愛犬の避妊・去勢手術後の散歩や食事はいつから手術前と同じものにまで、戻せばいいか悩む飼い主さんも多いのではないでしょうか。
「いつから散歩に行っていいかわからない」「散歩の時は何に注意すればいいの?」と不安に思う飼い主さんも多いと思います。
今回は、手術直後から抜糸後、抜糸から3日間という期間別に散歩と食事で気をつけておくべきことをまとめましたので、自分の愛犬の様子と照らし合わせながら実践してみてください。
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愛犬の避妊・去勢手術後当日の散歩と食事
それでは始めに、避妊・去勢手術当日の散歩と食事の注意事項をお伝えしますので、下記の内容に注意しつつ、散歩や食事をするようにしましょう。
散歩
愛犬の散歩にいつから行ってもいいのかについては医師によっても見解が分かれますが「激しい運動は避けること」と「天気が悪い日は行かない」ということは共通しています。
激しい運動をすると、傷口が開いたり、痛みがひどくなる可能性がありますので、リードを過度に引っ張るなどは愛犬を刺激しますので、やめておきましょう。
また、天気が悪い日に散歩に行くと、傷口が汚れて膿んでしまう可能性もあります。散歩に行きたがる子や外でしか排泄しない子は獣医師さんと相談して、手術後当日については、短時間の散歩にするようにしましょう。
食事
手術当日の夜ご飯は少なめにしましょう。手術時には麻酔をかけるために前日から絶飲・絶食をしています。
お腹の中が空っぽなので、急にたくさん食べると吐いてしまったり、下痢をしてしまう可能性があります。
また、あまり食欲がない時は少量でもいいので食べさせてあげましょう。ご飯を食べないと体力が回復せず、体調を崩してしまう可能性があります。そのため、お湯でふやかして食べやすくしてあげることが有効です。
愛犬の避妊・去勢手術後翌日〜抜糸までの散歩と食事
手術翌日から、抜糸までの期間はまだ普段どおりの生活をしてはいけないケースがありますので、以下の内容に注意しつつ、徐々に日常生活に戻してあげましょう。
散歩
散歩中にジャンプをしたり走ったりなどの激しい運動は避け、抜糸まではできる限り安静にするように努めましょう。ドッグランや他のペットとの交流は興奮のもとになるので、控えた方がベターです。
食事
手術翌日以降は普段どおりの食事の量をあげても問題ありません。食欲が戻っていなければ、お湯でふやかして食べやすくしてあげてください。
また、散歩中に草を食べてしまう子がいますが、できるだけ避けるようにしましょう。手術後は体力が落ちていますので、普段は出なかった変化が体調に出てしまう可能性があります。
抜系後3日間の散歩と食事
抜糸後はほとんど日常生活と同様の生活水準に戻して問題ないですが、手術をしてからまだ日が浅いので、愛犬の様子を見つつ、以下の点に注意するようにしてください。
散歩
傷が塞がった後も手術後の傷口には注意しなければなりません。ペットが傷口を舐めてしまうと炎症を起こして化膿してしまう可能性があります。
抜糸後も傷口の赤みがなくなるまでの数日間はエリザベスカラーをつけてあげるのが、傷口を舐めることを防ぐためには効果的です。
また、散歩後のシャンプーやシャワーについては、抜糸から2日から3日以降が適切です。それまではできる限り傷口を濡らさないように、濡れタオルで傷口以外を拭くに留めておきましょう。
食事
基本的には、普段通りの食事を与えて問題ないです。ですが、ドッグフード以外のお菓子や果物などの人間が食べるものは、内臓に負担をかけますのであげないようにしましょう
あげない方がベターです
肥満予防のための散歩と食事
動物は手術後、体質が変わることがあります。同じ食事の量でも、エネルギー消費量が変化したり、発情によるストレスがなくなることで気持ちが安定し、食欲が増すことがあります。
手術後に愛犬が食欲を増しても、極力手術前と同じ量の食事をあげるようにし、肥満にならないようにしましょう。
急激な体重の変動は、愛犬の体に悪影響を与え、さまざまな病の原因となってしまいます。低カロリーのドッグフードをあげることが有効です。
また、外への散歩には獣医師さんとの相談でいけないとしても、家の中を軽く散歩してあげることも肥満予防には効果的です。愛犬にとってもいいストレス発散になりますので、一緒におうちの中を歩いてあげましょう。
避妊・去勢手術後によくあることへの対処法
抜糸後も犬種や犬の性格によっては、元気がなかったり、排泄をうまくできなかったりなどの手術前には見られなかった行動が出てくる可能性があります。
これらの原因と対処法をお伝えしますので、もし以下の症状が見られる場合には、獣医師にも相談するようにしてください。
