大きな耳とつぶらな瞳、長いしっぽが特徴的な、見た目のかわいらしさが大人気のフェネック。「ペットとして飼育できたらいいな」と思っていませんか?
お気に入りのフェネックと毎日を過ごせたら、思わず笑顔になって癒やされそうですよね。
実はフェネックは、飼育するとなると気をつけなければならない点がいくつかあるんです。
この記事では、フェネックを自宅で飼育するために押さえておきたいポイントを、注意事項も踏まえながらお伝えします。ぜひ最後までご覧ください。
- フェネックの生態を分かった上で、飼育するかどうか決めたい
- フェネックは自宅で飼育することができるのかを知りたい
- フェネックを飼育するにあたっての注意点を知りたい
(アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/24812638)
フェネックってどんな動物?生態を紹介!
フェネックは、砂漠や乾燥地帯に生息する、イヌ科のなかで最小の動物です。寿命は、野生下で長くて10年、飼育下では14年くらい生きることもあります。
大きさは、大人でも体長35〜40cmほどで、体重は平均して1kg、最大でも1.5kg程度と、小型犬程度にしかなりません。
そんな小さなからだには、資源がほとんどない過酷な環境でも生きられるように、さまざまな機能が備えられています。
- 大きな耳:耐熱の放射、砂の中にいる獲物を探知可能な優れた聴力
- 足裏の長くて柔らかい毛:砂漠地帯を移動するのに適している
- 最小限の水分で生存可能:食べ物に含まれる水分のみで生存可能
フェネックはペットとして人になつく?
フェネックの性格は、天敵が多いため本来は臆病で警戒心がとても強いという特徴を持ちます。そのため、野生下である程度まで育った状態からでは、人になつくことは難しいでしょう。
一方で、飼育下でのフェネックは、犬と猫を足して2で割ったような性格をしています。生後間もない頃から人の手で育てられたフェネックは、人慣れしてなつきやすいと言われています。
フェネックの性格によっては、人に撫でてもらうことを喜んだり、しっぽを振って寄って来る子もいると言います。そんなことをされたら、たまらないですよね。
- フェネックの本来の性格は臆病で警戒心が強い
- 生後すぐから人の手で育てられた個体は人馴れしてなつきやすい
ひとつ注意すべきなのが、人の手で育てられたフェネックがみんな人懐っこいかというと、そういうわけではありません。
人の手で育てられても性格にムラがあり、人慣れして好奇心が強い子もいれば、臆病な子もいます。
気になる子がいたら実際に触らせてもらって、人慣れしているか、どんな性格の子なのかを見極めた上でお迎えしましょう。
フェネックは自宅で飼育できる?
結論から言うと、フェネックを自宅で飼うことはできます。もともとは夜行性の動物とはいえ、人の生活スタイルに合わせて昼に活動的にもなります。
ですが、犬や猫のように放し飼いにするには、管理がとても大変になります。
フェネックは基本的に、人に何かを教えてもらって覚えることができない動物です。
このあと紹介する「フェネックの習性」をしっかり理解した上で、本当に自宅で飼育することができるかどうか、考えてみてください。
フェネックの習性
フェネックには、過酷な生息地域で生きられるように特徴的な習性があります。自宅で飼育するためには、この習性をしっかり理解しておくことが大切です。
飼い始めたあとに後悔しないよう、これから紹介する3つの習性を知っておきましょう。
- 穴掘り
- 夜行性
- マーキング
穴掘り|フェネックの習性①
ひとつめの習性は、「穴掘り」です。フェネックは、生息地である砂漠や乾燥地帯で、砂地に数メートルの巣穴を掘って生活しています。
これだけ深い巣穴を掘るのは、日中の熱さや夜間の寒さをしのぐためです。巣穴のなかは、厳しい環境下でも快適に過ごせる構造になっています。
夜行性|フェネックの習性②
砂漠や乾燥地帯は日中とても暑い環境ですから、フェネックの活動時間は気温の落ち着く夕方〜夜中になります。
活動中は、大小様々な鳴き声で呼びかけながら仲間と連携を取り合っていると言われています。
マーキング|フェネックの習性③
フェネックは他のイヌ科の動物と同様に、オスは発情期になると攻撃的になり、縄張りを糞尿でマーキングする習性があります。
自宅でフェネックを飼育するときの問題点
フェネックは、一般的に飼われている犬や猫などの動物とは違って、しつけをしても覚えにくいという特徴があります。
これから紹介する問題行動は、自宅で飼う場合に知っておいた方がいいことです。
問題行動を知った上で、いまの住まいで飼えるかどうか、考えてみてください。
- 夜当然大きな声で鳴く
- 穴を掘ろうとして床を傷つける
- オスの場合は部屋中にマーキングする
どの行動も、フェネックの習性なのがわかりますね。問題なのは、幼体期からでもしつけが難しいことです。
掘る場所を決めていても床を掘ってしまったり、特にオスは排泄物でマーキングをするため、毎日掃除が必要になります。
また、夜中に大きな声で鳴いて近隣の迷惑になることを考えると、一軒家もしくは防音室など、専用の部屋を用意することが必要になってきます。
フェネックの問題行動はコレで対策!
