「メダカは簡単に増える」とよく聞きますが、メダカを飼い始めた頃だと、どうすれば上手く繁殖できるのか分かりませんよね。
メダカをただ飼育するだけでなく繁殖させるためには、いくつかコツと注意点があります。この記事を読んでメダカを繁殖させ、飼育と鑑賞を楽しみましょう。
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メダカを繁殖させる過程
メダカを繁殖させる過程をまとめました。まずは一連の流れを把握しておきましょう。
- メダカのオスとメスを同じ水槽に入れる
- 産卵
- 卵を親メダカと隔離する
- 卵を孵化させる
- 稚魚を育てる
メダカは比較的飼育しやすく、繁殖させやすいと言われてはいますが、何も考えずに放置するのは避けたいものです。メダカを増やして鑑賞を楽しむ為にも、繁殖の過程は知っておきましょう。
また「メダカが増えすぎないようにしたいな」「適度に増やしたいな」と思う人も、まずは以下のメダカの繁殖のコツを押さえながら、飼育に臨みましょう。
繁殖のコツ①メダカのオス・メスを見分ける
メダカを繁殖させるためには、オスとメスを同じ水槽に入れておく必要があります。まずはオスとメスの見分け方を知っておきましょう。
- 生後3ヶ月頃から見分けられる
- 基本的にヒレで見分ける
- お腹に卵を抱えてたらメス
メダカのオスとメスの見分けができるようになるのは体が大人になる生後3ヶ月頃からで、稚魚の時点では判別は困難です。更に、細身では見分けにくいので餌をしっかりあげて成長させておく必要があります。
体が大人になれば、基本的にはヒレで見分けます。オスは背ビレの付け根に切れ込みがあり、メスにはありません。また尻ビレの形はオスが四角、メスは小さい三角です。
あとはお腹に卵を抱えていたらメスと言えますが、常にあるわけではないので、たまたま見つけられたらという程度に留めておきましょう。
メダカのオスとメスを見分け、どちらも水槽にいることを確認しましょう。もし片方の性別がいなければ繁殖できないので、追加で購入しましょう。
繁殖のコツ②メダカに産卵させるには
メダカの繁殖には、当然ですが産卵させる必要があります。産卵のための条件をまとめました。
- オスとメスが揃っている
- 日照時間
- 水温
- 餌を十分にあげる
オスとメスは最低1匹ずついれば繁殖しますが、生き物なので相性もあります。そのためオスとメス合わせて10匹程度はいた方が繁殖の成功率が高まります。
産卵には日照時間も重要です。メダカの産卵には1日約13時間以上の光が必要と言われています。野生のメダカは日が長い4~10月頃が繁殖期であることからも、日照時間の重要性がよく分かりますね。
また水温も大きく影響します。産卵には18℃~26℃をキープする必要があります。23℃を超えると産卵する可能性が高まるそうです。
しっかり餌もあげておきましょう。特にメス親の栄養が不十分だと卵の数が減ったり孵化した稚魚の生育が悪くなってしまいます。
繁殖のコツ③メダカが卵を産み付ける場所を用意する
産卵させる準備が整ったら、メダカが卵を産み付ける場所を事前に用意しておきましょう。
交尾は明け方にオスがメスの体の下を回って求愛します。カップルが成立すればオスは精子を出し、メスが抱えている卵を受精させます。
産み付ける場所がなければ卵は水槽の底に沈んでしまいます。卵の生育・飼育を考えると底に沈んだ状態は良くないので、水草や人工的な産卵床のような産み付ける場所を用意しておく必要があります。
どちらでも卵の産み付けは可能ですが、産み付け後の飼育を考慮すると、移動しやすい人工的な産卵床がおすすめです。卵ごと移動できるメリットは大きいですね。
繁殖のコツ④メダカの卵を見つけたら親と隔離する
産卵と受精がうまくいき、メダカの卵を見つけたらまずは親メダカと隔離しましょう。
卵を放置すると、親メダカは自分が産んだ卵を食べてしまうのです。人間の目線で考えると信じがたいですが、成魚はお腹が空くと目の前の卵が自分が産んだかどうかにも関わらず食べてしまいます。
野生のメダカであれば、水中のプランクトンなどを食べるのですが、一般的な飼育の環境下では、どうしても空腹の状態になりやすいのです。
