アパート経営で課せられる税金について「面倒くさそう」という気持ちから、アパート経営に踏み込めずにいませんか?確かに最初は億劫になりますよね。
しかし、あなたのように検索をかけて一歩踏み出すことができればもう大丈夫です。税金の種類はいくつかありますが難しいことはありません。
本記事では、アパート経営における税金から節税するポイントまで、分かりやすく説明しています。読み終えた後のあなたは、アパート経営における収支について見積もりしてみたいと思えるはずです。
(画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E3%81%8A%E9%87%91-%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%AD-%E9%87%91%E8%9E%8D-%E9%80%9A%E8%B2%A8-%E5%AF%8C-3864576/)
アパート経営で得た収入の課税範囲
不動産経営では、収入から必要経費を差し引いた利益(不動産所得)に対して税金を支払う必要があります。副業で不動産投資をしている会社員の方であれば、課税対象は不動産所得と給与所得の合算になります。
節税していく上では収入と経費についてしっかり理解しておくことが大切です。
以下より、不動産収入と必要経費ついて紹介しますね。一緒に確認しておきましょう。
- 不動産収入
- 必要経費
不動産収入
不動産経営における収入は家賃収入だけではありません。以下より不動産経営で得られる収入を確認しておきましょう。
- 家賃
- 礼金
- 更新料
- 管理費
- 駐車場
- 権利金
- 返還の必要のない敷金
- 保険金
必要経費
必要経費が多いほど支払う税金は少なくなります。以下より必要経費を確認しておきましょう。
- 管理費
- 広告宣伝費
- 火災・地震保険
- 修繕費
- 減価償却費
- 固定資産税
- 借入金利子
- 消耗品費用
- 水道光熱費
アパート経営の所得に課せられる税金
ここでは先で説明した不動産所得に課せられる税金について説明していきます。以下より、アパート経営でかかる税金の種類について説明していきますね。
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
- 消費税
所得税
アパート経営で得た収入の内の利益(不動産所得)には所得税がかかります。先で説明したように副業の場合は給与所得も合算した個人の総所得に対して所得税がかかることになります。
所得税の税率は、所得が多いほど増加していく累進課税制度。以下より、課税所得金額に対する税率の早見表を確認してみましょう。
課税所得金額 | 税率 | 税額控除 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
(出典:所得税の税率|国税庁)
税額控除は、課税所得金額に税率を掛けて算出した所得税額から直接差し引くものです。課税所得に対しての税額控除は決まっており上記表の通りとなっています。
また東日本大震災の支援金として、2013年から復興支援所得税(税率2.1%)の支払いが義務付けられていることも忘れてはいけませんね。
住民税
所得税と同様に総所得に応じて住民税が課せられます。住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う税金となります。
住民税として支払う金額についてですが、都道府県民税が4%、市区町村税が6%、合計10%が総所得に対して課せられます。
個人事業税
家賃収入が一定以上の規模である場合は、事業規模とみなされ、個人事業税が課せられます。アパート経営では10室以上の物件を持った場合が事業規模と認定される基準です。
事業規模と認定された場合、所得金額から事業主控除等を差し引いて税率5%をかけて算出された個人事業税が課せられます。
事業主控除は一律で年間290万円の控除のことで、あなたのアパート経営が事業規模と認定されても、不動産所得が290万円以下であれば、個人事業税は発生しないことになります。
消費税
アパート経営で消費税がかかるのは、貸事務所の非住宅部分や、駐車場使用料です。消費税は、事務所、駐車場などの課税対象の利用による収入が1,000万円以上かかった場合に翌々年から課せられる税金となります。
アパート経営で自動的に課せられる税金
アパート経営では、所得に関係なく自動的に課せられる税金が2種類あります。以下より説明していきますね。
- 固定資産税
- 都市計画税
固定資産税
固定資産税は、所有している不動産の評価額に応じて計算されることになります。固定資産税の計算方法は、課税標準(固定資産税評価額)×1.4%で算出されます。
課税標準(固定資産税評価額)は、売買価格の6~7割といわれています。固定資産税は申告する必要がなく、毎年市区町村から送付される納付書で支払います。
都市計画税
都市計画税とは、市街化区域内の土地や家屋を所有している人に課せられる税金で、都市計画事業等の費用に充てられます。
都市計画税の計算方法は、課税標準 × 0.3% で算出されます。税率は自治体によって異なる場合がありますが、0.3%(制限税率)を超えることはありません。
アパート経営で税金を抑えるポイント
先で説明したように、アパート経営では想像するだけでも大きな金額を税金として支払う必要があることが理解できたと思います。
そんな多額の税金の支払いを少しでも抑える方法があれば知りたいですよね。以下より、税金を抑えるポイントを2つ紹介していきます。
- 必要経費の計上
- 青色申告(確定申告)
必要経費の計上
アパート経営における税金は、収入から必要経費を差し引いた所得に対してかかるものです。収入がいくら少なくても、この必要経費を計上していなければ課税所得が高くなるということになります。
特に減価償却費は、2年目以降は、実際に支払っていない費用を経費として計上できるため、アパート経営の節税対策を行う上でとても重要になります。
