休職を考える時にまず思い浮かべるのは「休職中の給料はどうなるの?」ではないでしょうか。仕事をしなくなるので「収入が無くなるのでは?」と生活が不安になりますよね。
そんなあなたのために、本記事では、休職中の給料事情や、休職中の従業員を支援してくれる制度、さらには休職前に知っておくべきことを分かりやすく説明していきます。
最後まで読んでいただければ、休職中の収入に対する不安は解消され、心身の回復に集中できるように休職に踏み込めるようになりますよ。ぜひ最後までご覧ください。
(アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%e9%81%93%e8%b7%af-%e7%a9%ba-%e7%a0%82%e6%bc%a0-%e9%a2%a8%e6%99%af-%e8%87%aa%e7%84%b6-3133502/)
【給料の前に…】休職とは?
休職を考える時、最も気になるのが「給料」かもしれません。ですが、その前に休職とはどういったものなのかを確認しておきましょう。
休職とは、労働者が諸事情により業務を行うことができない場合に、労働契約は維持しながらも業務を免除してもらうことです。
休職は法律では定められておらず、あくまでも企業独自の規則です。条件や期間、そもそも休職制度があるかないか等、企業によって異なるので、あなたの企業の就業規則を確認してみましょう。
休職中の給料はどうなるの?
先述したとおり、休職は法律で定められていないため、企業が給料を支払う義務はありません。そもそも、給料は労働の対価として支払われるものなのです。(労働基準法第24条ノーワーク・ノーペイの原則)
とはいえ、休職はあくまで企業独自の規則であり、一定の割合の給料を支給してくれる企業や、給料は全く支給されない企業等さまざまです。
給料が支給されない場合でも、補填してくれる制度があるので安心してください。後ほど、以下の章で説明しますので先に確認しておきましょう。
- 休職中の給料補填制度「傷病手当金」
- 休職中の給料補填制度「休業(補償)給付金」
休職中のボーナスはどうなるの?
ボーナスについても給料と同様、企業独自の就業規則に準じます。就業規則に明記されていれば、企業としては支払う義務があるので、その場合は支給されると認識しておいて良いでしょう。
しかし、ボーナスというのは一般的に業務の成果に応じて支給されるものです。休職中は成果を上げることができないので、ボーナスを支給するとはいっても査定結果が0円になるということもあります。
以上のような点に気をつけながら、就業規則の詳細まで確認するようにしましょう。
休職中の社会保険料はどうなるの?
休職中は労働契約を維持しているため、社会保険の被保険者資格は維持されます。つまり、休職中でも標準報酬月額に応じた健康保険や厚生年金等の社会保険料を継続して支払い続けなければいけません。
標準報酬月額とは、基本給のほか、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当等、労働の対償として事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。
もし仮に、休職中に企業が減額した給料を支給してくれていたとしても、今まで通り、標準報酬月額に応じた保険料を支払わなければいけないので、収支のバランスは今までのようにはいきません。
また、給料が支払われない場合は、これまでのように給料からの天引きができないため、自分で振り込む必要があるか等、手続きにも注意が必要です。こちらも、詳細は就業規則にて確認しておきましょう。
休職中の給料補填制度「傷病手当金」
傷病手当金とは、業務外での病気やケガにより業務を行うことができない休職者のために、健康保険から給料の3分の2が支給される制度のことで、期間は最長で1年6ヶ月です。※うつ病も対象です。
支給額は1日あたりで計算されます。以下より支給額を確認していきましょう。(出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000619554.pdf)
- 直近12ヶ月の標準報酬月額平均の30分の1 × 3分の2
標準報酬月額とは、基本給のほか、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当等、労働の対償として事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。
- 25万円 × 30分の1 × 3分の2 = 5,555円/日
月換算で大体17万円程支給されるので、1人暮らしの生活費としては安心できる金額ではないでしょうか。さいごに、傷病手当金を申請できる条件を以下より確認していきましょう。
- 業務外での病気や怪我の療養のための休業であること
- 業務を行うことができないこと
- 3日間連続で休み、4日以降も業務を行うことができないこと
- 休職期間中、給料の支払いがないこと
傷病手当金の申請には、申請書や医師の診断書が必要です。一般的には、会社経由で保険者に支給申請を行うので、まずは会社で申請書の取得や手続きについて確認しましょう。
休職中の給料補填制度「休業(補償)給付金」
休業(補償)給付金とは、通勤中や業務でのケガや病気により業務を行うことができない休職者のために、労災保険から給料の80%が支給される制度のことで、期間は最長で1年6ヶ月です。
傷病手当金同様、支給額は1日あたりで計算されます。以下より支給額を確認していきましょう。(出典:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-13.pdf)
- 給付基礎日額(平均賃金)× 80%
給付基礎日額とは、直近3か月間にその労働者に対して支払われた金額の総額を、その期間の歴日数で割った、一日当たりの賃金額のことです。
- 25万円 × 3 ÷ 91日(4月・5月・6月) × 80% = 6,593円/日
月換算で大体20万円程支給されるので、1人暮らしの生活費としては十分に安心できる金額ですね。さいごに、休業(補償)給付金を申請できる条件を以下より確認していきましょう。
- 通勤中、業務中での怪我や病気による療養のための休業であること
- 業務を行うことができないこと
- 休職期間中、給料の支払いがないこと
休業(補償)給付金を請求するためには、労働者本人が労働基準監督署へ請求書を提出しなければなりません。まずは会社で請求書の取得や手続きについて確認しましょう。
休職中の給料・制度に関するQ&A
企業の規則や制度というのは複雑で分からないことが多いですよね。以下より、休職中の給料や制度に関する「よくある質問」について回答していきますね。
- 休職を延長したい場合、給料はどうなるの?