- 元気がない
- 傷口を気にしている
- なかなか排泄しない
元気がない
手術後に愛犬の元気がなかったり、ぐったりしているということがよくあります。原因はケースによって異なりますが、主に「傷口が痛い」「疲労が溜まっている」「手術後のストレス反応」などが挙げられます。
麻酔をかけてお腹を開いているので、私たちが想像する以上に体力を消費しています。3日経っても元気がないようであれば、再度病院で診察してもらうようにしましょう。
傷口を気にしている
手術後は傷口を縫うことになりますので、引っ張られるような違和感や、傷口を気にするケースは多いです。
そのため、傷口を舐めないようにエリザベスカラーをつけるのが有効ですが、今度はこれが原因でストレスがたまったり、元気がなくなったりすることがあります。
エリザベスカラーをつけたことで、暴れたり、元気がなくなってしまう場合には、術後の傷口を保護するために服を着せてあげるのも有効ですので、エリザベスカラーを嫌がる子には服を着せてあげましょう。
なかなか排泄しない
手術の前には絶飲・絶食することがほとんどだと思います。これが原因で排便のリズムが崩れて、術後は数日間排便しないことがあります。
そのため、丸1日以上おしっこが出ない場合には、尿毒症や他のトラブルもあり得ますので、病院に相談してみるのがいいでしょう。
避妊・去勢手術後に出る犬の身体症状
前章でお伝えした、犬の行動の他にも身体的な症状が出ることがあります。以下の症状が出た場合には、獣医師に相談し、今後のケアの仕方について相談するようにしましょう。
手術後のストレス反応
「採血」や「薬の服用」などの医療行為には多少なりとも、愛犬に対してストレスを与えます。このストレスの影響は精神面だけではなく、免疫力の低下などの身体面にも影響が出ることがあります。
そのため、体調を崩しやすくなったり、下痢をしやすくなったなどの症状が出た時は、柔らかい食事に変えたり、場合によっては行動療法専門の獣医師(犬の心のケア専門の医師)に診察してもらうようにしましょう。
毛の質が変わる・脱毛
ホルモンバランスの変化で「毛の状態が変わる」「脱毛」などの症状が出ることがあります。避妊手術によるホルモンへの影響ではないかと言われることもありますが、あまり原因ははっきりしていません。
ホルモン剤を投与することで改善することもあるので、もし症状がひどい場合には皮膚科専門の獣医師に相談してみましょう。
避妊・去勢手術後に出る犬の精神症状
避妊手術後は性ホルモンの減少により、オスとしての独占欲や闘争心が緩和されます。今まで他のペットと喧嘩することが多かった場合、その回数が減ることが想定されます。
しかし、基本的に根本的な性格が変わることはありません。中には手術後から物音に敏感になるなど、怖がりになるケースもありますが、手術に伴う外泊の影響が主な要因として考えられます。
これらの変化に対しては時間の経過とともになくなっていくことが多いので、過度な心配は無用です。
避妊・去勢手術後の愛犬との接し方
愛犬の痛々しい様子につい、甘やかしてしまい必要以上に愛犬の行動を監視してしまう飼い主さんが多いと思います。
ですが、犬も感情には敏感な生き物ですので、飼い主さんが普段どおりにしていないと、かえって不安になってしまいます。そのため、いつも以上にいつもどおりに接することを心がけましょう。
また、いつも以上に褒めたり、遊んだりして愛犬を必要以上に興奮させないようにしましょう。心の状態は体力の回復に大きく関わってきます。常に普段どおりの一貫した態度で接するように心がけましょう。
愛犬が病院嫌いにならないための散歩の工夫
手術をしたことで、愛犬が病院に対して、マイナスイメージを持ってしまうことがあります。特に大型犬になってくると、暴れたりしてしまい、病院に連れて行くこと自体が困難になってしまう可能性もあります。
今後も診察に行く必要が出てきた時のために、病院嫌いにならないように働きかけましょう。
例えば時々散歩コースで病院の前でおやつをあげてみるなどが効果的です。少しずつ病院の苦手意識をなくし、診察の際に支障をきたさないようにしておきましょう。
避妊・去勢手術後の散歩と食事はとても重要
今回の記事では、主に手術後の散歩と食事について、解説しました。避妊・去勢手術後は身体的にも、精神的にも落ち込んでしまう子が非常に多いです。
そのため、飼い主はできる限りいつもどおり接してあげること、散歩と食事には注意してあげることが重要になります。
飼い主の不安や心配は愛犬にも伝染してしまいます。適切な態度で、食事と散歩に気を配り、愛犬が早く普段どおり元気になってくれるように、できることをしてあげましょう。