親メダカとの隔離には別の水槽を用意しても良いですが、産卵ネットを使って同じ水槽内で隔離するのでも構いません。自宅の飼育スペースに合わせて選びましょう。
繁殖のコツ⑤卵を孵化させる環境を用意する
卵が孵化するまでの期間は約10~14日です。この期間中は孵化するための環境を整えましょう。主に日照時間や水質水温がポイントとなります。
- 日光には毎日当てる
- 水は毎日交換する
- カビに注意
メダカの卵の入った水槽は毎日日光に当ててあげましょう。また水も毎日交換しましょう。
他の注意点としては卵のカビです。これは主に水が原因となり水が古くなると生えやすいので、水質の維持と酸素供給が必要です。水槽は開口部が広く、酸素が入りやすいものを選びましょう。
卵が有精卵か無精卵かによっても異なります。無精卵は産卵後数日以内に白く濁って見える卵で、頑張っても孵化せずカビが生えてしまいます。このカビが有精卵についてしまうので取り除いておきましょう。
また卵がくっついて塊のようになっているのもカビの原因となるので、ほぐしておきましょう。いずれにせよカビが生えた卵を見つけたら、すぐに除去しなければなりません。他の有精卵にまでうつり全滅しかねません。
繁殖のコツ⑥卵が稚魚になった時の注意点
卵が無事孵化して稚魚になったら、どんな事に気を付けて飼育すれば良いのでしょうか。ここでも水質が重要となります。
- 水質に注意
- 水槽は日光のあたる場所に
- 餓死に注意
メダカが孵化して稚魚になると、卵の殻のせいで水が汚れやすくなります。しかし稚魚の体はまだ未熟であり水換えによるダメージを受けやすいので、水換えの際は網などを使って慎重に行います。
水換えの際は、水温も合わせておきます。使用する水は、カルキ抜きの水を使いましょう。カルキ、すなわち塩素は稚魚にとって毒になるからです。専用の商品を使えばカルキを抜く事ができます。
水槽は日光のあたる場所に置きましょう。日光によりビタミンAとDの吸収が促進され成長に良い影響を与えます。水温は26〜28度と高めをキープするとより良いでしょう。
意外にももう1つのポイントは餓死の予防です。稚魚は口が小さいため、食べるのがまだ下手な状態です。成魚になるまでの約3ヶ月間は稚魚用のパウダー状の餌を1日4回程度に分けて与えましょう。
メダカが増えすぎてしまったら?
稚魚が順調に大きくなり、うまくいけばメダカはどんどん繁殖していきます。水槽のメダカの寿命は4~5年であり、卵を1日約30個・1年のうち150日くらい産むことからも増えやすさが分かります。
繁殖がうまくいくのは良いのですが、メダカが増えすぎてしまったらどうしたら良いのでしょうか。増えすぎた時の対策をまとめました。
- 人に譲る
- 学校などに寄付
- メダカの販売店に相談する
メダカが増えすぎて困ったら、まずは周りの友人知人に分けられないか尋ねてみましょう。メダカは比較的育てやすいので、受け入れてもらえる可能性があります。
また子どもと一緒に育てるのも良いので、小学校・保育園といった施設に寄付するのも良いでしょう。こういった寄付先などが見つからなければ、メダカの販売店に相談するのも1つの方法です。
メダカが増えすぎても川に放すのは厳禁
増えすぎたメダカを貰ってくれる人もおらず、相談するお店もなければ、メダカの扱いに困るかもしれません。
どんなに困っても、メダカをその辺りの川に放すのは絶対にいけません。自然の生態系に影響を与えてしまうので厳禁です。川に放すのは捨てる事と同じと捉えましょう。
どうしても手立てがなければ、オスとメスを分けて飼育するか、卵をそのまま親メダカと同じ水槽で放置するしかありません。
まとめ。メダカを繁殖させるための準備をしよう
この記事では、メダカを繁殖させるコツや注意点をまとめました。
- メダカを繁殖させるなら、一連の過程を把握して準備しておく
- オスとメスを見分けて、同じ水槽に入れる
- 卵を産み付けるのに適した産卵床を用意する
- 卵を見つけたら速やかに成魚と隔離する
- 孵化や稚魚の飼育の際、水質・水温・日照時間に注意する
- 増えすぎた時に対処が難しそうなら、繁殖はほどほどにしておく
メダカの繁殖は比較的簡単だと言われていますが、生き物なのでいくつか押さえておきたいポイントはあります。必要な物品を買って環境を整え、メダカを繁殖させて長く飼育を楽しみましょう。