- 会社が休みの日でも給付金は支給されるの?
休職を延長したい場合、給料はどうなるの?
そもそも休職の延長については先述した通り、法律での決まりがなく、企業独自の規則に従う必要があります。
休職期間は最大でも就業規則の上限までは可能で、それに伴う給料については、やはり就業規則を確認しなければいけません。詳細な点で疑問に思うところは、会社の人事に確認をとるようにしましょう。
会社が休みの日でも給付金は支給されるの?
傷病手当金、休業(補償)給付金ともに、条件を満たしていれば、会社の所定休日分も支給されます。
ただし給付金は毎日振り込まれるのではなく、一般的に平日の10日と20日と末日に振り込まれるので覚えておきましょう。
【早期給料回復へ】うつ病の方向け休職時の過ごし方
手当金や給付金といった給料補填制度を知れたことで、生活への不安は軽減できたのではないでしょうか。
とはいえ、中々回復できずに休職が長引く可能性もあるので、未来への貯蓄という面では、まだまだ休職に対する不安は残りますよね。
そんなあなたのために、休職中に絶対に意識してほしい2つのポイント(うつ病の方向け)を以下より紹介しますね。2つのポイントを意識することで回復は確実に早まりますよ。
- 適度な運動をする
- 十分な睡眠をとる
適度な運動をする
1つ目は適度な運動をすることです。はじめはウォーキングを15分、慣れてきたら強度を上げ、週に3日ランニングを30分できるように頑張ってみてください。
幸せホルモン「セロトニン」が脳内に分泌されるので、脳がスッキリします。またランニングは心拍数をコントロールできるようになるため、ストレス耐性もよくなるのです。
そもそも人間の脳は動くために進化してきたので、動かないと脳は腐ります。心の病も結局は脳の状態が起因しているので、まずは脳を健康状態にするために運動をしましょう。
※継続が大切なので、無理のない運動を自分と相談しながら挑戦してみましょう。
十分な睡眠をとる
十分に睡眠ができていない時は、一日中体が怠くて、頭が働かないことが多いですよね。脳をスッキリさせるために、7~8時間の十分な睡眠をとるためには、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が必要です。
「メラトニン」の分泌を促進するのは「運動」です。(運動により分泌される「セロトニン」は夜になると「メラトニン」に置き換わります。)
一方で「メラトニン」の分泌を抑制してしまうのは「ブルーライト」です。ですので、疲労が蓄積されない程度に運動すること、就寝1時間前はスマホやPCを触らないことを心がけましょう。
とにかく会社のことは忘れて、心を癒すこと、脳を健康にすることを心がけて過ごすことで、価値観に変化がでてきたり、自分のメンタルを驚くほどにコントロールできるようになりますよ。
休職に向けた事前準備
先述した通り、療養に集中するための生活は確保されるので、安心して休職に入れますね。以下より、休職に向けた事前準備を説明しますね。
- 就業規則を確認し、休職制度があるのかを確認する
- 休職制度を確認し、休職期間、給料事情を確認する
- 給料が支給されない場合、傷病手当金もしくは休業(補償)給付金の申請について確認する
- 休職申請書(必要であれば給付金の申請書)および医師の診断書を準備する
休職に入って不安が残らないように、就業規則については細かく確認しておきましょう。準備が整えば、人事と上司に申請書と診断書を提出しましょう。
まとめ「休職中の給料事情」
ここまで休職中の給料事情や給料が出ない場合の補填制度、休職に向けて知っておくべきことについて紹介してきました。最後に本記事のまとめとして、休職前に覚えておくべき3つのポイントを紹介します。
- 休職中の給料事情は、企業独自の就業規則に準ずる
- 休職中に給料が支給されない場合(+その他の条件も満たす場合)給付金を受け取ることができる
- 休職中は「適度な運動」と「十分な睡眠」で早期回復できる
最後まで読んでいただきありがとうございました。いざというときは給料補填制度もあるので安心してください。とにかく心身の回復を優先し、休職に向けた準備を始めてみてはいかがでしょうか。