フェネックを迎え入れる前の準備として忘れてはいけないのが、問題行動への対策です。
夜鳴きは人の手では対策できないため、もし鳴いても近隣の迷惑にならないように、一軒家もしくは部屋自体に防音対策をする必要があります。
ですが、穴掘りやマーキングは対策することができるんです。ここからは、それぞれの問題行動への対策方法とおすすめの商品を紹介します。
穴掘り対策
穴掘りは、フェネックの本能です。その本能を満たしてストレスを発散させてあげるためには、穴掘りができる場所が必要になります。
そのため、そもそもフェネックが行き来する場所は掘られても良い場所を選びましょう。
飼育環境内に掘られたくない場所があるなら、動物が近づかないような匂いをつけたり、物を置いたりして、掘れない環境を作ることをおすすめします。
思う存分穴を掘れるように庭に放してあげるのも良いのですが、フェネックは地下数メートルにも及ぶ穴掘りをします。外に放す際は、穴を掘って脱走しないように気をつけましょう。
マーキング対策
フェネックのマーキング対策のポイントは、排泄したらすぐに片付けることです。
基本的にトイレは覚えないので、片付けやすいように床はフローリングのままか、防水マットなどを敷いたりと、掃除しやすいようにしておくといいでしょう。
片付けたあとに消臭スプレーをすると、においを抑えることができますよ。
フェネックはマーキングのために排泄物の上に寝転がったりするので、すぐに片付けることをおすすめします。
フェネックをのびのび飼育するポイント3選
問題行動はさておき、せっかくフェネックを飼うなら、ストレスを感じることなくのびのびと過ごしてもらいたいですよね。
そこで、あなたがフェネックの飼育に適した環境を作れるかどうかを考えてみましょう。
ここからは、フェネックにのびのび過ごしてもらうための飼育ポイントを紹介します。
- 室温は25℃前後に保つ
- コミュニケーションをとる
- エサは1日2回
室温は25℃前後に保つ
フェネックの生息地域である砂漠や乾燥地帯は、外気の寒暖差が激しい地域です。巣穴のなかは高くても34℃程度、夜間は25〜30℃程度であると言われています。
そのため、フェネックの体全体〜足裏までフサフサと生えている毛は熱を感じにくく、逃がしにくいという特徴があり、過酷な環境下でも生きられるような構造になっています。
このように、寒暖差に強い動物とはいえ、飼育する上では25℃前後(20〜30℃)を保つようにしましょう。
また、日本の梅雨のようにじめじめとした湿気のある環境が苦手のため、温度だけではなく湿度にも気を配って管理しましょう。
コミュニケーションをとる
もともと群れで行動することを習性とするフェネックは、仲間との結びつきが強い動物です。社交的な性格であり、適度に相手をしてあげないとストレスが溜まってしまいます。
そのため、1匹で飼う場合は特に、コミュニケーションを大事にしましょう。遊んであげたり、顔をみて話しかけたりと、対話の相手になってあげてください。
しつけ通りにできたら褒めたり、いけないことをしたら叱ったり、ときにはブラッシングをしてスキンシップをとることもいいでしょう。
エサは1日2回
フェネックのエサは、1日2回朝晩に、食べきる程度をあげましょう。フェネックは夜行性で夜に多くエサを食べる傾向にあるため、夜に多めの給餌をすると食べてくれるかもしれません。
水分については、フェネックは砂漠で暮らす上でほぼ水分を取らずとも生きていけるような体の構造になっていますが、飼育下ではいつでも飲めるようにしておくと良いでしょう。
フェネックの飼育に必要なもの
動物を飼うためには、ケージなどの飼育グッズを用意する必要がありますよね。ですが、現状はフェネック専用のグッズは販売されていません。
そのため、他の動物用の飼育グッズを代用することになります。ここからは、フェネックを飼う上で必要なものを、フェネックの飼育に適しているポイントを踏まえて紹介します。
- 飼育ケージ
- エサ
- エサ皿、給水ボトル
