犬を飼い始めると「犬のしつけはいつからすればいいの?」「どのようにしつければいいの?」と悩むことってありますよね。
犬と共に生活する上で欠かせないことがしつけです。犬が人間社会で暮らすために最低限のしつけを身につける必要があります。
この記事では犬のしつけをいつから始めるのか、どんなしつけをすればよいのか、しつけをするときの飼い主の意識やポイントを解説します。
(アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/英語コッカ-スパニエル-犬-子犬-5937757/)
犬のしつけはいつからする?
犬のしつけに適した時期は生後2〜3ヶ月です。これは生後3ヶ月ごろが社会化期と言われ最も学習しやすい時期であるためです。
3ヶ月以内では脳が未発達なので、しつけする内容が理解できません。とはいえ、しつけの細かい時期は犬種によって差があったり、個々の性格によっても違います。
犬を飼い出してからあれこれ考えるのは大変です。事前にしつけをするためのルールや準備をしておくことをオススメします。
しつけのファーストステップは犬に名前を認識させること
名前を認識させることはしつけの第一歩です。2〜3ヶ月待たず飼い出したらすぐに行いましょう。
その際の注意は呼び方を統一することです。「タロウ」「タロちゃん」「タロタロ」「タロっぺ」など様々な呼び方では犬が混乱します。
しっかりと目を見て毎回同じ呼び方で呼び続けることで、犬が「自分のことを呼んでいる」「僕はタロウ」だと認識するようになります。
名前を呼んでこちらへ来たら褒めてあげます。叱るときばかり名前を呼ぶのは注意です。名前を呼ばれると悪いことが起こることを学習してしまいます。
犬に覚えさせたいしつけ6選
ファーストステップである名前の認識の他にも覚えさせたいしつけは多いです。中でも厳選した6つを紹介します。
- アイコンタクト
- トイレトレーニング
- 呼び戻し
- ハウストレーニング
- セルフコントロール
- 噛まない
アイコンタクト
アイコンタクトとは飼い主の顔に注目させることです。「今から大事なことを言うよ」「こちらを見て聞いてね」という合図になります。
必ずしも目と目と合わせる必要はなく、愛犬の顔が飼い主側を向いていれば大丈夫です。
アイコンタクトの目的は必要なときに飼い主に注目できるようにすることです。アイコンタクトは様々なしつけの基本になる重要なステップです。
トイレトレーニング
飼い主が最も覚えさせたいしつけの一つがトイレです。トイレの失敗は部屋が汚れる、片付けが大変など飼い主の悩みの種です。
トイレトレーニングで重要なのは失敗させないことです。そのためにトイレシートをケージ内や部屋中に敷き詰めます。これならどこで排泄しても失敗しません。
成功したらたくさん褒めます。成功体験を積むことは愛犬に取って嬉しいことと認識されトイレトレーニングがうまくいきます。
慣れたら少しずつトイレシートの範囲を狭くします。そうすることで排泄場所を無理なく誘導できます。
呼び戻し
「オイデ」と行って犬を呼び戻すことです。呼び戻しの目的は散歩中にリードを離しても呼びかけで飼い主の元に戻ってくる、危険な場所に近づかないようにする、他の人に危害を加えないことにあります。
呼び戻しは愛犬を危険から守るために大事です。はじめから外で行うのは危険なので家の中で行います。協力者にリードを持ってもらい、飼い主の呼びかけに犬が行きたい姿勢を見せたらリードを離してもらいます。
飼い主の元まで来られたら、たくさん褒めましょう。飼い主の元にいけたことが嬉しくて、それ自体ご褒美になります。
ハウストレーニング
犬にいて欲しい場所を覚えさせるのがハウストレーニングです。ハウストレーニングによってお留守番や災害時にも冷静に落ち着くことができます。
方法としてまずはケージに慣れさせることです。犬は慣れない場所には行きたがりません。そこでケージのドアを開けっ放しにして危険がない場所だと認識させます。
