ。
水槽立ち上げ後のコケ繁殖を防ぐ方法⑤成長の速い水草を入れる
コケ繁殖を防ぐためには水槽を立ち上げるときに、成長の速い水草を入れるのがおすすめです。
コケは成長スピードは速いですが栄養を吸収するのは水草より遅いため、水草があればコケが成長する前に水槽内の栄養を減らすことができます。
水槽立ち上げ時の豊富な栄養がコケの養分になる前に、栄養を水草に吸収してもらいましょう。マツモやミクロソリウムなどの成長が速い水草や、アマゾンフロッグビットやマツモなどの浮き草がおすすめです。
また成長スピードが遅い水草でも、水槽立ち上げ時からたくさん入れるとコケ抑止になりますよ。
水槽立ち上げ後のコケ繁殖を防ぐ方法⑥コケを食べる生体を入れる
水槽内の環境が安定してきたら、コケを食べてくれる生体を入れて水槽内を掃除してもらうのもいいですよ。
おすすめのコケを食べる生体を3つに絞って、それぞれ紹介していきます(※価格は配送料や手数料を抜いた金額です)。
- ヤマトヌマエビ
- オトシンクルス
- ブラックモーリー
生体は環境の変化に弱いので、水槽内の水質が安定してから水槽に投下しましょう。
また、水槽内の生体によっては混泳できない場合もあるので、同じ水槽に入れても大丈夫なのか購入前に確認してくださいね。
ヤマトヌマエビ
ヤマトヌマエビはヌマエビ科の一種で、熱帯・亜熱帯地域に生息し日本でも川の上流で見ることができます。
コケ取り能力が高く、穏やかな気性なのでメダカや小型の熱帯魚がいる水槽に向いています。
ヤマトヌマエビ | |
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特徴 |
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価格(1匹) | 300円~ |
全長 | 3~5cm(メスの方が大型化する) |
寿命 | 約5~7年 |
食べるコケ | 茶ゴケ、アオミドロや他の糸状のコケ、黒髭コケ、 |
水温 | 20~28℃ |
水質 | 中性~弱アルカリ性 |
向いている水槽 | 水草水槽、肉食魚のいない熱帯魚水槽 |
混泳に向いていない生体 | 肉食魚、5cmを超える魚、金魚、小型のエビ |
オトシンクルス
オトシンクルスはナマズ目ロリカリア科の一種で、主に南米のアマゾン川に生息する夜行性の淡水魚です。
茶ゴケやアオミドロを食べるので、水槽立ち上げ初期に投入するのに向いています。
オトシンクルス(オトシン) | |
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特徴 |
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価格(1匹) | 300円~ |
全長 | 約2~10cm |
寿命 | 約3年 |
食べるコケ | 茶ゴケ、アオミドロ |
水温 | 20~28℃(25℃を保つといい) |
水質 | 弱酸性~中性 |
向いている水槽 | 水草水槽、熱帯魚水槽 |
混泳に向いていない生体 | 肉食の大型~中型の魚、攻撃性の強い魚 |
ブラックモーリー
ブラックモーリーはカダヤシ科グッピー属の一種で、南アメリカやカリブ海諸島に生息し淡水でも海水でも飼育できる熱帯魚です。
温和で適応できる水温は幅広く飼育が簡単なため、アクアリウム初心者の熱帯魚水槽に向いています。
ブラックモーリー | |
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特徴 |
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価格(1匹) | 200円~ |
全長 | オス約6cm、メス約10cm |
寿命 | 約2~3年 |
食べるコケ | アオミドロや他の糸状のコケ、藍藻類のコケ |
水温 | 18~28℃ |
水質 | 中性~弱アルカリ性 |
向いている水槽 | 熱帯魚水槽 |
混泳に向いていない生体 | 小型の魚、小型のエビ |
水槽立ち上げ後のコケまとめ
水槽立ち上げ後に生えるコケの種類や、繁殖を防ぐ方法などについて紹介しました。最後に水槽立ち上げ後のコケについてまとめを載せます。
- 水槽立ち上げ後のコケは栄養や光量が多すぎることで発生することが多い。
- 水槽立ち上げ後は茶ゴケ、アオミドロ、藍藻類のコケ、黒髭コケが生えやすい。
- 水槽立ち上げ後のコケの繁殖を防ぐには、こまめな水換えが最も重要!
アクアリウムをやる以上、コケとは一生の付き合いになります。綺麗な水槽を保つためにも、早めにコケ対策に必要なものをアクアリウムショップやネットで揃えてくださいね。