- 巣箱・おもちゃ
- ヒーター
飼育ケージ
フェネックは運動量が多いので、ケージの中でも動き回れるように中〜大型のケージを用意しましょう。天井がついている犬用か、フェレットやチンチラ用のものをおすすめします。
体が小さいからといって小動物用のケージを選んでしまうと、ストレスが溜まってしまいます。
網目や格子状のものは足がはまって怪我をしてしまうこともありますから、ケージの種類によってはすのこなどを敷いて、快適に過ごせるようにしてあげましょう。
ケージの下が引き出せるタイプのものを選ぶと、床に落ちた排泄物を簡単に掃除できるので、毎日の掃除が便利になりますよ。
エサ
フェネックのエサは、ウェットタイプのキャットフードを用意しましょう。
一般的にはウェットタイプのエサが好まれると言いますが、これまでどんなタイプのエサを食べていたかを譲り主に聞いて、同じようなものを用意するといいでしょう。
それとは別に少量の果物や野菜、ゆで卵、コオロギなどの昆虫を与えてみて好物を把握しておくと、しつけのときに役に立ちますよ。
雑食といってもネギやアボカド、チョコレートなど、毒性があるものはあげないように気をつけましょう。
エサ皿・給水ボトル
フェネックはケージ内で激しく動き回ることもあるため、ひっくり返されないように滑り止めがついているもしくは重量があるものを選びましょう。
食べ終わったら毎回洗って管理するようになるため、丈夫で洗いやすいものだとより良いですよ。
給水器には、毎日新鮮な水を用意しましょう。水をそこまで飲まない動物とはいえ、飼育下ではウサギやフェレット用などの大きめの給水器を設置することをおすすめします。
好きなときに飲める環境を作っておくと、フェネックも好きなときに飲めて、あなたもフェネックが給水している姿を見ることができるので、いいことだらけですよ。
巣箱・おもちゃ
フェネックは運動量が多い動物なので、室内で飼う場合はストレスを溜めないようにするためにも遊べる環境を作ってあげましょう。
フェネックの活動範囲内にキャットタワーやハンモックなどを設置しておくと、気が向いたときに元気に遊ぶ姿を見ることができますよ。
ケージの中には巣箱やクッションを設置しておくと、野生での巣穴のように、フェネックが安心して休む場所になるのでおすすめです。
猫やフェレットなどの小型動物用のものを用意してあげるといいでしょう。
ヒーター
気温が下がる時期は、寒すぎることがないようにペット用の遠赤外線ヒーターの導入をおすすめします。
空調で温度管理できるならそれに越したことはありません。ですが、フェネックを飼育する環境は日当たりが良く通気性の良い場所なので、外気が入り込みやすい環境になります。
寒い時期でもフェネックが快適に過ごせるよう、室温が20℃を下回らないように管理しましょう。
フェネックを飼育したい!入手方法は?
フェネックを入手する方法は、ペットショップまたはブリーダーを経由することが一般的です。
一匹あたりの金額は、ペットショップで100万円前後です。一般的なペットと比べて高額なのは、生体数が少ないのにペットとしての需要が高いためです。
費用を抑えて入手したい場合は、ブリーダーや里親を募集しているところを探してみましょう。ペットショップよりも安価で取引している傾向にあります。
どこで購入するかはあなた次第ですが、販売されているフェネックの状態、飼育環境などをよく調べて、信頼できると思った方から譲り受けましょう。
【まとめ】フェネックを自宅で飼育するなら
なつくとかわいらしい面をみせてくれる反面、フェネックをペットとして飼うには、一般的に飼われている犬や猫などの動物よりも手がかかります。
ですが、どんな種類のペットを飼うにしても少なからず手はかかりますし、手のかかる子はよりかわいく思えるとも言います。
どうしても飼いたいフェネックがいるなら、特徴を理解して、飼おうとしている場所が飼育できる環境にあるかどうかをしっかり考えて、環境を整えた上で迎え入れてあげてくださいね。