ケージに入った瞬間にドアをガシャンと閉めるのは、「閉じ込められた」「恐い」と感じるため避けましょう。ケージに入らない場合はおやつやおもちゃなど犬の興味の引くものを置きましょう。
ケージに入ったら「ハウス」と声かけをします。ケージに入ることに慣れたら犬の様子を見つつそっとドアを閉め、徐々に滞在時間を伸ばしていきましょう。
セルフコントロール
セルフコントロールとは所有欲を調整し、自制心を養うことです。おもちゃを使って遊びながら学習しましょう。おもちゃを引っ張り合いながら飼い主が「ちょうだい」と言ったら渡せるように練習します。
うまくできたら褒めましょう。セルフコントロールが身につくと、異物を口に入れたときに飼い主の指示で吐き出せるようになり、愛犬を危機から守れます。
噛まない
子犬のころはおもちゃでも飼い主の手でもなんでも歯を立てます。人を噛むことはよくないことだと優しく教えましょう。
スキンシップや遊びの最中でも、あなたの手に歯が当たるたびに声を出して伝え、遊びを中止します。ケージに戻して子犬から見えないところに距離を取ります。30秒ほどの短い時間で十分です。
一定時間距離を置いたらまた遊びます。手や足に歯が当たるたびに繰り返すことで人を噛むと遊べない、楽しめないことを学びます。
楽しい中にもルールを守ることの大事さを伝えていきましょう。厳しく叱る必要はありません。
犬のしつけで優先すべきは刺激に慣らすこと
犬のしつけと言えば先述したような「トイレトレーニング」や「オイデ」ができることと思いがちです。しかし、一番に優先するべきは様々な刺激に慣らすことです。
家にはテレビの映像、ドライヤーの音、扇風機が回り風が出るなど刺激がたくさんあります。抱っこしながら刺激に慣れさせましょう。
また、触られることは嫌じゃない心地よいと感じられるように優しく撫でてスキンシップを取りましょう。
人に触られることは恐くないと学習すれば、人間社会のルールが身につき節度を持った行動ができます。
犬が環境に慣れるのはいつから?
犬を家に迎えてから2〜3週間で環境に慣れてきますが、1ヶ月以上時間のかかる子もいます。
環境の変化に慣れるまで、ある程度時間がかかるのは犬も人間も同じです。
人間なら新居への引っ越しや新たな環境に期待を抱くこともあります。しかし、犬は違います。はしゃいでいるように見えるのは、ソワソワして落ち着かないためです。
犬はなぜ今までと生活の場が変わったのか理解できていません。飼い主の愛情で落ち着く環境を作りましょう。
犬はいつから懐くのか
犬が懐くまでに6ヶ月や1年といった明確な時期はありません。それは、それぞれの犬の性格やしつけの仕方、接し方で変わるためです。
この人は恐い人だ、自分を守ってくれる人ではないと認識していれば中々懐かず、逆に一緒にいて落ち着く、愛情を持って守ってくれる存在だと認識されれば懐きやすいです。
そのため、同じ家で生活しているのに子供には懐かずパパには懐く、たまに合うトレーナーさんは大好きなど接する相手によって懐き具合が変わります。
犬も人間と同じで個性があります。性格はまちまちなので懐くのに時間がかかる子もいます。焦らず優しい心で見守ることが大切です。
しつけをいつから始めるかは学習しやすさに関わる
犬のしつけは早い時期から行うこと大事です。特に2〜3ヶ月、遅くても4ヶ月までが望ましいです。社会化期を過ぎてからのしつけは、すでに習慣が身についており修正に時間がかかります。
例えば噛むことがよくないことだとしつけられずに育てば、噛み癖を直せずに成犬になります。犬からすれば「前は怒られなかったのに、なぜ今になって?」とストレスになるでしょう。
犬のしつけをいつから始めるかで、学習のしやすさが変わるため先延ばしにしないようにしましょう。
ただし成犬になってもしつけはできます。子犬より時間はかかりますが不可能ではありません。いずれにせよ飼い主の思いやりが大事です。