青色申告(確定申告)
給与所得以外で、アパート経営を含めた所得の合計が20万円以上になった場合に確定申告が必要となります。その確定申告には青色申告と白色申告があります。
青色申告では最大65万円の特別控除を受けられるなど、様々な税制上のメリットを受けることができます。
青色申告の詳細や、青色と白色の違いを知りたい方は、「青色申告の基礎知識」で分かりやすく解説して頂いているので確認しておくと良いでしょう。
売り上げが大きくなったら法人化を検討(将来の税金対策)
不動産収入が増えてきて、個人での収入が1,000万円を超えた場合、法人化した方が税制上有利に働きます。
所得税と住民税で考えると、先で説明した所得と税率の早見表より900万円〜1,800万円以下の場合は所得税率が33%、住民税率が10%なので、所得に対して計43%の税金が課せられます。
それに対し、資本金1億円以下の法人に対する実行税率(※法人税率、法人住民税率、法人事業税率などの合算)は概ね35%となっています。
つまり、不動産所得以外の所得を合わせた総所得が1,000万円以上の場合、アパート経営は法人化しておいた方が良いのです。
減価償却済みアパートに対する対処(将来の税金対策)
減価償却済みのアパートは、築年数も経過している上、計上できる経費の減額により、課せられる税金が多くなるため、将来の取り扱いに関して不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
ここでは、将来の減価償却済みのアパートを見据えた上での対処について説明していきますね。
- 最適なアパートを選択する
- 減価償却済みのアパートを売却する
最適なアパートを選択する
耐用年数満了時は、建物は古い状態になり、賃料も下がり、空室が増加していきます。その上で減価償却費を経費として計上できなくなるため、支払う税金も増加してしまいます。
減価償却費済みアパートの所有に対する不安を解消するためには、耐用年数満了後でも入居率が高く、修繕費もあまりかからない建物の建設が効果的です。
減価償却費分の税金が増加しても、収支のバランスがしっかり取れていれば、減価償却済みのアパートを手元に置いていても良いと思えるかもしれませんね。
減価償却済みのアパートを売却する
減価償却済みアパートは、古くなり、空室が増え、更には計上できる経費が減ってしまうため、売却するのも選択肢の1つです。
しかしアパートを売却する際は、仲介手数料や不用品の処分費用など様々な費用がかかるため、支払う必要がある費用に関してもしっかり把握しておくことが大事になります。
アパート経営における税金シミュレーション
実際にアパート経営には税金がどれくらいかかるのか、具体的な金額が分かるようにシミュレーションしてみましょう。まずは、以下より会社員のS君の収入状況について整理してみますね。
- 収入形態:給与収入+不動産収入
- 給与所得:400万円
- 不動産所得:200万円(収入250万円の経費50万円)
S君の収入状況を基に早速、所得税、住民税についてシミュレーションしてみましょう。
- 所得の合計:600万円
- 所得税率(早見表より):20%
- 所得税控除額(早見表より):427,500円
- 復興支援所得税率:2.1%
- 住民税率:10%
- 所得税<約107万円> =(6,000,000 × 20 ÷ 100 – 427,500)+(6,000,000 × 2,1 ÷ 100)456500
- 住民税<約60万円> = 6,000,000 × 10 ÷ 100
シミュレーション結果より、総所得600万円に対して約170万円の税金を支払うことになります。給与のみの場合は約85万円ほどの税金になるため、不動産投資に対する税金は85万円と考えて良いでしょう。
今回のシミュレーション結果では、アパート経営することでキャッシュフローとしては合計135万円(不動産所得200万円 – 税金85万円)プラスということになりますね。
確定申告の流れ
確定申告は、不動産所得20万円以下の場合は必要ないとされています。しかし不動産所得が赤字(収入<経費)となった場合は税金を抑えることができるので、確定申告は必須と覚えておいて良いでしょう。
しかし「確定申告って何するの?」と思う方も多いと思います。以下より、確定申告の流れを紹介していきますね。
- 物件購入と収入に関する提出書類の準備(契約書・明細書)
- 経費に関する提出書類の準備(領収書など)
- 青色申告決算書の作成
- 確定申告書の作成
- 税務署へ提出
確定申告は「収支を証明する」ためのものです。収支に関する書類や領収書は、漏れなく管理しておきましょう。まずは不動産投資用の銀行口座を作り、管理しやすい環境を作ってみましょう。
節税については自分で勉強することが大事
節税については税理士からアドバイスはもらえないと考えておいた方が良いでしょう。税理士はあくまでも納税者と税務署をつなげることが仕事なのです。
そのため節税に対して親身になって相談に乗ってくれるわけではありません。多額な税金に対して節税するためには、自分で知識を蓄えて武装するしかないのです。
本記事では基本情報のみしか記載できていません。できるだけ多くの不動産所得を得るためにも、書籍や実践を踏まえて勉強していきましょう。
【まとめ】アパート経営における税金について
ここまで、アパート経営における税金と節税のポイントについて説明してきました。さいごに本記事のまとめとして、アパート経営における税金について重要なポイントを3つ紹介しますね。
- 税金はアパート経営での利益(不動産所得)に対して課せられる
- 計上できる経費項目を把握しておく
- 勉強、実践を通して知識を蓄える
最後まで読んでいただきありがとうございました。まずは選んだ物件に対して所得、必要経費を見積もった上で税金についてシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。