犬のしつけに一貫性を持つ
犬のしつけで重要なのは飼い主が我が家のルールに一貫性を持つことです。我が家のルールとは「キッチンには入らない」「トイレはこの場所でしましょう」「寝室のベッドには乗らない」などです。
我が家のルールは犬を飼い始めたときから設定し、成長してから追加しないようにしましょう。
子犬のときはとにかく可愛いのでなんでも許してしまっていた。以前はキッチンに入っても叱られない、寝室のベッドで一緒に寝ていた。成長したら禁止になったのでは犬は理解できません。
すでに習慣になったことを後から禁止されるのは修正しづらいものです。まっさらな状態の飼い始めからルールを統一すると犬もストレスが少ないです。
しつけは愛犬を守ることにつながる
しつけは飼い主と犬が意思疎通を図り信頼関係を築く重要な過程です。しつけは節度のある犬に育つためだけではなく、犬の命や健康を守ることにつながります。
先述した「呼び戻し」も一例です。散歩中についリードを離してしまった、庭で遊んでいたら道に出て行ってしまった。
そのときに呼び戻しで反応すればよいですが、反応せずに道路に飛び出し自動車に轢かれれば命を落としかねません。
家族である愛犬がしつけを疎かにしたばかりに命を落とせば悲しすぎます。しつけの大事さがわかりますね。
しつけで飼い主が意識する3つのポイント
犬のしつけをするときに飼い主が意識するポイントがあります。以下の3つのことだけ意識すれば、ぐっとしつかがしやすくなります。
- 愛情を持って接する
- 上下関係を作るためではない
- 失敗しても厳しく叱らない
愛情を持って接する
しつけはよくない行為を厳しく正すことというイメージを持っていませんか?厳しくしないと身につかないという考えは改めましょう。
何よりも大事なことは愛情を持って接することです。しつけは人間と犬が上下関係を作るプロセスではありません。
飼う側と飼われる側である以上、ある程度主従関係はありますが、愛犬に恐怖を与える行為はしつけとは違います。
アイコンタクトをしながら呼びかける、うまくいったら優しく撫でながら褒めるなど、飼い主が注ぐ愛情が愛犬を成長させます。
上下関係を作るためではない
以前は人間が上、犬が下という上下関係を作ることが重要と考えられていました。例として、犬と目を合わせず、声もかけず、無視しながら早足で歩くリーダーウォークという訓練があります。
目的は人間が上であることを示し、犬を制圧することでした。しかし、現在では研究で犬に上下関係を欲する概念はないことが示されています。
上下関係の概念がない犬に、人間がそれを押し付けることは犬に取ってストレスでしかなく、良好な関係を築くことはできません。
しつけの目的は犬に社会性を身につけさせ、安全な行動ができ、身を守る術を覚えさせることです。
失敗しても厳しく叱らない
失敗したときに厳しく叱りつけても正しくしつけはできません。犬はなぜ叱られているのか理解できません。
例えばトイレで失敗したときに名前を呼びながら厳しく叱りつけると、排泄すること自体に恐怖を覚えて我慢するようになったり、名前を呼ばれるだけでビクビクするようになります。
思い通りにならなくても、それもその子の個性だと受け入れつつ別の方法を検討しましょう。
しつけはコミュニケーションの一環
いかかでしたでしょうか。犬のしつけはいつからするのか、しつけの内容や方法、飼い主が意識するポイントを解説しました。
しつけはコミュニケーションの一環です。そこで何よりも重要なことは愛情を注ぐことです。難しく考えずに愛犬を愛しましょう。愛犬に対する優しさや大切に思う気持ちは必ず伝わります。
どうしてもうまくいかないときには、ドッグトレーナーや獣医に相談しましょう。相談することで解決したり、直接しつけを依頼することで劇的に変化することもあります。
最後までお読みいただきありがとうございしました。この記事が犬のしつけに悩む方の参考になれば幸いです。